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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

成人軟部肉腫の治療(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2018-08-09
    翻訳更新日 : 2018-10-18


医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、成人軟部肉腫の治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。


本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Adult Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

成人軟部肉腫に関する一般情報

発生率および死亡率

米国において、2018年に推定される軟部肉腫の新規症例数および死亡数: [1]


  • 新規症例数:13,040。

  • 死亡数:5,150。

軟部肉腫は、四肢(50%)、躯幹および後腹膜(40%)、または頭頸部(10%)の中胚葉性組織に発生する悪性腫瘍である。報告されている国際的発生率は、10万人当たり年間1.8~5例である。 [2]

危険因子および遺伝的要因

散発性軟部肉腫のリスクは以前の放射線療法および、リンパ管肉腫の症例においては慢性リンパ浮腫によって増加する。トロトラスト(二酸化トリウム)、塩化ビニル、ヒ素などの化学物質は、肝血管肉腫の発がん物質として確立されている。 [3] [4] [5] HIVおよびヒトヘルペスウイルス8型は、カポジ肉腫の発生機序に関与している。

以下の遺伝性症候群を有する患者では軟部肉腫が発生する頻度が高い: [3] [4] [5]


  • ガードナー症候群(APC変異)。

  • リー-フラウメニ症候群(TP53変異)。

  • 母斑基底細胞がん症候群(ゴーリン症候群:PTC遺伝子変異)。

  • 結節性硬化症(ブルヌヴィーユ病:TSC1またはTSC2変異)。

  • フォンレックリングハウゼン病(神経線維腫症1型:NF1変異)。

  • ウェルナー症候群(成人早老症:WRN変異)。

診断

軟部肉腫は不均一で、2013年の世界保健機関の分類では100以上の異なる疾患実体が記述されている。 [6] 顕微鏡検査のためにコア針生検または切開生検のいずれかによって十分な組織を得て、肉腫診断の経験を積んだ病理医による注意深いレビューを行うべきである。後で行う治癒的切除を損なわないために、初回生検を慎重に計画することが重要である。軟部肉腫患者に対する至適な治療を決定するためには、がん専門家の集学的チームによる完全な病期分類および治療計画が必要とされる。

良好な臨床転帰の少なくとも一部は肉腫専門の治療施設への紹介と関連していることを示す証拠がある。スウェーデンの軟部肉腫患者375人を対象にした1件の集団ベースの連続シリーズでは、専門の治療施設に紹介されなかった患者で切除腫瘍の局所再発率が高かった:紹介されなかった患者78人中35人(45%);初回手術または切開生検後に紹介された患者102人中24人(24%);何らかの外科的手技の前に紹介された患者195人中36人(18%)(紹介されなかった患者と何らかの外科的手技の前に紹介された患者との差についてP = 0.0001)。 [7] [証拠レベル:3iDii]しかしながら、これらの患者集団間で肉腫による死亡における統計的有意差は認められなかった。

3年間の期間内に軟部肉腫を診断された患者260人を対象にした英国の研究において、患者の37%がほとんどの治療を専門家施設で受けており、残りの63%の患者は38の異なる病院で治療された。地域の一般病院で治療された患者の腫瘍の方が小さく低悪性度であったにもかかわらず、地域の病院で治療された患者に対する局所再発率が39%であったのに対して、専門家施設で治療された患者では19%であった。生存に影響した最も重要な因子は、腫瘍の悪性度(高悪性度 vs 低悪性度)および腫瘍の深さであった。専門家施設で治療された患者には多変量解析後に、わずかな生存の優位性が認められた。 [8]

予後因子

成人軟部肉腫患者の予後は、以下を含むいくつかの因子に依存する: [3] [4] [5] [9] [10] [11] [12] [13]


  • 患者の年齢。

  • 腫瘍の大きさ、診断時の病理学的病期、および組織学的悪性度(分化度[組織型別]、細胞分裂の割合、および壊死の程度を組み込む)。

予後不良に関連する因子には以下のものがある: [14]


  • 60歳を超える年齢。

  • 最大径が5cmを超える腫瘍。

  • 組織学的に高悪性度を示していること。

  • 切除後の断端陽性。 [15]

低悪性度腫瘍を有する患者は手術単独で治癒できる頻度が高いが、より高悪性度の肉腫は局所療法に失敗する割合が高く、転移する可能性も高い。

後腹膜および四肢の軟部肉腫に特異的な変数を組み込んだ予後のノモグラムが開発されている。

再燃に対するサーベイランス

1件のレトロスペクティブ・レビューでは、2003年から2009年に単一施設で腫瘍医による経過観察を受けた四肢軟部肉腫の連続した患者174人が対象にされた。 [16] 再発の割合と部位、発見の状況が分析された。82人の患者(47%)が再燃を来した。26人の患者が孤立性の局所再発を来し、5人の患者が同時性肺転移を伴う局所再燃を来した。31人中30人の患者では、臨床的に局所再発が発見された;磁気共鳴画像法によって局所再発が発見されたのは1人だけであった。28人の患者が孤立性の肺転移を発症した;9人の患者では肺転移が切除可能で、このうち7人は治療後に無病状態であった。肺転移は、19人の患者で胸部X線、3人の患者でコンピュータ断層撮影(CT)スキャン、および11人の患者で臨床的に発見された。23人の患者では肺以外の転移を来した。80%を超える再燃が経過観察の最初の2年以内にみられた;しかしながら、より晩期の再発も観察された。 [16] [証拠レベル:3iiDi]この研究では、肺転移の発見には画像法によるサーベイランスを支持している一方で、原発部位の局所再発は通常、臨床検査で発見された。転移のピックアップが全生存またはQOLのデータに及ぼす影響は不明である。

肉腫再発が臨床的に疑われる状況では、ポジトロン放射断層撮影およびCT画像法の方が造影CT画像法よりも感度が高い可能性がある。滑膜肉腫や胞巣状軟部肉腫など、一部の組織型では、(診断から5年以上経過後の)晩期再発がみられる。 [17]

関連する要約

軟部肉腫に関する情報を含む他のPDQ要約には以下のものがある:



参考文献
  1. American Cancer Society: Cancer Facts and Figures 2018. Atlanta, Ga: American Cancer Society, 2018. Available online. Last accessed August 3, 2018.[PUBMED Abstract]

  2. Wibmer C, Leithner A, Zielonke N, et al.: Increasing incidence rates of soft tissue sarcomas? A population-based epidemiologic study and literature review. Ann Oncol 21 (5): 1106-11, 2010.[PUBMED Abstract]

  3. Singer S, Nielsen T, Antonescu CR: Molecular biology of soft tissue sarcoma. In: DeVita VT Jr, Lawrence TS, Rosenberg SA: Cancer: Principles and Practice of Oncology. 9th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2011, pp 1522-32.[PUBMED Abstract]

  4. Singer S, Maki RG, O'Sullivan B: Soft tissue sarcoma. In: DeVita VT Jr, Lawrence TS, Rosenberg SA: Cancer: Principles and Practice of Oncology. 9th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2011, pp 1533-77.[PUBMED Abstract]

  5. Malawer MM, Helman LJ, O'Sullivan B: Sarcomas of bone. In: DeVita VT Jr, Lawrence TS, Rosenberg SA: Cancer: Principles and Practice of Oncology. 9th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2011, pp 1578-1609.[PUBMED Abstract]

  6. Fletcher CDM, Bridge JA, Hogendoorn JA, et al., eds.: WHO/IARC Classification of Tumours of Soft Tissue and Bone. Pathology and Genetics. 4th ed. Lyon, France: IARC Press, 2013, pp 218–220.[PUBMED Abstract]

  7. Gustafson P, Dreinhöfer KE, Rydholm A: Soft tissue sarcoma should be treated at a tumor center. A comparison of quality of surgery in 375 patients. Acta Orthop Scand 65 (1): 47-50, 1994.[PUBMED Abstract]

  8. Bhangu AA, Beard JA, Grimer RJ: Should Soft Tissue Sarcomas be Treated at a Specialist Centre? Sarcoma 8 (1): 1-6, 2004.[PUBMED Abstract]

  9. Coindre JM, Terrier P, Guillou L, et al.: Predictive value of grade for metastasis development in the main histologic types of adult soft tissue sarcomas: a study of 1240 patients from the French Federation of Cancer Centers Sarcoma Group. Cancer 91 (10): 1914-26, 2001.[PUBMED Abstract]

  10. Kasper B, Ouali M, van Glabbeke M, et al.: Prognostic factors in adolescents and young adults (AYA) with high risk soft tissue sarcoma (STS) treated by adjuvant chemotherapy: a study based on pooled European Organisation for Research and Treatment of Cancer (EORTC) clinical trials 62771 and 62931. Eur J Cancer 49 (2): 449-56, 2013.[PUBMED Abstract]

  11. Zagars GK, Ballo MT, Pisters PW, et al.: Prognostic factors for patients with localized soft-tissue sarcoma treated with conservation surgery and radiation therapy: an analysis of 1225 patients. Cancer 97 (10): 2530-43, 2003.[PUBMED Abstract]

  12. Ramanathan RC, A'Hern R, Fisher C, et al.: Modified staging system for extremity soft tissue sarcomas. Ann Surg Oncol 6 (1): 57-69, 1999 Jan-Feb.[PUBMED Abstract]

  13. Pisters PW, Leung DH, Woodruff J, et al.: Analysis of prognostic factors in 1,041 patients with localized soft tissue sarcomas of the extremities. J Clin Oncol 14 (5): 1679-89, 1996.[PUBMED Abstract]

  14. Vraa S, Keller J, Nielsen OS, et al.: Prognostic factors in soft tissue sarcomas: the Aarhus experience. Eur J Cancer 34 (12): 1876-82, 1998.[PUBMED Abstract]

  15. Trovik LH, Ovrebo K, Almquist M, et al.: Adjuvant radiotherapy in retroperitoneal sarcomas. A Scandinavian Sarcoma Group study of 97 patients. Acta Oncol 53 (9): 1165-72, 2014.[PUBMED Abstract]

  16. Rothermundt C, Whelan JS, Dileo P, et al.: What is the role of routine follow-up for localised limb soft tissue sarcomas? A retrospective analysis of 174 patients. Br J Cancer 110 (10): 2420-6, 2014.[PUBMED Abstract]

  17. Krieg AH, Hefti F, Speth BM, et al.: Synovial sarcomas usually metastasize after >5 years: a multicenter retrospective analysis with minimum follow-up of 10 years for survivors. Ann Oncol 22 (2): 458-67, 2011.[PUBMED Abstract]

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成人軟部肉腫の細胞分類

軟部肉腫は、その起源と推定される組織に基づいて組織学的に分類される。電子顕微鏡所見、特殊な免疫組織化学、フローサイトメトリー、細胞遺伝学的検索、および組織培養による検索により、主要な組織学的カテゴリーの中で特定の亜型を同定することが可能になりうる。例えば、S100抗原は神経鞘起源を示唆し、サイトケラチンは類上皮または滑膜細胞起源を示唆し、第VIII因子関連抗原は内皮細胞起源を示唆する。同様に、一部の亜型の肉腫は特徴的な遺伝子マーカー-融合蛋白につながる染色体転座-を有するが、これらのマーカーはルーチンの臨床状況では一般的には用いられていない(例、滑膜肉腫における転座t(X;18)(p11;q11)や粘液型脂肪肉腫における転座t(12;16)(q13;p11))。 [1] [2] [3]

組織学的悪性度は、以下に掲げる古典的な細胞分類よりも正確にこれらの腫瘍の転移能を反映する。腫瘍の悪性度、および組織学的亜型に関してでさえ専門の病理医間でかなりの不一致がみられる。 [4]

世界保健機関では、軟部肉腫の分類において以下の細胞型を記載している: [5] [6]


  • 脂肪細胞腫瘍。
      異型脂肪腫様腫瘍。
      高分化型脂肪肉腫。
      脂肪肉腫、他に特定されない。
      脱分化型脂肪肉腫。
      粘液型/円形細胞脂肪肉腫。
      多形型脂肪肉腫。

  • 線維芽細胞性/筋線維芽細胞性腫瘍。
      隆起性皮膚線維肉腫。
      線維肉腫様隆起性皮膚線維肉腫。
      色素性隆起性皮膚線維肉腫。
      悪性孤在性線維性腫瘍。
      炎症性筋線維芽細胞性腫瘍。
      低悪性度筋線維芽細胞肉腫。
      成人型線維肉腫。
      粘液線維肉腫。
      低悪性線維粘液性肉腫。
      硬化性類上皮線維肉腫。

  • いわゆる線維組織球性腫瘍。
      軟部巨細胞腫。

  • 平滑筋腫瘍。
      平滑筋肉腫(皮膚を除く)。

  • 周皮細胞(血管周囲)腫瘍。
    • 悪性グロムス腫瘍。


  • 骨格筋腫瘍。
      胎児型横紋筋肉腫(ブドウ状型、退形成型を含む)。
      胞巣型横紋筋肉腫(固形型、退形成型を含む)。
      多形型横紋筋肉腫。
      紡錘細胞型/硬化型横紋筋肉腫。

  • 軟部血管性腫瘍。
      網様血管内皮腫。
      偽筋原性(類上皮肉腫様)血管内皮腫。
      類上皮血管内皮腫。
      軟部血管肉腫。

  • 骨・軟骨部腫瘍。
      骨外性骨肉腫。

  • 神経鞘腫瘍。
    • 悪性末梢神経鞘腫瘍。

    • 類上皮悪性末梢神経鞘腫瘍。

    • 悪性トリトン腫瘍。

    • 悪性顆粒細胞腫。



参考文献
  1. Singer S, Nielsen T, Antonescu CR: Molecular biology of soft tissue sarcoma. In: DeVita VT Jr, Lawrence TS, Rosenberg SA: Cancer: Principles and Practice of Oncology. 9th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2011, pp 1522-32.[PUBMED Abstract]

  2. Singer S, Maki RG, O'Sullivan B: Soft tissue sarcoma. In: DeVita VT Jr, Lawrence TS, Rosenberg SA: Cancer: Principles and Practice of Oncology. 9th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2011, pp 1533-77.[PUBMED Abstract]

  3. Malawer MM, Helman LJ, O'Sullivan B: Sarcomas of bone. In: DeVita VT Jr, Lawrence TS, Rosenberg SA: Cancer: Principles and Practice of Oncology. 9th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2011, pp 1578-1609.[PUBMED Abstract]

  4. Alvegård TA, Berg NO: Histopathology peer review of high-grade soft tissue sarcoma: the Scandinavian Sarcoma Group experience. J Clin Oncol 7 (12): 1845-51, 1989.[PUBMED Abstract]

  5. Raut CP, Maki RG, Baldini EH, et al.: Soft tissue sarcoma of the abdomen and thoracic visceral organs. In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp 517-21.[PUBMED Abstract]

  6. Fletcher CDM, Bridge JA, Hogendoorn JA, et al., eds.: WHO/IARC Classification of Tumours of Soft Tissue and Bone. Pathology and Genetics. 4th ed. Lyon, France: IARC Press, 2013, pp 218–220.[PUBMED Abstract]

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成人軟部肉腫の病期情報

病期分類は、軟部肉腫に対する最も効果的な治療を決定する上で重要な役割を果たす。臨床病期分類では、原発腫瘍領域の磁気共鳴画像法(MRI)および/またはコンピュータ断層撮影(CT)が行われるほか、肺(最も一般的な遠隔転移部位)への転移がないかを調べるために胸部CTスキャンが実施される。円形細胞脂肪肉腫および粘液型脂肪肉腫の場合は、肺以外に転移する傾向がみられるため、腹部および骨盤のCTスキャンを検討すべきである。中枢神経系への転移傾向が高い血管肉腫や胞巣状軟部肉腫などの亜型には、脳の画像検査も検討すべきである。

フルオロデオキシグルコース(FDG)-ポジトロン放射断層撮影(PET)(FDG-PET)は、最初に化学療法で治療された高悪性度四肢軟部肉腫患者の治療成績を予測する上で有用な場合がある。 [1]

四肢肉腫のコンパートメント内またはコンパートメント外への腫瘍進展範囲も手術方法を決定する上で重要である。完全な病期分類を行うためには、すべての生検標本(原発腫瘍、リンパ節、または他の疑いのある病変から得たものを含む)の徹底的な検討が必須である。胸部CTスキャンは、5cmを超える肉腫または中分化から低分化の肉腫に推奨される。リンパ節転移はまれで発生は肉腫患者の3%未満であるが、横紋筋肉腫、血管肉腫、滑膜肉腫、明細胞肉腫、類上皮肉腫など、特異的亜型によって頻度はさまざまである。 [2] [3] 病期は切除された腫瘍または治療前の生検に基づき、適切な画像検査とともに考慮される。 [4] [5] [6] [7] [8] すべての軟部肉腫について(腫瘍の分化に基づく)悪性度、細胞分裂数、腫瘍の壊死、および組織型を記録すべきである。(以下の表5を参照のこと。)2017 AJCC/Union for International Cancer Control(UICC)がん病期分類システムでは、3層のFrench Federation of Cancer Centers Sarcoma Group(FNCLCC)悪性度分類の使用を推奨している。

米国がん合同委員会(AJCC)の病期分類システムは、腫瘍の大きさ、リンパ節転移の状態、転移、および組織学的悪性度(TNMG)のほか、リンパ節または遠隔部位への転移がみられるかどうかの基準による病期判定を指定している。 [4] [5] [6] [7] [8] AJCCがん病期分類マニュアル第8版では、TNMG病期分類が肉腫の位置に応じて異なるT病期分類基準および予後グループを有することが示されている。一部の肉腫の特徴的な分子マーカーは、その予後への影響に関するさらなる評価が待たれており、病期分類システムには公式に組み込まれていない。再発肉腫は、腫瘍が再発性であることを明記して原発腫瘍に対するものと同じ分類方法で再病期分類される。

TNM病期分類システム

AJCCがん病期分類マニュアル第8版は、次の基準による病期判定を指定している:腫瘍の大きさ、リンパ節転移の状態、組織学的悪性度、転移、および原発腫瘍の解剖学的位置(頭頸部;躯幹および四肢;腹部および胸部の内臓;後腹膜;およびまれな組織型と部位)。 [4] [5] [6] [7] [8] まれな組織型と部位に関する情報については、AJCCがん病期分類マニュアルを参照のこと。 [8]

頭頸部の軟部肉腫は、頭頸部肉腫に対する病期分類を定義する前にデータを収集する必要がある新たな分類である。 [4] 病期分類に必要な予後因子がFNCLCCから得られており、悪性度の定義は以下の表5に示している。

AJCC病期分類、TNMの定義、およびFNCLCCの組織学的悪性度

表1.躯幹および四肢;後腹膜;頭頸部;腹部および胸部の内臓の軟部肉腫に対する原発腫瘍(T)の定義a

T分類 躯幹および四肢;および後腹膜の軟部肉腫 頭頸部の軟部肉腫 腹部および胸部の内臓の軟部肉腫
a出典:O'Sullivan et al. [4] 、Yoon et al. [5] 、Raut et al. [6] 、およびPollock et al. [7]
TX 原発腫瘍の評価が不可能。 原発腫瘍の評価が不可能。 原発腫瘍の評価が不可能。
T0 原発腫瘍を認めない。    
T1 腫瘍の最大径が5cm以下。 腫瘍が2cm以下。 臓器に限局する。
T2 腫瘍の最大径が5cmを超え、10cm以下。 腫瘍が2cmを超え、4cm以下。 臓器を越えた組織への腫瘍進展。
T2a     漿膜または臓側腹膜に浸潤している。
T2b     漿膜(腸間膜)を越えた進展。
T3 腫瘍の最大径が10cmを超え、15cm以下。 腫瘍が4cmを超える。 別の臓器に浸潤している。
T4 腫瘍の最大径が15cmを超える。 隣接する構造への浸潤を伴う腫瘍。 多病巣性病変。
T4a   眼窩浸潤、頭蓋底/硬膜浸潤、中央区画の内臓への浸潤、顔面頭蓋への転移、または翼突筋浸潤を伴う腫瘍。 多病巣性(2部位)。
T4b   脳実質浸潤、頸動脈を狭窄させる浸潤、椎前筋浸潤、または神経周囲への浸潤を介した中枢神経系への転移を伴う腫瘍。 多病巣性(3~5部位)。
T4c     多病巣性(5部位を超える)。


表2.頭頸部;躯幹および四肢;後腹膜;および腹部および胸部の内臓の軟部肉腫について、所属リンパ節(N)の定義a

N分類 躯幹および四肢;および後腹膜の軟部肉腫 頭頸部の軟部肉腫 腹部および胸部の内臓の軟部肉腫
a出典:O'Sullivan et al. [4] 、Yoon et al. [5] 、Raut et al. [6] 、およびPollock et al. [7]
N0 所属リンパ節に転移を認めないまたはリンパ節の状態が不明。 所属リンパ節に転移を認めないまたはリンパ節の状態が不明。 リンパ節に転移を認めないまたはリンパ節の状態が不明。
N1 所属リンパ節に転移を認める。 所属リンパ節に転移を認める。 リンパ節に転移を認める。


表3.頭頸部;躯幹および四肢;後腹膜;および腹部および胸部の内臓の軟部肉腫について、遠隔転移(M)の定義a

M分類 躯幹および四肢;および後腹膜の軟部肉腫 頭頸部の軟部肉腫 腹部および胸部の内臓の軟部肉腫
a出典:O'Sullivan et al. [4] 、Yoon et al. [5] 、Raut et al. [6] 、およびPollock et al. [7]
M0 遠隔転移を認めない。 遠隔転移を認めない。 転移を認めない。
M1 遠隔転移を認める。 遠隔転移を認める。 転移を認める。


表4.FNCLCC組織学的悪性度(G)の定義a

G Gの定義
FNCLCC = French Federation of Cancer Centers Sarcoma Group。
aAJCCより許諾を得て転載:Soft tissue sarcoma of the head and neck.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.499–505.
GX 悪性度の評価が不可能。
G1 全体の分化、細胞分裂数、および壊死スコアが2または3。
G2 全体の分化、細胞分裂数、および壊死スコアが4または5。
G3 全体の分化、細胞分裂数、および壊死スコアが6、7、または8。


表5.躯幹および四肢;および後腹膜の軟部肉腫に対するAJCC予後的病期グループa

病期 T N M 悪性度
G = 悪性度;M = 遠隔転移;N = 所属リンパ節;T = 原発腫瘍。
a出典:Yoon et al. [5] およびPollock et al. [7]
b後腹膜の軟部肉腫についてはIIIB期;躯幹および四肢の軟部肉腫についてはIV期。
IA T1 N0 M0 GX、G1
IB T2、T3、T4 N0 M0 GX、G1
II T1 N0 M0 G2、G3
IIIA T2 N0 M0 G2、G3
IIIB T3、T4 N0 M0 G2、G3
IIIB/IVb すべてのT N1 M0 すべてのG
IV すべてのT すべてのN M1 すべてのG


腹部および胸部の内臓の軟部肉腫については、現在のところ、推奨される予後的病期分類は存在しない。 [6]

まれな組織型と部位の軟部肉腫については、現在のところ、FNCLCC悪性度分類システムが用いられている。 [8]


参考文献
  1. Schuetze SM, Rubin BP, Vernon C, et al.: Use of positron emission tomography in localized extremity soft tissue sarcoma treated with neoadjuvant chemotherapy. Cancer 103 (2): 339-48, 2005.[PUBMED Abstract]

  2. Fong Y, Coit DG, Woodruff JM, et al.: Lymph node metastasis from soft tissue sarcoma in adults. Analysis of data from a prospective database of 1772 sarcoma patients. Ann Surg 217 (1): 72-7, 1993.[PUBMED Abstract]

  3. Mazeron JJ, Suit HD: Lymph nodes as sites of metastases from sarcomas of soft tissue. Cancer 60 (8): 1800-8, 1987.[PUBMED Abstract]

  4. O'Sullivan B, Maki RG, Agulnik M, et al.: Soft tissue sarcoma of the head and neck. In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp 499-505.[PUBMED Abstract]

  5. Yoon SS, Maki RG, Asare EA, et al.: Soft tissue sarcoma of the trunk and extremities. In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp 507-15.[PUBMED Abstract]

  6. Raut CP, Maki RG, Baldini EH, et al.: Soft tissue sarcoma of the abdomen and thoracic visceral organs. In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp 517-21.[PUBMED Abstract]

  7. Pollock RE, Maki RG, Baldini EH, et al.: Soft tissue sarcoma of the retroperitoneum. In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp 531-7.[PUBMED Abstract]

  8. Maki RG, Folpe AL, Guadagnolo BA, et al.: Soft tissue sarcoma - unusual histologies and sites. In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp 539-45.[PUBMED Abstract]

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治療法選択肢の概要

集学的アプローチ

ほとんどの場合、過去に用いられた切断術などの根治的手術よりむしろ、術前放射線療法preRT)または術後放射線療法(PORT)との集学的アプローチが用いられる。特定の症例ではPORTを併用しない手術が可能な場合もある。化学療法の役割は、放射線療法の役割ほど十分に定義されていない。この疾患に対する治療法の選択肢は進歩しつつあるため、患者は利用可能な場合には臨床試験への参加を検討すべきである。現在実施中の臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトから入手することができる。

手術の役割

外科的切除が軟部肉腫に対する治療の中心である。実行可能な場合は、機能温存的広範切除術が四肢腫瘍に対する有効な治療の基本である。これは、軟部組織の再建手術(外科治療の計画で切除部位を直接閉鎖しなければならない場合に得られる切除縁よりも、一般的に広範な切除縁を取ることができる)により容易になるであろう。 [1] 腫瘤に切り込む場合や圧迫された腫瘍細胞の偽被膜面やしばしば軟部肉腫を取り囲む反応性組織に沿って肉眼的腫瘍を取り出す場合には、局所再発リスクが高くなる。四肢の軟部肉腫は高悪性度であっても通常は、局所再発を減らすためのpreRTまたはPORTとの集学的治療によって四肢を温存しつつ、有効に治療できる。(詳しい情報については、本要約の放射線療法の役割のセクションを参照のこと。)

四肢の軟部肉腫について切断術と患肢温存手術を直接比較している試験は、小規模な単一施設のランダム化試験1件のみである。 [2] 2:1のランダム化比で四肢の高悪性度肉腫の患者27人が広範切除術 + PORT(6~7週間かけて広範な局所切除領域への45Gy~50Gy、および腫瘍床への計60Gy~70Gy)に割り付けられ、16人が(腫瘍より近位の関節または関節の上での)切断術に割り付けられた。両群とも補助化学療法(すなわち、ドキソルビシンシクロホスファミド、および大量メトトレキサート)を受けた。63ヵ月経過時の追跡期間中央値56ヵ月で、患肢温存手術を受けた患者27人中4人に局所再発が認められたが、切断術を受けた患者16人では再発はみられなかった(P = 0.12)。全生存(OS)率に統計的有意差はみられなかった(5年生命表法生存率、83% vs 88%、P 2 = 0.99)。 [2] [証拠レベル:1iiA]

躯幹および頭頸部にみられる高悪性度軟部肉腫の局所制御は、手術と放射線療法との併用によって達成されうる。 [3] 特定の症例ではPORTを併用しない手術が可能な場合がある。例えば、肉腫治療専門の紹介施設からのケースシリーズの報告では、四肢および躯幹原発で大きさが5cm以下の腫瘍を有する特定の患者74人では外科的切除縁に組織学的病変が認められなかったことが示された。 [4] 患者は放射線療法を併用せずに観察され、10年後の局所再発率の推定値は11%であった。 [4] [証拠レベル:3iiiDiv]化学療法の役割は、放射線療法の役割ほど十分に定義されていない。この疾患に対する治療法の選択肢は進歩しつつあるため、患者には利用可能な場合に臨床試験の選択肢を提案すべきである。

後腹膜肉腫を有効に治療するには、腫瘍の浸潤を受けていない近接臓器を温存しながら、肉眼的病変をすべて切除する必要がある。高悪性度後腹膜肉腫の全摘が困難であることや、内臓への高線量放射線療法には線量制限毒性があることから、これらの腫瘍患者の予後は、他の部位に腫瘍を有する患者の予後よりも不良である。 [5] [6] [7] [8] 後腹膜肉腫を有する患者では、腫瘍の局所制御がきわめて重要である。同時性転移がない場合、局所再発が原因の疾患特異的死亡率は、後腹膜肉腫患者で最大77%であるのに対し、四肢または躯幹に肉腫を有する患者ではわずか9%であることが報告された。 [9]

後腹膜肉腫における追加の考慮事項は手術の範囲である。後腹膜肉腫患者382人を対象にしたシリーズにおいて、多変量解析で広範な外科的切除は単純な完全切除と比較して局所再発率が1/3.3であった;ただし、広範な外科的切除は生存の改善と関連していなかった。 [10] 追跡解析において、広範な外科的切除を受けたコホートで観察されたOS率が66%であったのに対し、歴史的対照のOS率は48%であった。広範な外科的アプローチは、手術の合併症に起因する罹病と死亡率の増加と比較検討する必要がある。 [11] [12] [13] [14] [15]

遠隔転移が認められる場合、原発腫瘍の全摘術を受ける予定であるか、または受けており、肺転移を有するが、基礎にある疾患の生物学的態度が最適な患者(すなわち、転移数が限定されており結節の増殖速度が遅い患者)は、手術により長期無病生存(DFS)が得られうる。 [16] [17] [18] 良好な治療成績がどの程度手術の効力によるものか、侵攻性の低い疾患と関連する因子に基づいた注意深い患者選択によるものかは不明である。

放射線療法の役割

放射線療法は患肢温存療法において重要な役割を果たしている。術前および術後外照射療法(EBRT)のほか、密封小線源治療は局所再発リスクを低下させることが示されている。プロスペクティブ試験においてOSの増加は示されていないが、最も局所進行した腫瘍を除くすべての腫瘍、または血管病変によって患肢が重度に障害されており、受け入れられる機能温存の可能性がない腫瘍に対して切断術を回避するために放射線療法が用いられる。EBRTの症例では、患肢の外周全体への照射は、患肢の機能と温存に不可欠な血管および神経組織を保護するために回避される。

集学的アプローチ

患肢温存手術で治療された四肢の肉腫患者141人を対象にした1件の単一施設のランダム化試験において、PORTが検証されている。高悪性度腫瘍の患者(n = 91)はまた、補助化学療法(すなわち、28日を1サイクルとして5サイクルのドキソルビシンおよびシクロホスファミド)も受けた。患者はいずれも、放射線療法(6~7週間かけて広範領域への45Gy + 腫瘍床への18Gyのブースト照射)(高悪性度腫瘍の症例では化学療法を併用) vs 放射線療法なしのいずれかにランダムに割り付けられた。 [19] 最長12年の追跡で、放射線療法群にランダムに割り付けられた患者70人では1人に局所再発が認められたのに対し、対照群に割り付けられた71人の患者では17人に再発が認められ(P = 0.0001)、高悪性度および低悪性度腫瘍の局所再発リスクで同様の低下がみられた。しかしながら、放射線療法群と対照群間でOSに差は認められなかった。 [19] [証拠レベル:1iiDiii]総合的なQOLは2群間でほぼ同じであったが、放射線療法群では、筋力および関節可動域の低下のほか、浮腫の増加による機能的欠損が実質的に不良であった。

preRTでは、急性毒性を制限するために一般的にPORTの症例よりも狭い照射野および低い線量で照射される。1件の多施設ランダム化試験では、四肢の軟部肉腫についてpreRTがPORTと直接比較されている。 [20] [21] [22] 266人の患者登録が計画されたが、190人の患者が登録した後、preRT群で手術創の合併症が多かったために試験は早期に中止された。preRT群で計画された放射線は、広範領域への2Gy分割照射で50Gy(試験の第一段階)と腫瘍床への16Gy~20Gyの追加照射で外科的切除縁に腫瘍細胞が認められた場合のみ2cmのマージンが取られた(試験の第二段階)。

PORT群の患者は試験の両方の段階で放射線を照射されるように計画された。手術創の合併症の割合は、preRT群とPORT群でそれぞれ、35% vs 17%であった(P = 0.01)。さらに、手術から6週間経過時の患肢の機能はpreRT群の方が不良であった(P = 0.01)。 [20] 5年経過時の2群の局所制御率(93% vs 92%)とOS(73% vs 67%、P = 0.48)はほぼ同じであった。 [21] 手術後21~27ヵ月経過時に患肢機能を評価された129人の患者(preRT群のn = 73およびPORT群のn = 56)について、患肢機能は両群でほぼ同じであったが、preRT群では線維化が少ない統計的傾向がみられた(P = 0.07)。 [22]

密封小線源治療

軟部肉腫に対する補助療法として、密封小線源治療もまた研究されている。密封小線源治療はEBRTと比較して便利さと正常な周囲組織への放射線が少なく済むという利点が考えられるが、この2つの治療戦略は効力または罹病の観点で直接比較されていない。ただし、補助的密封小線源治療は放射線なしの手術と比較されている。

1件の単一施設試験において、四肢の肉腫または躯幹表面の肉腫患者164人が、手術中に肉眼的腫瘍をすべて切除できればイリジウムIr192を埋め込む治療群(4~6日間で42Gy~45Gyを送達;78人の患者)か、放射線療法なしの対照群(86人の患者)にランダムに割り付けられた。 [23] [24] 高悪性度腫瘍を有する一部の患者は、転移リスクが高いと考えられた場合にドキソルビシンをベースとする補助化学療法を受けた(各治療群の患者で34人)。追跡期間中央値76ヵ月の時点で、5年生命表法局所再発率は、密封小線源治療群と対照群でそれぞれ、18%および31%であった(P = 0.04)。この差は高悪性度腫瘍の患者に限定された。密封小線源治療群(84%)と対照群(81%)間で肉腫特異的生存率における識別可能な差は認められず(P = 0.65)、高悪性度腫瘍群における差は認められなかった。 [23] [証拠レベル:1iiDiii]臨床的に重要な手術創の合併症(例、手術による修正または頻回の漿液腫ドレナージの必要性、創離解、大きな血腫、または化膿性の感染症)の割合は、放射線群で24%および対照群で14%であった(P = 0.13);手術創の再手術率は、放射線群で10%および対照群で0%であった(P = 0.006)。 [24]

強度変調放射線療法(IMRT)

放射線療法の総量が大腿骨、関節のほか、特定の正常組織に照射されないようにし、局所制御を維持しながら、放射線療法に関連する罹病を潜在的に減らすべく、四肢の軟部肉腫患者に対してpreRTまたはPORTでIMRTが用いられている。初期の単一施設の報告では、この技術により罹病を低下させるとともに高い局所制御率が得られることが示唆されている。 [25] [26] IMRTおよび三次元原体照射療法のレトロスペクティブ比較により、四肢の原発軟部肉腫の局所再発は非IMRT群が劣っていたことが実証されている。 [27] [証拠レベル:3iiiDiv]

手術および放射線療法

四肢または躯幹の一部の腫瘍は、放射線を併用せずに手術単独で治療できる。このアプローチの証拠は、単一施設の比較的小規模のケースシリーズ [4] [28] [29] または米国国立がん研究所のSurveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)の腫瘍登録における転帰の解析データに限られている。 [30] しかしながら、こうした比較は低い統計的検出力およびバイアスを招いている可能性のある示差的な評価可能性率(differential evaluability rate)の影響を受ける。 [4] 患者選択因子は、外科医間で異なることがある。一般的に、このアプローチは直径が5cm以下の四肢または躯幹表面の低悪性度腫瘍(T1)で、外科的切除縁が顕微鏡的に陰性の患者において検討される;このような患者における長期の局所腫瘍制御率は、約90%である。 [31]

2004年から2009年に躯幹および四肢の軟部肉腫に対して手術を受けた患者を確認するために、SEERデータを用いた治療パターンの研究が照会された。 [32] 5,075人の患者のうち、50%が放射線療法を受けた。放射線は、米国において軟部肉腫に対して治療を受けるかなりの割合の患者で十分に活用されていなかった。I期患者に対するルーチンの放射線療法は推奨されないものの、まだこれらの患者の25%しか放射線を受けなかった。ルーチンの放射線療法が推奨されているII期およびIII期腫瘍の患者でも、60%しか放射線を受けていなかった。多変量解析で、放射線療法の効力の予測因子として、50未満の年齢(オッズ比[OR]、1.57;95%信頼区間[CI]、1.28-1.91)、悪性線維性組織球腫の組織像(OR、1.47;95%CI、1.3-1.92)、T2の病変(OR、1.88;95%CI、1.60-2.20)、およびG3(OR、6.27;95%CI、5.10-7.72)が挙げられた。III期軟部肉腫で放射線療法を受けた患者は、受けなかった患者と比較して5年疾患特異的生存率が良好であったことを示した(68% vs 46%、P < 0.001)。 [32] [証拠レベル:3iDii]

軟部肉腫の初回管理ではときに、罹病が受け入れられないか、近接する重要な臓器により完全切除が不可能なため、外科的切除を実施できない場合がある。こうした状況では、初回治療として放射線が用いられている。 [33] しかしながら、これは最後の治療手段と考えなければならない。証拠は単一施設からのレトロスペクティブ・ケースシリーズに限られている。 [33] [証拠レベル:3iiiDiv]

後腹膜肉腫において、レトロスペクティブ・データは手術単独よりもpreRTまたはPORTの使用を支持している。

2003年から2011年の2件のケースコントロール研究における計9,068人の患者の治療成績が解析された。 [34] PORTを受けた2,196人の患者が2,196人の対応対照と比較された。PORT群の患者のOS期間中央値が89ヵ月であったのに対し、非放射線療法群の患者では64ヵ月であった。PORT群の患者の5年生存率は60%で、非放射線療法群の患者では52%であった。

preRTを受けた563人の患者が1,126人の対応対照と比較された。preRTを受けた患者のOS期間中央値が110ヵ月であったのに対し、非放射線療法群の患者では66ヵ月であった。preRTを受けた患者の5年生存率が62%であったのに対し、非放射線療法群の患者では54%であった。 [34]

2件の小規模プロスペクティブ研究で、中悪性度または高悪性度後腹膜肉腫を有する患者における術前放射線療法の役割が調査された。preRT後にR0切除(治癒または完全寛解を目的とする切除)またはR1切除(切除により顕微鏡的残存腫瘍を達成)を受けた患者54人の併合解析では、5年局所RFS率が60%、5年DFS率が60%、および5年OS率が61%であった。OS期間中央値には到達していなかった(60ヵ月超)。 [35]

臨床的限局性腫瘍に対する補助化学療法または術前化学療法の役割

補助化学療法の役割は完全には明らかにされていない。患者との話し合いでは、あらゆる潜在的な有益性について、その化学療法の短期および長期毒性との関連で検討すべきである。

数件のプロスペクティブ・ランダム化試験では、ドキソルビシンをベースとする補助化学療法が切除可能な軟部肉腫を有する成人に有益であるかどうかを最終的に判断することができなかった。このような研究の大多数は少数の患者を対象としており、補助化学療法による無転移生存率またはOSの有益性は実証されなかった。 [3] 報告されている試験の間には、治療レジメン、薬物用量、サンプルサイズ、腫瘍部位、組織学的悪性度などの点で広範囲なばらつきがある。

ドキソルビシンをベースとする補助化学療法に関する14件の試験では、1,568人の個別の患者から得られた更新データの定量メタアナリシスにより、補助化学療法による絶対有益性は局所無再燃期間については6%(95%CI、1%-10%)、遠隔部位の無再燃期間については10%(95%CI、5%-15%)、および無再燃生存(RFS)については10%(95%CI、5%-15%)であることが示された。10年経過時に統計的に有意なOSの有益性は検出されなかった:絶対差4%(95%CI、-1%-+9%)。 [36] [37] [証拠レベル:1iiDii]しかしながら、このメタアナリシスにおいて、軟部肉腫に対する活性が実証された薬物であるイホスファミドで治療された患者はごく一部であった。また、サブセット解析により、四肢の肉腫を有する患者は補助化学療法から有益性が得られた可能性があることが示唆されており、10年経過時のOSの絶対的改善は7%(ハザード比[HR]死亡、0.8、P = 0.029)と報告された。 [37]

その後、主に四肢または躯幹の軟部肉腫を有する患者において化学療法試験が実施され、アントラサイクリンイホスファミドが併用された。データは矛盾しており、問題は未だ解決していない。1件の小規模な実行可能性の研究では、高リスク軟部肉腫患者59人(そのうち58人が原発部位として四肢または躯幹に病変を有した)が初回切除 + PORTを受け、観察群 vs イホスファミドダカルバジン(DTIC)、およびドキソルビシン(IFADICレジメン)の1コース14日間を6コース実施する投与間隔を狭めた(dose-dense)レジメンに顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)による骨髄サポートを併用する群にランダムに割り付けられた。 [38] OSまたはRFSにおける統計的有意差は認められなかったが、この研究の検出力はかなり低かった。

Italian National Council for Researchにより実施された2番目の試験では、高リスク患者が局所療法(すなわち、広範囲切除 + preRTまたはPORT、あるいは臨床的に必要な場合は切断術)で治療された後、観察 vs 21日を1サイクルとして5サイクルの4-エピドキソルビシンエピルビシン) + イホスファミドメスナとG-CSFを併用)にランダムに割り付けられた。 [39] [40] 検出力の計算に基づいて計画された研究サイズは患者190人であったが、この試験は104人の患者が登録した後、中間解析で化学療法群を支持するDFSの統計的有意差(P = 0.001)が明らかにされたため、中止された。この研究の最初のピア・レビュー報告までは、DFSはまだ化学療法群を支持していた(DFS期間中央値48ヵ月 vs 16ヵ月)が、P値は0.04に上昇していた。 [39]

報告時の無転移生存に差は認められなかったが、OS期間中央値に改善が認められた(75ヵ月 vs 46ヵ月、P = 0.03)。しかしながら、追跡報告(56~119ヵ月の範囲で追跡期間中央値89.6ヵ月時)では、もはやOSの統計的有意差は認められなかった(58.5% vs 43.1%[P = 0.07])。DFSの差もまた統計的有意性を失った(47.2% vs 16.0%[P = 0.09])。 [40] 要約すると、この試験は早期に中止されたため検出力が低く、試験の中止につながった早期の有望な結果は、試験データが揃うにつれて失われた。

3番目の検出力が低い単一施設の試験では、高リスク軟部肉腫患者88人(このうち64人が四肢または躯幹の原発腫瘍であった)が(放射線療法を併用するまたは併用しない)手術を受けた後、21日を1サイクルとして4サイクルの化学療法(エピルビシン[n = 26]またはエピルビシン + イホスファミド[n = 19]) vs 補助化学療法なし(n = 43)にランダムに割り付けられた。 [41] 試験は登録のペースが遅かったため時期を早めて中止された。追跡期間中央値94ヵ月後に、5年DFS率は化学療法群で69%および対照群で44%(P = 0.01)であった;5年OS率は化学療法群で72%および対照群で47%であった(P = 0.06)。化学療法に関連する有益性はすべて、エピルビシン + イホスファミドを受けた19人の患者に限定されたようである。

さらに別の検出力が低い試験では、高リスク軟部肉腫の患者137人(93%が四肢または躯幹の原発腫瘍であった)が、(放射線療法を併用するまたは併用しない)外科的切除または術前に21日を1サイクルとして3サイクルのドキソルビシン + イホスファミドを受ける群にランダムに割り付けられた。 [42] European Organization for Research and Treatment of Cancerによるこの多施設試験(EORTC-62874)は、登録のペースが遅く、継続に値する有望な結果が得られなかったため中止された。追跡期間中央値7.3年時に、5年DFS率は手術単独群で52%および化学療法 + 手術群で56%であった(P = 0.35);OS率は手術単独群で64%および化学療法 + 手術群で65%であった(P = 0.22)。

これら4件の試験が、試験レベルのメタアナリシスで14件の第一世代の試験と統合されている。 [43] 切除可能軟部肉腫の患者を対象にしたこの18件のランダム化試験のうち、5件の試験でドキソルビシン(50~90mg/m2/サイクル) + イホスファミド(1,500~5,000mg/m2/サイクル)の併用が用いられた。残りの13件の試験では、ドキソルビシン(50~70mg/m2/サイクル)単独使用または他の薬物のとの併用が行われた。局所療法に追加された化学療法による局所再発率の絶対リスク低下は4%(95%CI、0%-7%)であり、イホスファミドドキソルビシンと併用した場合は5%(95%CI、1%-12%)であった。全死亡率における絶対的低下は化学療法の使用で6%(95%CI、2%-11%;[すわなち、46%から40%への低下])、ドキソルビシン + イホスファミドで11%(95%CI、3%-19%;[すなわち、41%から30%への低下])、イホスファミドを併用しないドキソルビシンで5%であった。 [43] [証拠レベル:1iiA]

追加の多施設ランダム化試験(EORTC-62931[NCT00002641])では、ドキソルビシン(75mg/m2) + イホスファミド(5,000mg/m2)による補助療法が用いられたが、上述のメタアナリシスには含まれなかった。 [44] 結果はメタアナリシスで報告されたものと異なっていた。 [43] 局所療法後、351人の患者が21日を1サイクルとして5サイクルの補助療法 vs 観察にランダムに割り付けられた。治療群間でOSに有意差は認められず(HR、0.94[95%CI、0.68-1.31];P = 0.72)、RFS(HR、0.91[0.67-1.22]、P = 0.51)についても有意差は認められなかった。5年OS率は化学療法群で66.5%(95%CI、58.8%-73%)および対照群で67.8%(95%CI、60.3%-74.2%)であった。

個別の患者の併合データに関するその後の解析で、EORTCの研究者らは、シクロホスファミド + ドキソルビシン + DTIC(CYVADIC)による補助療法について、成人軟部肉腫に対する補助療法を扱った試験として文献で最大規模の2試験となっている(N = 819人の患者)この試験と以前の試験(EORTC-62771) [45] のデータを統合した。 [46] 腫瘍の大きさ、高い組織学的悪性度、およびR1切除がRFSおよびOSに対する独立した予後不良因子として浮上した;補助化学療法はRFSに対する独立した予後良好因子であったがOSに対する予後良好因子ではなかった;男性および40歳を超える患者ではRFSが治療群において有意に良好であった一方、女性および40歳未満の患者における補助化学療法はわずかに不良なOSに関連した。R1切除を受けた患者ではRFSおよびOSが有意に良好で、補助化学療法群が支持された。 [47] この併合解析では、補助化学療法に伴うRFSまたはOSの改善は示されなかった。 [46] [証拠レベル:1iiA]

要約すると、補助化学療法の生存への影響については、依然として意見が分かれているが、影響の大きさの絶対値は小さいと考えられる。そのため、患者との話し合いでは、あらゆる潜在的な有益性について、その化学療法の短期および長期毒性との関連で検討すべきである。

放射線療法を併用するまたは併用しない術前補助化学療法

レトロスペクティブ研究において、放射線療法を併用するまたは併用しない術前化学療法により80~90%のDFS率が得られたのに対し、歴史的対照では約60%であった。 [48] [49] [50]

プロスペクティブ研究において、放射線療法を併用するまたは併用しない術前補助化学療法により、17~32%の奏効率、最大58%の10年RFS率、および最大64%の10年OS率が示されている。 [42] [51] [52] [53] [54] [55] 術前補助化学放射線療法に関するRTOG-9514研究(NCT00002791)および術前放射線療法に関するRTOG-0630研究(NCT00589121)の併合解析により、評価可能な123人の患者について病理学的完全奏効率は術前補助化学放射線療法を受けた患者で27.5%および術前放射線療法を受けた患者で19.4%であったことが示された。追跡期間中央値が5年を超えた時点で、病理学的完全奏効が得られた患者のOS率は100%で、病理学的完全奏効を達成できなかった患者では76.5%(RTOG-9514)および56.4%(RTOG-0630)であった。 [56]

第III相ISG-STS1001研究(NCT01710176)には、高リスクの特徴(悪性度3または壊死が50%を超える場合は悪性度2、大きさが5cm以上、深在性の位置)を有する164人の患者が登録した。 [55] 患者は以下のいずれかを3サイクル受けるようにランダムに割り付けられた:


  • 標準化学療法(21日ごと):

  • 組織型に応じた化学療法:
      未分化多形肉腫に対して、ドセタキセル、75mg/m2、8日目 + ゲムシタビン、900mg/m2、1日目および8日目(21日ごと)。
      粘液型脂肪肉腫に対して、トラベクテジン、1.3mg/m2、持続注入(21日ごと)。
      滑膜肉腫に対して、イホスファミド、14g/m2、14日間の持続注入(28日ごと)。
      悪性末梢神経鞘腫瘍に対して、イホスファミド、3g/m2、1日目、2日目、および3日目 + エトポシド、150mg/m2、1日目、2日目、および3日目(21日ごと)。
      平滑筋肉腫に対して、ゲムシタビン、1,800mg/m2、1日目 + ダカルバジン、500mg/m2、1日目(14日ごと)。

追跡期間中央値12.3ヵ月で、推定46ヵ月RFS率は、エピルビシンおよびイホスファミドを投与された患者で62%(95%CI、48%-77%)であったのに対し、組織型に応じた治療を受けた患者では38%(95%CI、22%-55%)(P = 0.004)であった。OSは、エピルビシンおよびイホスファミド群で89%(95%CI、78%-99%)であったのに対し、組織型に応じた化学療法群では64%(95%CI、27%-100%)(P = 0.034)であった。粘液型脂肪肉腫に対するトラベクテジンは、標準化学療法群と比較して同等の治療成績が得られた。 [55]

局所温熱療法の役割

術前および補助療法の設定における全身化学療法の局所での効果を高めるため、局所温熱療法の使用が研究段階にある。1件の第III相多施設試験(NCT00003052)では、高リスク(腫瘍の大きさが5cm以上、悪性度2~3、深在性~筋膜)軟部肉腫の患者341人(149人が四肢の腫瘍で、192人が四肢以外の腫瘍であった)が、局所療法の前後に局所温熱療法を併用するまたは併用しない21日を1サイクルとして4サイクルの化学療法(1日目と4日目にエトポシド125mg/m2;1~4日目にイホスファミド1,500mg/m2;1日目にドキソルビシン50mg/m2)にランダムに割り付けられた。 [57] 患者の約11%が再発腫瘍に対する治療を受けていた。局所温熱療法は腫瘍の温度を60分間42℃にするように設定され、各化学療法サイクルの1日目と4日目に実施された。最初の4サイクルの化学療法後、可能であれば腫瘍の根治的な外科的切除が実施され、続いて適応があれば放射線療法(すなわち、送達された線量中央値52.7Gy)が行われ、最後に温熱療法を併用するまたは併用しない4サイクルの化学療法が実施された。試験では9つの治療施設のうち、温熱療法に特に専門知識をもった3施設で91%の患者が治療された。

追跡期間中央値は34ヵ月であった。局所増悪は温熱療法群では56人の患者で起こり、対照群では76人の患者で起こった。局所増悪または死亡に対する相対HRは0.58(95%CI、0.41-0.84)で、2年経過時の絶対差は15%(76% vs 61%;差の95%CI、6-26)であった。局所増悪または死亡のリスク低下は、四肢の腫瘍と四肢以外の腫瘍の両方でみられた。しかしながら、温熱療法は遠隔部位での失敗率に効果がなく、OSにも統計的に有意な効果が認められなかった(HR 、0.88、95%CI、0.64-1.21;P= 0.43)。 [57] [証拠レベル:1iiDiii]温熱療法群ではグレード3~4の白血球減少症の割合が高かった:77.6% vs 63.5%(P= 0.005)。患者の大部分が特に専門知識をもった施設で治療されたため、この知見を他の設定に適用するために一般化可能であるかどうかは不明である。

この試験の最終的な長期結果が発表されている。 [58] 追跡期間中央値11.3年の時点で、局所温熱療法の追加により、術前補助化学療法単独と比較して局所無増悪生存が改善した(HR、0.65;95%CI、0.49-0.86;P = 0.002)。また、併用群にランダムに割り付けられた患者では、術前補助化学療法単独にランダムに割り付けられた患者と比較して生存率が改善した(HR、0.73;95%CI、0.54-0.98;P = 0.04)。5年生存率は併用群患者で62.7%(95%CI、55.2%-70.1%)であったのに対し、術前補助化学療法単独群では51.3%(95%CI、43.7%-59%)であり、10年生存率は併用群患者で52.6%(95%CI、44.7%-60.6%)であったのに対し、術前補助化学療法単独群では42.7%(95%CI、35%-50.4%)であった。著者らは、術前補助治療の候補となる患者に対しては、局所温熱療法の追加が妥当な場合があると結論付けた。 [58]

患肢灌流の役割

患肢灌流は、外科医の選択肢として患肢灌流を行わないなら切断術が必要になるであろう四肢の切除不能な原発性または再発性軟部肉腫において大量の化学療法を投与し、患肢温存を可能にするための手段として研究段階にある。 [59] [60] この手技に一般的に用いられる薬物は腫瘍壊死因子(TNF)アルファ、メルファラン、およびインターフェロンガンマである。この手技の経験はケースシリーズに限られており、転帰としては奏効率と切断術の回避の報告が用いられた。 [59] [60] [証拠レベル:3iiiDiv]患肢灌流では、TNFアルファの全身への影響など、重度の局所および全身の毒性を防ぐため、特殊な専門知識が必要である。この技術は、全身および局所療法を併用する標準アプローチとは直接比較されていない。

12件の研究における518人の患者の系統的レビューでは、408人の患者で腫瘍反応が報告され、428人の患者で患肢が温存された。しかしながら、いずれの試験も必須の品質基準を満たしておらず、7件では統計的方法論が含まれていなかった。 [61]

18件の研究の別のレビューから、1,030人の患者の治療成績が提供された。TNFアルファとメルファランの併用は、最も一般的に使用されたレジメンである。22%の患者が完全奏効を達成し、全奏効率は72%および患肢温存率は81%であった;ただし、27%の患者が再発を経験し、40%の患者が遠隔部位での失敗を経験した。生存への影響を明らかにするには証拠は十分ではなかった。 [62]

計1,288人の患者を対象にした19件の研究の系統的レビューおよびメタアナリシスにより有意な奏効率が確認された:全奏効率は73.3%で、25.8%が完全奏効を達成し、患肢灌流または患肢注入による患肢温存率は73.8%であった。しかしながら、至適治療レジメンは依然として明らかにする必要がある。 [63]

進行疾患に対する化学療法の役割

ドキソルビシンは局所進行および転移性軟部肉腫の管理における全身療法の中心である。複数のランダム化研究において、ドキソルビシンイホスファミドの併用はOSに関してドキソルビシン単独よりも優れていることは示されていないが、毒性作用が多くても治療へのより良好な反応を達成することが主要な治療の目標である場合に、選択された症例において検討されることがある。

ペグ化リポソーム封入ドキソルビシンは、循環血液中のドキソルビシンの半減期を延ばし、活性薬物の放出を遅くするように設計されたドキソルビシンの剤形の1つである。 [64] 薬物動態学が変化したことにより、骨髄抑制およびおそらく心毒性は低下するが、過敏症様反応および手足症候群の発生率は実質的に高くなる。非封入ドキソルビシンと比較したリポソーム封入ドキソルビシンの臨床活性は完全に明らかになっているわけではない。 [64] [証拠レベル:3iiiDiv]EORTCグループによる第II相ランダム化研究において、ドキソルビシンまたはペグ化リポソーム封入ドキソルビシン(2回目のレジメンでは毒性が低かった)のいずれを用いてもわずかに約10%という同様の奏効率が示された。 [65] [証拠レベル:3iiiDiv]血管肉腫において単剤で臨床活性を有すると考えられる他の薬物には、イホスファミドエピルビシンゲムシタビン、およびパクリタキセルがある。 [66] [67] [68] [69] [証拠レベル:3iiiDiv]単剤のドキソルビシンと比較したこれらの薬物の臨床活性は不明であり、これらの薬物の方が活性が優れているとは明らかにされていない。

単剤のドキソルビシンレジメンに他の薬物を追加した場合の臨床的有益性については、論議の余地がある。Cochrane Collaborationにより実施された証拠の系統的レビューおよびメタアナリシスで、1976年から1995年に報告された8件のランダム化試験が要約されている。 [70] 単剤のドキソルビシンが、ドキソルビシンを含むさまざまな併用(ビンクリスチンビンデシンシクロホスファミドストレプトゾシンマイトマイシンC、シスプラチン、および/またはイホスファミド)と比較された。併用レジメンでは一貫して吐き気と血液毒性が多くみられた。併用療法では境界域の良好な奏効率がみられたが、用いられた統計モデル次第であった(固定効果モデルでのOR奏効率 = 1.29;95%CI、1.03-1.60、P = 0.03;ランダム効果モデルでのOR奏効率 = 1.26;95%CI、0.96-1.67、P = 0.10)。1年死亡率(OR死亡率 = 0.87;95%CI、0.73-1.05、P = 0.14)または2年死亡率(OR死亡率 = 0.84;95%CI、0.67-1.06、P = 0.13)における統計的有意差は認められなかった。

これらの結果は、検証された他の薬物よりもドキソルビシンの活性が高いものとして仮定し、ドキソルビシンとの併用レジメンの要素としてDTICおよび/またはイホスファミドを用いた4試験に解析を限定した場合でも非常に類似していた。発表された3件すべてのランダム化試験のその後のメタアナリシスで、イホスファミドを含む化学療法レジメンと同様の結論に至らなかった化学療法レジメンが比較された:イホスファミドがレジメンに含まれる場合に腫瘍奏効率が良好であった(腫瘍奏効率[RR] = 1.52;95%CI、1.11-2.08)が、1年死亡率は良好ではなかった(RR死亡率 = 0.98;95%CI、0.85-1.13)。 [71] [証拠レベル:1iiDiv]したがって、奏効率はOSの代替としては不十分である。上述のランダム化試験ではいずれもQOLの転帰は報告されなかったが、ドキソルビシンに他の薬物を追加した場合の方が毒性作用が不良であった。


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I期の成人軟部肉腫

手術の役割および放射線療法の役割に関する詳しい考察については、本要約の治療法選択肢の概要のセクションを参照のこと。

低悪性度軟部肉腫は転移能をほとんど有さないが、局所再発する傾向がある。したがって、すべての方向において陰性の切除縁を1cm~2cm以上とする外科的切除が、このような早期肉腫患者に対して選択すべき治療法である。 [1] [2] [3] 非常にまれなサイズの小さな高分化型皮膚原発肉腫に対しては、正常組織の最小限の切除で切除縁の安全性が確保されるので、美容上の結果が重要である場合にはモースの手技が広範切除術に変わる方法になりうる。 [4]

照射野縮小法を用いる高線量放射線療法を慎重に実施することは、切除不能な腫瘍に対して、あるいは切除可能であっても残存腫瘍が認められる可能性が高く、切除縁が不十分と判断され、より広範に切除すれば四肢の切断や重要臓器の摘出に至るような場合に有益であろう。 [5] このような腫瘍は転移する可能性が低いことから、通常、これらの患者には化学療法は実施されない。 [6] [7]

標準治療法の選択肢:

  1. 直径5cm以下の腫瘍には、すべての方向において陰性の切除縁での外科的切除。 [8] [9] [10] [11] [12]
  2. 術前放射線療法(preRT)または術後放射線療法(PORT)を併用する外科的切除。放射線は局所再発リスクを低下させるが、全生存率を増加させることは示されていない。 [13] [14] [15]
  3. 腫瘍が切除不能である場合、根治目的の高線量preRTを実施できる。 [16]
  4. 後腹膜、躯幹、および頭頸部の腫瘍については、以下の選択肢がある:
    • 陰性の切除縁が得られない場合、外科的切除と追加療法としてPORTを併用する。このような部位では、広範切除縁が得られることは珍しく、躯幹および頭頸部の原発腫瘍部位については通常、放射線療法が支持される。 [2]

    • preRTと、それに続く可及的外科的切除。躯幹および頭頸部の肉腫では、広範切除縁を得ることが不可能であるため、高い局所制御率を得るために放射線療法が用いられる場合がある。 [17]

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。


参考文献
  1. Singer S, Nielsen T, Antonescu CR: Molecular biology of soft tissue sarcoma. In: DeVita VT Jr, Lawrence TS, Rosenberg SA: Cancer: Principles and Practice of Oncology. 9th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2011, pp 1522-32.[PUBMED Abstract]

  2. Singer S, Maki RG, O'Sullivan B: Soft tissue sarcoma. In: DeVita VT Jr, Lawrence TS, Rosenberg SA: Cancer: Principles and Practice of Oncology. 9th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2011, pp 1533-77.[PUBMED Abstract]

  3. Malawer MM, Helman LJ, O'Sullivan B: Sarcomas of bone. In: DeVita VT Jr, Lawrence TS, Rosenberg SA: Cancer: Principles and Practice of Oncology. 9th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2011, pp 1578-1609.[PUBMED Abstract]

  4. Fish FS: Soft tissue sarcomas in dermatology. Dermatol Surg 22 (3): 268-73, 1996.[PUBMED Abstract]

  5. Temple WJ, Temple CL, Arthur K, et al.: Prospective cohort study of neoadjuvant treatment in conservative surgery of soft tissue sarcomas. Ann Surg Oncol 4 (7): 586-90, 1997 Oct-Nov.[PUBMED Abstract]

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  8. Al-Refaie WB, Habermann EB, Jensen EH, et al.: Surgery alone is adequate treatment for early stage soft tissue sarcoma of the extremity. Br J Surg 97 (5): 707-13, 2010.[PUBMED Abstract]

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  10. Fabrizio PL, Stafford SL, Pritchard DJ: Extremity soft-tissue sarcomas selectively treated with surgery alone. Int J Radiat Oncol Biol Phys 48 (1): 227-32, 2000.[PUBMED Abstract]

  11. Rydholm A, Gustafson P, Rööser B, et al.: Limb-sparing surgery without radiotherapy based on anatomic location of soft tissue sarcoma. J Clin Oncol 9 (10): 1757-65, 1991.[PUBMED Abstract]

  12. Rydholm A: Surgery without radiotherapy in soft tissue sarcoma. Acta Orthop Scand Suppl 273: 117-9, 1997.[PUBMED Abstract]

  13. Yang JC, Chang AE, Baker AR, et al.: Randomized prospective study of the benefit of adjuvant radiation therapy in the treatment of soft tissue sarcomas of the extremity. J Clin Oncol 16 (1): 197-203, 1998.[PUBMED Abstract]

  14. O'Sullivan B, Davis AM, Turcotte R, et al.: Preoperative versus postoperative radiotherapy in soft-tissue sarcoma of the limbs: a randomised trial. Lancet 359 (9325): 2235-41, 2002.[PUBMED Abstract]

  15. Davis AM, O'Sullivan B, Turcotte R, et al.: Late radiation morbidity following randomization to preoperative versus postoperative radiotherapy in extremity soft tissue sarcoma. Radiother Oncol 75 (1): 48-53, 2005.[PUBMED Abstract]

  16. Kepka L, DeLaney TF, Suit HD, et al.: Results of radiation therapy for unresected soft-tissue sarcomas. Int J Radiat Oncol Biol Phys 63 (3): 852-9, 2005.[PUBMED Abstract]

  17. Baldini EH, Wang D, Haas RL, et al.: Treatment Guidelines for Preoperative Radiation Therapy for Retroperitoneal Sarcoma: Preliminary Consensus of an International Expert Panel. Int J Radiat Oncol Biol Phys 92 (3): 602-12, 2015.[PUBMED Abstract]

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II期とリンパ節転移陰性III期の成人軟部肉腫

手術の役割放射線療法の役割、および化学療法の役割に関する詳しい考察については、本要約の治療法選択肢の概要のセクションを参照のこと。

高悪性度の局所性軟部肉腫は、局所再発および転移の可能性が大きい。四肢の肉腫については、広範囲の局所切除を伴う患肢温存手術を、術前放射線療法(preRT)または術後放射線療法(PORT)と併用することで、切断に匹敵する局所制御が達成できうる。

後腹膜肉腫の全摘は、発見までの腫瘍の増大やその解剖学的局在のためにしばしば困難である。 [1] [2] 四肢の軟部肉腫とは対照的に、後腹膜軟部肉腫の患者では局所再発が最も多い死亡原因となっている。腫瘍の外科的完全切除(すなわち、肉眼的腫瘍全体の切除)は局所再発の予防上最も重要な因子であり、多くの場合、近接する内臓の切除も必要となる。後腹膜肉腫に対して手術単独とpreRTを比較したレトロスペクティブ・レビューにより、preRTは局所の無再発生存の改善と関連しているが、無病生存とは関連していないことが示唆された。 [3]

標準治療法の選択肢:

  1. preRTまたはPORTを併用する外科的切除。放射線は局所再発リスクを低下させるが、全生存率を増加させることは示されていない。 [4] [5] [6] [7]
  2. すべての方向において切除縁陰性の外科的切除。このアプローチは一般的に、四肢または躯幹表面の低悪性度腫瘍(直径が5cm以下)で、顕微鏡的外科的切除縁が陰性のものに制限される。 [8] [9] [10] [11] [12]
  3. 切除不能である場合、高線量放射線療法を実施することがあるが、しばしば局所制御は不良である。 [13]
  4. ある状況においては、辺縁切除(辺縁部切除)としてのみ切除できる腫瘍を、患肢を温存しつつ適切に切除可能な腫瘍に変えるために、放射線療法および/または化学療法を術前に実施しうる;この場合PORTを行うことがある。

最新の臨床試験

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参考文献
  1. Heslin MJ, Lewis JJ, Nadler E, et al.: Prognostic factors associated with long-term survival for retroperitoneal sarcoma: implications for management. J Clin Oncol 15 (8): 2832-9, 1997.[PUBMED Abstract]

  2. Jaques DP, Coit DG, Hajdu SI, et al.: Management of primary and recurrent soft-tissue sarcoma of the retroperitoneum. Ann Surg 212 (1): 51-9, 1990.[PUBMED Abstract]

  3. Kelly KJ, Yoon SS, Kuk D, et al.: Comparison of Perioperative Radiation Therapy and Surgery Versus Surgery Alone in 204 Patients With Primary Retroperitoneal Sarcoma: A Retrospective 2-Institution Study. Ann Surg 262 (1): 156-62, 2015.[PUBMED Abstract]

  4. Yang JC, Chang AE, Baker AR, et al.: Randomized prospective study of the benefit of adjuvant radiation therapy in the treatment of soft tissue sarcomas of the extremity. J Clin Oncol 16 (1): 197-203, 1998.[PUBMED Abstract]

  5. Rosenberg SA, Tepper J, Glatstein E, et al.: The treatment of soft-tissue sarcomas of the extremities: prospective randomized evaluations of (1) limb-sparing surgery plus radiation therapy compared with amputation and (2) the role of adjuvant chemotherapy. Ann Surg 196 (3): 305-15, 1982.[PUBMED Abstract]

  6. O'Sullivan B, Davis AM, Turcotte R, et al.: Preoperative versus postoperative radiotherapy in soft-tissue sarcoma of the limbs: a randomised trial. Lancet 359 (9325): 2235-41, 2002.[PUBMED Abstract]

  7. Davis AM, O'Sullivan B, Turcotte R, et al.: Late radiation morbidity following randomization to preoperative versus postoperative radiotherapy in extremity soft tissue sarcoma. Radiother Oncol 75 (1): 48-53, 2005.[PUBMED Abstract]

  8. Al-Refaie WB, Habermann EB, Jensen EH, et al.: Surgery alone is adequate treatment for early stage soft tissue sarcoma of the extremity. Br J Surg 97 (5): 707-13, 2010.[PUBMED Abstract]

  9. Pisters PW, Pollock RE, Lewis VO, et al.: Long-term results of prospective trial of surgery alone with selective use of radiation for patients with T1 extremity and trunk soft tissue sarcomas. Ann Surg 246 (4): 675-81; discussion 681-2, 2007.[PUBMED Abstract]

  10. Fabrizio PL, Stafford SL, Pritchard DJ: Extremity soft-tissue sarcomas selectively treated with surgery alone. Int J Radiat Oncol Biol Phys 48 (1): 227-32, 2000.[PUBMED Abstract]

  11. Rydholm A, Gustafson P, Rööser B, et al.: Limb-sparing surgery without radiotherapy based on anatomic location of soft tissue sarcoma. J Clin Oncol 9 (10): 1757-65, 1991.[PUBMED Abstract]

  12. Rydholm A: Surgery without radiotherapy in soft tissue sarcoma. Acta Orthop Scand Suppl 273: 117-9, 1997.[PUBMED Abstract]

  13. Kepka L, DeLaney TF, Suit HD, et al.: Results of radiation therapy for unresected soft-tissue sarcomas. Int J Radiat Oncol Biol Phys 63 (3): 852-9, 2005.[PUBMED Abstract]

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進行性III期(N1)の成人軟部肉腫

手術の役割放射線療法の役割、および化学療法の役割に関する詳しい考察については、本要約の治療法選択肢の概要のセクションを参照のこと。

成人における軟部肉腫の所属リンパ節転移は非常にまれである。しかしながら、リンパ節転移がよくみられる軟部肉腫のタイプには、高悪性度横紋筋肉腫、血管肉腫、滑膜肉腫、高悪性度線維肉腫、明細胞肉腫、および類上皮肉腫がある。 [1]

標準治療法の選択肢:

  1. 臨床的にリンパ節転移陽性の患者については、術後放射線療法を併用するまたは併用しない外科的切除およびリンパ節郭清。 [1]
  2. 補助化学療法が検討されることがあるが、ランダム化試験で全生存率を改善することは示されていない。 [1] [2] [3] [4] [5] 利用可能であれば、臨床試験を検討すべきである。
  3. 患肢温存手術を勧めることができるおよび/または外科的切除で切除断端陽性となる確率が高い選択された症例では、放射線療法を併用するまたは併用しない術前補助化学療法または放射線療法単独を検討できる。 [6] [7] [8] [9] [10] [11]

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。


参考文献
  1. Mazeron JJ, Suit HD: Lymph nodes as sites of metastases from sarcomas of soft tissue. Cancer 60 (8): 1800-8, 1987.[PUBMED Abstract]

  2. Watson DI, Coventry BJ, Langlois SL, et al.: Soft-tissue sarcoma of the extremity. Experience with limb-sparing surgery. Med J Aust 160 (7): 412-6, 1994.[PUBMED Abstract]

  3. Cormier JN, Huang X, Xing Y, et al.: Cohort analysis of patients with localized, high-risk, extremity soft tissue sarcoma treated at two cancer centers: chemotherapy-associated outcomes. J Clin Oncol 22 (22): 4567-74, 2004.[PUBMED Abstract]

  4. O'Byrne K, Steward WP: The role of adjuvant chemotherapy in the treatment of adult soft tissue sarcomas. Crit Rev Oncol Hematol 27 (3): 221-7, 1998.[PUBMED Abstract]

  5. Adjuvant chemotherapy for localised resectable soft-tissue sarcoma of adults: meta-analysis of individual data. Sarcoma Meta-analysis Collaboration. Lancet 350 (9092): 1647-54, 1997.[PUBMED Abstract]

  6. Antman K, Crowley J, Balcerzak SP, et al.: An intergroup phase III randomized study of doxorubicin and dacarbazine with or without ifosfamide and mesna in advanced soft tissue and bone sarcomas. J Clin Oncol 11 (7): 1276-85, 1993.[PUBMED Abstract]

  7. Gortzak E, Azzarelli A, Buesa J, et al.: A randomised phase II study on neo-adjuvant chemotherapy for 'high-risk' adult soft-tissue sarcoma. Eur J Cancer 37 (9): 1096-103, 2001.[PUBMED Abstract]

  8. DeLaney TF, Spiro IJ, Suit HD, et al.: Neoadjuvant chemotherapy and radiotherapy for large extremity soft-tissue sarcomas. Int J Radiat Oncol Biol Phys 56 (4): 1117-27, 2003.[PUBMED Abstract]

  9. Kraybill WG, Harris J, Spiro IJ, et al.: Phase II study of neoadjuvant chemotherapy and radiation therapy in the management of high-risk, high-grade, soft tissue sarcomas of the extremities and body wall: Radiation Therapy Oncology Group Trial 9514. J Clin Oncol 24 (4): 619-25, 2006.[PUBMED Abstract]

  10. Gronchi A, Stacchiotti S, Verderio P, et al.: Short, full-dose adjuvant chemotherapy (CT) in high-risk adult soft tissue sarcomas (STS): long-term follow-up of a randomized clinical trial from the Italian Sarcoma Group and the Spanish Sarcoma Group. Ann Oncol 27 (12): 2283-2288, 2016.[PUBMED Abstract]

  11. Gronchi A, Ferrari S, Quagliuolo V, et al.: Histotype-tailored neoadjuvant chemotherapy versus standard chemotherapy in patients with high-risk soft-tissue sarcomas (ISG-STS 1001): an international, open-label, randomised, controlled, phase 3, multicentre trial. Lancet Oncol 18 (6): 812-822, 2017.[PUBMED Abstract]

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IV期の成人軟部肉腫

手術の役割放射線療法の役割、および化学療法の役割に関する詳しい考察については、本要約の治療法選択肢の概要のセクションを参照のこと。

肺転移が認められる場合、基礎にある疾患の生物学的態度が最適であるために選択された患者(すなわち、転移数が限定されており結節の増殖速度が遅い患者)は、転移性腫瘍の切除により長期無病生存が得られうる。 [1] [2] [3] 良好な治療成績がどの程度手術の効力によるものか、侵攻性の低い疾患と関連する因子に基づいた注意深い患者選択によるものかは不明である。 [1] [2] [3] 肝転移切除術の価値は明らかにされていない。

ドキソルビシンは数年間、転移性肉腫の管理における標準の全身療法と考えられている。 [4] [5] 単剤で臨床活性を有すると考えられる他の薬物には、イホスファミドエピルビシンゲムシタビン、およびパクリタキセルがある。 [6] [7] [8] [9] 単剤のドキソルビシンと比較したこれらの薬物の臨床活性は不明であり、これらの薬物の方が活性が優れているとは明らかにされていない。ドキソルビシンに他の薬物を追加すると、単剤のドキソルビシンで達成されるよりも高い臨床的有益性が得られるかどうかについては、論議の余地がある。高齢患者については、重度の毒性を防ぐため、単剤の順次投与が緩和のために好ましい戦略である。

1件のランダム化研究(NCT00061984)では、ドキソルビシン単独と比較してドキソルビシンイホスファミドを併用する用量強化により、進行期軟部肉腫患者の生存が改善するかどうかが評価された。 [10] この研究では、228人の患者がドキソルビシン単独を受ける群にランダムに割り付けられ、227人の患者がドキソルビシンイホスファミドの併用を受ける群にランダムに割り付けられた。追跡期間中央値は、ドキソルビシン単独群で56ヵ月(四分位範囲[IQR]、31-77)および併用群で59ヵ月(IQR、36-72)であった。

両群で全生存(OS)における有意差は認められなかった(OS期間中央値、ドキソルビシン単独群で12.8ヵ月;95.5%信頼区間[CI]、10.5-14.3 vs ドキソルビシンイホスファミドの併用群で14.3ヵ月;範囲、12.5-16.5ヵ月;ハザード比[HR]、0.83;95.5%CI、0.67-1.03;層別ログランク検定、P = 0.076)。無増悪生存(PFS)期間中央値は、ドキソルビシンイホスファミドの併用群の方(7.4ヵ月;95%CI、6.6-8.3)がドキソルビシン単独群(4.6ヵ月;範囲、2.9-5.6ヵ月;HR、0.74;95%CI、0.60-0.90;層別ログランク検定、P = 0.003)よりも有意に長かった。ドキソルビシンイホスファミドの併用群の患者(患者227人中60人[26%])の方がドキソルビシン単独群の患者(228人中31人[14%];P < 0.0006)よりも、全奏効を示した患者が多かった。最も一般的なグレード3および4の毒性作用(いずれもドキソルビシン単独群よりもドキソルビシンイホスファミドの併用群で多く認められた)は、白血球減少症(患者224人中97人[43%] vs 患者223人中40人[18%])、好中球減少(93人[42%] vs 83人[37%])、発熱性好中球減少(103人[46%] vs 30人[13%])、貧血(78人[35%] vs 10人[5%])、および血小板減少(75人[33%] vs 1人[1%未満])であった。 [10] [証拠レベル:1iiA]進行期軟部肉腫の症状緩和を目的としたドキソルビシンイホスファミドの併用による治療の強化は適応とされない。

2016年に、米国食品医薬品局(FDA)は、第II相ランダム化研究(NCT01185964)の結果に基づき、転移性軟部肉腫患者の第一選択治療としてドキソルビシンとの併用でolaratumabを承認した。 [11] olaratumabは、血小板由来増殖因子受容体αに対するヒト免疫グロブリンG1モノクローナル抗体で、血小板由来増殖因子リガンドの結合を遮断することが示されている。21日のサイクルの1日目と8日目にolaratumab、15mg/kg 静注を併用するまたは併用しないドキソルビシン(1日目に75mg/m2の用量で静注)が調査された。

OS期間中央値は併用レジメンで26.5ヵ月およびドキソルビシン単独で14.7ヵ月であった(HR、0.46;95%CI、0.30-0.71、P = 0.0003)。PFSの差は統計的に有意ではなかった(併用レジメンで6.6ヵ月およびドキソルビシン単独で4.1ヵ月)。客観的奏効率は併用レジメンで18.2%および単剤のドキソルビシンで11.9%であった(P = 0.3421)。有害事象は併用群でより一般的に認められ、好中球減少(58% vs 35%、ただし、発熱性好中球減少の割合は同等であった)、粘膜炎(53% vs 35%)、嘔吐(45% vs 18%)、および下痢(34% vs 23%)が含まれた。

ゲムシタビンおよびドセタキセルの併用は最初に平滑筋肉腫患者において有望な活性を示したが、他の組織型においても活性を示しており、133人の患者を対象にした1件のレトロスペクティブ・シリーズにおける全奏効率は18.4%であった。 [12]

GeDDis試験(ISRCTN07742377)では、未治療患者257人がゲムシタビンおよびドセタキセルの併用またはドキソルビシン単独のいずれかを受けるようにランダムに割り付けられた。 [13] 24週間PFS率(両群で46%)および主要エンドポイント(PFS期間中央値、23.3週間 vs 23.7週間)は両群で同一であった。この研究は、使用されたゲムシタビンの用量が比較的低く(1日目と8日目に675mg/m2であったのに対し、以前の試験では900mg/m2)、未分化多形肉腫患者の代表(以前の研究では活性の証拠を示した組織型)が比較的少なかったため、批判されている。論文の著者らは、転移性疾患の設定における第一選択治療としてドキソルビシン単独を依然として標準治療とすべきであると主張しているが、他の専門家は2つのレジメンを同等に受け入れることを支持するであろう;ただし、各レジメンの副作用の範囲は異なっている。

ドキソルビシン単独は伝統的に第III相臨床試験の状況で新たな薬物またはレジメンと比較するための標準治療群と考えられているが、一部の肉腫の亜型は特定の薬物に対してより高い感受性を示している。一部の亜型と特定の薬物の関係の例としては、以下がある:


明細胞肉腫や類上皮肉腫など、一部の亜型は本質的に従来の化学療法に抵抗性を示す。平滑筋肉腫は、滑膜肉腫(一般的に化学療法に最も感受性が高い亜型の1つと考えられる)と同様にイホスファミドに対してかなりの抵抗性(奏効率は約5%)を示す。円形細胞/粘液型脂肪肉腫はイホスファミドに対して強い感受性を示す。

標準治療法の選択肢

  1. 肺病変の切除は、原発腫瘍を制御できている場合に実施可能である。 [1] [2] [3]
  2. 化学療法。
    • 単剤の化学療法を実施し、その後に病変が再増殖した場合は単剤を投与する。 [4] [5] [6] [8] [9] [14] olaratumabを併用するまたは併用しないドキソルビシンは一般的に第一選択治療である。イホスファミドもまた、実質的に単剤で活性を有する。

    • ドキソルビシンをベースとする併用化学療法。さまざまなレジメンが用いられているが、第II相ランダム化研究におけるモノクローナル抗体、olaratumabを除いてドキソルビシン単独と比較してOSを増加させることが証明されたレジメンはない。 [4] [5] [11] イホスファミドの追加により奏効率(ただし生存率ではない)が増加するという証拠がある。ゲムシタビン + ドセタキセルは選択された症例において検討できる別の併用である。 [13] 一般的に、毒性作用は併用化学療法を使用すると増加する。単剤療法と併用療法を比較したQOLの研究は報告されていない。

    • 第一選択化学療法後に、以下の薬物が転移性疾患を有する患者の追加治療としてFDAの承認を受けている: [15] [16]
        脂肪細胞肉腫を除くすべての亜型に対するパゾパニブ。
        アントラサイクリンベースの化学療法後の平滑筋肉腫および脂肪肉腫に対するトラベクテジン。
        アントラサイクリンベースの化学療法後の脂肪肉腫に対するエリブリン。

最新の臨床試験

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参考文献
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  2. Casson AG, Putnam JB, Natarajan G, et al.: Five-year survival after pulmonary metastasectomy for adult soft tissue sarcoma. Cancer 69 (3): 662-8, 1992.[PUBMED Abstract]

  3. Putnam JB Jr, Roth JA: Surgical treatment for pulmonary metastases from sarcoma. Hematol Oncol Clin North Am 9 (4): 869-87, 1995.[PUBMED Abstract]

  4. Bramwell VH, Anderson D, Charette ML, et al.: Doxorubicin-based chemotherapy for the palliative treatment of adult patients with locally advanced or metastatic soft tissue sarcoma. Cochrane Database Syst Rev (3): CD003293, 2003.[PUBMED Abstract]

  5. Verma S, Younus J, Stys-Norman D, et al.: Meta-analysis of ifosfamide-based combination chemotherapy in advanced soft tissue sarcoma. Cancer Treat Rev 34 (4): 339-47, 2008.[PUBMED Abstract]

  6. Lorigan P, Verweij J, Papai Z, et al.: Phase III trial of two investigational schedules of ifosfamide compared with standard-dose doxorubicin in advanced or metastatic soft tissue sarcoma: a European Organisation for Research and Treatment of Cancer Soft Tissue and Bone Sarcoma Group Study. J Clin Oncol 25 (21): 3144-50, 2007.[PUBMED Abstract]

  7. Nielsen OS, Dombernowsky P, Mouridsen H, et al.: High-dose epirubicin is not an alternative to standard-dose doxorubicin in the treatment of advanced soft tissue sarcomas. A study of the EORTC soft tissue and bone sarcoma group. Br J Cancer 78 (12): 1634-9, 1998.[PUBMED Abstract]

  8. Maki RG, Wathen JK, Patel SR, et al.: Randomized phase II study of gemcitabine and docetaxel compared with gemcitabine alone in patients with metastatic soft tissue sarcomas: results of sarcoma alliance for research through collaboration study 002 [corrected]. J Clin Oncol 25 (19): 2755-63, 2007.[PUBMED Abstract]

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  10. Judson I, Verweij J, Gelderblom H, et al.: Doxorubicin alone versus intensified doxorubicin plus ifosfamide for first-line treatment of advanced or metastatic soft-tissue sarcoma: a randomised controlled phase 3 trial. Lancet Oncol 15 (4): 415-23, 2014.[PUBMED Abstract]

  11. Tap WD, Jones RL, Van Tine BA, et al.: Olaratumab and doxorubicin versus doxorubicin alone for treatment of soft-tissue sarcoma: an open-label phase 1b and randomised phase 2 trial. Lancet 388 (10043): 488-97, 2016.[PUBMED Abstract]

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  13. Seddon B, Strauss SJ, Whelan J, et al.: Gemcitabine and docetaxel versus doxorubicin as first-line treatment in previously untreated advanced unresectable or metastatic soft-tissue sarcomas (GeDDiS): a randomised controlled phase 3 trial. Lancet Oncol 18 (10): 1397-1410, 2017.[PUBMED Abstract]

  14. Grenader T, Goldberg A, Hadas-Halperin I, et al.: Long-term response to pegylated liposomal doxorubicin in patients with metastatic soft tissue sarcomas. Anticancer Drugs 20 (1): 15-20, 2009.[PUBMED Abstract]

  15. Demetri GD, von Mehren M, Jones RL, et al.: Efficacy and Safety of Trabectedin or Dacarbazine for Metastatic Liposarcoma or Leiomyosarcoma After Failure of Conventional Chemotherapy: Results of a Phase III Randomized Multicenter Clinical Trial. J Clin Oncol 34 (8): 786-93, 2016.[PUBMED Abstract]

  16. Schöffski P, Chawla S, Maki RG, et al.: Eribulin versus dacarbazine in previously treated patients with advanced liposarcoma or leiomyosarcoma: a randomised, open-label, multicentre, phase 3 trial. Lancet 387 (10028): 1629-37, 2016.[PUBMED Abstract]

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再発成人軟部肉腫

再発軟部肉腫患者の治療は、初回病状および初回治療の種類によって異なる。局所再発を来した患者はしばしば局所療法で治療できるが、ここで言う局所療法とは、初回治療が最小限である場合は外科的切除 + 放射線療法、初回治療として積極的治療が施されている場合には切断術を実施することである。 [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] 少数の肺転移の切除により、良好な無病生存が得られうる。 [8] [9] [10] [証拠レベル:3iiiDiv]しかしながら、良好な転帰に対する低い腫瘍負荷、緩慢な腫瘍増殖、長期の無病期間などの選択因子の寄与については不明である。

2012年以降、第一選択化学療法レジメンで失敗後の軟部肉腫の治療に次の3つの薬物が承認されている:脂肪細胞肉腫亜型を除くすべての軟部肉腫に対するチロシンキナーゼ阻害薬のパゾパニブ、脂肪肉腫に対するエリブリン、および平滑筋肉腫および脂肪肉腫に対するトラベクテジン。さらなる再発または進行時には、イホスファミドまたはゲムシタビンなど、他の薬物が順番に使用される。 [11] [12] [13] [14] [証拠レベル:3iiiDiv]しかしながら、これらの薬物はいずれもこうした状況で全生存(OS)率を高めることは示されていないため、臨床試験が妥当な選択肢である。

パゾパニブは、血管内皮増殖因子受容体-1、-2、および-3;血小板由来増殖因子受容体αおよびβ;線維芽細胞増殖因子受容体-1および-3など、いくつかのチロシンキナーゼのマルチターゲット経口低分子阻害薬である。European Organization for Research and Treatment of Cancerによる第III相ランダム化二重盲検PALETTE研究(NCT00753688)では、第一選択のアントラサイクリンベースのレジメンで進行後の脂肪細胞肉腫および消化管間質腫瘍を除くさまざまな亜型の患者369人においてパゾパニブ(毎日800mg)とプラセボが比較された。 [15] 無増悪生存(PFS)期間中央値は、パゾパニブを投与された患者で4.6ヵ月であったのに対し、プラセボを投与された患者では1.6ヵ月であった。OSの差は、パゾパニブを投与された患者で12.5ヵ月であったのに対し、プラセボを投与された患者では10.7ヵ月で統計的に有意ではなかった(ハザード比[HR]、0.86;95%CI、0.67-1.1)。全奏効率は、パゾパニブを投与された患者で6%であったのに対し、プラセボを投与された患者では0%であった。病勢の安定は、パゾパニブを投与された患者で67%であったのに対し、プラセボを投与された患者では38%であった。パゾパニブ群における最も一般的なグレード3または4の毒性作用は、疲労、高血圧、下痢、食欲不振、および一過性の肝機能検査値の上昇であった。上述のデータに基づいて、パゾパニブは2012年に、以前に化学療法を受けていた脂肪細胞肉腫亜型を除く軟部肉腫患者に対する治療法として米国食品医薬品局(FDA)により承認された。

エリブリンは、以前にアントラサイクリンを含む化学療法を受けていた切除不能または転移性脂肪肉腫患者に対する治療法として、2016年にFDAにより承認された微小管阻害薬である。承認は、進行性平滑筋肉腫または脂肪細胞肉腫患者452人において、エリブリン(1.4mg/m2、3週間ごとの1日目と8日目に静脈内投与[静注])とダカルバジン(850~1,200mg/m2、3週間ごとの1日目に静注)を比較した第III相多施設ランダム化試験に基づいていた。全集団でのOS期間中央値はエリブリン投与患者で13.5ヵ月 vs ダカルバジン投与患者で11.5ヵ月であった(HR死亡、0.77;95%CI、0.62-0.95)が、予め計画されていたサブセット解析により、脂肪肉腫患者ではエリブリンについて15.6ヵ月 vs ダカルバジンについて8.4ヵ月という顕著な生存期間中央値が明らかにされた。PFS期間中央値は両群で同じであった(2.6ヵ月)。 [16]

トラベクテジンは、進行性脂肪肉腫および平滑筋肉腫患者に対する第二選択治療としてFDAに承認された選択肢の1つである。承認は、トラベクテジン(1.5mg/m2、21日ごとの1日目に24時間)またはダカルバジン(1,000mg/m2、21日ごとの1日目)を投与された患者518人を対象にした第III相ランダム化研究に基づいていた。トラベクテジンを用いた治療により、PFS期間中央値が有意に改善した(トラベクテジンを投与された患者で4.2ヵ月 vs ダカルバジンを投与された患者で1.5ヵ月)。主要エンドポイントであるOSに統計的有意差は認められなかった(トラベクテジンを投与された患者で12.4ヵ月 vs ダカルバジンを投与された患者で12.9ヵ月)。奏効率は両治療群で低かった(トラベクテジンを投与された患者で10% vs ダカルバジンを投与された患者で7%)が、臨床的有益性(奏効率と病勢の安定の両方が含まれた)はトラベクテジン群(34%)の方がダカルバジン群(19%)よりも高かった。トラベクテジン群における最も一般的なグレード3および4の有害事象は、骨髄抑制および一過性の肝機能検査値の上昇であった。 [17] 複数の第II相研究で粘液型/円形細胞脂肪肉腫患者におけるトラベクテジンは特に高い奏効率を示しており、全奏効率は最大51%で、6ヵ月PFS率は88%であったことが明らかにされた。 [18]

2件の試験でチェックポイント阻害薬が検討されている。第II相Sarcoma Alliance for Research through Collaboration試験(SARC028[NCT02301039])では、4つの亜型(未分化多形肉腫[UPS]、滑膜肉腫[SS]、平滑筋肉腫[LMS]、および低分化型または脱分化型脂肪肉腫)におけるペムブロリズマブ単独による治療が研究された。 [19] 別の第II相ランダム化研究では、さまざまな軟部肉腫の治療にニボルマブ vs ニボルマブ + イピリムマブが調査された。 [20] ペムブロリズマブ研究では、軟部肉腫群患者の半数と骨肉腫コホートの半数の80人の患者が反応について評価可能であった。反応はUPSの患者10人中4人、LPSの患者10人中2人、SSの患者10人中1人、およびLMSの患者10人中0人で示され、全奏効率は18%であった。Alliance A091401研究(NCT02500797)では、患者がニボルマブ(n = 43人の患者)またはニボルマブ + イピリムマブ(n = 42人の患者)を受けるようにランダムに割り付けられた。客観的奏効数はニボルマブ群で2人(5%;胞巣状軟部肉腫の1人およびLMSの1人)および併用群で6人(16%;LMSの2人、粘液線維肉腫の1人、UPSの2人、および血管肉腫の1人)であった。選択された亜型である程度の活性が示されているが、チェックポイント阻害薬による治療に対する活性を予測しうる因子は依然として不明のままであり、これらの使用はルーチンには推奨できない。

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。


参考文献
  1. Singer S, Nielsen T, Antonescu CR: Molecular biology of soft tissue sarcoma. In: DeVita VT Jr, Lawrence TS, Rosenberg SA: Cancer: Principles and Practice of Oncology. 9th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2011, pp 1522-32.[PUBMED Abstract]

  2. Singer S, Maki RG, O'Sullivan B: Soft tissue sarcoma. In: DeVita VT Jr, Lawrence TS, Rosenberg SA: Cancer: Principles and Practice of Oncology. 9th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2011, pp 1533-77.[PUBMED Abstract]

  3. Malawer MM, Helman LJ, O'Sullivan B: Sarcomas of bone. In: DeVita VT Jr, Lawrence TS, Rosenberg SA: Cancer: Principles and Practice of Oncology. 9th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2011, pp 1578-1609.[PUBMED Abstract]

  4. Midis GP, Pollock RE, Chen NP, et al.: Locally recurrent soft tissue sarcoma of the extremities. Surgery 123 (6): 666-71, 1998.[PUBMED Abstract]

  5. Essner R, Selch M, Eilber FR: Reirradiation for extremity soft tissue sarcomas. Local control and complications. Cancer 67 (11): 2813-7, 1991.[PUBMED Abstract]

  6. Singer S, Antman K, Corson JM, et al.: Long-term salvageability for patients with locally recurrent soft-tissue sarcomas. Arch Surg 127 (5): 548-53; discussion 553-4, 1992.[PUBMED Abstract]

  7. Lewis JJ, Leung D, Heslin M, et al.: Association of local recurrence with subsequent survival in extremity soft tissue sarcoma. J Clin Oncol 15 (2): 646-52, 1997.[PUBMED Abstract]

  8. van Geel AN, Pastorino U, Jauch KW, et al.: Surgical treatment of lung metastases: The European Organization for Research and Treatment of Cancer-Soft Tissue and Bone Sarcoma Group study of 255 patients. Cancer 77 (4): 675-82, 1996.[PUBMED Abstract]

  9. Casson AG, Putnam JB, Natarajan G, et al.: Five-year survival after pulmonary metastasectomy for adult soft tissue sarcoma. Cancer 69 (3): 662-8, 1992.[PUBMED Abstract]

  10. Putnam JB Jr, Roth JA: Surgical treatment for pulmonary metastases from sarcoma. Hematol Oncol Clin North Am 9 (4): 869-87, 1995.[PUBMED Abstract]

  11. Lorigan P, Verweij J, Papai Z, et al.: Phase III trial of two investigational schedules of ifosfamide compared with standard-dose doxorubicin in advanced or metastatic soft tissue sarcoma: a European Organisation for Research and Treatment of Cancer Soft Tissue and Bone Sarcoma Group Study. J Clin Oncol 25 (21): 3144-50, 2007.[PUBMED Abstract]

  12. Nielsen OS, Dombernowsky P, Mouridsen H, et al.: High-dose epirubicin is not an alternative to standard-dose doxorubicin in the treatment of advanced soft tissue sarcomas. A study of the EORTC soft tissue and bone sarcoma group. Br J Cancer 78 (12): 1634-9, 1998.[PUBMED Abstract]

  13. Maki RG, Wathen JK, Patel SR, et al.: Randomized phase II study of gemcitabine and docetaxel compared with gemcitabine alone in patients with metastatic soft tissue sarcomas: results of sarcoma alliance for research through collaboration study 002 [corrected]. J Clin Oncol 25 (19): 2755-63, 2007.[PUBMED Abstract]

  14. Okuno S, Ryan LM, Edmonson JH, et al.: Phase II trial of gemcitabine in patients with advanced sarcomas (E1797): a trial of the Eastern Cooperative Oncology Group. Cancer 97 (8): 1969-73, 2003.[PUBMED Abstract]

  15. van der Graaf WT, Blay JY, Chawla SP, et al.: Pazopanib for metastatic soft-tissue sarcoma (PALETTE): a randomised, double-blind, placebo-controlled phase 3 trial. Lancet 379 (9829): 1879-86, 2012.[PUBMED Abstract]

  16. Schöffski P, Chawla S, Maki RG, et al.: Eribulin versus dacarbazine in previously treated patients with advanced liposarcoma or leiomyosarcoma: a randomised, open-label, multicentre, phase 3 trial. Lancet 387 (10028): 1629-37, 2016.[PUBMED Abstract]

  17. Demetri GD, von Mehren M, Jones RL, et al.: Efficacy and Safety of Trabectedin or Dacarbazine for Metastatic Liposarcoma or Leiomyosarcoma After Failure of Conventional Chemotherapy: Results of a Phase III Randomized Multicenter Clinical Trial. J Clin Oncol 34 (8): 786-93, 2016.[PUBMED Abstract]

  18. Grosso F, Jones RL, Demetri GD, et al.: Efficacy of trabectedin (ecteinascidin-743) in advanced pretreated myxoid liposarcomas: a retrospective study. Lancet Oncol 8 (7): 595-602, 2007.[PUBMED Abstract]

  19. Tawbi HA, Burgess M, Bolejack V, et al.: Pembrolizumab in advanced soft-tissue sarcoma and bone sarcoma (SARC028): a multicentre, two-cohort, single-arm, open-label, phase 2 trial. Lancet Oncol 18 (11): 1493-1501, 2017.[PUBMED Abstract]

  20. D'Angelo SP, Mahoney MR, Van Tine BA, et al.: Nivolumab with or without ipilimumab treatment for metastatic sarcoma (Alliance A091401): two open-label, non-comparative, randomised, phase 2 trials. Lancet Oncol 19 (3): 416-426, 2018.[PUBMED Abstract]

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本要約の変更点(08/09/2018)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

IV期の成人軟部肉腫

本セクションには編集上の変更がなされた。

再発成人軟部肉腫

本セクションには編集上の変更がなされた。

本要約はPDQ Adult Treatment Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

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本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、成人軟部肉腫の治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Adult Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:


  • 会議での議論、

  • 本文の引用、または

  • 既に引用されている既存の記事との入れ替え、または既存の記事の更新。

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

成人軟部肉腫の治療に対する主要な査読者は以下の通りである:


    本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

    証拠レベル

    本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Adult Treatment Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

    本要約の使用許可

    PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

    本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

    PDQ® Adult Treatment Editorial Board.PDQ Adult Soft Tissue Sarcoma Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/soft-tissue-sarcoma/hp/adult-soft-tissue-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389481]

    本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

    免責条項

    入手可能な証拠の強さに基づき、治療選択肢は「標準」または「臨床評価段階にある」のいずれかで記載される場合がある。これらの分類は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。

    お問い合わせ

    Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのEmail UsからもCancer.govに送信可能である。

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