甲状腺がんの治療(PDQ®): 治療
甲状腺がんの治療

本PDQ要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、甲状腺がんの治療について包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約はPDQ Adult Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。

本要約には以下に関する情報が掲載されている:


本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Adult Treatment Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。入手可能な証拠の強さに基づき、治療選択肢は「標準」または「臨床評価段階にある」のいずれかで記載される。これらの分類は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。

本要約は、専門用語をあまり使用せずに書かれた 患者向け および スペイン語版 でも利用できる。


一般情報

注:甲状腺髄様がんの遺伝学については別のPDQを参照できるようにしてあり、また小児の甲状腺がんに関する情報については小児にまれながんを参照できるようにしてある。

注:米国における2009年の甲状腺がんによる死亡数と新たな症例数の推定: [1]


甲状腺がんはまれながんであるが、内分泌系では最もよくみられる悪性腫瘍である。 [2] 分化がん(乳頭状または濾胞性)は治療可能で、通常、治癒可能である。低分化腫瘍(髄様または未分化)はきわめてまれであり、侵攻性で早期に転移するほか、予後がきわめて不良である。甲状腺がんは男性よりも女性に多くみられ、通常25〜65歳の個人に発生する。この悪性腫瘍の発生率はここ10年間増加し続けている。甲状腺がんは一般にとり込みのない結節として存在する。とり込みのない結節におけるがんの全発生率は12〜15%であるが、40歳未満の患者および術前超音波検査において石灰化がみられる患者ではこれよりも高い。 [3] [4]

危険因子

幼児期および学齢期に、胸腺肥大、にきび、扁桃肥大またはアデノイドなど、頭部および頸部の良性疾患に放射線の照射を受けた経歴がある場合は、甲状腺がんのリスクが高いほか、がん以外の甲状腺異常のリスクも高くなっている。このような患者グループに最初に甲状腺の悪性疾患が現れるのは、放射線照射から5年後のこともあれば20年以上後のこともある。 [5] 核粒子降下の結果起こる放射線暴露も、特に小児においては甲状腺がんの高いリスクと関連している。 [6] [7] [8] 甲状腺がん発症の危険因子にはこのほか、甲状腺腫の病歴があるもの、家族歴に甲状腺疾患があるもの、女性およびアジア系人種がある。 [9]

予後因子

分化がんの予後は、被膜外浸潤または脈管侵襲のない40歳未満の患者で良好である。 [10] [11] [12] [13] [14] 年齢は単独の最も重要な予後因子と思われる。 [12] リンパ節転移の予後に関する意義については見解の一致をみていない。未治療の甲状腺分化がん患者931人を対象とした外科的レトロスペクティブ研究では、女性、多病巣性および所属リンパ節転移を有利な予後因子であるとしている。 [15] 有害因子には、45歳を超える年齢、濾胞構造、4cmを超える原発腫瘍(T2〜3)、甲状腺外浸潤(T4)および遠隔転移がある。 [15] [16] しかし、所属リンパ節転移が生存率に対して影響を及ぼさない [17] [18] という研究もある。 [13] [14] [19] 乳頭がん患者において、免疫染色で血管内皮細胞増殖因子のびまん性で強い発現は高い局所再発および遠隔転移率と関連している。 [20] 甲状腺分化がん患者の術後評価で、血清中サイログロブリンが高値を示す場合は、腫瘍の再発と強く相関している。 [21] [22] 甲状腺機能低下がみられ、血清中甲状腺刺激ホルモンが高値であれば、血清中サイログロブリン値が最も感度の高い指標となる。 [23] 腫瘍抑制遺伝子p53の発現も甲状腺がん患者の不良な予後と関連している。 [24]

年齢、転移、拡がりおよび大きさ(AMES)によるリスク評価の判断基準によって低リスクであるとされるのは、遠隔移転を示す証拠がない50歳未満の女性および40歳未満の男性である。また、これよりも高齢で原発腫瘍が5cm以下であり、甲状腺外への肉眼的浸潤を示す証拠がない乳頭がん、または深刻な被膜浸潤および血管侵襲がない濾胞がんの患者もこれに含まれる。 [11] 1,019人の患者を対象とするレトロスペクティブ研究では、この基準を用いて、20年生存率が低リスクグループでは98%、高リスクグループでは50%であることを示した。 [11] 米国の患者の10年全相対生存率は、乳頭がんで93%、濾胞がんで85%、髄様がんで75%、未分化(退形成)で14%である。 [2]

時に、甲状腺は肉腫、リンパ腫、扁平上皮がん、奇形腫など甲状腺がん以外の原発腫瘍が存在する部位となるほか、特に肺がん、乳がんおよび腎がんのような他のがんの転移部位となることもある。


参考文献

  1. American Cancer Society.: Cancer Facts and Figures 2009. Atlanta, Ga: American Cancer Society, 2009. Also available online. Last accessed September 8, 2009.[PUBMED Abstract]

  2. Hundahl SA, Fleming ID, Fremgen AM, et al.: A National Cancer Data Base report on 53,856 cases of thyroid carcinoma treated in the U.S., 1985-1995 [see comments] Cancer 83 (12): 2638-48, 1998.[PUBMED Abstract]

  3. Tennvall J, Biörklund A, Möller T, et al.: Is the EORTC prognostic index of thyroid cancer valid in differentiated thyroid carcinoma? Retrospective multivariate analysis of differentiated thyroid carcinoma with long follow-up. Cancer 57 (7): 1405-14, 1986.[PUBMED Abstract]

  4. Khoo ML, Asa SL, Witterick IJ, et al.: Thyroid calcification and its association with thyroid carcinoma. Head Neck 24 (7): 651-5, 2002.[PUBMED Abstract]

  5. Carling T, Udelsman R: Thyroid tumors. In: DeVita VT Jr, Hellman S, Rosenberg SA, eds.: Cancer: Principles and Practice of Oncology. 7th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2005, pp 1502-19.[PUBMED Abstract]

  6. Pacini F, Vorontsova T, Molinaro E, et al.: Prevalence of thyroid autoantibodies in children and adolescents from Belarus exposed to the Chernobyl radioactive fallout. Lancet 352 (9130): 763-6, 1998.[PUBMED Abstract]

  7. Cardis E, Kesminiene A, Ivanov V, et al.: Risk of thyroid cancer after exposure to 131I in childhood. J Natl Cancer Inst 97 (10): 724-32, 2005.[PUBMED Abstract]

  8. Tronko MD, Howe GR, Bogdanova TI, et al.: A cohort study of thyroid cancer and other thyroid diseases after the chornobyl accident: thyroid cancer in Ukraine detected during first screening. J Natl Cancer Inst 98 (13): 897-903, 2006.[PUBMED Abstract]

  9. Iribarren C, Haselkorn T, Tekawa IS, et al.: Cohort study of thyroid cancer in a San Francisco Bay area population. Int J Cancer 93 (5): 745-50, 2001.[PUBMED Abstract]

  10. Grant CS, Hay ID, Gough IR, et al.: Local recurrence in papillary thyroid carcinoma: is extent of surgical resection important? Surgery 104 (6): 954-62, 1988.[PUBMED Abstract]

  11. Sanders LE, Cady B: Differentiated thyroid cancer: reexamination of risk groups and outcome of treatment. Arch Surg 133 (4): 419-25, 1998.[PUBMED Abstract]

  12. Mazzaferri EL: Treating differentiated thyroid carcinoma: where do we draw the line? Mayo Clin Proc 66 (1): 105-11, 1991.[PUBMED Abstract]

  13. Staunton MD: Thyroid cancer: a multivariate analysis on influence of treatment on long-term survival. Eur J Surg Oncol 20 (6): 613-21, 1994.[PUBMED Abstract]

  14. Mazzaferri EL, Jhiang SM: Long-term impact of initial surgical and medical therapy on papillary and follicular thyroid cancer. Am J Med 97 (5): 418-28, 1994.[PUBMED Abstract]

  15. Shah JP, Loree TR, Dharker D, et al.: Prognostic factors in differentiated carcinoma of the thyroid gland. Am J Surg 164 (6): 658-61, 1992.[PUBMED Abstract]

  16. Andersen PE, Kinsella J, Loree TR, et al.: Differentiated carcinoma of the thyroid with extrathyroidal extension. Am J Surg 170 (5): 467-70, 1995.[PUBMED Abstract]

  17. Coburn MC, Wanebo HJ: Prognostic factors and management considerations in patients with cervical metastases of thyroid cancer. Am J Surg 164 (6): 671-6, 1992.[PUBMED Abstract]

  18. Voutilainen PE, Multanen MM, Leppäniemi AK, et al.: Prognosis after lymph node recurrence in papillary thyroid carcinoma depends on age. Thyroid 11 (10): 953-7, 2001.[PUBMED Abstract]

  19. Sellers M, Beenken S, Blankenship A, et al.: Prognostic significance of cervical lymph node metastases in differentiated thyroid cancer. Am J Surg 164 (6): 578-81, 1992.[PUBMED Abstract]

  20. Lennard CM, Patel A, Wilson J, et al.: Intensity of vascular endothelial growth factor expression is associated with increased risk of recurrence and decreased disease-free survival in papillary thyroid cancer. Surgery 129 (5): 552-8, 2001.[PUBMED Abstract]

  21. van Herle AJ, van Herle KA: Thyroglobulin in benign and malignant thyroid disease. In: Falk SA: Thyroid Disease: Endocrinology, Surgery, Nuclear Medicine, and Radiotherapy. Philadelphia, Pa: Lippincott-Raven, 1997, pp 601-618.[PUBMED Abstract]

  22. Ruiz-Garcia J, Ruiz de Almodóvar JM, Olea N, et al.: Thyroglobulin level as a predictive factor of tumoral recurrence in differentiated thyroid cancer. J Nucl Med 32 (3): 395-8, 1991.[PUBMED Abstract]

  23. Duren M, Siperstein AE, Shen W, et al.: Value of stimulated serum thyroglobulin levels for detecting persistent or recurrent differentiated thyroid cancer in high- and low-risk patients. Surgery 126 (1): 13-9, 1999.[PUBMED Abstract]

  24. Godballe C, Asschenfeldt P, Jørgensen KE, et al.: Prognostic factors in papillary and follicular thyroid carcinomas: p53 expression is a significant indicator of prognosis. Laryngoscope 108 (2): 243-9, 1998.[PUBMED Abstract]


細胞分類

細胞型は甲状腺がんの予後を決定する重要な因子である。甲状腺がんには主として4種類ある(ただし、患者の臨床管理では一般に次の2つのカテゴリーに分類される:高分化がんまたは低分化がん): [1]


それぞれの定義は、以下の病期情報を参照のこと。


参考文献

  1. LiVolsi VA: Pathology of thyroid disease. In: Falk SA: Thyroid Disease: Endocrinology, Surgery, Nuclear Medicine, and Radiotherapy. Philadelphia, Pa: Lippincott-Raven, 1997, pp 127-175.[PUBMED Abstract]

  2. Kushchayeva Y, Duh QY, Kebebew E, et al.: Comparison of clinical characteristics at diagnosis and during follow-up in 118 patients with Hurthle cell or follicular thyroid cancer. Am J Surg 195 (4): 457-62, 2008.[PUBMED Abstract]

  3. Mills SC, Haq M, Smellie WJ, et al.: Hürthle cell carcinoma of the thyroid: Retrospective review of 62 patients treated at the Royal Marsden Hospital between 1946 and 2003. Eur J Surg Oncol 35 (3): 230-4, 2009.[PUBMED Abstract]


病期情報

米国がん合同委員会(AJCC))はTNM分類による病期決定を指定している。 [1]


TNMの定義

原発腫瘍(T)

[注: すべてのカテゴリーはさらに、(a)孤立腫瘍または(b)多病巣性腫瘍に区分しうる(最も大きい病巣に基づいて分類を決定)。]


すべての未分化がんはT4の腫瘍とみなされる。


所属リンパ節(N)

所属リンパ節は、中枢部、外側頸部、および上縦隔リンパ節である。


遠隔転移(M)

AJCC病期分類

乳頭または濾胞がん、髄様がん、および未分化がんにはそれぞれ異なる病期分類が推奨されている。

甲状腺乳頭がんまたは濾胞がん
甲状腺髄様がん
未分化甲状腺がん

甲状腺乳頭がんおよび濾胞がん

I期の甲状腺乳頭がん

I期の乳頭がんは甲状腺に限局する。その50%に及ぶ症例では、腺全体に乳頭腺がんの多発病巣が認められる。ほとんどの乳頭がんは濾胞状構造をいくぶん含んでおり、これが乳頭状構造より多いこともあるが、それによって予後が変わることはない。40歳未満の10年生存率は40歳以上よりもわずかに高い。

II期の甲状腺乳頭がん

病期IIの乳頭がんは、(1)45歳未満の患者で遠隔転移を認める腫瘍か、(2)45歳以上の患者で大きさが2cmを超えるが4cm未満である甲状腺に限局する腫瘍、のいずれかとして定義される。50〜80%に及ぶ症例では、甲状腺全体に乳頭腺がんの多発病巣が認められる。ほとんどの乳頭がんは濾胞状構造をいくぶん含んでおり、これが乳頭状構造より多いこともあるが、予後を左右することはないようだ。

III期の甲状腺乳頭がん

病期IIIの乳頭がんは、45歳以上の患者で大きさが4cmを超え、甲状腺に限局するか、または甲状腺外への進展が最小限、あるいは陽性リンパ節が気管前、気管傍、または喉頭前/デルフィのリンパ節に限定されている腫瘍である。頸部の隣接組織に浸潤している乳頭がんの予後は、甲状腺に限局している場合よりも不良である。

IV期の甲状腺乳頭がん

IV期の乳頭がんは、45歳以上の患者で、甲状腺の被膜を超えて頸部軟組織へ浸潤するか、頸部リンパ節転移、または遠隔転移を認める腫瘍である。肺および骨は遠隔転移することが最も多い部位であるが、このタイプの甲状腺がんではそのような転移はまれである。乳頭がんは遠隔部位よりも所属リンパ節に転移することが多い。遠隔転移を認める場合の予後は不良である。

I期の甲状腺濾胞がん

I期の濾胞がんは甲状腺に限局する。甲状腺濾胞がんと、被膜を貫通して周辺の甲状腺組織に浸潤しないことを特徴とする濾胞状腺腫とは区別する必要がある。濾胞がんの予後は良好であるが、乳頭がんには劣る。10年生存率は、脈管侵襲がない濾胞がんの患者の方が脈管侵襲がある患者よりも優れている。

II期の甲状腺濾胞がん

病期IIの濾胞がんは、45歳未満の患者で遠隔転移を認める腫瘍か、あるいは45歳以上の患者で大きさが2cmを超えるが4cm未満である甲状腺に限局する腫瘍、のいずれかとして定義される。45歳未満の患者では、リンパ節転移は予後を悪化させない。甲状腺濾胞がんと、被膜を貫通して周辺の甲状腺組織に浸潤しないことを特徴とする濾胞状腺腫とは区別する必要がある。濾胞がんの予後は良好であるが、乳頭がんには劣り、10年生存率は脈管侵襲がない濾胞がんの患者の方が脈管侵襲がある患者よりも優れている。

III期の甲状腺濾胞がん

病期IIIの濾胞がん は、45歳以上の患者で、大きさが4cmを超え、甲状腺に限局するか、または甲状腺外への進展が最小限、あるいは陽性リンパ節が気管前、気管傍、または喉頭前/デルフィのリンパ節に限定されている腫瘍である。頸部組織に浸潤している場合、甲状腺に限局する場合よりも予後は不良である。脈管侵襲の存在は予後を不良にするもうひとつの因子である。45歳未満の患者では、リンパ節転移は予後を悪化させない。

IV期の甲状腺濾胞がん

IV期の濾胞がんは、45歳以上の患者で、甲状腺の被膜を超えて頸部軟組織へ浸潤するか、頸部リンパ節転移、または遠隔転移を認める腫瘍である。遠隔転移の部位となることが最も多いのは肺および骨である。濾胞がんには血管侵襲があることが多く、リンパ系ではなく血行性に肺および骨へ転移する傾向がある。遠隔転移を認める場合の予後は不良である。

ヒュルトレ細胞がん

ヒュルトレ細胞がんは、濾胞がんの変異型(予後も類似している)で、同病期のヒュルトレ細胞がんではない濾胞がんと同じ治療を施すべきである。 [2]


甲状腺髄様がん

甲状腺髄様がんの程度と長期生存とを相関させるために数種類の病期分類システムが用いられてきている。AJCCの臨床病期分類システムでは、生存期間と原発腫瘍の大きさ、リンパ節転移の有無および遠隔転移の有無とを相関させている。最も予後が良好であるのは、触知可能な腫瘍が現れる前に誘発スクリーニングによって診断される場合である。 [3]

0期の甲状腺髄様がん

誘発生化学スクリーニングによって検出される臨床的潜在がん。

I期の甲状腺髄様がん

2cm未満の腫瘍。

II期の甲状腺髄様がん

2cmを超えるが4cm以下の腫瘍。

III期の甲状腺髄様がん

4cmを超え最小限の甲状腺外への進展を伴う腫瘍、あるいは気管前、気管傍、または喉頭前/デルフィのリンパ節に限局する転移を伴う4cm未満のすべての原発腫瘍。

IV期の甲状腺髄様がん

IV期の甲状腺髄様がんは以下の通り分類される:


通常、髄様がんは硬度の高い腫瘍であり、血管侵襲を伴うことが多い。これには孤発性および家族性の2種類がある。通常、孤発性の腫瘍は片側性である。家族性ではほとんどが両側性である。また、家族性の場合、一般に多発性内分泌腫瘍症(MEN2AまたはMEN2B)と呼ばれる甲状腺以外の内分泌器官の良性腫瘍または悪性腫瘍と関連している。

これらの症候群には、副腎褐色細胞腫および副甲状腺過形成との関係がみられる。通常、髄様がんはホルモン性腫瘍マーカーであるカルシトニンを分泌し、臨床的には潜在がんである場合であっても血液から検出できる。約50%に所属リンパ節への転移を認める。予後は疾患の程度、所属リンパ節転移の有無および外科的切除の完全性によって決まる。 [4]

家族性髄様がんの発がんリスクがある家族を同定するために、家族のカルシトニン上昇の有無についてスクリーニングを実施する必要がある。MEN2A保因者については、RET遺伝子の突然変異を分析することによってさらに精確な測定が可能である。カルシトニンの上昇が小さければ髄様がんの偽陽性診断の原因になることがあるのに対して、RET突然変異を分析するDNA検査はMEN2Aの評価に最適な方法である。髄様がん患者すべて(家族性、孤発性を問わず)にRET突然変異のテストを実施するべきであり、その結果が陽性であれば家族にもテストを実施する必要がある。保因者である家族は、早期に予防的甲状腺切除術を受ける必要がある。 [5] [6] [7]


未分化甲状腺がん

甲状腺未分化がんには、一般に認められている病期分類システムはない。全罹患者がIV期甲状腺がんに属すると考えられている。

未分化がんはきわめて悪性度の高い甲状腺がんである。これは小細胞がんまたは大細胞がんに分類される。いずれも急速に増殖し、甲状腺外の組織に進展する。小細胞がんも大細胞がんも硬度が高く、境界不明瞭な腫瘍であり、しばしば甲状腺の周辺組織への進展を伴う。甲状腺小細胞性未分化がんとリンパ腫とは注意して区別する必要がある。通常、甲状腺小細胞性未分化がんは年配者にみられ、広範な局所浸潤および急速な進行を特徴とする。この腫瘍の5年生存率は低い。通常、死因は頸部の制御不能のがんであり、診断後数ヵ月以内に死亡する。 [8]


参考文献

  1. Thyroid. In: American Joint Committee on Cancer.: AJCC Cancer Staging Manual. 6th ed. New York, NY: Springer, 2002, pp 77-87.[PUBMED Abstract]

  2. Haigh PI, Urbach DR: The treatment and prognosis of Hürthle cell follicular thyroid carcinoma compared with its non-Hürthle cell counterpart. Surgery 138 (6): 1152-7; discussion 1157-8, 2005.[PUBMED Abstract]

  3. Colson YL, Carty SE: Medullary thyroid carcinoma. Am J Otolaryngol 14 (2): 73-81, 1993 Mar-Apr.[PUBMED Abstract]

  4. Carling T, Udelsman R: Thyroid tumors. In: DeVita VT Jr, Hellman S, Rosenberg SA, eds.: Cancer: Principles and Practice of Oncology. 7th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2005, pp 1502-19.[PUBMED Abstract]

  5. Lips CJ, Landsvater RM, Höppener JW, et al.: Clinical screening as compared with DNA analysis in families with multiple endocrine neoplasia type 2A. N Engl J Med 331 (13): 828-35, 1994.[PUBMED Abstract]

  6. Decker RA, Peacock ML, Borst MJ, et al.: Progress in genetic screening of multiple endocrine neoplasia type 2A: is calcitonin testing obsolete? Surgery 118 (2): 257-63; discussion 263-4, 1995.[PUBMED Abstract]

  7. Skinner MA, Moley JA, Dilley WG, et al.: Prophylactic thyroidectomy in multiple endocrine neoplasia type 2A. N Engl J Med 353 (11): 1105-13, 2005.[PUBMED Abstract]

  8. Neff RL, Farrar WB, Kloos RT, et al.: Anaplastic thyroid cancer. Endocrinol Metab Clin North Am 37 (2): 525-38, xi, 2008.[PUBMED Abstract]


I期とII期の甲状腺乳頭がんおよび濾胞がん

すべての原発巣に最適な治療法は外科的手術である。手術には甲状腺全摘出および葉切除がある。どちらの方法を選択するかは、主として年齢および結節の大きさによる。術後の生存率はほぼ同じであるが、外科的合併症および局所再発の発生率に差がみられる。 [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7]

標準治療の選択肢:


  1. 甲状腺全摘出:この方法は、両葉の多中心性病巣の発生率が高いこと、および残存腫瘍が未分化細胞へ脱分化する可能性があることから、支持されている。甲状腺全摘出は上皮小体機能低下症の発生率と関連しているが、対側にわずかな組織を残せばこの合併症を減少しうる。この方法によって、追跡時の甲状腺スキャンが容易になる。

    I131:治療的(除去可能な)用量の I131 を用いる術後治療によって、乳頭がんおよび濾胞がんの高リスク患者における再発率が低下することが諸研究によって示されている。 [4] これは外因性甲状腺ホルモン製剤と併用して投与されるが、ルーチンではない。 [8] 微小乳頭がん(10mm未満)は外科手術できわめて良好な予後が得られ、 I131による治療を追加してもそれ以上の予後の改善は期待できない。 [9]

  2. 葉切除:合併症の発生率は低いが、切除後、約5〜10%に甲状腺での再発を認める。 [10] 45歳未満の患者は追跡期間が長いので再発の可能性も大きくなる。濾胞がんは肺および骨に転移することが多く、甲状腺葉の残存により、除去療法としての I131の使用効果が低下する。異常な所属リンパ節については手術の時に生検を実施する必要がある。リンパ節転移が確認されれば最初の手術で除去しなければならないが、選択的切除が可能であり、根治的頸部郭清は通常必要はない。これによって再発率は低下するが、生存率の向上はみられていない。

    外科的手技に引き続き、患者は甲状腺刺激ホルモン(TSH)の抑制に十分な量の甲状腺ホルモン製剤を用いる術後治療を受けるべきである;TSHが抑制された際の再発率の低下を示した研究が多い。


    I131:治療的(除去可能な)用量の I131 を用いる術後治療によって、乳頭がんおよび濾胞がんの高リスク患者における再発率が低下することが諸研究によって示されている。 [4] これは外因性甲状腺ホルモン製剤と併用して投与されるが、ルーチンではない。 [8] 微小乳頭がん(10mm未満)は外科手術できわめて良好な予後が得られ、 I131による治療を追加してもそれ以上の予後の改善は期待できない。 [9]


最新の臨床試験

I期の甲状腺乳頭がんI期の甲状腺濾胞がんII期の甲状腺乳頭がんおよび II期の甲状腺濾胞がん患者を現在受け入れているNCI's PDQ Cancer Clinical Trials Registryの米国内の臨床試験を参照のこと(尚、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の規準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCI ウェブサイトからも入手することができる。


参考文献

  1. Carling T, Udelsman R: Thyroid tumors. In: DeVita VT Jr, Hellman S, Rosenberg SA, eds.: Cancer: Principles and Practice of Oncology. 7th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2005, pp 1502-19.[PUBMED Abstract]

  2. Grant CS, Hay ID, Gough IR, et al.: Local recurrence in papillary thyroid carcinoma: is extent of surgical resection important? Surgery 104 (6): 954-62, 1988.[PUBMED Abstract]

  3. Cady B, Rossi R: An expanded view of risk-group definition in differentiated thyroid carcinoma. Surgery 104 (6): 947-53, 1988.[PUBMED Abstract]

  4. Mazzaferri EL, Jhiang SM: Long-term impact of initial surgical and medical therapy on papillary and follicular thyroid cancer. Am J Med 97 (5): 418-28, 1994.[PUBMED Abstract]

  5. Staunton MD: Thyroid cancer: a multivariate analysis on influence of treatment on long-term survival. Eur J Surg Oncol 20 (6): 613-21, 1994.[PUBMED Abstract]

  6. Tollefsen HR, Shah JP, Huvos AG: Follicular carcinoma of the thyroid. Am J Surg 126 (4): 523-8, 1973.[PUBMED Abstract]

  7. Edis AJ: Surgical treatment for thyroid cancer. Surg Clin North Am 57 (3): 533-42, 1977.[PUBMED Abstract]

  8. Beierwaltes WH, Rabbani R, Dmuchowski C, et al.: An analysis of "ablation of thyroid remnants" with I-131 in 511 patients from 1947-1984: experience at University of Michigan. J Nucl Med 25 (12): 1287-93, 1984.[PUBMED Abstract]

  9. Hay ID, Grant CS, van Heerden JA, et al.: Papillary thyroid microcarcinoma: a study of 535 cases observed in a 50-year period. Surgery 112 (6): 1139-46; discussion 1146-7, 1992.[PUBMED Abstract]

  10. Hay ID, Grant CS, Bergstralh EJ, et al.: Unilateral total lobectomy: is it sufficient surgical treatment for patients with AMES low-risk papillary thyroid carcinoma? Surgery 124 (6): 958-64; discussion 964-6, 1998.[PUBMED Abstract]


III期の甲状腺乳頭がんおよび濾胞がん

標準治療の選択肢:


  1. 甲状腺全摘出および転移リンパ節または甲状腺外に及ぶ腫瘍部位の切除。
  2. 腫瘍が I131の取り込みを示す場合、甲状腺全摘出後にI131による治療を実施する。 [1]
  3. I131の取り込みがわずかである場合、外部照射療法を実施する。 [2]

最新の臨床試験

III期の甲状腺乳頭がんおよびIII期の甲状腺濾胞がん患者を現在受け入れているNCI's PDQ Cancer Clinical Trials Registryの米国内の臨床試験を参照のこと(尚、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の規準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCI ウェブサイトからも入手することができる。


参考文献

  1. Beierwaltes WH, Rabbani R, Dmuchowski C, et al.: An analysis of "ablation of thyroid remnants" with I-131 in 511 patients from 1947-1984: experience at University of Michigan. J Nucl Med 25 (12): 1287-93, 1984.[PUBMED Abstract]

  2. Simpson WJ, Carruthers JS: The role of external radiation in the management of papillary and follicular thyroid cancer. Am J Surg 136 (4): 457-60, 1978.[PUBMED Abstract]


IV期の甲状腺乳頭がんおよび濾胞がん

最もよくみられる転移部位はリンパ節、肺および骨である。リンパ節転移を治療するだけでしばしば効果が得られる。通常、遠隔転移部位の治療は根治的ではないが、かなりの緩和が得られよう。

標準治療の選択肢:


  1. I131:このアイソトープの取り込みを示す転移部位は、治療量の I131を用いて破壊しうる。
  2. I131が奏効しない限局病巣には外部照射療法を実施する。 [1]
  3. 腫瘍がI131を全く取り込まない場合には、限局する転移、特に症候性の転移の切除を検討すべきである。
  4. I131に感受性のない多くの病巣にも、チロキシンによる甲状腺刺激ホルモンの抑制は有効である。

I131に反応しない患者は、この疾患に対する新しいアプローチをテストする臨床試験の候補として検討されるべきである。

臨床評価段階にある治療選択肢:



最新の臨床試験

IV期の甲状腺乳頭がんおよびIV期の甲状腺濾胞がん患者を現在受け入れているNCI's PDQ Cancer Clinical Trials Registryの米国内の臨床試験を参照のこと(尚、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の規準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCI ウェブサイトからも入手することができる。


参考文献

  1. Simpson WJ, Carruthers JS: The role of external radiation in the management of papillary and follicular thyroid cancer. Am J Surg 136 (4): 457-60, 1978.[PUBMED Abstract]

  2. Gottlieb JA, Hill CS Jr, Ibanez ML, et al.: Chemotherapy of thyroid cancer. An evaluation of experience with 37 patients. Cancer 30 (3): 848-53, 1972.[PUBMED Abstract]

  3. Harada T, Nishikawa Y, Suzuki T, et al.: Bleomycin treatment for cancer of the thyroid. Am J Surg 122 (1): 53-7, 1971.[PUBMED Abstract]

  4. Shimaoka K, Schoenfeld DA, DeWys WD, et al.: A randomized trial of doxorubicin versus doxorubicin plus cisplatin in patients with advanced thyroid carcinoma. Cancer 56 (9): 2155-60, 1985.[PUBMED Abstract]

  5. Sherman SI, Wirth LJ, Droz JP, et al.: Motesanib diphosphate in progressive differentiated thyroid cancer. N Engl J Med 359 (1): 31-42, 2008.[PUBMED Abstract]


甲状腺髄様がん

甲状腺髄様がん(MTC)は全甲状腺がんの3〜4%を占める。通常、頸部または甲状腺に存在する腫瘍であり、しばしばリンパ節腫大に関連しており、 [1] また、家族のスクリーニングを通じて診断されることがある。また、細針吸引生検による診断も可能である。細胞診断によれば、概して紡錘型細胞であり癒着性の低い細胞に富む腫瘍であることがわかる。 [2]

MTCの全生存率は、5年で86%であり10年では65%である。予後を不良にする因子には、高齢、進行した病期、頸部手術歴および関連する多発内分泌腫瘍(MEN)2Bがある。 [2] [3] [4]

報告されているMTCの約25%が家族性である。家族性MTC症候群には、最も多くみられるMEN2A;MEN 2B;および家族性非MEN症候群がある。(詳しい情報については、 甲状腺髄様がんの遺伝学 に関するPDQ要約を参照のこと。)どの家族性変異体に対しても、特に上皮小体過形成および褐色細胞腫など甲状腺以外の内分泌腫瘍についてスクリーニングを実施する必要がある。MTCはカルシトニンをはじめとするペプチドを分泌することがある。診断および治療成績の追跡には、カルシトニン値の測定が有用である。

家族性MTCの発がんリスクがある家族の存在を発見するために、家族のカルシトニン上昇の有無および/またはRETがん原遺伝子突然変異についてスクリーニングを実施する必要がある。MTC患者すべて(家族性、孤発性を問わず)にRET突然変異を調べるべきであり、その結果が陽性であれば家族も調べる必要がある。カルシトニンの上昇が小さければ髄様がんの偽陽性診断を導くことがあるが、RET突然変異を分析するDNA検査は最適な方法である。保因者である家族は、早期に予防的甲状腺切除術を受ける必要がある。 [5] [6]

治療法の選択肢:


  1. 甲状腺摘出:遠隔転移を示す証拠がないかぎり、髄様がんの治療には甲状腺全摘出を実施する。臨床的に触知可能である場合、リンパ節への微小転移の確率は75%を超える;ルーチンの中央および両側の頸部郭清術変法が推奨されている。 [7] 甲状腺に限局するものであれば、予後は良好である。
  2. 外照射療法:外照射療法が局所再発の症状緩和に用いられているが、生存率の向上に有利に働くことを示す証拠は存在しない。 [8] 放射線ヨードの使用はMTCの治療に含まれない。
  3. 症状緩和のための化学療法:転移性疾患には症状緩和のための化学療法が時に反応することが報告されている。 [9] [10] [11] [12] いかなる薬物レジメンも標準治療法とはみなされない。遠隔転移を認める患者のなかには長期生存を経験し、症状を示すようになるまで期待をもって管理できる者もいる。

最新の臨床試験

甲状腺髄様がん患者を現在受け入れているNCI's PDQ Cancer Clinical Trials Registryの米国内の臨床試験を参照のこと(尚、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の規準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCI ウェブサイトからも入手することができる。


参考文献

  1. Soh EY, Clark OH: Surgical considerations and approach to thyroid cancer. Endocrinol Metab Clin North Am 25 (1): 115-39, 1996.[PUBMED Abstract]

  2. Giuffrida D, Gharib H: Current diagnosis and management of medullary thyroid carcinoma. Ann Oncol 9 (7): 695-701, 1998.[PUBMED Abstract]

  3. Saad MF, Ordonez NG, Rashid RK, et al.: Medullary carcinoma of the thyroid. A study of the clinical features and prognostic factors in 161 patients. Medicine (Baltimore) 63 (6): 319-42, 1984.[PUBMED Abstract]

  4. Bergholm U, Bergström R, Ekbom A: Long-term follow-up of patients with medullary carcinoma of the thyroid. Cancer 79 (1): 132-8, 1997.[PUBMED Abstract]

  5. Lips CJ, Landsvater RM, Höppener JW, et al.: Clinical screening as compared with DNA analysis in families with multiple endocrine neoplasia type 2A. N Engl J Med 331 (13): 828-35, 1994.[PUBMED Abstract]

  6. Decker RA, Peacock ML, Borst MJ, et al.: Progress in genetic screening of multiple endocrine neoplasia type 2A: is calcitonin testing obsolete? Surgery 118 (2): 257-63; discussion 263-4, 1995.[PUBMED Abstract]

  7. Moley JF, DeBenedetti MK: Patterns of nodal metastases in palpable medullary thyroid carcinoma: recommendations for extent of node dissection. Ann Surg 229 (6): 880-7; discussion 887-8, 1999.[PUBMED Abstract]

  8. Brierley JD, Tsang RW: External radiation therapy in the treatment of thyroid malignancy. Endocrinol Metab Clin North Am 25 (1): 141-57, 1996.[PUBMED Abstract]

  9. Shimaoka K, Schoenfeld DA, DeWys WD, et al.: A randomized trial of doxorubicin versus doxorubicin plus cisplatin in patients with advanced thyroid carcinoma. Cancer 56 (9): 2155-60, 1985.[PUBMED Abstract]

  10. De Besi P, Busnardo B, Toso S, et al.: Combined chemotherapy with bleomycin, adriamycin, and platinum in advanced thyroid cancer. J Endocrinol Invest 14 (6): 475-80, 1991.[PUBMED Abstract]

  11. Wu LT, Averbuch SD, Ball DW, et al.: Treatment of advanced medullary thyroid carcinoma with a combination of cyclophosphamide, vincristine, and dacarbazine. Cancer 73 (2): 432-6, 1994.[PUBMED Abstract]

  12. Orlandi F, Caraci P, Berruti A, et al.: Chemotherapy with dacarbazine and 5-fluorouracil in advanced medullary thyroid cancer. Ann Oncol 5 (8): 763-5, 1994.[PUBMED Abstract]


未分化甲状腺がん

標準治療の選択肢:


  1. 外科手術:気管切開を必要とすることが多い。ごくまれであるが疾患が局所に限局している場合、甲状腺全摘出によって腫瘍が惹き起こす症状を確実に軽減できる。 [1] [2]
  2. 放射線療法:外科手術の対象とならない患者または腫瘍が外科手術によって切除できない患者には、外照射療法を使用しうる。
  3. 化学療法:未分化甲状腺がんは I131による治療に反応しない;個々の抗がん剤を用いる治療によって部分寛解をみる患者がいることが報告されている。約30%がドキソルビシンによる部分寛解を得ている。 [3] ドキソルビシンおよびシスプラチンを併用すると、ドキソルビシン単独よりも効果が大きいと思われ、多くの完全反応が報告されている。 [4]

臨床評価段階にある治療選択肢:



最新の臨床試験

未分化甲状腺がん患者を現在受け入れているNCI's PDQ Cancer Clinical Trials Registryの米国内の臨床試験を参照のこと(尚、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の規準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCI ウェブサイトからも入手することができる。


参考文献

  1. Goldman JM, Goren EN, Cohen MH, et al.: Anaplastic thyroid carcinoma: long-term survival after radical surgery. J Surg Oncol 14 (4): 389-94, 1980.[PUBMED Abstract]

  2. Aldinger KA, Samaan NA, Ibanez M, et al.: Anaplastic carcinoma of the thyroid: a review of 84 cases of spindle and giant cell carcinoma of the thyroid. Cancer 41 (6): 2267-75, 1978.[PUBMED Abstract]

  3. Carling T, Udelsman R: Thyroid tumors. In: DeVita VT Jr, Hellman S, Rosenberg SA, eds.: Cancer: Principles and Practice of Oncology. 7th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2005, pp 1502-19.[PUBMED Abstract]

  4. Shimaoka K, Schoenfeld DA, DeWys WD, et al.: A randomized trial of doxorubicin versus doxorubicin plus cisplatin in patients with advanced thyroid carcinoma. Cancer 56 (9): 2155-60, 1985.[PUBMED Abstract]

  5. Haigh PI, Ituarte PH, Wu HS, et al.: Completely resected anaplastic thyroid carcinoma combined with adjuvant chemotherapy and irradiation is associated with prolonged survival. Cancer 91 (12): 2335-42, 2001.[PUBMED Abstract]

  6. De Crevoisier R, Baudin E, Bachelot A, et al.: Combined treatment of anaplastic thyroid carcinoma with surgery, chemotherapy, and hyperfractionated accelerated external radiotherapy. Int J Radiat Oncol Biol Phys 60 (4): 1137-43, 2004.[PUBMED Abstract]


再発甲状腺がん

分化がんの治療を受けた患者は、個々の再発のリスクに基づいて身体診察、血清中のサイログロブリン値および放射線学的検査によって、慎重に観察する必要がある。 [1] 初回治療の後、無病と思われた患者の約10〜30%に再発および/または転移が認められよう。これらの患者の約80%は頸部だけに再発するもので、20%は遠隔転移である。遠隔転移の最頻発部位は肺である。初回手術後に再発した289人のシリーズでは、16%が再発後5年の中央値でがん死亡している。 [2]

一般に、再発が臨床的に検知可能である場合の予後は細胞型に関係なく不良である。 [3] しかし、 I131スキャンでしか検知することができない局所又は領域の再発の患者の予後は良好である。 [4] 次に選択する治療法は細胞型、I131の取り込み、治療歴、再発部位、各患者の意向など、多数の因子によって決定する。外科手術は、I131使用の有無にかかわらず、局所再発、所属リンパ節転移、時にはそれ以外の局部への転移をコントロールするのに有用となることがある。 [5] 再発腫瘍の手術を受けた約50%には、2度目の手術によって無病状態が得られる。 [3] I131スキャンで検知され、臨床的には検知されない局所再発にはI131による治療が可能であり、きわめて良好な予後が得られる。 [6]

高分化甲状腺がんから再発および転移した腫瘍のうち、I131の取り込みを示さないものは25%にのぼる。このような患者には、タリウム-201、磁気共鳴画像、5価ジメルカプトコハク酸などを用いる画像技術が有効であることがわかっている。 [7] 再発腫瘍が I131を集積しない場合、局所再発に関係する症状のコントロールには外照射または術中照射が有用となることがある。 [8] 治療法に全身的化学療法が考慮される。化学療法によって、時に通常は短期間であるが客観的反応を得られると報告されている。 [4] [9]

1件の第II相試験では、進行性のヨード治療抵抗性甲状腺がんを有する患者30人を対象として、ソラフェニブ(腫瘍の増殖および血管新生に影響を与える、経口活性のあるマルチチロシンキナーゼ阻害剤)の活性が調べられた。 [10] 評価可能であった患者25人の内、部分奏効は7人、疾患が安定した患者は16人であった。甲状腺分化がん患者の無増悪生存期間は、84週間であった。 [10] [証拠レベル:3iiDiii]このアプローチのさらなる調査が必要である。


最新の臨床試験

再発甲状腺がん患者を現在受け入れているNCI's PDQ Cancer Clinical Trials Registryの米国内の臨床試験を参照のこと(尚、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の規準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCI ウェブサイトからも入手することができる。


参考文献

  1. Ross DS: Long-term management of differentiated thyroid cancer. Endocrinol Metab Clin North Am 19 (3): 719-39, 1990.[PUBMED Abstract]

  2. Mazzaferri EL, Jhiang SM: Long-term impact of initial surgical and medical therapy on papillary and follicular thyroid cancer. Am J Med 97 (5): 418-28, 1994.[PUBMED Abstract]

  3. Goretzki PE, Simon D, Frilling A, et al.: Surgical reintervention for differentiated thyroid cancer. Br J Surg 80 (8): 1009-12, 1993.[PUBMED Abstract]

  4. De Besi P, Busnardo B, Toso S, et al.: Combined chemotherapy with bleomycin, adriamycin, and platinum in advanced thyroid cancer. J Endocrinol Invest 14 (6): 475-80, 1991.[PUBMED Abstract]

  5. Pak H, Gourgiotis L, Chang WI, et al.: Role of metastasectomy in the management of thyroid carcinoma: the NIH experience. J Surg Oncol 82 (1): 10-8, 2003.[PUBMED Abstract]

  6. Coburn M, Teates D, Wanebo HJ: Recurrent thyroid cancer. Role of surgery versus radioactive iodine (I131) Ann Surg 219 (6): 587-93; discussion 593-5, 1994.[PUBMED Abstract]

  7. Mallin WH, Elgazzar AH, Maxon HR 3rd: Imaging modalities in the follow-up of non-iodine avid thyroid carcinoma. Am J Otolaryngol 15 (6): 417-22, 1994 Nov-Dec.[PUBMED Abstract]

  8. Vikram B, Strong EW, Shah JP, et al.: Intraoperative radiotherapy in patients with recurrent head and neck cancer. Am J Surg 150 (4): 485-7, 1985.[PUBMED Abstract]

  9. Shimaoka K, Schoenfeld DA, DeWys WD, et al.: A randomized trial of doxorubicin versus doxorubicin plus cisplatin in patients with advanced thyroid carcinoma. Cancer 56 (9): 2155-60, 1985.[PUBMED Abstract]

  10. Gupta-Abramson V, Troxel AB, Nellore A, et al.: Phase II trial of sorafenib in advanced thyroid cancer. J Clin Oncol 26 (29): 4714-9, 2008.[PUBMED Abstract]


Get More Information From NCI

Call 1-800-4-CANCER

For more information, U.S. residents may call the National Cancer Institute's (NCI's) Cancer Information Service toll-free at 1-800-4-CANCER (1-800-422-6237) Monday through Friday from 9:00 a.m. to 4:30 p.m.A trained Cancer Information Specialist is available to answer your questions.

Chat online

The NCI's LiveHelp® online chat service provides Internet users with the ability to chat online with an Information Specialist.The service is available from 9:00 a.m. to 11:00 p.m. Eastern time, Monday through Friday.Information Specialists can help Internet users find information on NCI Web sites and answer questions about cancer.

Write to us

For more information from the NCI, please write to this address:


Search the NCI Web site

The NCI Web site provides online access to information on cancer, clinical trials, and other Web sites and organizations that offer support and resources for cancer patients and their families.For a quick search, use the search box in the upper right corner of each Web page.The results for a wide range of search terms will include a list of "Best Bets," editorially chosen Web pages that are most closely related to the search term entered.

There are also many other places to get materials and information about cancer treatment and services.Hospitals in your area may have information about local and regional agencies that have information on finances, getting to and from treatment, receiving care at home, and dealing with problems related to cancer treatment.

Find Publications

The NCI has booklets and other materials for patients, health professionals, and the public.These publications discuss types of cancer, methods of cancer treatment, coping with cancer, and clinical trials.Some publications provide information on tests for cancer, cancer causes and prevention, cancer statistics, and NCI research activities.NCI materials on these and other topics may be ordered online or printed directly from the NCI Publications Locator.These materials can also be ordered by telephone from the Cancer Information Service toll-free at 1-800-4-CANCER (1-800-422-6237).


本要約の変更点(09/23/2009)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

一般情報

新規症例数及び死亡数の推定値に関する統計を2009度分に更新した(引用、参考文献1としてAmerican Cancer Society)。

細胞分類

参考文献3としてMills et al.を追加。

IV期の甲状腺乳頭がんおよび濾胞がん

本文に以下の記述が追加された;経口の血管内皮成長因子(VEGF)受容体阻害薬は臨床評価段階にある(引用、参考文献5としてSherman et al.および証拠レベル:2Dii)。

再発甲状腺がん

本文に進行性甲状腺がんにおけるソラフェニブの第II相試験に関する記述が追加された(引用、参考文献10としてGupta-Abramson et al.および証拠レベル:3iiDiii)。