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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

がんへの適応:不安と苦痛(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2018-08-23
    翻訳更新日 : 2018-10-18


医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、正常な適応の問題、および心理社会的苦痛と適応障害の病態生理学と治療について包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。


本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

概要

がん患者における精神疾患の有病率を検討する研究 [1] [2] によって、がん患者のほとんどが特異的精神疾患のいずれの診断基準も満たしていないことが明らかにされている;しかしながら、患者の多くが色々な難しい情動反応を経験している。 [3]

心理社会的苦痛は、正常な適応の問題から、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの第5版(DSM-5) [4] の適応障害、診断可能な精神疾患の診断基準を満たさないがその閾値レベルに近いもの(すなわち、診断基準の全部ではなく一部を満たす);さらに精神疾患の診断基準の全部を満たす症候群(例えば、大うつ病)まで、連続的に存在する(下のを参照のこと)。本要約では、主に軽症のもの、つまり正常な適応の問題、心理社会的苦痛 [5] 、適応障害、およびがん関連不安に焦点をしぼる。(詳しい情報については、うつ病がん関連心的外傷後ストレスに関するPDQ要約を参照のこと。)

不安は、しばしばがんのスクリーニング、診断、治療中または再発時のさまざまな時点で発現する。ときに健康に関わる人間の行動に影響を与え、がんを予防しうる方法の遅延または放置の一因となる。 [6] [7] [8] 例えば、不安度が高い女性が、以前に思っていたより乳がん発症リスクが遺伝的に高いことを知った場合、乳房自己検査を行う頻度が低くなる可能性がある。 [9]

がん治療施行中の患者では、不安によって痛み [10] [11] [12] 、他の苦痛症状、および睡眠障害の予期が増大する可能性もあり、不安は予期性の吐き気と嘔吐の主要因子になりうる。不安はその重症度にかかわらず、がん患者およびその家族の生活の質にかなり支障を与える可能性があり、評価および治療を行う必要がある。 [13] [14] [15]

特に明記していない場合、本要約には成人に関する証拠と治療について記載している。小児に関する証拠と治療は、成人の場合とかなり異なる可能性がある。小児の治療に関する情報が入手できる場合は、小児に関する情報であることを明記した上でその内容を要約する。


参考文献
  1. Derogatis LR, Morrow GR, Fetting J, et al.: The prevalence of psychiatric disorders among cancer patients. JAMA 249 (6): 751-7, 1983.[PUBMED Abstract]

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  3. Bisson JI, Chubb HL, Bennett S, et al.: The prevalence and predictors of psychological distress in patients with early localized prostate cancer. BJU Int 90 (1): 56-61, 2002.[PUBMED Abstract]

  4. American Psychiatric Association: Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders: DSM-5. 5th ed. Washington, DC: American Psychiatric Association, 2013.[PUBMED Abstract]

  5. National Comprehensive Cancer Network: NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology: Distress Management. Version 2.2018. Fort Washington, Pa: National Comprehensive Cancer Network, 2018. Available online with free registration. Last accessed August 6, 2018.[PUBMED Abstract]

  6. Lauver D, Ho CH: Explaining delay in care seeking for breast cancer symptoms. J Appl Soc Psychol 23 (21): 1806-25, 1993.[PUBMED Abstract]

  7. MacFarlane ME, Sony SD: Women, breast lump discovery, and associated stress. Health Care Women Int 13 (1): 23-32, 1992 Jan-Mar.[PUBMED Abstract]

  8. Gram IT, Slenker SE: Cancer anxiety and attitudes toward mammography among screening attenders, nonattenders, and women never invited. Am J Public Health 82 (2): 249-51, 1992.[PUBMED Abstract]

  9. Lerman C, Kash K, Stefanek M: Younger women at increased risk for breast cancer: perceived risk, psychological well-being, and surveillance behavior. J Natl Cancer Inst Monogr (16): 171-6, 1994.[PUBMED Abstract]

  10. Velikova G, Selby PJ, Snaith PR, et al.: The relationship of cancer pain to anxiety. Psychother Psychosom 63 (3-4): 181-4, 1995.[PUBMED Abstract]

  11. Glover J, Dibble SL, Dodd MJ, et al.: Mood states of oncology outpatients: does pain make a difference? J Pain Symptom Manage 10 (2): 120-8, 1995.[PUBMED Abstract]

  12. Ferrell-Torry AT, Glick OJ: The use of therapeutic massage as a nursing intervention to modify anxiety and the perception of cancer pain. Cancer Nurs 16 (2): 93-101, 1993.[PUBMED Abstract]

  13. Davis-Ali SH, Chesler MA, Chesney BK: Recognizing cancer as a family disease: worries and support reported by patients and spouses. Soc Work Health Care 19 (2): 45-65, 1993.[PUBMED Abstract]

  14. Dahlquist LM, Czyzewski DI, Copeland KG, et al.: Parents of children newly diagnosed with cancer: anxiety, coping, and marital distress. J Pediatr Psychol 18 (3): 365-76, 1993.[PUBMED Abstract]

  15. Payne SA: A study of quality of life in cancer patients receiving palliative chemotherapy. Soc Sci Med 35 (12): 1505-9, 1992.[PUBMED Abstract]

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定義

患者の要求と治療介入とを効果的にマッチさせるために、医療専門家は正常な適応を特徴とする周期性障害とより重篤な精神疾患とを鑑別できなければならない。この評価の助けとなるように、医療専門家は下記に定めているさまざまな関連する概念の差を理解しておく必要がある。

正常な適応:

がんへの適応または心理社会的適応は、患者それぞれが情動的苦痛を管理して特定のがん関連問題を解決し、がんに関連した人生の出来事を支配またはコントロールしようとしている過程であると定義されている。 [1] [2] [3] がんへの適応は、単一で単純な出来事ではなく、がんとの共存に伴う多様な作業への継続的な一連の対処反応である。(詳しい情報については、本要約の正常な適応のセクションを参照のこと。)

心理社会的苦痛:

がんにおける苦痛は以下のように定義されている:「がん、その身体症状、その治療にうまく対処する能力を阻害する可能性のある精神的(すなわち、認知的、行動的、感情的)、社会的、霊的、および/または身体的な性質をもつ多因子性の不愉快な経験のことで、苦痛は、共通で正常な脆弱感、悲しみ、および恐怖から、抑うつ、不安、パニック、社会からの孤立感、および実存主義的かつ霊的危機感などの障害性となる可能性のある問題まで、全般にわたる。」 [4] [5] (詳しい情報については、本要約の心理社会的苦痛のセクションを参照のこと。)

適応障害:

アメリカ精神医学会のDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの第5版(DSM-5) [6] による診断カテゴリーの1つである適応障害は、 臨床的に重要な情動症状または行動的症状の存在を特徴とし、社会的、職業的、またはその他の重要な活動の場で、著しい苦痛または重大な障害につながる。この症状は、同定できる心理社会的ストレス因子(例えば、がんの診断)に対する反応であって、大うつ病または全般性不安障害などの診断可能な重度の精神疾患よりも軽く、正常な死別に相当しない。(詳しい情報については、本要約の適応障害のセクションを参照のこと。)

不安障害:

不安障害は、一般的な症状として過剰な不安、心配、恐れ、憂慮、および/または恐怖を含む精神疾患群である。一部の不安は-特にがんなどのストレス因子に対する反応においては-適応可能なこともあるが、不安障害は過剰で根拠がなく、しばしば非論理的な恐れ、心配、および恐怖である。DSM-5では、不安障害のタイプとして、全般性不安障害、パニック障害、広場恐怖症、社会不安障害、特定の恐怖症、強迫性障害、および心的外傷後ストレス障害が含まれている。 [6] (詳しい情報については、本要約の不安障害:記述と病因のセクションを参照のこと。)

精神障害の連続。心理社会的苦痛は、正常な適応の問題から、精神疾患の診断基準の全部を満たす症候群まで、連続的に存在する。

参考文献
  1. Brennan J: Adjustment to cancer - coping or personal transition? Psychooncology 10 (1): 1-18, 2001 Jan-Feb.[PUBMED Abstract]

  2. Folkman S, Greer S: Promoting psychological well-being in the face of serious illness: when theory, research and practice inform each other. Psychooncology 9 (1): 11-9, 2000 Jan-Feb.[PUBMED Abstract]

  3. Nicholas DR, Veach TA: The psychosocial assessment of the adult cancer patient. Prof Psychol 31 (2): 206-15, 2000.[PUBMED Abstract]

  4. National Comprehensive Cancer Network: NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology: Distress Management. Version 2.2018. Fort Washington, Pa: National Comprehensive Cancer Network, 2018. Available online with free registration. Last accessed August 6, 2018.[PUBMED Abstract]

  5. Fashoyin-Aje LA, Martinez KA, Dy SM: New patient-centered care standards from the commission on cancer: opportunities and challenges. J Support Oncol 10 (3): 107-11, 2012 May-Jun.[PUBMED Abstract]

  6. American Psychiatric Association: Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders: DSM-5. 5th ed. Washington, DC: American Psychiatric Association, 2013.[PUBMED Abstract]

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危険因子:苦痛の有病率および予測因子

数件の研究がNational Comprehensive Cancer Networkの苦痛の強弱を計測する尺度(Distress Thermometer:DT)または簡易症候一覧表(Brief Symptom Inventory:BSI)のような他のスクリーニングツールで測定された苦痛の有病率について調査してきた。 [1] [2] [3] [4] [5] [6] がん患者における有病率は22~58%である。 [7]

複数の研究の蓄積された結果から、がん患者の約40%が顕著な苦痛を報告することが示唆されている。 [7] 肺がん、膵がん、および脳腫瘍の患者は苦痛を報告する可能性が高いようであるが、一般的にがんの種類は苦痛とはわずかしか関連していない。さまざまながんの種類を通して、苦痛のより強い予測因子には、身体障害、より不良な生活の質、および継続しているアンメット心理社会的ニーズがある。 [7]

臨床経過に伴う苦痛の有病率に関して、新たに乳がんと診断された女性236人(外科的腫瘍医との最初の相談を待っている)を対象にした1件の研究では、41%がDTで5より高い苦痛のスコアを報告したことが明らかにされた。この同じ女性集団において、11%が大うつ病を示す症状を報告し、10%が心的外傷後ストレス障害の症状を報告した。 [8]

苦痛を予測する因子に関して、さまざまながんの診断を受けた患者の大規模サンプル(N = 380)において、DTで4以上のスコアを報告した患者は女性の傾向が強く、機能状態が不良(自己報告式のKarnofsky Performance Scale)になりがちで、(DTに伴う問題チェックリストについて)住居、子供の扱い、パートナーへの対応、抑うつ、恐れ、神経質、悲しみ、心配、および20人中14人は身体の不調に伴う問題を報告する傾向がみられた。 [2]

治療後の苦痛を予測する因子について、早期乳がん女性151人を対象にした1件の縦断観察研究では、治療中に経験される身体的症状および副作用が治療後のがん関連の苦痛を予測し、計24%の分散の6%までを占めたことが明らかにされた。 [9] また、この治療後のがんに関係した苦痛と関連する人口統計的変数には、より若い年齢であること、非白人、および学校教育の少なさが含まれた。苦痛と関連する臨床的変数には、乳腺腫瘤摘出よりもむしろ乳房切除術を受けること、ホルモン治療を受けること、および研究への募集時にみられる診断可能な精神障害の存在が含まれた。

プロスペクティブ研究の包括的解析では、長期的な(診断時点から12ヵ月以上の)苦痛の予測因子が検討された。 [4] この解析で、診断の前後の期間での高度の苦痛が長期的な苦痛増大を示す最も信頼性の高い予測因子であることが明らかにされた。


参考文献
  1. Hoffman BM, Zevon MA, D'Arrigo MC, et al.: Screening for distress in cancer patients: the NCCN rapid-screening measure. Psychooncology 13 (11): 792-9, 2004.[PUBMED Abstract]

  2. Jacobsen PB, Donovan KA, Trask PC, et al.: Screening for psychologic distress in ambulatory cancer patients. Cancer 103 (7): 1494-502, 2005.[PUBMED Abstract]

  3. Akizuki N, Akechi T, Nakanishi T, et al.: Development of a brief screening interview for adjustment disorders and major depression in patients with cancer. Cancer 97 (10): 2605-13, 2003.[PUBMED Abstract]

  4. Cook SA, Salmon P, Hayes G, et al.: Predictors of emotional distress a year or more after diagnosis of cancer: A systematic review of the literature. Psychooncology 27 (3): 791-801, 2018.[PUBMED Abstract]

  5. Syrowatka A, Motulsky A, Kurteva S, et al.: Predictors of distress in female breast cancer survivors: a systematic review. Breast Cancer Res Treat 165 (2): 229-245, 2017.[PUBMED Abstract]

  6. Trask PC, Paterson A, Riba M, et al.: Assessment of psychological distress in prospective bone marrow transplant patients. Bone Marrow Transplant 29 (11): 917-25, 2002.[PUBMED Abstract]

  7. Carlson LE, Waller A, Mitchell AJ: Screening for distress and unmet needs in patients with cancer: review and recommendations. J Clin Oncol 30 (11): 1160-77, 2012.[PUBMED Abstract]

  8. Hegel MT, Moore CP, Collins ED, et al.: Distress, psychiatric syndromes, and impairment of function in women with newly diagnosed breast cancer. Cancer 107 (12): 2924-31, 2006.[PUBMED Abstract]

  9. Jim HS, Andrykowski MA, Munster PN, et al.: Physical symptoms/side effects during breast cancer treatment predict posttreatment distress. Ann Behav Med 34 (2): 200-8, 2007 Sep-Oct.[PUBMED Abstract]

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スクリーニングと評価

スクリーニングと評価は、2つの異なる過程とみられている。 [1] [2] スクリーニングは、心理社会的苦痛を有する患者を素早く同定する方法であり、一般的に精神保健の非専門家によって短い自己報告式の質問票を使用して実施され、より広範な評価のために紹介を要する患者を決定するという目的をもつ。 [3] がん患者の心理社会的評価は、対処および順応に対する諸因子に主眼を置いた、さらに詳細な臨床的面接である。精神保健の専門家が、患者の適応の程度を決めることを目的として評価面接を行う。 [1]

自己報告式のスクリーニング尺度

複数の研究により、苦痛状態にある患者を正確に同定するための単項目の尺度の性能が検証されている。 [4] [5] [6] [7] [8] 一般的に、苦痛の強弱を計測する尺度(DT)など、これらの極端に短いスクリーニング方法では、ごくわずかな全体的な正確度しか示されていない。これらのスクリーニング方法は、苦痛、不安、および抑うつを除外するには最適であるが、確定するには不十分である。

苦痛の強弱を計測する尺度(DT)

National Comprehensive Cancer Network(NCCN)の単項目の迅速なスクリーニングの尺度であるDTは、0~10(10が極度の苦痛)のスケールで患者の苦痛の量を質問する。問題チェックリストとともに、患者は過去1週間の自身の問題を表すことを求められる。 [9] がん患者に対して多くのスクリーニング尺度が検証されているが、DTが最も広く研究されている。DTの精神測定学的特性が検討されており、DTは0の苦痛なしから10の極度の苦痛まで分類した強弱式の0~10の視覚的アナログスケールである。 [4]

より定着した、多次元的な症状一覧表2つと比較した場合、このDTには合理的な収束的妥当性および弁別的妥当性がみられた。このきわめて短時間で迅速なスクリーニング方法は、2つの症状一覧表で事例性を示すスコアによって定義されており、苦痛を正確に検知する性能は中程度である。感度と特異度を最大にするために特異的なカットオフ値を検証したが、分類の正確度を最大化した単一のカットオフ値は発見されなかった。このように、変動するカットオフ値は、低スコアの場合は紹介なしという結果で、中等度のスコアは任意での紹介に終わり、高スコアはさらなる介入を強く推奨されるなど、紹介の勧告が異なるという結果に至るように推奨された。 [4]

新たにI期~III期乳がんと診断された女性321人を対象にした研究では、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの第四回修正版(DSM-IV-TR)にみられる大うつ病の9症状が自己報告式の質問票で測定され、うつ病を特異的に予測する単項目のDTの性能が調査された。感度および特異度の特徴が評価され、最適なカットオフスコアは7であることが同定され、うつ病発見について0.81の感度および0.85の特異度が得られた。そのため、スコアが7以上の個人はより徹底的な心理社会的評価を受けるべきである。 [10]

他の自己報告式のスクリーニング尺度

スクリーニング尺度として他にも多くの自己報告式の質問票が用いられている(表1を参照のこと);一般的に、これらも苦痛の除外に適しており、苦痛の確定には不十分である。したがって、ほとんどのスクリーニング尺度は偽陽性結果の数が多く、比較的広範な心理社会的評価の面談を引き続いて実施する必要がある。

表1.がん患者における心理社会的苦痛の同定に用いる自己報告式のスクリーニング尺度の例

名称 項目(番号) 時間(分) 評価内容
簡易症候一覧表(BSI) [11] 53 7–10 身体化、不安、対人感受性、うつ病、敵意、恐怖症性不安、妄想性思考、精神病、および強迫
簡易症候一覧表(BSI-18) [12] 18 3–5 身体化、うつ病、不安、および全身の苦痛
苦痛の強弱を計測する尺度(DT)および問題リスト [2] [10] さまざま 2–3 苦痛および苦痛による問題
慢性疾患治療の機能評価(FACIT、以前はがん治療の機能評価[FACT]) [13] 27 5–10 QOLの4領域:肉体の健康、機能面の健康、社会福祉/家族の幸福、および情緒面の健康
病院不安およびうつ尺度(HADS) [14] [15] [16] 14 5–10 自律神経症状を伴わない臨床的うつ病および不安の情動-認知症状
患者報告アウトカム測定情報システム(PROMIS)スクリーニングツール [17] 最大88(ドメインあたり8~15) さまざま 8ドメイン(不安、抑うつ、痛みによる障害、疲労、睡眠障害、身体機能、社会機能、認知機能)にわたる年齢、がんの病期、およびがんの種類に基づく臨床基準;各ドメインは個別に考慮できる。
気分状態測定尺度(POMS) [18] 65 10–25 6種の気分状態:不安、疲労、錯乱、抑うつ、怒り、および活気
ツング自己評価抑うつ尺度 [19] 20 5–10 抑うつの症状


自己報告式のスクリーニング尺度を採点して評価し、患者それぞれと話し合うべきである。トリアージ-スクリーニングの結果を知らせ、患者それぞれの要求を話し合い、今後の処置について最善の方針を決定する過程-がスクリーニングをうまく利用する鍵である。実際は、適切な治療施設が利用できないスクリーニングは非倫理的であると考えられている。一次腫瘍科チーム(腫瘍医、看護師、緩和ケアの専門家、社会福祉士、およびカウンセラー)はトリアージを成功させる責務がある。いくつかの研究で、中等度から高度の苦痛を報告しているかなりの割合の患者が、これ以上の評価を拒否している。 [20] [21] [22] [23] 一次腫瘍学チームは、今後の心理社会的評価の必要性を伝える最も良い方法を考えるべきである。

NCCNによる標準ケア [9] によって、軽度であると評価された苦痛が、地域の自助グループに紹介されたり、一次腫瘍科チームによってのみ管理されたりすることがあることが示唆される。苦痛が中等度から重度にわたるとの評価が、苦痛の性格にもよるが、他の適切な専門家(心理士、精神科医、社会福祉士、緩和ケアの専門家、または聖職者カウンセラー)に紹介するのに正当な理由となる。

心理社会的評価

苦痛を同定された場合は、スクリーニングに続いて心理社会的順応を評価すべきである。心理社会的評価は典型的に半構造化された面接のことで、そこで専門家は患者、その家族、他の知人が疾患の現在の要求について、患者の生活の中でどの程度順応しているかを評価する。この評価過程は一般に、総合的な順応に関連するさまざまな因子を検討することである。 [1] (詳しい情報については、本要約の適応に影響する一般因子のセクションを参照のこと。)

スクリーニングから評価への移行を成功させるには、腫瘍チームと患者間での明確なコミュニケーションが必要である。心理社会的要求について患者と話し合うのに単純で最善な方法はないが、臨床経験によって重要な概念がいくつか示唆されている。第一に、患者のほとんどが、信頼性、専門技術、熱意、心遣い、関心を示している健康管理の専門家による推奨事項に正しく応じている。

言葉の選択が重要になる。苦痛、懸念、心配、不明確、疾患またはその治療によるストレス因子などの言葉を選択するようにして、精神医学的、心理学的、精神的障害、適応障害または精神病など重篤な精神病のスティグマを示唆する言葉は避けるべきである。以下のような言葉を選択することを提案する:


  • あなたが記入する質問票は、われわれがあなたをひとりの人物として理解するのに役立ち、また、われわれは、身体的、感情的、社会的および霊的に可能な限り、最善のケアを提供したいのです。

  • あなたは気付いていると思われますが、重篤な疾患はさまざまな形で(感情的に、社会的に、経済的に、ならびに仕事、関係、および気力に関して)QOLに影響を及ぼすことがあります。がんには身体的なことだけでなく、さらに多くのことが関わっており、あなたの生活のこうした他の次元に注意を向けたいのです。

  • あなたの懸念および心配は、疾患およびその治療のことを考えれば十分理解できるものです。われわれは、あなたが現在経験している(感情的、社会的、霊的)側面を無視したくありません。

  • われわれは、患者の多くが色々な心配について医療専門家(社会福祉士、精神保健の専門家、緩和ケアの専門家、または聖職者カウンセラーなど)と話し合う機会をもつことによって、大きな恩恵を受けていることを知っているので、こうした機会をもつスケジュールを立てたいと思います。

  • さらに説明するために専門家との45分のインタビューを提案します:
      その専門家はあなたの話を詳細に聞きます。
      あなたの疾患についての経験を知りたいのです。
      あなた、あなたの家族や友人、他に援助してくれる人について質問します。
      あなたがどのように疾患に適応しているのかを尋ね、あなたが既に利用し、奏効している対処戦略を続けるように勇気づけます(また、フィードバックも提供します)。
      心配に対処する追加の方途を提案します。

モデルスクリーニングプログラム

さまざまながん総合施設で、心理社会的苦痛をスクリーニングするモデルが開発されている。差異は大きいが、モデルのほとんどが次のような一連の段階を伴っている:


  • スクリーニングの実施。

  • スコアおよび評価。

  • 紹介。

心理社会的苦痛に対するスクリーニングのほとんどは個々の患者に焦点が当てられている;しかしながら、家族に主眼を置いたスクリーニング方法がいくつか開発されつつある。 [24]

スクリーニングの実施には5~10分で実施できるプロセスがあり、患者はそれぞれ苦痛について、口頭、文書による自己報告式の質問票またはコンピュータを用いた質問票によって、一連の単純かつ単刀直入な質問に回答する。回答は既存の基準に基づいて採点され、評価される。スコアが規定された基準を上回る場合、その後に適切な専門領域(社会福祉、心理学者、精神科医、緩和ケア、聖職者によるケア)に正式に紹介される。次に同定された問題に適任の資格を有する医療専門家(例、社会福祉士、心理士、精神科医、緩和ケアの専門家、聖職者カウンセラー)によって、さらに包括的な心理社会的評価面接を向かい合って行うことから苦痛の管理を始める。 [1]

スクリーニングプログラムの成功は、以下の結果によって評価できる:


  • 重大な心理社会的苦痛を経験している患者を正確に同定すること。

  • 臨床的に関連のある苦痛を扱う適切な医療専門家への患者の紹介を改善すること。

  • 重度の苦痛を経験している患者がそうした紹介を受け入れること。

  • 患者の来院中にQOLの問題について頻繁に話し合えるように患者と臨床医とのコミュニケーションを向上させること。

  • スクリーニングプログラムの結果として、苦痛レベルが低下し、QOLが向上すること。

これらの結果を用いて構造化されたスクリーニングプログラムの影響を評価している経験的研究はほとんどない。こうした研究のほとんどで、介入は、スクリーニングの結果を電話で追跡し、紹介するか、スクリーニングの訓練を受けたまたは訓練を受けていない臨床医との面談での話し合いを行うかであった。研究デザインは、スクリーニングツール(簡潔 vs 包括的スクリーニングツール)、介入の構成要素(スクリーニングの訓練を受けた vs 訓練を受けていない臨床医)、および研究の結果の点で異なっている。研究デザインはまた対照についても異なっている;例えば、対照群がスクリーニングを受けない研究もあれば [25] 、患者はスクリーニングを受けるが、その結果が臨床医に伝えられない研究もあった。 [26]

スクリーニング研究の結果は、スクリーニングブログラムの構造や評価された結果によって混在している。2件の研究では、対照群と介入群間で苦痛、QOL、またはがんに伴う需要における有意差はみられなかった。 [25] [26] 心理社会的な紹介サービスを受け入れる患者の少なさは、これらの研究で確認された制限の1つであった。 [26]

1件の研究において、中等度~重度に抑うつ状態の患者のサブグループは介入後、うつ病の有意な減少を示した一方で [26] 、別の研究では、不安/うつ病の減少に対する最良の予測因子は心理社会的なサービスへの紹介であった。 [27] 別の研究では、がんの三次施設の大規模患者集団(N = 3,133)を対象にして個別化されたスクリーニングプログラムのほか、コンピュータ化されたスクリーニングプログラムの実行可能性が示された。 [28]

これらの混在する結果を考慮すると、スクリーニングプログラムの有効性のさらなる経験的評価が必要とされる。この過程を説明するのに以下の例が有用になるであろう。

疼痛の測定に使用されていたツールを手本にしたDTを用いた実験がMemorial Sloan-Kettering Cancer Centerで実施されている。 [9] DTでの記述的アンカー点には、以下のような評価がある:


  • 評価0の苦痛なし

  • 評価10の極度の苦痛

患者にはスクリーニング日を含む先の1週間で経験している苦痛について0~10のスケールでの評価が求められる。DTとともに、問題チェックリストがあり、重要な可能性のあるストレス源の特定に役立つ。患者は、最も妥当な問題を確認するよう求められる。問題のカテゴリーには以下のものがある:


  • 現実的なもの(例、住居、保険、交通手段)。

  • 身体的なこと(例、疼痛、吐き気、疲労)。

  • 家族または支援者に関するもの(例、配偶者、子供、友人)。

  • 感情的なこと(例、心配、悲しみ、抑うつ、怒り)。

  • 霊的/宗教的なこと(例、神との関係、信仰の喪失)。

一次腫瘍科チーム(腫瘍医、看護師、緩和ケアの専門家、社会福祉士)は、この簡単なスクリーニングの実施および患者の反応の評価に加え、必要に応じて紹介先を手配する責任がある。スクリーニングの予備検査には、さらなる評価が必要なものとして5またはそれ以上のカットオフ値が用いられた。最初のニーズアセスメントでは、患者の20~52%が有意なレベルの苦痛を報告することが示された。 [9]

ジョンズ-ホプキンスがんセンターでは、初診の患者にはいずれも、18項目から成る簡易症候一覧表(BSI)を渡され [12] 、これには、患者がときに経験する18の問題(例、失神またはめまい、物事に対する興味の喪失、孤独感、または吐き気や胃のむかつき)が記載されている。患者は、18の問題ごとに、スクリーニング日を含むこの7日間でどの程度の苦痛を感じているかについて質問される。この手順は自動化されており、現在の聖職者および補助職員が、初診時または再診時に一覧表を配布するとともに回収もしている。 [2] コンピュータによる判定終了後、サービス提供の申し出が行われる場合には専門職員が関わる。強いレベルの苦痛を有すると選別された患者は直ちにフォローアップのために社会福祉士に紹介される;弱いレベルの苦痛を有すると選別された患者には心理社会的適応指導プログラムに紹介され、これは、構造化された教育プログラムであり、さまざまな心理社会的プログラム(例、疾患別の支援グループ、心理教育の紹介)に関する情報を提供することによって患者の順応性を高めるようにデザインされている。

地域がん医療腫瘍症状管理研究グループは典型的に、ツング自己評価抑うつ尺度(ZSDS)を用いて来診する患者をすべて検査している。 [29] [30] このZSDSは、20項目から成る自己報告式の抑うつをスクリーニングする尺度であり、抑うつおよびこれより広範囲にわたる苦痛を同定するのに使用されてきた;個々の項目がこのほか、疲労などの状態を選別するのに使用されている。 [31] 患者が待合室にいる間、職員が一般的にそのスクリーンを行う。スコアは終了後すぐに分析されるので、腫瘍医は関係ある問題をブリーフィングできる。その上、中程度あるいは高いスコアの患者は同定されて精神科医や心理士によってさらにフォローアップとより広範な面接を受ける。このほか、疲労など、個々の項目に誘発される患者を面接し、多数の症状を管理する研究試験に参加できる対象をモニタリングする。


参考文献
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正常な適応

がんへの適応、対処、または心理社会的適応は、患者それぞれが情動的苦痛を管理して特定のがん関連問題を解決し、がんに関連した人生の出来事を支配またはコントロールしようとしている過程であると定義されている。 [1] [2] [3] がんへの適応は、単一で単純な出来事ではなく、がんとの共存に伴う多様な作業への継続的な一連の対処反応である。患者はがんの臨床経過とともに変化する多くの難題に直面する。危機および重大な課題がよく発生する時期としては、以下が挙げられる:


  • 初回診断。

  • 積極的治療(外科手術、放射線療法、および化学療法)。

  • 治療後および寛解。

  • 再発。

  • 根治療法の中止。

  • 長期生存。

こうした事象のそれぞれに、特定の対処に関する課題、特定の実存的疑問、共通の多くの情動反応および特定の問題がある。

正常な適応または適応の達成は、生活の役割を中断することを最小限に抑えて情動的苦痛を管理し、生活の諸側面の意味と重要性に積極的に関与し続ける患者に当てはまる。

対処とは、患者が適応しようと努力するのに利用する特定の考えおよび行動のことである。 [2] 対処の認知論の1つ [4] は、人生の重要な事象に対して、人間が以下の2つの重要な質問を尋ねるということを示している:


  • 私にとってこの出来事は個人的に重要か。

  • この出来事を処理/コントロールする上で私にはどのような手段があるか。

苦痛を感じる程度が低いのは、状況に対する要求がきわめて低いか、患者の有する治療費財源が豊富にあるかのいずれかを認知している結果である。 [5] このため、苦痛を感じる程度を低くするには、その状況に対する要求を低くするか、認知している治療費財源を多くするかのいずれかが必要になってくる。

対処戦略とは、がん治療の副作用に適応するために日常習慣や仕事のスケジュールを再調整することなど、状況に特異的な対処努力を用いる具体的な認知および行動活動を言う。対処戦略は適応への努力で成り立っている。多くの対処戦略が成功している中で、以下の3つが広義のカテゴリーとして知られている: [2] [6] [7]


  • 問題焦点型戦略。

  • 情動焦点型戦略。

  • 意味焦点型戦略。

患者は、現在の機能程度に応じて適応から不適応までさえ、これらの戦略を切り替えることができる。

問題焦点型戦略は、問題のある状況を直接変えようとすることによって、患者が特定の問題をうまく処理するのに助けとなる。これらのアプローチの一部は、適応型となる場合(治療法選択肢、生存率に関する情報を探すなど)があるが、一部の問題焦点型戦略は、適応型でない場合(実験に基づいていない治療法選択肢に多額の費用をかけるなど)もある。 [8] 情動焦点型戦略は、情動と連動した行動(社会的支援を求めるなど)、または苦痛の原因を思い出すことを避けるようにする(診断後に治療を求めない、アルコールや他の薬物を使用するなどの)情動を回避する行動のいずれかにより患者が情動的苦痛の程度を調整するのに役立つ。意味焦点型戦略は、がんが発生した理由ならびにがんが患者の人生に及ぼす影響について患者が理解するのに有用となる。一般に、うまく順応する患者は典型的に、がんに対処する過程に活発に関わり、生活に意義および重要性を求め続ける。これとは逆に、うまく順応しない患者は、孤立し、引きこもるようになり、絶望を感じることが多い。このため、社会参加とあきらめの程度を評価することが、適応の成功と失敗とを識別する方法であると考えられる。

対処スタイルは、人が生活のさまざまな状況を通して使用する傾向がある最も一般的で、頻度が高く、かつ長期に使用する一式の対処戦略(アルコールの使用、社会的支援の要請、宗教的/霊的資源の利用など)のことである。対処スタイルは、全体的な素質および性格(例えば、楽観主義、悲観主義、内向性、外向性)にしばしば密接に関係している。 [9]

がんへの対処に関する文献の1つの批判は、がんへの対処は単純な単一の出来事であるという想定に集中している。現実には、がんへの対処は、遭遇するストレス因子の性質によって異なる複数の対処スタイルおよび対処戦略を含む。例えば、がんに対して緩和ケアを受けている成人52人の研究において [10] 、患者は半構造化した面談に参加し、面談では最も重大なストレス因子にどのように対処したかについて尋ねられた。結果から、参加者のほとんどが1つの領域の対処戦略を用いた;しかしながら、ストレス因子の領域(実存主義的、心理社会的、身体的)と対処カテゴリー(問題焦点型、情動焦点型、情動回避型)には相互作用があるということが示された。問題焦点型戦略が実存的ストレス因子に用いられることが少ない一方で、情動焦点型戦略は身体的ストレス因子に用いられることが少なかった。 [10]

適応に影響する一般因子

がんによる色々なストレス因子への正常な適応には共有性がいくつかみられるが、個体差も多くみられる。患者ががんに対処する方法を予測するのは難しいので、がんへの適応に影響を及ぼす諸因子を認識するのは重要である。II期またはIII期乳がんの女性を対象にした1件の研究 [11] では、診断時に測定されるストレス(がんのストレスおよびがん以外のストレスを含む)のレベルが高いと、術後の身体的および心理学的QOLが低くなることが予測されるということが報告された。

別の研究では0期~III期乳がん女性(N = 89)を3つの時点:治療中、治療終了後3週間経過時、治療後3ヵ月経過時で評価した。ほとんどの生存者は全身の苦痛の指標について良好な適応を示した。持続的苦痛を予測する因子には、若年、うつ病または不安の病歴、およびより広範囲にわたる治療が含まれた。 [12]

心理社会的適応/順応は、広義のカテゴリーに分類される3因子:すなわち、がん由来因子、患者由来因子、および社会由来因子に左右される。 [3]

楽観主義と悲観主義の人格特性は、がん患者の心理学的な健康感において重要な役割を果たしている可能性がある。ドイツの研究では、異種性がん(heterogeneous cancer)と新たに診断されたがん患者161人における楽観主義と悲観主義の心理的幸福への影響が調査された。 [13] 患者は最初の化学療法セッション開始前および9ヵ月の追跡時に楽観主義/悲観主義、ポジティブ/ネガティブ感情について評価された。化学療法開始前の心理的幸福感が強い場合は、楽観主義がより高いレベルに、そして悲観主義はより低いレベルになった。9ヵ月の追跡時点で、悲観主義により、心理的幸福の否定的な変化に加え、化学療法関連の副作用の経験増大が予測された。

社会的支援を利用できるかどうかは、乳がんによる死亡率と関係することが明らかにされている。乳がんで、診断前に密接な関わり(例、近親者、友人、または生存している子供)を全くもたなかったと報告した女性看護師2,835人を対象にした縦断研究では、これらの女性は、社会的な関わりがより多かった(例、近親者が10人以上)女性と比較して乳がんの死亡リスクが2倍高かった。 [14]

適応に与える特異的影響

診断をきく

がんに適応する過程が診断前でも始まっていることがある。症状の説明がつかない場合またはがんの存在を明らかにする検査を受けていることに気付いている場合、患者は正常レベルの恐怖、心配および懸念を抱くことがある。患者は診断を聞くと恐怖を実感するようになり、心理的苦境および実存的苦境(危機)に陥る。 [15] がんへの適応の後に生じる苦痛増大が注意や認知の処理に与える影響のために、がん診断に関する患者とのコミュニケーションが損なわれる可能性がある(詳しい情報については、がん医療におけるコミュニケーションに関するPDQ要約を参照)。 [16] がんへの適応と関係し、患者と医療提供者の意思疎通やQOLにも影響を及ぼすことのある疲労、不眠、抑うつ気分などの問題に対処するための専門家による追加支援は、この時期に有用な可能性がある。 [17]

積極的な治療

長期にわたる順応は、さらに長期かつ永続的な適応が起こる長い期間からなる。この期間は数週間から数ヵ月に及び、この期間に、患者はさまざまな対処戦略および対処スタイルを利用する。長期の対処スタイルと短期の対処戦略とを組み合わせることは通常、患者が順応しようと努力する際に有用となる。 [18] 患者ががんに直面する上での個人差は、適応および不適応の両方の対処スタイルおよび戦略の多様性を生み出す。 [19]

治療後の寛解

積極的な治療の完了は、がん患者とその家族にアンビバレンスをもたらすことがある。積極的な治療の完了は苦痛の高まる時期になることがあり [20] 、疾患と戦う積極的な医療の終了、モニタリングの減少、および医療チームからの頻繁な接触/支援の喪失によって生じる新たな脆弱感を伴う。 [21]

これ以外の適応問題には、不安定感を抱えながら生活すること、以前の生活の役割に復帰すること、健康に過敏になること(特にがんまたは治療の認知的または身体的影響が長引く場合)が挙げられる。 [22]

フォローアップの予約日が近づくにつれて、正常レベルの不安および心配がしばしば増大する。正常レベルの不安は、再発および再発に関連した情緒的帰結に関する問題(例えば、患者の役割に再び復帰すること、コントロールを失ったという新たな感情)から生じている。患者の多くが、きわめて強い苦痛を経験することになる検査結果を待っていることに気付いている。

ほとんどの患者で、治療完了への適応は、正常な苦痛増大を引き起こすが、これは一時的であり、多くの患者で数週間以内に回復する。治療後の適応に関する経験的研究の1つでは、放射線療法を完了した0、I、II、またはIII期の乳がん女性94人について、治療最終日、ならびに治療後2週、4~6週、3ヵ月、および6ヵ月時点での、抑うつ、不安、QOLが測定された。その結果は、治療終了日には高度のうつ病症状、低レベルの不安、QOLの低下が認められたが、2週間後までにはうつ病の症状は有意に減退し、QOLも有意に改善していた。 [23]

再発

治療後のがん再発は、患者のストレスを増大させる可能性があり、心理社会的-霊的苦痛についてのスクリーニングを医療提供者に促す場合がある。再発乳がんの女性の研究では、再発後1ヵ月以内に身体的、機能的、および情緒的に満足な生活状態が顕著に悪化することが明らかにされた;しかしながら、患者の自己効力(病気に強いられていることを何とかやっていこうとする患者本人の能力の自信)、社会的サポート、および家族の強壮性(苦難や変化を切り抜けていくための家族との距離の強さおよびその能力)が生活の質に対してプラスの効果を与えている。反対に、身体的症状に対する深い嘆き、生活に関するその他の心配、絶望感、病気あるいは治療奉仕の否定的な理解は、生活の質をよりいっそう低くしていた。 [24]

根治療法の中止

根治治療計画からもう一度緩和ケアを中心としたものに切り替えることは、がん患者にとってきわめて困難になる可能性がある。患者が新たな心理的苦痛、身体的症状、実存する死の危機に直面し、このいずれもが組み合わさって進行がんに伴う苦痛になることが多いことから、この移行には極度の苦痛を伴うことがある。 [25] あるメタアナリシスで、4,000人を超える患者を対象に7ヵ国で実施された緩和ケアの状況における気分障害に関する24の研究において、メンタルヘルスの変数が検討された。 [26] これらの研究のすべてにおいて、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM)またはInternational Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(ICD)の基準に従い診断が行われた。このメタアナリシスで、気分障害および不安は緩和ケアの患者で有病率が高かった(また、緩和ケアのあらゆる状況でスクリーニングおよび治療を確実に行うべきである)が、緩和ケアの治療で患者にメンタルヘルスの懸念がみられないことは異常なことではないことが明らかになった。重大な気分障害または抑うつは、緩和ケアを受けている集団の24.6%にみられたが、一種の不安障害が患者のほぼ10%(9.8%)で特定された。適応障害(不安および/または抑うつの特徴を伴う)などのより軽い種類のメンタルヘルスの懸念が患者の24.7%にみられた。 [26] (詳しい情報については、うつ病がん関連心的外傷後ストレスに関するPDQ要約を参照のこと。)

再発の危機にうまく適応する患者は、期待がシフトすることが多く、意義のあるさまざまな生活の活動に希望をもち続けることが多い。例えば、疼痛および苦痛をコントロールできると確信している患者は、将来のQOLに希望をもっている。宗教と霊性は、多くの患者が精神的および身体的な生活の質を維持するのに役立つ非常に重要な役割を果たす。生活の質の障害となる可能性のある身体およびメンタルヘルスの状態についてのスクリーニングと同様に、医療提供者は、適切な紹介を行うために、この段階のがんに対する適応の一部として、霊的健康についてのスクリーニングを望むことがある。 [27] [28] (詳しい情報については、がん医療における霊性に関するPDQ要約を参照のこと。)

長期生存

治療後から長期にわたる生存への適応は緩徐であり、長年にわたり続く。ただ、患者の大部分は、さまざまながんの診断および治療にもかかわらずよく適応して、がんの診断に対して利益(例えば、生命の感謝、生きる価値の最優先化、霊的または宗教的信念の強化)を報告する人さえもいる。 [29] [30] [31] [32] うまく適応できない患者は、より重篤な医学的問題を抱えている、社会的支援が少ない、発症前の心理的適応がうまくできない、経済的資源が乏しいなどの傾向がみられる。

がんの生存者と健常対照群に関する研究によって一般に、心理的苦痛、夫婦間の適応および性的適応、社会機能、総合的な心理社会的機能の評価に有意差がみられないことが明らかにされている。

ただし、多くのがん患者は、閾値以下であるか、診断基準を満たす程重度ではない苦痛の共通領域として、再発への不安、脆弱感の増大、コントロールの感覚の低下、不安および吐き気を引き起こすように条件付けされた化学療法を思い起こさせるもの(臭覚、視覚)、心的外傷後ストレス様の症状(がんに伴って、心にしつこく割り込んでくる考えまたは再発のイメージ)、身体像および性欲に関する問題などのいくつかを経験する。 [33] 6,000人を超えるがん生存者の評価により、ほとんどが強さは低いものの、再発の恐れを報告した生存者が50%を超えることが明らかになった。高いレベルの再発の恐れを経験するリスクがある生存者には、女性の生存者、59歳未満の人、診断後5~7年の人、社会的孤立者、教育水準が低い人、転移や再発を経験した人が含まれていた。 [34]

がん生存者を対象にした数少ないプロスペクティブ縦断研究の1つでは、米国の3州からの患者752人がさまざまな心理社会的問題に関する質問を受けた。診断後約1年で、患者の68%は病気がぶり返すのではないかという恐れを抱き、約60%が再発を心配し、また58%が今後への不安を抱いていた。さらに、生存者のおよそ3人に2人は、疲労および体力の喪失などの身体的な健康問題に関する懸念を抱いていた。約48%の患者が睡眠障害を訴え、また41%の患者は性機能障害への懸念を報告した。より若い生存者(18~54歳)、女性、非白人、未婚の生存者、および低所得層の生存者は、より多くの問題を訴えた。一般的な4つのがんを比較すると、生きていくことへの問題について最大の懸念を訴えたのは肺がん患者であり、乳がん、大腸がん、および前立腺がんの生存者がこれに続いた。 [35]

65歳以上の乳がん生存者の女性を対象にした1件の大規模(N = 660)縦断研究で、情緒的な幸福の変化と関連する因子が調査された。全体的な所見から、ほとんどの女性にとって5年間の生存は比較的安定しており、情緒的な幸福の変化はほとんどみられないことが示唆された。しかしながら、学校教育を受けた期間が12年未満の女性および自身を決して治癒しないと認識していた女性は情緒的な幸福の低下を経験する可能性が高い一方で、身体機能がより良好で、精神的に十分に支えられ、医師と患者のコミュニケーションが良好であると認識していた女性は情緒的な健康が不良である可能性は低いことが指摘された。 [36]


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心理社会的苦痛

苦痛は以下のように定義されている:「がん、その身体症状、その治療にうまく対処する能力を阻害する可能性のある精神的(すなわち、認知的、行動的、感情的)、社会的、霊的、および/または身体的な性質をもつ多因子性の不愉快な経験のことで、苦痛は、共通で正常な脆弱感、悲しみ、および恐怖から、抑うつ、不安、パニック、社会からの孤立感、および実存主義的かつ霊的危機感などの障害性となる可能性のある問題まで、全般にわたる。」 [1] 心理社会的苦痛を管理するために、標準ケアが開発されている。 [2]

National Comprehensive Cancer Network(NCCN)の大まかな目標は、標準ケアを確立することで、これによって心理社会的苦痛を経験している患者をすべて正確かつ定期的に確認して認識し、治療することができるようになるだろう。 [1] NCCNガイドラインには、以下に関する推奨事項がある:


  • スクリーニング。

  • トリアージ。

  • 初期評価。

以下に挙げる各専門家への紹介および治療のガイドラインも含まれている:


  • 精神保健(心理学および精神医学)。

  • ソーシャルワーク。

  • 緩和ケア。

  • 聖職者によるケア。

スクリーニングを必要とする可能性が最も高い時期は、以下のように苦痛が最も生じやすいがんの経過の時点である:


  • 診断直後。

  • 治療(外科手術、放射線療法、および化学療法)開始時。

  • 長期にわたる治療の終了時。

  • 治療後および寛解の経過に従う一定の時期。

  • 再発時。

  • 緩和ケアに移行する場合。

(詳しい情報については、本要約の概要のセクションを参照のこと。)

苦痛に対する心理社会的介入

成人がん患者における心理社会的介入の効力は、幅広い文献で支持されている。 [3] [証拠レベル:IV]; [4] [5] [6] [証拠レベル:I]複数のレビューにより、がん患者に対する心理社会的介入は一般にプラスの利益を示していると結論付けられている。

心理社会的介入は一般的に、さまざまな心理学的および教育的な構成要素を含む非薬理学的介入と定義されている。一般的構成要素には、以下が含まれる:


  • リラクゼーショントレーニング。

  • 認知および行動対処戦略。

  • がんの教育/情報セッション。

  • 実存主義的治療。

  • グループによる社会的支持。

介入はこれらの構成要素をさまざまに組み合わせ、長さは異なり(1回のセッションから週単位で複数回のセッションまで)、個人とグループのどちらの形式でも実施されている。最も一般的な患者集団は中程度から高い社会経済的地位で乳がんの米国の白人女性であるが、いくつかの研究ではさまざまながんの診断を含み、ヨーロッパ諸国から研究が発表されている。 [3] 治療成績の測定はさまざまで、以下のものがある: [3] [4]


  • 情動的適応(例えば、抑うつ、不安)。

  • 機能障害(例えば、職場復帰、社会的役割)。

  • 疾患関連症状(例えば、吐き気/嘔吐、疲労、疼痛)。

  • 健康行動(例えば、食事、喫煙、運動)。

  • 免疫系の機能。

がんのストレス因子から疾患の転帰に至る心理学的、行動的、および生物的経路を仮定している生物行動モデル [3] は、この研究の多くの部分で指針となっている;しかしながら、測定されている最も一般的な結果は情動的適応である。

プラスの利益が明らかにされているが、臨床的意義については疑問視されている。査読者は、これらのプラスの効果の大きさに関してさまざまな結論を提示しており [4] [証拠レベル:I]、その範囲は、抑うつについては無視可能から、全体の情動的結果については軽度、不安については中等度までである。 [5] [証拠レベル:I]

効果の大きさは、介入のタイミングおよび患者の選択方法に関係する。ほとんどの患者には、心理社会的苦痛のレベルは、がん経験の初期の数日間が最も高く、多くは速やかに解消する。そのため、介入ががんの経験に遅れて提供される場合(診断および治療後数週間または数ヵ月)には、より初期に介入が提供された場合に患者が経験するよりも、患者が経験している苦痛は小さい可能性があり、大きな効果の検出がより困難になる。 [7] [証拠レベル:II]

1件の研究 [8] では、249組の乳がん患者-パートナーのカップルが以下の4つのグループの1つにランダムに割り付けられた:


  • 標準の疾患管理を受ける対照群。

  • 標準化心理教育群。

  • 電話でのカウンセリングを受ける群。

  • 心理教育 + 電話でのカウンセリングを受ける群。

研究の介入を受けた患者とパートナーは、標準ケアを受けた人よりも副作用の苦痛および重症度が低いほか、心理学的幸福のレベルが高かった。さらに、この研究の結果はこうした肉体的および心理学的有益性を達成するために、ビデオおよび電話による低コストで反復可能な介入の効力を支持している。 [8]

2件のメタアナリシス [4] [5] [証拠レベル:I]により、以下に示す効果の大きさが報告されている:


  • 抑うつ [5] および機能的適応 [4] について0.19。

  • 情動的適応 [4] は0.24。

  • 治療または疾患関連症状 [4] は0.26。

  • 治療成績の総合的測定 [4] は0.28。

  • 不安 [5] は0.36。

こうしたプラスの効果の大きさは、介入を受けている平均的な患者は、介入を受けていない患者の57%~65%よりも適応の改善がみられることを示している。

要約すれば、苦痛(例えば、不安、抑うつ)を経験していることが分かっている患者に心理社会的介入を提供すれば、介入の効力が非常に強くなるのは明らかである。そのため、心理社会的介入に対する全体的なプラスの利益は、介入を最も必要としているような患者において、より大きくなるようである。 [4] [5]

乳がんに対するグループによる介入のランダム化試験

以下に記載されている研究は、米国の早期乳がんの女性に対する少数グループによる心理社会的介入の効力を検証しているランダム化臨床試験を表している。研究の総治療時間は8時間 [9] [証拠レベル:I]から20時間 [7] [10] [証拠レベル:II]および27時間 [11] [証拠レベル:I]まで異なっており、介入の構成要素もさまざまである。(詳しい情報については、本要約の適応障害のセクションに含まれる集団カウンセリングのセクションを参照のこと。)

研究者により、月1回2時間のグループセッションを4ヵ月連続で実施する教育的介入が評価された。 [9] [証拠レベル:I]参加者は、早期乳がんで、最近非ホルモン補助療法を完了し、積極的な治療から治療後の生活へと移行しつつある50歳未満の女性252人であった。女性は以下の3群のうちのいずれかにランダムに割り付けられた:


  • 標準医療群。

  • 栄養教育群。

  • 心理社会的教育群。

心理社会的教育群および栄養教育群には、情報普及、話し合い、および何らかの活動/運動が含まれた。話題は月1回、周期的に変更され、参加者はいつでもグループに加わることができた(すなわち、グループは公開グループであった)。一般に、セッションはより教訓的な提示であったため、患者と患者の交流はきわめて少なかった。心理社会的教育群では、年齢の低い乳がんの女性に関連のある以下のような話題が提供された:


  • 子供とがんについて話すこと。

  • 診断後に生活を続ける方法。

  • パートナーとの関係/親密さ。

  • ホルモンとがん。

  • 乳がんの遺伝的基盤。

栄養教育群には、果物、野菜、低脂肪食品の選択およびこうした食べ物を毎日の生活に常に組み入れる方法に関する情報が含まれた。買い物、低脂肪の料理術、外食、そのほか関係する話題が提供された。結果は、両介入群の患者が13ヵ月の追跡時に、より少ない抑うつ症状およびより良好な身体的機能を報告したことを明らかにした。この研究は、治療コースの特定の時期(積極的な治療の完了直後)の特異的な患者集団(乳がんの年齢の低い女性)向けにデザインされた、より的を絞った介入の例である。

化学療法について自分で行うストレス管理の訓練

異なる種類のがんの診断を受けた患者411人の1件のランダム化試験 [12] [証拠レベル:I]では、従来の心理社会的ケアが、化学療法について専門的に実施されたストレス管理、または自分で行うストレス管理と比較された。専門的なストレス管理は、化学療法に関係するストレスの一般的原因の見直しおよび以下の3つの特異的なストレス管理技術を含めた60分間の個人的教育セッションで構成された:


  • 調子を整えた腹式呼吸。

  • イメージ法による段階的な筋弛緩。

  • 自己陳述の対処。

専門家は患者に個人的セッションのオーディオテープを提供し、3つの技術を日々実践するように指示し、最初の化学療法セッション前に患者と短い面談を行った。

自分で行う群では、専門家が各患者と約10分間面談し、患者に化学療法の対処に関する教材の入った小さい包みを提供し、その使用について患者に簡単に指導した。これらの教材には、専門的に実施された群で提供されたものと同じ情報すべてと以下のものが含まれていた:


  • 15分間のビデオテープ。

  • 12ページの小冊子。

  • 35分間のリラクゼーションのためのオーディオテープ。

このグループの患者は最初にビデオテープを観て、次に小冊子を見直し、その後の訓練、運動、さまざまな技術の使用には指示に従うように指導された。

この新たなアプローチの結果は、自分で行う介入群の患者が、他の2群が報告しているよりも有意に良好な身体的機能、生命力、精神衛生、役割の制限が少ないことを報告したと明らかにした。専門的に実施された群の患者は、従来ケアの群の患者とほとんど変わらない治療成績を報告した。自分で行う群の費用は、他の2群の費用よりも有意に低いことが明らかにされた。

簡単なオリエンテーションおよび腫瘍診療クリニックの見学ツアー

新たな介入では、新規の患者が腫瘍診療クリニックへ短時間(15~20分)診療室見学ツアーを行う場合の効果が検証された。 [13] [証拠レベル:I]見学ツアーには、以下が含まれた:


  • 瀉血、看護、および化学療法エリアを見学する機会。

  • 診療時間および処置に関する文書の配布。

  • 質問するための時間。

連続的に紹介されたさまざまながんの患者150人が、クリニックのオリエンテーション介入および標準ケアにランダムに割り付けられた。介入群の患者では、1週間の追跡時に不安、気分障害、および抑うつ症状が少なかったことを示した。さらにこれらの患者は、クリニックの処置の知識、医師への信頼、満足および期待のレベルが高いことを報告した。これは、簡単な最低限の介入でもどれほどプラスの利益を有する可能性があるかを示す例である。

オンライン情報の利用

Comprehensive Health Enhancement Support System (CHESS) [14] は、がん患者向けのオンラインの情報資源である。CHESSは以下の2つの要素から構成される:

  1. 教説的資料。
  2. 医学的問題、実際的問題および心理社会的問題に関する物語風の情報。

この研究では、乳がんと診断された白人およびアフリカ系米国人女性(参加者の3/4は早期乳がんであった)を分けてこれら2つのコンポーネントの相対的な魅力と価値が扱われた。オンラインで費やされた平均時間はいずれの情報資源においても、アフリカ系米国人女性(教説的資料:19.7分、標準偏差[SD] = 31.10;物語風の情報:17.16分、SD = 38.19)の方が白人女性(教説的資料:18.30分、SD = 28.62;物語風の情報:15.78分、SD = 36.60)よりもわずかに長いだけであったが、効果は実質的により大きかった。

この情報資源を利用する以前は、アフリカ系米国人女性の保健医療参加は顕著に低かった;資源利用後、情報資源の種類には関係なく、アフリカ系米国人女性の保健医療参加は顕著に増加し、特に教説的サービスの効果については白人女性の保健医療参加のレベルを上回った。この結果は、教説的および物語風のCHESS情報資源はどちらを利用しても両群に価値があるが、特にアフリカ系米国人女性に有用であることを示唆している;物語風情報資源のバージョンは白人女性には差別的な影響を及ぼすようである。


参考文献
  1. National Comprehensive Cancer Network: NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology: Distress Management. Version 2.2018. Fort Washington, Pa: National Comprehensive Cancer Network, 2018. Available online with free registration. Last accessed August 6, 2018.[PUBMED Abstract]

  2. Fashoyin-Aje LA, Martinez KA, Dy SM: New patient-centered care standards from the commission on cancer: opportunities and challenges. J Support Oncol 10 (3): 107-11, 2012 May-Jun.[PUBMED Abstract]

  3. Andersen BL: Biobehavioral outcomes following psychological interventions for cancer patients. J Consult Clin Psychol 70 (3): 590-610, 2002.[PUBMED Abstract]

  4. Meyer TJ, Mark MM: Effects of psychosocial interventions with adult cancer patients: a meta-analysis of randomized experiments. Health Psychol 14 (2): 101-8, 1995.[PUBMED Abstract]

  5. Sheard T, Maguire P: The effect of psychological interventions on anxiety and depression in cancer patients: results of two meta-analyses. Br J Cancer 80 (11): 1770-80, 1999.[PUBMED Abstract]

  6. Barsevick AM, Sweeney C, Haney E, et al.: A systematic qualitative analysis of psychoeducational interventions for depression in patients with cancer. Oncol Nurs Forum 29 (1): 73-84; quiz 85-7, 2002 Jan-Feb.[PUBMED Abstract]

  7. Antoni MH, Lehman JM, Kilbourn KM, et al.: Cognitive-behavioral stress management intervention decreases the prevalence of depression and enhances benefit finding among women under treatment for early-stage breast cancer. Health Psychol 20 (1): 20-32, 2001.[PUBMED Abstract]

  8. Budin WC, Hoskins CN, Haber J, et al.: Breast cancer: education, counseling, and adjustment among patients and partners: a randomized clinical trial. Nurs Res 57 (3): 199-213, 2008 May-Jun.[PUBMED Abstract]

  9. Scheier MF, Helgeson VS, Schulz R, et al.: Interventions to enhance physical and psychological functioning among younger women who are ending nonhormonal adjuvant treatment for early-stage breast cancer. J Clin Oncol 23 (19): 4298-311, 2005.[PUBMED Abstract]

  10. Antoni MH, Wimberly SR, Lechner SC, et al.: Reduction of cancer-specific thought intrusions and anxiety symptoms with a stress management intervention among women undergoing treatment for breast cancer. Am J Psychiatry 163 (10): 1791-7, 2006.[PUBMED Abstract]

  11. Andersen BL, Farrar WB, Golden-Kreutz DM, et al.: Psychological, behavioral, and immune changes after a psychological intervention: a clinical trial. J Clin Oncol 22 (17): 3570-80, 2004.[PUBMED Abstract]

  12. Jacobsen PB, Meade CD, Stein KD, et al.: Efficacy and costs of two forms of stress management training for cancer patients undergoing chemotherapy. J Clin Oncol 20 (12): 2851-62, 2002.[PUBMED Abstract]

  13. McQuellon RP, Wells M, Hoffman S, et al.: Reducing distress in cancer patients with an orientation program. Psychooncology 7 (3): 207-17, 1998 May-Jun.[PUBMED Abstract]

  14. Wise M, Han JY, Shaw B, et al.: Effects of using online narrative and didactic information on healthcare participation for breast cancer patients. Patient Educ Couns 70 (3): 348-56, 2008.[PUBMED Abstract]

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適応障害

適応障害は、アメリカ精神医学会のDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの第5版(DSM-5) [1] による診断カテゴリーの1つで、特定可能な心理社会的ストレス因子(例えば、がん診断またはケアの移行)に対する反応として定義される。この反応は、ストレス因子の発生から3ヵ月以内に現れ、大うつ病または全般性不安障害のような診断可能な精神疾患よりも重度度が低いが、「予測されるものを超える」か、「社会的または職業的機能における重大な障害」に至る程度の精神病理学的所見を伴う。最も一般的なサブタイプの4つは、(1)憂うつな気分を伴うもの、(2)不安を伴うもの、(3)不安と憂うつな気分を伴うもの、および(4)情動と行動の混合障害(約束の不履行や新たな物質乱用などの適応障害の行動的徴候を示している可能性のある患者で)を伴うものである。

有病率

ほとんどすべてのがん患者が、診断、治療、副作用であるかを問わず、同定しうるストレス因子と考えられるものを体験する。適応障害の存在は、特定可能なストレス因子に対する患者の反応により決定される。

適応障害は、がんの研究施設で最もよく診断されているメンタルヘルスの問題である。腫瘍または造血器腫瘍の状況で積極的な治療を受けている10,000人を超える参加者を含む14ヵ国に及ぶ70の研究について検討したメタアナリシスでは、積極的な治療を受けている外来がん患者で約20%の有病率が明らかにされた。 [2]

北米の集団により焦点を当てた別のレビュー [3] では、適応障害ががん患者で最も一般的なメンタルヘルスの問題であることが明らかにされている。進行がん患者における有病率は14%~34.7%である;末期患者の有病率は10.6%~16.3%である。こうした定まらない有病率は、疾患の病期、がんのタイプ、用いられる診断手順、およびその他の患者の変数による影響を受ける。補助化学療法を受けた乳がん女性のある研究において、36.1%の有病率が明らかにされた。 [4]

治療

適応障害のみの診断を受けているがん患者集団に対象を限定している研究はほとんどないものの、成人がん患者への心理社会的介入の有益性は多くの研究から示されている(例えば、メタアナリシス)。 [5] [証拠レベル:I]こうした介入には、個別カウンセリング [6] [証拠レベル:I]および集団カウンセリング [7] [証拠レベル:IV]; [8] [9] [証拠レベル:I]の両者があり、さまざまな理論的アプローチが用いられている。

集団カウンセリング

研究者は、2時間/週で10週間のグループによる認知行動ストレス管理介入の効力を検証した。 [10] 新たに治療された乳がん女性100人が、介入または対照条件にランダムに割り付けられた。心理社会的介入は2時間のグループセッション10回で構成され、その間に教訓的な資料が提供され、さまざまな経験的演習と自宅での課題が混合された。全体的介入では、毎日のがんに関係するストレス因子に、よりうまく対処するための学習に焦点が当てられた。話題には、段階的な筋弛緩、認知的再体制化、対人関係における衝突解消、および社会的支援などが含まれた。対照条件では、1日がかりのセミナーが実施され、このセミナーで参加者はグループメンバー内で交流する時間を有意に短くした縮約版の心理教育的介入を受けた。介入参加者での結果は、抑うつが減少し、有益性の所見(すなわち、乳がんであることは人生にプラスの貢献をしたという報告)および楽観主義が増加したことを示した。

0期からIII期の非転移性乳がん女性に対して同じ研究グループによって実施されたより規模の大きな(N = 199)ランダム化研究 [11] では、最初の研究と同じであった介入によってがんに関係して割り込んでくる考えが持続的にかなり減少し、不安も持続的に改善した。

別の研究により、ストレスを少なくする、気分を高揚させる、健康行動(食事、運動、喫煙)を変える、およびがん治療の遵守を向上させるようにデザインされた心理的戦略で構成される1.5時間/週で18週間のグループ介入が調査された。 [12] 治療成績の測定には、情動的苦痛、健康行動、および免疫反応が含まれた。227人の女性は、全員が局所性乳がんに対する手術を受けており、介入群または評価のみの対照群にランダムに割り付けられた。対照群と比較すると、介入群では、不安の有意な減少、社会的支援を受ける能力の改善、より健康的な生活様式行動(食事および喫煙行動に具体的な改善が認められた)、症状の程度および機能状態の改善が認められた。 [12] さらに、介入群で免疫応答に生物行動の改善が特定された。反応の改善は、心理学的および行動上の変化と一致していた。この研究は、心理社会的介入によって、さまざまな生物行動(心理学的、行動、免疫)の変数にどのように改善をもたらすことができるかを示す強い例である。

心配りに基づいた治療

通常のケアと比較する6週間の心配りに基づいたストレス低下の介入について、乳がんの女性生存者84人を対象にしたランダム化比較試験が実施された。 [13] 参加者はいずれも手術、化学療法、および/または放射線療法完了後18ヵ月以内であり、したがって積極的な治療の完了から治療後の生存へと移行しつつあった。介入は週2時間のグループセッションで構成され、心理士が標準化プロトコルに従って参加者に座った状態での瞑想、ボディースキャン、歩きながらの瞑想、ジェントル ヨガなどを指導した。家で行えるように教本一冊とオーディオテープ4本が参加者全員に配られ、毎日実践するように勧められた。より頻繁に実践した参加者ほど大きな改善を示したが、介入群のすべての参加者が心理学的測定値(再発の恐怖、再発の心配、状態-特性不安、うつ病)およびQOL(身体機能、役割の制限、気力)の改善を示した。

乳がんの生存者における心配りに基づいたストレス低下の有効性を検討する研究で、322人の患者が6週間のプログラムまたは通常のケアにランダムに割り付けられた。 [14] 介入群は、瞑想法および集団プロセスからなる2時間のセッションを毎週1回受け、参加した生存者は、日々の生活に心配りを組み込むことが教えられた。心配りに基づいたストレス低下に参加した生存者は、精神的症状(心配、再発全般への恐怖、再発症状への恐怖)および身体的症状(疲労の重症度および疲労による障害)の改善を示した。ベースラインでストレスが最も強かった生存者が最も大きな利益を得た。

進行した前立腺がんの男性に対する心配りに基づいた認知療法の8週間の研究 [15] で、94人の患者が週1回の電話による集団介入に、また95人の患者が最低限に抑えた患者教育による通常のケアにランダムに割り付けられた。1.25時間の電話セッションはマニュアル化され、短時間の瞑想が含まれた。毎日の自宅での心配りの瞑想が勧められた。両群間で心理的またはQOLの転帰に差はみられず、観察は別として、気配りの技能の使用に対する影響もみられなかった。著者らは、男性集団の年齢が高いほど、気配りに対する受容性および反応性が劣る可能性を示唆した。

催眠とリラクゼーション

1件の研究では、乳房摘出生検を予定している女性の集団(N = 90)が、手術の日に訓練を受けた臨床心理士により提供される催眠および指導的リラクゼーション法の短いセッション(15分)を受ける群または同じ長さの注意制御(attention-control)共感的リスニングセッションにランダムに割り付けられた。視覚的アナログスケールおよびProfile of Mood Statesの縮約版を用いて手術前の苦痛が測定された。催眠セッションでは、生検実施直前に測定された予期不安が顕著に減少し、リラクゼーションが増加したことから、催眠およびリラクゼーションの経験がない患者は、ストレスの多い状況に至る前の簡単な治療により利益が得られることが示唆される。 [16] [証拠レベル:II]

認知行動療法

認知行動療法(CBT)は、広く検討されている。CBTアプローチは、精神症状、情動的症状、および身体的症状が個人の考え、感情、行動、これにより生じる順応の悪さから部分的に生まれているという考えに基づいている。 [17] 介入は、特定の対処戦略の変更および情動的苦痛の軽減を目的として、患者の考え、感情、行動に直接主眼を置いている。CBTには、リラクゼーショントレーニング、問題解決 [18] [証拠レベル:I]、認知的再体制化、自己陳述の対処など、さまざまな技法が含まれる。

ほとんどの研究では、特定の症状を軽減するためにデザインされた多様な治療戦略に、こうしたさまざまなアプローチを組み合わせている。CBTアプローチは、比較的短期間のうちに実施され、腫瘍学の条件に適した簡易介入となる傾向がある。 [17] [18] 1件の研究では [19] [証拠レベル:I]、異なる種類のがん患者382人が3つのグループ:通常のケア、専門的に指導を受けたストレス管理、または自分で行うストレス管理の1つにランダムに割り付けられた。2つの介入グループは、腹式呼吸、誘導イメージ法を用いる段階的な筋弛緩トレーニング、および化学療法開始前の自己陳述の対処を含むストレス管理トレーニングを受けた。専門的に指導を受けた介入グループは、精神保健の専門家と面談し、1回の60分のセッションでストレス管理技術を学んだ。ストレス管理を自分で行うグループは、15分間のビデオテープによる指導、化学療法の対処法に関する12ページの小冊子、およびリラクゼーショントレーニングの指導に関する35分間のオーディオテープを含むトレーニング資料の入った小さい包みを受け取った。結果から、ストレス管理を自分で行うグループにおいてのみ、通常のケアよりもQOLが向上したことが明らかにされた。専門的に指導を受けたグループは、通常のケアと比較してQOLの改善をなんら示さなかった。

適応障害の治療に関するあるランダム化臨床試験において、さまざまな種類のがんを有する57人の患者が、8週間個別の、問題に焦点を当てたCBT介入群または8週間個別の、支持的カウンセリング介入群にランダムに割り付けられた。 [20] [証拠レベル:I]結果は、問題に焦点を当てたCBTを受けた治療群が、介入終結時と4ヵ月の追跡時点において闘志の明らかな変化、がん、不安、自己が定義した問題への対処におけるかなりの変化を示したことを明らかにした。

多くの生活ストレス因子を通して使用する問題解決法を開発することに重点を置いたCBT技法を用いる個別治療は、がん患者で有用なことが示されている。 [21] [証拠レベル:II]この研究において、心理社会的介入は、問題を効果的に解決できるようになるためのトレーニングに焦点を当てた毎週1.5時間10回の個人的な心理療法セッション(重要な他者が参加することも参加しないこともある)で構成された。4つの合理的な問題解決作業が強調され、これには、問題の性質を公式化すること、代替の解決策のブレーンストーミング、1つの解決方法の可能性のある結果を系統的に評価する一方で、最適な解決方法を決定すること、および解決方法実施後の最終的な結果を評価することが含まれた。介入群の参加者は、対照群の参加者と比較して、問題解決能力が大きく、多次元の苦痛が少なく、QOLが良好であることが示された。

計62の治療群と対照群の比較を行った研究45件のメタアナリシスで、心理社会的介入に参加した成人がん患者で情動的適応において有意に有益な効果があることが明らかにされた。 [5] [証拠レベル:I]情動的適応に対して有益な効果の大きさは0.19~0.28であり、治療を受けている平均的ながん患者は、治療を受けていない平均的ながん患者の56.5~59.5%よりも適応の改善がみられたことが示されている。こうした介入が個別形式 [6] [証拠レベル:I]および集団形式 [22] [証拠レベル:II]の両者で実施されており、介入の終了時、6ヵ月の追跡評価時および12ヵ月の追跡評価時に、情動的適応に有益であることが両形式で示されている。1件の新しいアプローチでは、乳がん生存者に対して6週間の集団形式で電話会議に順応させた;介入直後は高い許容性およびわずかな治療効果が見られたが、3ヵ月後の追跡では見られなかった。 [23] [証拠レベル:I]

別の研究によって、問題解決方法を教える認知行動介入は、特に60歳以下の患者に対してがんに関係した症状のより良い自己管理を促すのに効果的であることが明らかにされた。 [24] [証拠レベル:I]

がんに対するCBTの研究では、ますます生物行動転帰が含まれるようになっている。前立腺がんの男性に対して根治的前立腺摘除術の1~2週間前に2回(60~90分間)の個人的なCBTベースのストレス管理介入を実施した3群ランダム化比較試験(N = 159)において、この介入がいくつかの免疫系パラメータに対して好ましい影響(ナチュラルキラー細胞による細胞傷害活性と循環血中炎症促進性サイトカインの増加)をもたらすことが明らかにされた。 [25] [証拠レベル: I]免疫系の評価指標について介入群でのみ統計的有意差が認められたが、supportive attention群または標準ケア群ではみられなかった。

心理社会的介入は生存を増加させるか

心理社会的グループ介入への参加が生存を増加させるかとの興味深い疑問については、1989年以降に研究されている。最初の研究 [26] は転移性乳がん女性患者に対する支持-表出(supportive-expressive)グループ療法について検討したのに対し、別の研究 [27] は悪性黒色腫患者に対する心理教育的グループ介入について検討した。どちらの研究でも、介入群で生存優位性が認められた。しかしながら、最初の研究に対する批評 [28] は、米国国立がん研究所のSurveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)プログラムのデータと比較すると、対照群の患者の生存期間が予測よりも有意に短かったことを明らかにし、このことは生存優位性が偶発的な標本誤差に起因した可能性を示唆している。

支持-表出グループ療法の知見を再現する試みが、カナダ [29] 、米国 [30] 、オーストラリア [31] で行われた。3つの研究とも有意な心理学的有益性が認められたが、生存の利益を再現できた研究はなかった。

3つのメタアナリシス [32] [33] [34] および1つの系統的レビュー [35] を含む文献レビューは、これまでの研究では生存に対する心理療法の効果が確認できていないと結論付けた。ある要約 [36] は、さまざまながん患者(ただし乳がんの女性患者が大半を占めた)に対するさまざまな心理社会的介入に関する別のランダム化比較試験10試験について報告した。言及された10件の研究ではいずれも、心理社会的利益が改善した。しかしながら、10件の研究中9件では生存に有意差が示されなかった一方で、1件 [37] では約1年の生存優位性が認められた。このポジティブな1試験は、いくつかの重要な変数(例、リンパ節転移の状態、エストロゲン受容体およびプロゲステロン受容体の状態、閉経状態)について各群を層別化することができ、免疫機能増強や、ストレス軽減術に対する患者のコンプライアンス向上といった可能性のある機序を支持するデータを提供した。結果を分析すると、生存利益にかかわる因子が複雑であること、および他の因子を注意深く考慮したところ、免疫システムを介した利益が生存率の増加に寄与する可能性がこの研究で確認された。

以上をまとめると、これらの証拠の多くは、QOLが改善される証拠があるものの、心理社会的介入が生存期間に独自の寄与を示す可能性が高いとは考えにくいことを示している。この証拠により、上記の疑問について研究を継続する必要がもはやないことを示唆する学者も一部にいる。 [38]

薬物療法

適応障害のみが診断されたがん患者集団を特に対象にした研究で、何らかの薬物療法で一次介入を施行したものはない。適応障害の本質を考えれば、薬物療法を施行する前に、同定されたストレス因子を改変または排除(このため症状が軽減)するためにデザインされた短期カウンセリングまたは心理療法に関する最初の試験を可能であれば実施すべきであることが、臨床経験によって示唆されている。 [39]

前述のごとく、ときに適応障害がさらに重度の精神疾患(例えば、大うつ病性障害)に進展することがあると考えられており、薬物療法を考えるのに正当な理由となる。このほか、患者が短期心理療法で恩恵が得られない場合、短期間の適切な向精神性薬物療法(例えば、2~3週間にわたる抗不安薬物療法、12ヵ月にわたる抗うつ薬の投与)を追加することによって、心理療法の実施が容易になり、患者が利用可能な対処戦略を適切に用いることが可能になると思われる。情動症状または行動的症状の特定パターンから、いずれのタイプの向精神性薬物療法を考慮に入れるのかを決定できよう。(詳しい情報については、うつ病に関するPDQ要約を参照のこと。)

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、 こちらから)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。


参考文献
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不安障害:記述と病因

がん患者における不安の発現程度は多様で、疾患が進行するにつれて、または治療法がより積極的になるにつれて増大する。 [1] 研究者たちにより、がん患者の44%が何らかの不安を報告し、23%は著明な不安を報告したことが分かっている。 [2] [3] 腫瘍または造血器腫瘍の状況で積極的な治療を受けている10,000人を超える参加者を含む14ヵ国に及ぶ70の研究について検討したメタアナリシスでは、異文化間において、積極的な治療を受けている外来がん患者における不安障害の有病率が約10%であるとみられることが明らかにされた。 [4]

より長期またはより強い不安反応は、もはや適応障害に分類できない。これらの障害は生活の質に負の効果を与え、がん患者の社会的および感情的な能力を損なうことがあり、介入を必要とする。 [5] 不安障害はまた、コントロール不良の疼痛、特定の代謝状態、投薬による副作用など、他の医学的状態に続発することがある。

他の特定の不安障害-全般性不安障害、恐怖症、またはパニック障害など-は、がん患者で頻度は高くなく、通常、がん診断の前にみられるが、これらの疾患には、がん医療を容易にするためより注意を払うべきである。がんの診断およびその治療によって引き起こされるストレスは、既存の不安障害の再燃を促進する。これらの障害は身体不能を引き起こし、治療の支障となる可能性がある。こうした障害には迅速な診断および効果的な管理が必要である。 [6]

がん治療中に不安障害発症の可能性を増大させる因子には以下のものがある:


  • 不安障害の既往歴。

  • 重度の疼痛(不安障害を治療しないと、疼痛の経験を増大させる可能性もある)。 [7]

  • 診断時における不安。 [8]

  • 機能制限。

  • 社会的支援の欠落。 [2]

  • 疾患の進行。

  • 外傷の既往歴。 [1] [9]

中枢神経系転移、肺がんに伴う呼吸困難、およびコルチコステロイドおよびその他の投与薬による治療を含む一部の医学的状態または介入が、不安障害として現れる症状と関連している。患者のがんまたは他の疾患の経験は、以前の疾患の関連性および記憶を再帰させ、急性不安の一因となることがある。女性であること、若年期での発がんなどのいくつかの背景因子は、医学的状況における不安の増大に関連がある。 [2] [10] 自分の家族、友人および医師とのコミュニケーションに問題がある患者も、不安障害を発症するリスクは高い。 [10]

その一方で、不安は不良な予後の過剰評価につながる可能性がある。非浸潤性(in situ)乳管がんの女性を対象とした1件の縦断研究(N = 487)では、Hospital Anxiety and Depression Scaleにより測定された不安が将来の乳がんと関係したリスクの不正確な認識およびリスクの過剰評価と最も一貫して強く関連した因子であることが明らかにされた。 [11]

進行疾患の患者で、不安は死への恐怖によって引き起こされるのではなく、未管理の疼痛、孤独、見捨てられ感および依存心の問題が原因の場合が多い。 [12] これら因子の多くは、十分な評価および適切な治療を行えば、管理できる。

他の一般的医学的状態により引き起こされた不安障害

以下の表では、がん患者において不安を引き起こすと考えられる原因が強調されている。

表2.不安を引き起こすと考えられる原因a

医学的問題
a出典:Massie. [13]
管理不良な疼痛 不十分または必要に応じた疼痛緩和薬。
代謝異常の状態 低酸素症、肺塞栓症、敗血症、せん妄、低血糖、出血性冠動脈閉塞または心不全。
ホルモン分泌性腫瘍 褐色細胞腫、甲状腺腫または甲状腺がん、副甲状腺腫、コルチコトロピン産生腫瘍およびインスリノーマ。
不安誘発薬 コルチコステロイド、抗嘔吐薬として使用される神経遮断薬、チロキシン、気管支拡張薬、βアドレナリン作用性刺激薬、抗ヒスタミン薬およびベンゾジアゼピン(高齢者でしばしばみられる奇異反応)。
不安誘発状態 物質の服用中止(アルコール、オピオイドまたは鎮静睡眠薬)。


重度の疼痛がある患者は不安および激越を認め、また不安は疼痛を増大させる可能性がある。十分な疼痛管理のためには、患者の不安は治療されねばならない。 [14] [15]

不安の急性発症は代謝状態の変化の前駆症であるか、心筋梗塞、感染症、または肺炎などの他の切迫性医学的イベントの前駆症である可能性がある。敗血症および電解質異常も不安症状を引き起こす可能性がある。胸痛または呼吸困難を伴う急激な不安は、肺塞栓症を示唆する。低酸素症の患者は不安を経験する可能性があり、窒息してしまうことを恐れる。

多くの薬物は疾患がある患者で不安を促進させることがある。例えば、コルチコステロイドは運動性不穏状態、激越および躁病のほか、うつ病、自殺しようする考えを起こすことがある。慢性呼吸器疾患に使用する気管支拡張薬およびβアドレナリン受容体刺激薬は、不安、過敏性および震えを来す可能性がある。静座不能症つまり苦痛の自覚的感情を伴う運動性不穏状態は、嘔吐コントロールのために使用されることが多い神経遮断薬の副作用である。オピオイド、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、ニコチンおよびアルコールの使用中止は不安、激越のほか、積極的な治療を施行中の患者で問題となりうる行動を来す可能性がある。

不安障害に類似した症状を来すと思われる腫瘍部位がいくつかある。褐色細胞腫および下垂体微小腺腫は、パニックおよび不安のエピソードとして発現する可能性がある。 [16] 非ホルモン分泌性膵がんは不安症状を引き起こす可能性がある。原発性肺がんおよび肺転移は息切れを起こすことが多く、これは不安を来す可能性がある。

原発性不安障害

以下の症状を有する患者は、発がん前に存在し、診断および治療のストレスによって再発する特異的不安障害を経験しているであろう:


  • 強度の恐怖。

  • 情報の吸収不能。

  • 医学的手技への協力不能。

身体症状には以下がある:


  • 息切れ。

  • 発汗。

  • 立ちくらみ。

  • 動悸。

がん患者は、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders第5版(DSM-5)の基準に従い診断される複数の不安障害のいずれかを呈することがあり、以下の障害が含まれる:


  • 恐怖症。

  • パニック障害。

  • 全般性不安障害。

  • 強迫性障害(潜在的に、がん再発についての強迫観念の形態で)。

  • 健康不安障害。

  • 心的外傷後ストレス障害(がん診断に関係する場合;詳しい情報については、がん関連心的外傷後ストレスに関するPDQ要約を参照)。

  • 他の症状により引き起こされる不安障害。

これらの不安障害を有する患者は一般に自分の症状に悩んでおり、通常、行動的および精神薬物的介入に従う。 [5]

恐怖症

恐怖症は持続的な恐怖または外接する対象または状況の回避である。恐怖症を認める場合、通常、強度の不安を経験し、恐ろしいと考えられる状況を回避する。恐怖症は、血または組織の損傷を目撃することへの恐怖(針恐怖症としても知られている)または閉所恐怖症(例えば、磁気共鳴画像スキャン中)など、がん患者は多くの形で経験する。恐怖症は医学的手技を複雑化し、必要とされる医学的介入または検査の拒否を招く可能性がある。 [5] 恐怖症は一般に曝露療法および認知行動療法(CBT)によく反応する。

パニック障害

パニック障害では、強度の急激に発症する不安が優勢な症状であり、事実上常に重度の身体症状を伴い、以下の症状を含む場合がある:


  • 息切れ。

  • めまい。

  • 動悸。

  • 吐き気。

  • 発狂することや心臓発作の発生に対する恐怖。

パニック障害は、しばしば明確なきっかけもなく突然発生し、急速に激しくなる非連続的なパニックの発作によって特徴付けられる。発作は自己限定性で、おおむね10~20分で終息するが、心理的不快感および再発の恐れは長く続くことがある。パニック発作の患者は他の医学的障害との鑑別が困難な症状を示すことが多いが、パニック障害の既往歴を知ることは診断の明確化に役立つ。がん患者のパニック障害はベンゾジアゼピンおよび抗うつ薬の投与によって管理されることが最も多いが [5] 、CBTにもよく反応する。

全般性不安障害

全般性不安障害は、進行中で非現実的かつ過剰な不安および2つ以上の生活環境に関する心配によって特徴付けられ、その程度は広播性で再保証または反証に反応しない。以下の身体的症状が報告されることがあるが、パニック発作の突然の発症または強いパニック発作は認められない:


  • 運動張力(落ち着きのなさ、筋緊張、および易疲労性)。

  • 自律神経過活動(息切れ、動悸、発汗、およびめまい)。

  • スキャン検査時の覚醒(興奮していらいらしている感じ、過敏性、および過大な驚愕反応)。

強迫性障害

強迫性障害(OCD)は、持続的な思考、考え、または観念(強迫観念)のほか、人が自分の強度の苦痛に対処するために行う反復的、意図的、かつ故意の行動(強迫行動)によって特徴付けられる。OCDとみなすには、その強迫観念および強迫行動で時間がとられており、仕事、学業、または社会状況においてその人が機能する能力に支障を来すほどの症状でなければならない。

OCDの既往歴があるがん患者は、手を洗う、確認する、数えるなどの強迫行動に、治療不適応となるまで没頭してしまう可能性がある。このような患者では、がんの診断および予後に関する通常の心配でも、完全な強迫症状へと進展し、重度の不能を起こす可能性がある。OCDは、セロトニン作動性抗うつ薬(選択的セロトニン再取り込み阻害薬[SSRI]およびクロミプラミン)およびCBTによって最も頻繁に管理される。支障を来す程ではないより軽度の強迫観念または儀式の使用はCBTにより対処され、薬物療法は適応とならない。この障害は、発病前に、ある種の不安障害の既往がないがん患者でまれである。

健康不安障害

がん生存者は、再発の恐れに関連する健康不安障害を発症することが知られており、この障害には、可能性のある身体症状に対する過敏、身体化、がんの状態に対する過剰な集中、医療状況での患者の役割との同一化、および高度の維持療法の必要性がなくなった後でも頻繁にケアを要求すること(診察のための来院の追加や早期の維持的画像検査を求めるなどがあるが、これだけに限らない)がある。 [17] 研究はまだ継続中であるが、早期の臨床ガイドラインでは、CBTおよびSSRIによる治療が有益な可能性があることが示唆される。

スクリーニングと評価

不安障害の効果的な管理は、徹底した包括的な評価および正確な診断で始まる。がんに伴う正常な恐怖および不安定感は強い場合が多い。正常な恐怖と、これより重度で、不安障害の基準に到達する恐怖との区別がしばしば明確でない(詳しい情報については、表3を参照のこと)。 [13]

治療を考慮する場合は、障害のみに基づくのではなく、患者の生活の質を考慮に入れるべきである。不安の重症度を評価するためには、不安症状がどの程度まで日常生活の活動に支障を来しているのかを理解することが重要である。不安のスクリーニングには簡単な自己報告式問診票を使用でき、回答内容が定めたカットオフ値を上回る場合、より徹底的な臨床問診を引き続き実施できる。苦悩を同定するために、さまざまな一般的スクリーニング用問診票が用いられてきた。(詳しい情報については、本要約の自己報告式のスクリーニング尺度のセクションを参照のこと。)その他の不安用の自己報告式問診票(例えば、State-Trait Anxiety Inventory)も用いられており、また前立腺がん関連不安の評価のための問診票が開発されている。 [2] [18] [19]

以下は、一般的または正常な心配とより重篤な症状の不安を区別するためにデザインされた症状の表である。患者がより重篤な症状を報告すると、資格を有するメンタルヘルス専門家に紹介される。

表3.一般的な心配 vs 不安障害a

一般的または正常な心配の症状 より重篤な不安障害の症状
a出典:Nicholas. [20]
心配は直ぐに起こって直ぐに消える。 不安は不変に思われる。
集中することが困難である。 集中することができない。
ほとんど常に「考えを遮断」できる。 ほとんど常に「考えを遮断」できない。
眠りに就くことがときに困難である。 眠りに就くことが困難であり、および/またはほとんどの夜間、早く目覚める。
ときにひとしきり泣くことがあり、それによりある程度の緩和が得られるようである。 ひとしきり泣くことが頻繁にあり、日々の活動に支障を来す。
恐怖および不安は、間もなく訪れる出来事(例、治療の開始、医師の診察、または検査結果の受け取り)と明確に関係している。 恐怖および不安はより「漠然と」しており、ほとんどの時間に認められるようである。
身体的症状(例、早鐘のような心臓の鼓動、口渇、手の震え、または不隠状態)は、あったとしてもほとんどない。 多くの身体的症状(例、早鐘のような心臓の鼓動、口渇、手の震え、不隠状態、もじもじする、または興奮している感じ)がみられる。
不安を軽減するための方法がある(例、忙しくしていることによる気晴らし)。 不安を軽減するための方法は、あったとしてもほとんどない。


介入

不安が状況的である(すなわち、疼痛、その他の基礎的医学的状態、ホルモン分泌性腫瘍または投与薬の副作用によって生じるなど)場合、原因に対する迅速な治療により通常、症状の迅速な管理ができる。 [1]

不安の初期管理には、十分な情報および患者への支援の提供がある。精神医学的または心理的診察の根拠となりうる初期症状は、一次医療の腫瘍専門医または外科医に最初に報告される場合がある。 [21] [証拠レベル:IV]

心理社会的介入

心理的アプローチには、認知行動療法(CBT)、洞察-指向性心理療法、危機介入、カップル・家族療法、グループ療法、自助グループ [22] 、およびリラクゼーションに基づく介入が含まれる。これらのアプローチ(催眠法、瞑想法、漸進的リラクゼーション法、指導的心的イメージガイド、およびバイオフィードバック)は、疼痛を伴う手技、疼痛症候群、危機的状況、予期不安、およびうつ症候群に関連する不安症状の治療に使用できる。

さまざまなアプローチを統合することによって一部の患者に恩恵がもたらされる。(詳しい情報については、本要約の苦痛に対する心理社会的介入のセクションを参照のこと。)完全な評価と心理療法を行うために、不安障害と戦っている患者を紹介することで、ケアへの参加を促し、生活の質を向上させ、疼痛の経験を減少させる。 [23] [24]

治療後5~9年の無再発乳がん生存者509人を対象にした1件の研究により、CBTに基づく前向きな対処戦略(例、自己への話しかけによって感情を落ち着かせる行為やリラクゼーション)と疾患、治療、および潜在的な副作用に関する教育を統合した包括的介入の有用性が調査された。 [25] この研究での知見により、介入グループの女性(n = 244)ががん再発の恐怖を考えるきっかけや治療による長期の副作用に対処するために介入で得た知識を定期的に用いていたことが示されている。介入グループのほとんどの女性が、対処戦略が非常に役立ったことを明らかにした。 [25] [証拠レベル:I]

予備的な証拠は特異的な対処戦略(例えば、礼拝や希望に満ちた様子[hopefulness]などの宗教的対処戦略はアフリカ系米国人女性によってよく用いられ、こうした女性に大きな利益をもたらしている)の使用や有益性における人種間の差異を示唆している。 [25] [証拠レベル:I]; [26] [証拠レベル:II]

薬理学的介入

がん患者はしばしば、がん治療に関係したストレス因子を原因とする不安およびうつ病の両者の症状を有する。こうした苦痛の症状は、しばしば心理的支援のみで解決される。しかしながら、症例によっては、こうした症状に対処するために薬理学的介入が必要となる。(薬理学的治療が必要となる可能性がある不安障害の症状の記述については、表3を参照のこと。)

以下は、薬理学的治療の選択肢およびその使用のための考えられる適応に関する簡潔な記述である。これらの記述は、がん患者におけるこうした研究は乏しいため、非がん患者において実施された研究から得られた証拠に基づいている。しかしながら、臨床家はがん患者における不安症状を治療するために数十年間にわたってこれらの薬物を使用している。以下に記す状況での治療法の選択肢およびそれらの使用もまた、がん患者におけるこれらの薬物の臨床経験に基づいている。

不安障害を治療するための薬物の使用は、患者がより重度の症状を経験している場合や心理社会的介入への反応が不十分な場合に考慮される。相談のための資源が利用できない場合または患者が拒否している場合には、割合早く薬物療法が考慮される。一部の症例では、心理社会的支援単独では緩和を得るのに不十分であるか、緩和が早期に得られないと考えられる場合に心理社会的介入と同時に薬物療法が開始される。

薬理学的介入は、以下のような個々の患者および疾患の要因に応じて、短期または長期で用いることができる:


  • 不安症状の重症度。

  • 機能的/社会的障害の程度。

  • 精神科病歴。

  • がんの持続。

  • 不安に直接的または間接的に寄与するがん治療関連因子(例、高強度または長期のがん治療、あるいは精神症状の原因となることが知られている薬物[例、サイトカイン]を用いた治療)。

表4に示すように、不安に対し特異的な薬剤-すなわち、ベンゾジアゼピン系薬剤-は、不安症状を緩和するために単独または心理的アプローチと併用して頻繁に用いられる。これらの医薬品は、急速な作用の発現が得られるために不安障害の急性期治療に有効である。これらは、不安障害の短期管理(4ヵ月未満)における単剤療法または補助薬として頻繁に用いられる。不安障害にはしばしばうつ病が共存するため、これらの薬剤の長期使用(4ヵ月超)は、乱用と依存の可能性により、および抗うつ作用の不足により制限されている。がん患者に対するベンゾジアゼピン系薬剤の使用に関し、適応および安全性考察の一部を以下に示す: [27] [28]


  • アルプラゾラムやロラゼパムなどの短時間作用型ベンゾジアゼピン系薬剤は、診断・治療・再発というがん経過の特定の時点で、短期間の緩和をもたらすために効果的に使用することができる。このような短期間使用の例には、診断(例、何らかの放射線画像法)を受けている間の不安の治療や、検査結果(例、乳がんの既往がある患者の年1回のマンモグラム)を待つ患者の不安の治療が含まれる。

  • 強化化学療法レジメンなどのがん治療は、著しい身体的・感情的苦痛を引き起こし、その結果不安を悪化させることがある。短時間作用型または中時間作用型薬剤(例、クロナゼパム)は、積極的ながん治療中の不安や他の症状(例、不安に続発する不眠症)を著しく緩和することができる。

  • 長時間作用型薬剤(例、ジアゼパムおよびクロラゼペート)は、半減期が長いため、一般に使用を避けるべきである。これらの薬剤は、蓄積する可能性があるため、認知障害・失見当識・傾眠を引き起こすかまたは悪化させることがある。

  • せん妄などの症状がある患者は、不安や激越を呈することがある。ベンゾジアゼピン系薬剤は錯乱や失見当識を引き起こすかまたは悪化させることがあるため、これらの症状がある患者への使用は禁忌である。

  • ベンゾジアゼピン系薬剤の投与を受けている全患者(特に高齢患者)について、認知障害・日中の鎮静・転倒のリスクを注意深くモニタリングすべきである。高齢患者、複数の共存症がある患者、肝疾患患者、多剤併用療法を受けている患者については、これらの薬剤の使用を最適化すべきである。

  • 他の鎮静薬、中枢神経抑制薬、呼吸抑制を引き起こす可能性がある薬剤(例、アヘン薬)の投与を受けている患者については、ベンゾジアゼピン系薬剤の使用を注意深くモニタリングし最適化すべきである。

  • ベンゾジアゼピン系薬剤の投与を受けている全患者に対し、モニタリングを継続し、不安症状を再評価することが重要である。がん治療が終了すると不安症状が解消される場合は、これらの薬剤の使用を漸減してもよい。

  • 不安症状が持続的および消耗的な患者では、ベンゾジアゼピン系薬剤の使用を(単剤療法または補助療法として)長期間(4ヵ月超)継続する。これらの患者では、共存する抑うつ症状だけでなく、耐性・乱用・依存の問題発生をモニタリングすることが重要である。一部の患者ではこれらの薬剤の長期的および時々の慢性的使用が適応となることがあるが、綿密なモニタリングと頻回のリスク-便益評価が必要である。持続的な(3・4ヵ月後の)不安症状は抑うつに至ることが多い。持続的な不安症状を有する患者(抑うつの有無は問わない)は、代替療法(例、パロキセチン、セルトラリン)により利益が得られる可能性がある。

表4.がん患者の不安に対する薬物療法a

bid = 1日2回;CYP = チトクロムP450酵素;qd = 1日1回;qid = 1日4回;tid = 1日3回。
a 出典:Lorenz et al., [29] Traeger et al., [30] and Lexicomp. [31]
b 本要約に記載の不安に使用される抗うつ薬の用法・用量の情報については、うつ病に関するPDQ要約を参照のこと。

ベンゾジアゼピン

• 急性的に使用し、その後忍容性に応じて漸減する。

薬剤 b

初回量(範囲)

コメント

参考文献

アルプラゾラム 0.25~0.5mg tid(4mg/日以下) 徐放性製剤で利用可能。 [31] [証拠レベル:I]
クロルジアゼポキシド 5~10mg tid-qid 最大量無記載。 [31] [証拠レベル:I]
40mg/日を超えるまで慎重に漸増。
クロナゼパム 0.125~0.25mg bid-tid(4mg/日以下) より多く使用される。 [31] [証拠レベル:II]
クロラゼペート 30mg/日の2~3分割投与(60mg/日以下)   [31] [証拠レベル:I]
ジアゼパム 2~10mg bid-qid 最大量無記載。 [31] [証拠レベル:I]
40mg/日を超えるまで慎重に漸増。
ロラゼパム 0.5~10mg bid-tid(10mg/日以下) 肝疾患で望ましい。 [31] [証拠レベル:I]
より多く使用される。
オキサゼパム 10~15mg tid-qid 最大量無記載。 [31] [証拠レベル:I]
120mg/日を超えるまで慎重に漸増。
肝疾患で望ましい。

抗うつ薬

• 長期治療が必要な場合に使用。

• タモキシフェンはCYP2D6との相互作用があるため、慎重投与。

薬剤b

初回量(範囲)

コメント

参考文献

シタロプラム 10~40mg/日 QTc延長。 [31] [証拠レベル:II]
タモキシフェンとの併用が望ましい。
デシプラミン 25~200mg/日 高齢患者では慎重投与。 [31] [証拠レベル:III]
デュロキセチン 20~60mg/日   [31] [証拠レベル:I]
エスシタロプラム 5~20mg/日 QTc延長。 [31] [証拠レベル:II]
タモキシフェンとの併用が望ましい。
フルオキセチン 10~60mg/日 タモキシフェンとの併用禁止。 [31] [証拠レベル:II]
イミプラミン 10~200mg/日 高齢患者では慎重投与。 [31] [証拠レベル:III]
ミルタザピン 7.5~45mg/日   [31] [証拠レベル:III]
パロキセチン 10~40mg/日 タモキシフェンとの併用禁止。 [31] [証拠レベル:I]
セルトラリン 25~200mg/日   [31] [証拠レベル:I]
ベンラファキシン 37.5~225mg/日   [31] [証拠レベル:I]

その他の薬剤

薬剤 b

初回量(範囲)

コメント

参考文献

ブスピロン 7.5mg bid 不安に対して30mg/日以下。 [31] [証拠レベル:I]
ヒドロキシジン 50~100mg qid   [31] [証拠レベル:I]

抗精神薬

• 治療難治性不安に対して考慮。

• 重大な体重増加と最も関係する。

• メタボリックシンドローム、心血管および脳血管の副作用についても評価。

• QTc延長および錐体外路副作用のリスク。

薬剤b

初回量(範囲)

コメント

参考文献

アリピプラゾール 2~10mg/日 15mg/日を超えるまで慎重に漸増。 [31] [証拠レベル:II]
ハロペリドール 0.5~2.0mg bid–tid   [31] [証拠レベル:II]
オランザピン 2.5~10mg/日   [31] [証拠レベル:II]
クエチアピン 12.5~25mg/日 300mg/日を超えるまで漸増可能。 [31] [証拠レベル:I]
一部の試験で有益性がみられた。
リスペリドン 0.5~1mg qd–bid 2mg/日を超えるまで慎重に漸増。 [31] [証拠レベル:I]


ベンゾジアゼピンの選択は以下に応じて行う:


  • 患者に最も適した作用時間。

  • 必要とされる望ましい発現の迅速性。

  • 可能な投与経路。

  • 活性代謝物の有無。

  • 代謝の問題。

投与計画は患者の忍容性に依存し、個々の漸増漸減が必要である。短時間作用型ベンゾジアゼピン(アルプラゾラムおよびロラゼパム)は1日3~4回投与する。短時間作用型ベンゾジアゼピンで、特に複数の経路による投与が可能なものは(ロラゼパムおよびジアゼパム)は重度の苦痛に有効である。ベンゾジアゼピンは昼間不安を軽減し、不眠を緩和する。(詳しい情報については、睡眠障害に関するPDQ要約を参照のこと。)ベンゾジアゼピンの最も一般的な副作用は用量依存性で、嗜眠状態、錯乱、協調運動障害、および鎮静を回避するため、用量滴定により管理する。

ベンゾジアゼピンはいずれもある程度の呼吸抑制を来す可能性があるが、一般に過去にベンゾジアゼピンの使用歴のない患者ではきわめて軽微である。ベンゾジアゼピンは呼吸障害の症例においては慎重に使用すべきである(または全く使用してはならない)。

呼吸機能がボーダーライン上である患者に対して、いかなる鎮静薬でも使用する場合は、標準的予防策を考慮すべきである。この集団で進行中の評価は重要である。低用量の抗ヒスタミン薬のヒドロキシジン(25mg、1日2~3回)はこうした状況で安全に使用できる。肝機能障害を有する患者では、主として抱合により代謝され、腎により排泄される短時間作用型ベンゾジアゼピン(例、オキサゼパム、テマゼパム、またはロラゼパム)の使用が最良である。これ以外にロラゼパムを使用する利点は、活性代謝物がないことである。これに対して、他のベンゾジアゼピンは腎機能障害の症例に選択すべきである。

SSRI(例、フルオキセチンおよびサートラリン)およびセロトニンノルエピネフリン再取込み阻害薬(SNRI)(例、ベンラファキシン)は、不安障害の長期管理のための第一選択の薬物療法であると考えられる。SSRIおよびSNRIはまた、持続性の不安障害に頻繁に共存する抑うつ症状の治療にも有効である。SSRIおよびSNRIは、作用の発現が遅いため奏効するまで約4~6週間かかることがある。ベンゾジアゼピンは、SSRIおよびSNRIによる治療の初期に症状を安定させるための補助薬として頻繁に用いられる。

非定型抗うつ薬(例、ミルタザピン)はときに、不眠などの共存症状に対する付加的効果があるために不安障害の治療に用いられることがある。三環系抗うつ薬(例、イミプラミンおよびクロミプラミン)やモノアミンオキシダーゼ阻害薬(例、phenelzine)などの比較的古い医薬品もまた、不安障害の治療に有効である。実地臨床における抗うつ薬の使用は、好ましくない副作用、より不良な忍容性、およびより高い毒性作用のリスクのために制限される。 [32]

(自殺傾向や他の神経精神医学的副作用のリスクに関する詳しい情報については、うつ病に関するPDQ要約のがん患者における自殺のリスクのセクションを参照のこと。)

非ベンゾジアゼピンのブスピロンは、ベンゾジアゼピンによる治療歴がない患者、およびベンゾジアゼピンを乱用しうる(例えば、違法医薬品乱用歴またはアルコール依存症の人たち)患者で有用である。ブスピロンは高齢集団で、不安およびうつ病治療のためのフルオキセチンの増強にも有用である。開始用量は1日3回5mgで、1日3回15mgまで増量可能である。ブスピロンは1日2回の投与も可能である。

治療抵抗性の不安症状を管理する場合やある特定の臨床状況においては、特定のクラスの医薬品の使用が考慮される。低用量の神経遮断薬(例、チオリダジン10mg 1日3回;およびリスペリドン1mg 1日2回)は、ベンゾジアゼピンの妥当量が有効でない場合、または患者のベンゾジアゼピンに対する反応が不良であることが予測される場合(例、脳転移のある患者)の、重度の不安の治療に使用される。低用量神経遮断薬は、ベンゾジアゼピンが有用でない場合、またはせん妄、認知症または他の合併症の可能性がある場合も使用できる。低用量の抗痙攣薬(例、プレガバリン、200mg/日)はときに、重度の治療抵抗性不安で他の医薬品では効果がない場合や、特定の関連するリスクのために禁忌である場合の治療に用いられる。 [32] 一般的に、神経遮断薬または抗痙攣薬の使用は、これらの薬物での重大な副作用の負荷および薬物-薬物相互作用の可能性のために、いくつかの第一選択の薬物(例、SSRI、SNRI、およびベンゾジアゼピン)を十分に試した後に考慮される。これらの医薬品を使用する前に精神医学臨床家とのコンサルテーションが強く推奨される。これらの医薬品の投与を受けている患者の管理には、精神医学臨床家の直接関与が必須である。

特定の精神医学的または医学的併存疾患の有無は、薬理学的治療の選択においてしばしばきわめて重要な因子である。他の医薬品との薬物動態学的および薬力学的相互作用もまた、薬物の選択において考慮すべき重要な因子である。以下は、薬理学的治療の選択を促すこうした因子および臨床状況の例の一部である:


  • 抑うつ症状が不安に共存する場合、SSRI、SNRI、または他の抗うつ薬による治療が強く考慮される。

  • 神経障害性疼痛が不安症状に共存する場合、神経障害性疼痛の治療に効力があることが知られる特異的抗うつ薬(例、デュロキセチンおよびベンラファキシン)が考慮される。

  • ほてりが不安症状に共存する場合、ほてりの治療に効力があることが知られる特異的薬物(例、ベンラファキシン)が考慮される。

  • 既知の副作用を有する特定の医薬品(例、デュロキセチンによる吐き気またはミルタザピンによる鎮静のリスク)は、患者が既にがん治療でこれらの副作用を経験している場合およびこれらの副作用の悪化が考えられるため、回避される。

  • 強力なCYP2D6阻害薬(例、パロキセチン)とタモキシフェンによる治療を受けている患者では、重大な薬物-薬物相互作用のリスクが生じる可能性がある。(詳しい情報については、ほてりおよび寝汗に関するPDQ要約を参照のこと。)

小児および青年のがん患者においては、薬理学的治療に関する研究は実施されていない。さらに、がん以外の小児患者における不安障害の薬理学的治療に関する証拠も限られている。小児用の抗うつ薬に関する臨床試験の1件のメタアナリシス [33] [証拠レベル:I]では、不安障害の治療においてプラセボと比較した抗うつ薬の効力が認められ、強迫性障害(OCD)ではない不安障害(例、全般性不安障害または社会不安障害)において効果が最も高く、OCDでは効果は中等度であった。(抗うつ薬の使用に関連する自殺念慮/自殺未遂のリスクについての考察はうつ病に関するPDQ要約を参照のこと。)

概して、がん患者には不安を緩和するための十分な量の投与薬を服用するよう励ますことが必要である。投与薬は症状が軽減したら、速やかに漸減または中止する。依存症に関する懸念はがん患者で誇張され、十分な症状緩和の妨げになることが多い。

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、 こちらから)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。


参考文献
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本要約の変更点(08/23/2018)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

本要約は包括的に見直され、広範囲にわたって改訂された。

本要約はPDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

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本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、正常な適応の問題、および心理社会的苦痛と適応障害の病態生理学と治療について包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:


  • 会議での議論、

  • 本文の引用、または

  • 既に引用されている既存の記事との入れ替え、または既存の記事の更新。

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

がんへの適応に対する主要な査読者は以下の通りである:


    本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

    証拠レベル

    本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

    本要約の使用許可

    PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

    本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

    PDQ® Supportive and Palliative Care Editorial Board.PDQ Adjustment to Cancer.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/about-cancer/coping/feelings/anxiety-distress-hp-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389397]

    本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

    免責条項

    これらの要約内の情報は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。

    お問い合わせ

    Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのEmail UsからもCancer.govに送信可能である。

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