成人原発性肝がんの治療(PDQ®): 治療
成人原発性肝がんの治療

本PDQ要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、成人原発性肝がんの治療について包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約はPDQ Adult Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。

本要約には以下に関する情報が掲載されている:


本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Adult Treatment Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。入手可能な証拠の強さに基づき、治療選択肢は「標準」または「臨床評価中」のいずれかで記載される。これらの分類は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。

本要約は、専門用語をあまり使用せずに書かれた 患者向け および スペイン語版 でも利用できる。


一般情報

注:肝細胞がんのスクリーニングについては、別のPDQ要約を参照できるようにしてある。

注意:2009年米国において推定される、肝がんおよび肝内胆管がんによる新規症例数と死亡数: [1]


注:このセクションの本文中にある引用番号の後ろに、証拠レベルを付記しているものがある。治療戦略の報告結果に関する証拠の強さを読者が判断しやすくするために、PDQ編集委員会は、公式順位分類を採用している。(詳しい情報については、証拠レベルに関するPDQ要約を参照のこと。)

肝細胞がんは、主にC型肝炎ウイルスの感染の拡がりに伴い発生率は増加しつつあるが、アメリカでは比較的まれな腫瘍である。 [2] 世界の一部地域では、肝細胞がんは最もよくみられるがんであり、毎年100万件以上の新たな症例が診断される。肝細胞がんは、外科的切除により治癒可能な場合もあるが、この方法はがんが限局している患者のごく一部に行われる治療に過ぎない。 [3] 予後は、局所の腫瘍の進展範囲および肝機能障害の程度によって異なる。外科的切除以外の治療法は臨床試験の一環として実施されるのが最良である。臨床試験では全身注入化学療法、肝動脈結紮または塞栓療法、経皮エタノール注入、ラジオ波焼灼療法、凍結療法、および放射性標識抗体による治療法の効果を、しばしば外科的切除および/または放射線療法と併用した場合について検討している。これらのアプローチの研究のなかには、長期寛解の報告されているものもある。 [3] 少数の患者は肝移植の候補となりうるが、移植用肝臓の限られた入手可能性のため、このアプローチが制限される。 [4] 肝細胞がんは、胆管がん(胆管細胞がん)と共存することがある。 [5]

危険因子

肝細胞がんの患者の50〜80%は肝硬変と関連している;肝硬変の患者のうち5%が最終的に肝細胞がんを発生するが、その多くは多発性である。

B型肝炎ウイルス感染 [3] [6] およびC型肝炎ウイルス感染 [7] が世界的に肝細胞がんの最大の原因だと考えられており、特に、持続的に抗原陽性である患者、および活動性の慢性肝炎患者では、ウイルス感染が発生の重要な原因である。一連の研究からB型、C型ともに感染している50歳以上の男性は、肝細胞がんを発生する危険性が特に高いことが明らかになった。 [8] [証拠レベル:3iiiDiv]また、B型C型肝炎ウイルスともに感染しており1日のアルコール摂取が80グラムを超える患者では、禁酒をしている患者と比べて、がんを発生する危険性が高まる(オッズ比 [OR]= 7.3)ことを示す証拠もある。 [9] さらに、B型肝炎とともに肝細胞がんを発症している第一度近親者(親、子、兄弟姉妹)がいることは、B型肝炎ウイルスキャリアである家族の危険性の増加(OR = 2.41)と関連している。 [10]

摂取食物が高度にカビ毒で汚染されている世界の一部地域では、アフラトキシンもまた、原発性肝がんの病因の一因子として関係している。 [6] [11] 塩化ビニル粉塵の規制以前に塩化ビニルに暴露していた労働者は、肝臓に肉腫、主として血管肉腫が発生したという調査もある。さらに、平滑筋や、血管に由来する他の肉腫も見られた。

肝細胞がんの主たる徴候は、肝腫瘤による徴候である。肝硬変を基礎疾患とする患者では、アルファ-フェトプロテイン(AFP)および/またはアルカリホスファターゼの漸増、あるいは急激な肝機能不全によってのみ新生物の存在が示唆される。まれに肝細胞がんの患者に、赤血球増加症、低血糖症、高カルシウム血症、異常フィブリノゲン血症がみられる。(高カルシウム血症に関する詳しい情報については、同名のPDQ要約を参照のこと。)

予後因子

生物学的マーカーのAFPはこの新生物の診断に有用である。ラジオイムノアッセイで調べると、アメリカの肝細胞がん患者の50〜70%でAFPの上昇が見られた。しかしながら、その他の悪性腫瘍(生殖細胞がんや、まれには、膵がん、胃がん)の患者でも、血清中のAFPの上昇が見られた。AFP陰性の患者では、生存期間中央値がAFP陽性の患者に比べて有意に長いことから、AFP値は予後に重要であることがRTOG-8301などの研究に示されている。 [12] [13] そのほか予後に影響を与える変数としては、全身状態(パーフォーマンスステータス)、肝機能 、 [14] および肝硬変の併発の有無とChild-Pugh分類による肝硬変の程度などがあげられる。 [15]

切除を予定している患者には、血管造影下ヘリカルコンピューター断層撮影(CT)スキャンあるいは、MRアンギオグラフィーとともに撮影する核磁気共鳴画像(MRI)による術前評価が必要である;これらのスキャンによってほとんどの患者に血管造影を行う必要がなくなった。また執刀医にとって、動脈解剖に関する情報は有効であり、患者の中にはこの情報によって、切除の対象から外れるものもある。肝静脈、下大静脈、または門脈における腫瘍塞栓の存在は、治療のアプローチを著しく変更しうる。ダイナミックCTおよびダイナミックMRIにより、肝静脈、門脈と腫瘍との関係(場合によっては、これらの脈管侵襲)を正確に描出し、外科的切除による治癒の可能性がほとんど望めない腫瘍との線引きができる。 [16] 腹腔鏡検査によって、転移性病変、両葉性病変、あるいは不十分な残肝の検出が可能で、開腹検査の必要性を避けられる。 [17]


参考文献

  1. American Cancer Society.: Cancer Facts and Figures 2009. Atlanta, Ga: American Cancer Society, 2009. Also available online. Last accessed September 8, 2009.[PUBMED Abstract]

  2. El-Serag HB, Mason AC: Rising incidence of hepatocellular carcinoma in the United States. N Engl J Med 340 (10): 745-50, 1999.[PUBMED Abstract]

  3. Mor E, Kaspa RT, Sheiner P, et al.: Treatment of hepatocellular carcinoma associated with cirrhosis in the era of liver transplantation. Ann Intern Med 129 (8): 643-53, 1998.[PUBMED Abstract]

  4. Klintmalm GB: Liver transplantation for hepatocellular carcinoma: a registry report of the impact of tumor characteristics on outcome. Ann Surg 228 (4): 479-90, 1998.[PUBMED Abstract]

  5. Jarnagin WR, Weber S, Tickoo SK, et al.: Combined hepatocellular and cholangiocarcinoma: demographic, clinical, and prognostic factors. Cancer 94 (7): 2040-6, 2002.[PUBMED Abstract]

  6. Blumberg BS, Larouzé B, London WT, et al.: The relation of infection with the hepatitis B agent to primary hepatic carcinoma. Am J Pathol 81 (3): 669-82, 1975.[PUBMED Abstract]

  7. Tsukuma H, Hiyama T, Tanaka S, et al.: Risk factors for hepatocellular carcinoma among patients with chronic liver disease. N Engl J Med 328 (25): 1797-801, 1993.[PUBMED Abstract]

  8. Chiaramonte M, Stroffolini T, Vian A, et al.: Rate of incidence of hepatocellular carcinoma in patients with compensated viral cirrhosis. Cancer 85 (10): 2132-7, 1999.[PUBMED Abstract]

  9. Tagger A, Donato F, Ribero ML, et al.: Case-control study on hepatitis C virus (HCV) as a risk factor for hepatocellular carcinoma: the role of HCV genotypes and the synergism with hepatitis B virus and alcohol. Brescia HCC Study. Int J Cancer 81 (5): 695-9, 1999.[PUBMED Abstract]

  10. Yu MW, Chang HC, Liaw YF, et al.: Familial risk of hepatocellular carcinoma among chronic hepatitis B carriers and their relatives. J Natl Cancer Inst 92 (14): 1159-64, 2000.[PUBMED Abstract]

  11. Alpert ME, Hutt MS, Wogan GN, et al.: Association between aflatoxin content of food and hepatoma frequency in Uganda. Cancer 28 (1): 253-60, 1971.[PUBMED Abstract]

  12. Stillwagon GB, Order SE, Guse C, et al.: Prognostic factors in unresectable hepatocellular cancer: Radiation Therapy Oncology Group Study 83-01. Int J Radiat Oncol Biol Phys 20 (1): 65-71, 1991.[PUBMED Abstract]

  13. Izumi R, Shimizu K, Kiriyama M, et al.: Alpha-fetoprotein production by hepatocellular carcinoma is prognostic of poor patient survival. J Surg Oncol 49 (3): 151-5, 1992.[PUBMED Abstract]

  14. Yamashita Y, Takahashi M, Koga Y, et al.: Prognostic factors in the treatment of hepatocellular carcinoma with transcatheter arterial embolization and arterial infusion. Cancer 67 (2): 385-91, 1991.[PUBMED Abstract]

  15. Nakakura EK, Choti MA: Management of hepatocellular carcinoma. Oncology (Huntingt) 14 (7): 1085-98; discussion 1098-102, 2000.[PUBMED Abstract]

  16. Karl RC, Morse SS, Halpert RD, et al.: Preoperative evaluation of patients for liver resection. Appropriate CT imaging. Ann Surg 217 (3): 226-32, 1993.[PUBMED Abstract]

  17. Lo CM, Lai EC, Liu CL, et al.: Laparoscopy and laparoscopic ultrasonography avoid exploratory laparotomy in patients with hepatocellular carcinoma. Ann Surg 227 (4): 527-32, 1998.[PUBMED Abstract]


細胞分類

肝臓の悪性腫瘍は主に腺がんで、肝細胞がん、胆管細胞がんの2つの細胞型に大別される。

組織学的分類を以下に示す:


肝細胞芽腫は成人にはほとんど見られない。


病期情報

米国がん合同委員会 (AJCC) の定めた、肝がんのTNM定義を次に示す: [1]


TNMの定義

原発腫瘍(T)
所属リンパ節(N)

[注: 所属リンパ節は肝門リンパ節 (すなわち、肝十二指腸間膜に存在するもの、肝リンパ節、および門脈周辺リンパ節)である。また、下大静脈、肝動脈、門脈に伴行するリンパ節も含む。これらのリンパ節以外のいかなるリンパ節への浸潤も、遠隔転移とみなし、M1と分類する。下横隔リンパ節への浸潤もM1とみなす。]

遠隔転移(M)

[注: 転移は、骨組織、肺に最もよく生じる。腫瘍は被膜を通じて隣接臓器(副腎、横隔膜、および結腸)に伸展するかまたは破裂し、急性出血およびがん性腹膜炎を引き起こす。]

T分類は肝がん切除後の予後に影響を与える因子を多変量解析した結果に基づいている。この分類では血管浸潤の有無(X線撮影または病理学的に評価)、腫瘍結節の数(単発 vs 多発)、および最大の腫瘍のサイズ(≤5cm vs >5cm)を考慮する。病理学的分類では、血管浸潤には血管の顕微鏡的および肉眼的浸潤を含む。 主な血管浸潤(T3)は、主門脈(右または左門脈、これには区分または区域の枝を含まない)の分枝への浸潤として、あるいは3本の肝静脈(右、中、または左)の内の1本以上への浸潤として定義される。多発性腫瘍には衛星病変、多中心性腫瘍、および肝内転移を含む。胆嚢を除く隣接臓器への浸潤または臓側腹膜に穿通がみられる場合はT4とみなす。


AJCC病期分類

I期
II期
IIIA期
IIIB期
IIIC期
IV期

治療のために、肝がんの患者は限局性切除可能疾患、限局性切除不能疾患、進行期疾患の3つのグループのいずれかに分類される。これらのグループをAJCC病期分類を用いて次に示す:


切除可能な限局性成人原発性肝がん

(選択されたT1およびT2;N0;M0)

切除可能な限局性肝がんは、肝臓の一部分にある単発の腫瘤か、または1葉に限局した限られた数の腫瘍に限定され、辺縁が正常肝である腫瘍を完全に外科的除去できる可能性がある。肝機能検査は通常正常か、最小限の異常を示し、Child 分類Aを超える肝硬変や慢性肝炎を認めない。このような、限局された切除可能な肝がんであると診断される患者はごく一部に過ぎない。葉間平面を越えた腫瘍の伸展の有無、肝門への浸潤、大静脈への浸潤を確定するために3相ヘリカルCTおよび/または磁気共鳴スキャンを含む手術前診断を実施するべきである。理想として、切除標本には周辺に正常肝を1cm残す。


限局性かつ局所的に進行した切除不能な成人原発性肝がん

(選択されたT1、T2、T3、およびT4;N0;M0)

限局性かつ局所的に進行した切除不能な肝がんは、肝臓に限局しているようにみえるが、肝臓内での位置または併発する疾患(肝硬変など)のために、完全な腫瘍の外科的切除が適切ではない。このような患者は肝移植を検討すべきであろう。 [2] [3] [4] [5] 他の患者に対しては、経皮エタノール注入法、ラジオ波焼灼療法、または化学塞栓療法が選択肢となりうる。 [6]


進行期の成人原発性肝がん

(すべての T、N1またはM1)

進行期の肝がんは、両葉に発生、あるいは遠隔部位へ転移している。生存の中央値は通常2〜4ヵ月である。肝細胞がんが最も転移する部位は、肺と骨である。特に肝硬変や慢性肝炎を併発する場合には、一般に肝臓ではがんが多発する。肝臓外への転移のない一部の患者では、化学塞栓療法が有効である。 [6]


参考文献

  1. Liver (including intrahepatic bile ducts). In: American Joint Committee on Cancer.: AJCC Cancer Staging Manual. 6th ed. New York, NY: Springer, 2002, pp 131-8.[PUBMED Abstract]

  2. Farmer DG, Rosove MH, Shaked A, et al.: Current treatment modalities for hepatocellular carcinoma. Ann Surg 219 (3): 236-47, 1994.[PUBMED Abstract]

  3. Ringe B, Wittekind C, Weimann A, et al.: Results of hepatic resection and transplantation for fibrolamellar carcinoma. Surg Gynecol Obstet 175 (4): 299-305, 1992.[PUBMED Abstract]

  4. Venook AP: Treatment of hepatocellular carcinoma: too many options? J Clin Oncol 12 (6): 1323-34, 1994.[PUBMED Abstract]

  5. Iwatsuki S, Starzl TE, Sheahan DG, et al.: Hepatic resection versus transplantation for hepatocellular carcinoma. Ann Surg 214 (3): 221-8; discussion 228-9, 1991.[PUBMED Abstract]

  6. Tanaka K, Nakamura S, Numata K, et al.: The long term efficacy of combined transcatheter arterial embolization and percutaneous ethanol injection in the treatment of patients with large hepatocellular carcinoma and cirrhosis. Cancer 82 (1): 78-85, 1998.[PUBMED Abstract]


切除可能な限局性成人原発性肝がん

注:このセクションの本文中にある引用番号の後ろに、証拠レベルを付記しているものがある。治療戦略の報告結果に関する証拠の強さを読者が判断しやすくするために、PDQ編集委員会は、公式順位分類を採用している。(詳しい情報については、証拠レベルに関するPDQ要約を参照のこと。)

T1またはT2;N0;M0の患者

標準治療の選択肢:


臨床評価段階にある治療選択肢:



最新の臨床試験

切除可能な限局性成人原発性肝がん患者を現在受け入れているNCI's PDQ Cancer Clinical Trials Registryの米国内の臨床試験を参照のこと(尚、このサイトは日本語検索に対応してしない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の規準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCI ウェブサイトからも入手することができる。


参考文献

  1. Fong Y, Sun RL, Jarnagin W, et al.: An analysis of 412 cases of hepatocellular carcinoma at a Western center. Ann Surg 229 (6): 790-9; discussion 799-800, 1999.[PUBMED Abstract]

  2. Ohtsuka M, Ito H, Kimura F, et al.: Extended hepatic resection and outcomes in intrahepatic cholangiocarcinoma. J Hepatobiliary Pancreat Surg 10 (4): 259-64, 2003.[PUBMED Abstract]

  3. Karl RC, Choi J, Yeatman TJ, et al.: Role of Computed Tomographic Arterial Portography and Intraoperative Ultrasound in the Evaluation of Patients for Resectability of Hepatic Lesions. J Gastrointest Surg 1 (2): 152-158, 1997.[PUBMED Abstract]

  4. Starzl TE, Koep LJ, Weil R 3rd, et al.: Right trisegmentectomy for hepatic neoplasms. Surg Gynecol Obstet 150 (2): 208-14, 1980.[PUBMED Abstract]

  5. Nagorney DM, van Heerden JA, Ilstrup DM, et al.: Primary hepatic malignancy: surgical management and determinants of survival. Surgery 106 (4): 740-8; discussion 748-9, 1989.[PUBMED Abstract]

  6. MacIntosh EL, Minuk GY: Hepatic resection in patients with cirrhosis and hepatocellular carcinoma. Surg Gynecol Obstet 174 (3): 245-54, 1992.[PUBMED Abstract]

  7. Hemming AW, Cattral MS, Reed AI, et al.: Liver transplantation for hepatocellular carcinoma. Ann Surg 233 (5): 652-9, 2001.[PUBMED Abstract]

  8. Pichlmayr R, Weimann A, Oldhafer KJ, et al.: Appraisal of transplantation for malignant tumours of the liver with special reference to early stage hepatocellular carcinoma. Eur J Surg Oncol 24 (1): 60-7, 1998.[PUBMED Abstract]

  9. Yamamoto J, Iwatsuki S, Kosuge T, et al.: Should hepatomas be treated with hepatic resection or transplantation? Cancer 86 (7): 1151-8, 1999.[PUBMED Abstract]

  10. Lau WY, Leung TW, Ho SK, et al.: Adjuvant intra-arterial iodine-131-labelled lipiodol for resectable hepatocellular carcinoma: a prospective randomised trial. Lancet 353 (9155): 797-801, 1999.[PUBMED Abstract]

  11. Takayama T, Sekine T, Makuuchi M, et al.: Adoptive immunotherapy to lower postsurgical recurrence rates of hepatocellular carcinoma: a randomised trial. Lancet 356 (9232): 802-7, 2000.[PUBMED Abstract]

  12. Nakajima Y, Ko S, Kanamura T, et al.: Repeat liver resection for hepatocellular carcinoma. J Am Coll Surg 192 (3): 339-44, 2001.[PUBMED Abstract]

  13. Neeleman N, Andersson R: Repeated liver resection for recurrent liver cancer. Br J Surg 83 (7): 893-901, 1996.[PUBMED Abstract]


限局性かつ局所的に進行した切除不能な成人原発性肝がん

注:このセクションの本文中にある引用番号の後ろに、証拠レベルを付記しているものがある。治療戦略の報告結果に関する証拠の強さを読者が判断しやすくするために、PDQ編集委員会は、公式順位分類を採用している。(詳しい情報については、証拠レベルに関するPDQ要約を参照のこと。)

T1、T2、T3、またはT4;N0;M0の選択された患者

腫瘍は限局しているが、肝臓内での位置、合併症(肝硬変など)、あるいは腫瘍が両葉性であるために切除不能な患者では、化学塞栓療法、凍結手術、経皮エタノール注入療法、または5cmよりも小さながんに対する治療法としてラジオ波焼灼療法がある。切除と同等の生存が報告されている。 [1] 小さな肝細胞がんを有する肝硬変患者を対象とした1件のランダム化試験は、唯一の治療形態としてラジオ波焼灼療法を受けた患者では、経皮エタノール注入療法に比べ、局所無再発生存率の改善がみられた。 [2] [証拠レベル: 1iiDiii]しかし、全生存率は変わらなかった。 [2] [証拠レベル:1iiA]

全身化学療法、局所化学療法、および/または標識あるいは放射性標識抗体を用いた臨床試験では、切除不能な肝がんで寛解が見られた。その他のアプローチには、ゼラチンスポンジ粉末またはmuscle fragmentsを用いた肝動脈塞栓療法と化学療法(通常はアドリアマイシン)などがある。これらのアプローチでは、腫瘍中心壊死、腫瘍サイズの縮小、そして痛みの軽減がしばしば見られるが、その効果は概して一時的である。また動脈血の供給を妨げること(動注化学療法など)はすべて合併症の発現頻度の増加と関連しているため、門脈圧亢進、門脈血栓症、または臨床的な黄疸のあるときには禁忌である。化学塞栓療法と保存療法を比較したランダム化研究では、化学塞栓療法に延命効果は見られなかった。 [3] この研究は早期に終了したため、生存に大きな差を見るには不十分であった。

標準治療の選択肢:


  1. ラジオ波焼灼療法、化学塞栓療法、凍結手術、または経皮エタノール注入法:小さな(<5 cm)、限局した切除不能な腫瘍を有する患者に対し、これらの手技を用いうる。 [1] [4] [5] [6] [7] [8]
  2. 肝移植:限局した切除不能な肝がんを有する選択された患者、特にfibrolamellar変異型の患者に対しては、肝移植が可能性のある治癒的治療法の選択肢である。 [9]
  3. 化学療法(肝臓への局所注入):化学療法薬剤は、門脈に経皮的に、あるいは肝動脈に留置した埋め込み型のポンプからカテーテルによって投与する。標準的な薬剤を使った過去の研究では、15〜30%の反応が見られたが、新しい薬剤や技術(生分解性のマイクロスフィアなど)についても、 外部放射線療法を併用した局所化学療法と同様に、 [13] 予備試験で評価が行われている。 [10] [11] [12] これらのアプローチはしばしば外科的介入を伴うため、多くの患者には適応しない。
  4. 全身化学療法:持続性のある寛解はほとんど報告がなく、また、はっきりと有意な延命効果を示したものもない。
  5. 手術、化学療法、および放射線療法:これらの治療法は1つの大きな肝腫瘤と複数の小さな腫瘍を持つ患者に対して臨床試験で併用される;腫瘍の外科的切除、ラジオ波焼灼、あるいは凍結手術の後は、残存する肝臓への化学療法剤注入単独で、あるいは温熱療法、放射線または増感剤を用いた放射線療法を併用して治療する。 [1] 化学療法と放射線療法の併用は、切除前に腫瘍を縮小させるためにも行われる。 [14] しかしながら、肝全体は高線量の放射線療法には耐えない。
  6. 放射線増感剤および化学療法を伴わない外部放射線療法放射線治療を行う際には、腫瘍組織に対する正常肝細胞の相対的な放射線感受性を常に考慮しなければならない。 [15]

最新の臨床試験

限局性切除不能な成人原発性肝がん患者を現在受け入れているNCI's PDQ Cancer Clinical Trials Registryの米国内の臨床試験を参照のこと(尚、このサイトは日本語検索に対応してしない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の規準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCI ウェブサイトからも入手することができる。


参考文献

  1. Zhou XD, Tang ZY: Cryotherapy for primary liver cancer. Semin Surg Oncol 14 (2): 171-4, 1998.[PUBMED Abstract]

  2. Lencioni RA, Allgaier HP, Cioni D, et al.: Small hepatocellular carcinoma in cirrhosis: randomized comparison of radio-frequency thermal ablation versus percutaneous ethanol injection. Radiology 228 (1): 235-40, 2003.[PUBMED Abstract]

  3. A comparison of lipiodol chemoembolization and conservative treatment for unresectable hepatocellular carcinoma. Groupe d'Etude et de Traitement du Carcinome Hépatocellulaire. N Engl J Med 332 (19): 1256-61, 1995.[PUBMED Abstract]

  4. Livraghi T, Goldberg SN, Lazzaroni S, et al.: Small hepatocellular carcinoma: treatment with radio-frequency ablation versus ethanol injection. Radiology 210 (3): 655-61, 1999.[PUBMED Abstract]

  5. Tanaka K, Nakamura S, Numata K, et al.: The long term efficacy of combined transcatheter arterial embolization and percutaneous ethanol injection in the treatment of patients with large hepatocellular carcinoma and cirrhosis. Cancer 82 (1): 78-85, 1998.[PUBMED Abstract]

  6. Livraghi T, Bolondi L, Lazzaroni S, et al.: Percutaneous ethanol injection in the treatment of hepatocellular carcinoma in cirrhosis. A study on 207 patients. Cancer 69 (4): 925-9, 1992.[PUBMED Abstract]

  7. Livraghi T, Benedini V, Lazzaroni S, et al.: Long term results of single session percutaneous ethanol injection in patients with large hepatocellular carcinoma. Cancer 83 (1): 48-57, 1998.[PUBMED Abstract]

  8. Curley SA, Izzo F, Delrio P, et al.: Radiofrequency ablation of unresectable primary and metastatic hepatic malignancies: results in 123 patients. Ann Surg 230 (1): 1-8, 1999.[PUBMED Abstract]

  9. Hemming AW, Cattral MS, Reed AI, et al.: Liver transplantation for hepatocellular carcinoma. Ann Surg 233 (5): 652-9, 2001.[PUBMED Abstract]

  10. Ensminger W, Niederhuber J, Dakhil S, et al.: Totally implanted drug delivery system for hepatic arterial chemotherapy. Cancer Treat Rep 65 (5-6): 393-400, 1981 May-Jun.[PUBMED Abstract]

  11. Dakhil S, Ensminger W, Cho K, et al.: Improved regional selectivity of hepatic arterial BCNU with degradable microspheres. Cancer 50 (4): 631-5, 1982.[PUBMED Abstract]

  12. Choi BI, Kim HC, Han JK, et al.: Therapeutic effect of transcatheter oily chemoembolization therapy for encapsulated nodular hepatocellular carcinoma: CT and pathologic findings. Radiology 182 (3): 709-13, 1992.[PUBMED Abstract]

  13. Epstein B, Ettinger D, Leichner PK, et al.: Multimodality cisplatin treatment in nonresectable alpha-fetoprotein-positive hepatoma. Cancer 67 (4): 896-900, 1991.[PUBMED Abstract]

  14. Sitzmann JV, Abrams R: Improved survival for hepatocellular cancer with combination surgery and multimodality treatment. Ann Surg 217 (2): 149-54, 1993.[PUBMED Abstract]

  15. Di Bisceglie AM, Rustgi VK, Hoofnagle JH, et al.: NIH conference. Hepatocellular carcinoma. Ann Intern Med 108 (3): 390-401, 1988.[PUBMED Abstract]


進行期の成人原発性肝がん

すべてのT、N1、M1の患者

進行期の転移した肝がん患者に対する標準的な治療法はない。進行期の患者には新しい生物製剤や抗腫瘍剤の有用性を見る臨床試験(I相、II相研究)、あるいは既存の薬剤、放射線増感剤、放射線治療の併用について研究する臨床試験の適応を検討するべきである。そうした研究で、一時的な緩和が得られることもある。


最新の臨床試験

進行期の成人原発性肝がん患者を現在受け入れているNCI's PDQ Cancer Clinical Trials Registryの米国内の臨床試験を参照のこと(尚、このサイトは日本語検索に対応してしない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の規準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCI ウェブサイトからも入手することができる。


再発成人原発性肝がん

注:このセクションの本文中にある引用番号の後ろに、証拠レベルを付記しているものがある。治療戦略の報告結果に関する証拠の強さを読者が判断しやすくするために、PDQ編集委員会は、公式順位分類を採用している。(詳しい情報については、証拠レベルに関するPDQ要約を参照のこと。)

進行性の原発性肝がん、再発または再燃した原発性肝がんの患者へのいかなる治療も予後不良である。将来の治療法についての問題点や選択には、患者個人の考慮とともに、それまでに受けた治療、再発の部位、肝硬変の有無、肝機能など多くの要素が関係する。可能ならば、再切除を検討するべきであるが、ほとんどの患者で主として肝臓に再発する。 [1] 再切除不能な場合、再発した肝細胞がん患者の治療法の選択肢には、経動脈的リピオドール併用化学塞栓療法(TOCE)、経皮エタノール注入療法(PEIT)、化学療法、肝移植などがある。 [2] 香港のある病院が、治癒的切除を受けた244名の連続した患者の肝臓内の再発について追跡調査を行った。調査を行った244名の患者のうち、139名の患者で肝臓内に再発がなく、1年、3年、5年生存率はそれぞれ、87%、79%、74%であった。切除後に肝臓内に再発した105名の患者のうち、11名が再切除を受け、1年、3年、5年生存率はそれぞれ、81%、70%、69%であった;71名がTOCEを受けて、1年、3年、5年生存率はそれぞれ、72%、38%、20%であった;6名がPEITを受けて、1年、3年、5年生存率はそれぞれ、67%、22%、0%であった;残る17名の患者は全身投与による化学療法または保存療法を受けたが、3年時点で生存したものはいなかった。 [2] [証拠レベル: 3iiA]臨床試験が適当であり、可能であれば検討すべきである。


最新の臨床試験

再発成人原発性肝がん患者を現在受け入れているNCI's PDQ Cancer Clinical Trials Registryの米国内の臨床試験を参照のこと(尚、このサイトは日本語検索に対応してしない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の規準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCI ウェブサイトからも入手することができる。


参考文献

  1. Shimada M, Takenaka K, Taguchi K, et al.: Prognostic factors after repeat hepatectomy for recurrent hepatocellular carcinoma. Ann Surg 227 (1): 80-5, 1998.[PUBMED Abstract]

  2. Poon RT, Fan ST, Lo CM, et al.: Intrahepatic recurrence after curative resection of hepatocellular carcinoma: long-term results of treatment and prognostic factors. Ann Surg 229 (2): 216-22, 1999.[PUBMED Abstract]


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本要約の変更点(05/22/2009)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

一般情報

新たな症例数と死亡数の推定値に関する統計を2009年度分に更新した(引用、American Cancer Society)。