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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

小児急性リンパ芽球性白血病の治療(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2017-02-03
    翻訳更新日 : 2017-04-17

Childhood Acute Lymphoblastic Leukemia (PDQ®): Treatment PDQ Pediatric Treatment Editorial Board

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、小児急性リンパ芽球性白血病の治療について包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。


本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

小児急性リンパ芽球性白血病 小児T細胞急性リンパ芽球性白血病 フィラデルフィア染色体陽性の小児急性リンパ芽球性白血病

小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)に関する一般情報

小児および青年におけるがんはまれであるが、ALLを含む小児がん全体の発生率は、1975年以降徐々に増加している。 [1] 小児および青年のがん患者の生存においては、劇的な改善が達成されている。 [1] [2] [3] 1975年から2010年の小児がんによる死亡率の減少は50%を超えている。 [1] [2] [3] 同じ期間に、ALLの5年生存率は、15歳未満の小児で60%から約90%に、15~19歳の青年で28%から75%超に上昇している。 [4] 小児および青年のがん生存者には、治療から数ヵ月または数年経過後もがん治療の副作用が持続または発現することがあるため、綿密なモニタリングが必要である。(小児および青年のがん生存者における晩期障害の発生率、種類、およびモニタリングに関する具体的な情報については、小児がん治療の晩期障害のPDQ要約を参照のこと。)

発生率

ALLは小児において診断されるがんの中で最も多く、15歳未満の小児で診断されるがんの約25%を占める。 [2] [3] 米国におけるALLの年間発生率は、0~14歳で100万人当たり約41症例、および15~19歳で100万人当たり約17症例である。 [4] 米国では毎年約3,100人の小児および20歳未満の青年がALLの診断を受ける。 [5] 1975年以降、ALLの発生率に緩やかな増加が認められている。 [4] [6]

ALL発生率の明確なピークは2~3歳の小児に認められ(年間100万人当たり90症例を超える)、8歳までに100万人当たり30症例未満に発生率が低下する。 [2] [3] 2~3歳のALL発生率は乳児の約4倍であり、同様に10歳以上の小児の4~5倍である。 [2] [3]

ALLの発生率はヒスパニック系の小児において最も高いと考えられている(100万人当たり43症例)。 [2] [3] [7] [8] 白人小児におけるALLの発生率は黒人小児より大幅に高く、2~3歳の白人小児におけるALLの発生率は黒人小児より3倍近く高くなっている。 [2] [3] [7]

解剖学

小児ALLは、骨髄に存在するTリンパ芽球およびBリンパ芽球を起源とする(図1を参照)。

図1.血液細胞の分化。Tリンパ球およびBリンパ球を含むさまざまな血液細胞系列および免疫細胞系列が共通の血液幹細胞から分化する。

急性白血病は光学顕微鏡で確認された骨髄病変により、以下のように定義される:


  • M1:芽球が5%未満。

  • M2:芽球が5~25%。

  • M3:芽球が25%を超える。

急性白血病患者のほぼすべての患者で、M3の骨髄所見が得られる。

ALL発生の危険因子

ALL発生のリスク増大と関連している因子はほとんど同定されていない。ALLで主に受け入れられている危険因子および関連する遺伝子(重要な場合)には以下のものがある:


  • X線への出生前曝露。

  • 大量の放射線(例えば、頭部白癬および胸腺肥大などの症状に対して過去に使用された治療用放射線)への出生前曝露。

  • 以前の化学療法による治療。

  • 以下を含む遺伝子疾患:
      ダウン症候群。(詳しい情報については、本要約のダウン症候群のセクションを参照のこと。)
      神経線維腫症(NF1)。 [9]
      ブルーム症候群(BLM)。 [10]
      ファンコニー貧血(複数遺伝子;ALLで観察される頻度は急性骨髄性白血病[AML]よりはるかに少ない)。 [11]
      毛細血管拡張性運動失調症(ATM)。 [12]
      リー-フラウメニ症候群(TP53)。 [13] [14] [15]
      構成的ミスマッチ修復欠損(MLH1MSH2MSH6、およびPMS2の両アレル変異)。 [16] [17]

  • 低浸透度および高浸透度の遺伝性遺伝子変異。 [18] (詳しい情報については、本要約の低浸透度および高浸透度の遺伝性遺伝子変異のセクションを参照のこと。)

  • 15番および21番染色体が関与する体質性ロバートソン転座のキャリアは、特にiAMP21 ALLの発症素因が高い。 [19]

ダウン症候群

ダウン症候群の小児は、ALLおよびAMLの発症リスクがいずれも高く [20] [21] 、白血病の累積発症リスクは、5歳までが約2.1%、30歳までが約2.7%である。 [20] [21]

ダウン症候群の小児における急性白血病の症例の約2分の1から3分の2がALLであり、小児ALL症例の約2~3%がダウン症候群の小児に発生する。 [22] [23] [24] ダウン症候群患児におけるAML症例の大多数が4歳まで(年齢中央値1歳)に発生するのに対して [25] 、ダウン症候群患児におけるALLは、ダウン症候群でない小児におけるALLとほぼ同じ年齢分布を示し、その年齢中央値は3~4歳である。 [22] [23]

ALLとダウン症候群を合併した患者では、予後良好(t(12;21)(p13;q22)/ETV6-RUNX1[TEL-AML1]および高二倍体[染色体数51~65])および予後不良(t(9;22)(q34;q11.2)またはt(4;11)(q21;q23)および低二倍体[染色体数が44未満])の細胞遺伝学的所見の発生率がいずれも低く、T細胞表現型はほとんど認められない。 [22] [23] [24] [25] [26]

ダウン症候群患児におけるALL症例の約50~60%では、CRLF2に影響を及ぼす遺伝子変異がみられ、この遺伝子により産生される蛋白が一般的に過剰発現しており、インターロイキン-7受容体αと二量体を形成してサイトカイン胸腺間質性リンパ球新生因子に対する受容体となる。 [27] [28] [29] ダウン症候群を合併していない前駆B細胞ALLの小児では、CRLF2遺伝子変異が観察される頻度がはるかに低い(10%未満)。 [29] [30] [31] 相対的に数が少ない公表されたシリーズに基づくと、ダウン症候群とALLを合併した小児におけるCRLF2遺伝子変異は、予後的に重要ではないと考えられる。 [26] [28] しかしながら、ダウン症候群とALLを合併した小児の最大35%にIKZF1遺伝子欠失が認められており、この患者群における有意に不良な転帰との関連性が指摘されている。 [28] [32]

ダウン症候群患児に発生するALL症例の約20%には、体細胞変異による後天的なJAK2遺伝子変異がみられ [27] [28] [33] [34] [35] 、ALLの若年児での所見はまれであるが、主に高リスクの前駆B細胞ALLの年長児および青年の一部で観察される。 [36] ダウン症候群とALLを合併し、JAK2突然変異を認める症例のほとんどすべてにCRLF2遺伝子変異も認められる。 [27] [28] [29] 予備的な証拠によると、ダウン症候群とALLを合併した小児でJAK2遺伝子変異状態と5年イベントフリー生存率との間には相関がみられないことが示唆されるが [28] [34] 、この患者集団におけるCRLF2遺伝子変異およびIKZF1遺伝子欠失の予後的意義に加え、この問題について検討するには、さらに研究が必要である。

低浸透度および高浸透度の遺伝性遺伝子変異

ALLに対する遺伝的素因は、大まかに以下のいくつかのカテゴリーに分類できる:


  • 遺伝的症候群との関連。

    リスク増加は、ALLが観察される前述の一覧に示した遺伝的症候群と関連している可能性があるが、本疾患の主要な徴候ではない。

  • 共通のアレル。

    その他の遺伝的素因のカテゴリーには、ゲノムワイド関連解析により同定される共通のアレルがあり、効果の大きさは比較的小さい。ゲノムワイド関連解析により、小児ALLの発生と関連している生殖細胞系(遺伝性)の遺伝的多型が多く同定されている。 [18] 例えば、ARID5Bのリスクアレルは、高二倍体(染色体数が51~65)の前駆B細胞ALLの発生と相関している。ARID5Bは、胚発生、細胞型特異的遺伝子の発現、および細胞増殖調節において、重要な転写因子をコードする遺伝子である。 [37] [38] 他にALLのリスク増大に関連している多型を示す遺伝子には、GATA3 [39] 、IKZF1 [37] [38] [40] 、CDKN2A [41] 、CDKN2B [40] [41] 、CEBPE [37] 、PIP4K2A [39] [42] 、およびTP63 [43] がある。

  • 浸透度の高いまれな生殖細胞変異体。

    PAX5の生殖細胞変異体で、アミノ酸183位のグリシンがセリンに置換され、PAX5の活性を低下させるものがALLの複数症例を認めるいくつかの家系で同定されている。 [44] [45] 同様に、ETV6生殖細胞変異体でETV6機能喪失に至るものが血小板減少症とALLの合併を認める家系でいくつか同定されている。 [46] [47] [48] 寛解期(すなわち生殖細胞系)の標本を用いたETV6の塩基配列決定により、評価されたALL患児の約1%でALLと関連している可能性がある変異体が同定された。 [46] このことから、これまで認識されていなかったALLのリスクに対する寄与が示唆され、今後の研究で評価する必要がある。 [46] [47] [48]

小児ALLの出生前起源

ALLの発生は、ほとんどの症例で多段階プロセスであり、明らかな白血病が発生するには複数の遺伝子変異が必要である。少なくとも小児ALLの一部症例では、最初の遺伝子変異が子宮内で発生すると考えられている。これを支持する証拠は、出生時に得られた血液サンプルに、各患者の白血病細胞に特異的な免疫グロブリンまたはT細胞受容体抗原の再構成が検出できるという観察からもたらされている。 [49] [50] 同様に、特定の染色体異常を特徴とするALLでは、出生時の血液細胞に白血病のゲノム異常が1つ以上あり、さらに共同して働くゲノム変異を生後に獲得する患者が一部にいる。 [49] [50] [51] 遺伝的に一致した白血病を有する一卵性双生児のゲノム研究により、一部の白血病における出生前起源がさらに裏付けられている。 [49] [52]

ALLを発症していない小児の一部には、ALLに関連するゲノム変異を有するきわめてまれな血液細胞が出生時にみられるという証拠もある。例えば、ある研究によると、新生児の血液スポット(ガスリーカード)検査で、ETV6-RUNX1転座の陽性率は1%であったが、これは小児におけるETV6-RUNX1陽性のALL症例数をはるかに上回っている。 [53] この所見が確認された報告 [54] もあれば、確認されていない報告 [55] [56] もあり、蛍光in situハイブリダイゼーション検査にかかわる方法論的な問題により、最初の1%の推定値の解釈が複雑になる。 [57]

臨床所見

小児ALLの定型的および非定型的症状ならびに臨床所見については、既に公表されている。 [58] [59] [60]

診断

小児ALLの確定診断に必要な診断用検査については、既に公表されている。 [58] [59] [60] [61]

造血組織およびリンパ組織の腫瘍の2016年版世界保健機関分類の一覧を以下の急性リンパ性白血病の分類で示す: [62]

B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫
  • B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、他に特定されない(NOS)。

  • B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、反復性遺伝子異常を伴う。

  • B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、t(9;22)(q34.1;q11.2);BCR-ABL1を伴う。

  • B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、t(v;11q23.3);KMT2A再構成を伴う。

  • B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、t(12;21)(p13.2;q22.1);ETV6-RUNX1を伴う。

  • B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、高二倍体を伴う。

  • B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、低二倍体を伴う。

  • B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、t(5;14)(q31.1;q32.3);IL3-IGHを伴う。

  • B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、t(1;19)(q23;p13.3);TCF3-PBX1を伴う。

  • 暫定的疾患単位:B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、BCR-ABL1-like

  • 暫定的疾患単位:B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、iAMP21を伴う。

Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫
  • 暫定的疾患単位:初期前駆T細胞リンパ芽球性白血病。

これらの疾患単位に対する予後的意義に加え、重要な臨床的および生物学的特性については、本要約の細胞遺伝学的/ゲノム的変化のセクションを参照のこと。

全体的なALLの転帰

ALL小児では、1~18歳で新たにALLと診断され、現行の治療を受けた患者の約98%が寛解に達し、約85%が長期のイベントフリー生存者となると予想され、5年で生存している患者は90%を超える。 [63] [64] [65] [66]

小児ALLでは治療法が進歩しているにもかかわらず、治療関連毒性を最小限に抑え、すべてのALL患児を治癒させる目標が達成できるまでには、解決しなければならない重要な生物学的・治療的課題が多く残されている。これらの問題を体系的に研究するためには大規模な臨床試験が必要であり、これらの試験に参加する機会がほとんどの患者および家族に提供される。

ALLの小児および青年を対象とした臨床試験では、治癒率改善および/または毒性低減を目指した研究的なレジメンに対して、その時点で標準として受け入れられている治療法を比較するようデザインされるのが一般的である。対象となる患者群で治癒率がきわめて高い特定の試験では、治療縮小の課題が求められることもある。小児ALLおよびその他の小児がんで確認されている治癒的療法で行われた進歩のほとんどは、研究者による発見を通して達成され、注意深いランダム化対照比較による多施設共同臨床試験において検証されてきた。現在実施中の臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトから入手することができる。

最新の臨床試験

小児急性リンパ芽球性白血病患者を現在受け入れているNCI支援のがん臨床試験のリストを参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。


参考文献
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リスクに基づく治療割り付け

リスクに基づく治療概論

急性リンパ芽球性白血病(ALL)の小児は、通常、臨床像および検査所見によって定義されたリスクグループに従って治療される。良好な転帰を得るために必要な治療強度は、ALL患児のサブセット間で実質的に異なる。リスクに基づく治療割り付けがALLの小児において利用されており、それにより、臨床的および生物学的に予後良好な特徴があり、控え目の治療できわめて良好な転帰が得られる可能性が高い患者が強力で毒性の強い治療を避けることができる一方で、長期生存の可能性が乏しい患者に対して積極的で毒性の可能性が高い治療アプローチを提供できる。 [1] [2]

小児腫瘍学グループ(COG)のような特定のALL研究グループでは、一部の治療前因子に基づいて、程度の差はあるものの強力な寛解導入レジメンを用いているが、すべての患者に対して同様な寛解導入レジメンを実施しているグループもある。COGで導入療法の強度を判断するために用いられた因子には、免疫表現型、髄外病変の有無、ステロイドによる治療歴、ダウン症候群の有無、および米国国立がん研究所(NCI)のリスクグループ分類がある。B細胞ALLに対するNCIのリスクグループ分類では、次のように年齢および白血球(WBC)数に従ってリスクを層別化している: [3]


  • 標準リスク—WBC数が50,000/μL未満で、

    かつ

    1歳から10歳未満。

  • 高リスク—WBC数が50,000/μL以上で、

    かつ/または

    10歳以上。

すべての研究グループがNCIリスクグループ、免疫表現型、早期反応判定、および細胞遺伝学的・ゲノム的変化など、さまざまな予後因子に基づいて寛解導入後療法の強度を修正している。 [4] フィラデルフィア染色体の検出は、導入療法の即時の変更につながる。 [5]

リスクに基づく治療割り付けには、転帰を予測する信頼性の高い予後因子を得ることが必要である。ALLの小児では、多数の因子が予後的価値を示しており、その一部を以下に記載する。 [6] 予後に影響する因子は、以下の3つのカテゴリーに分けられる:


予後因子のどんな議論でも同様であるが、その重要性の相対的順序および変数相互の関係は治療法に左右されることが多く、どの因子が予後変数として独立して働くかを明らかにするには多変量解析が必要である。予後因子は治療に左右されるため、治療の改善により、これらの推定されている予後因子の重要性が低下したり、なくなったりすることがある。

以下に記述する予後因子および臨床的因子の一部は、治療割り付けを目的としたALL小児の初期層別化にも使用される。(米国で進行中の臨床試験に現在適用されている予後分類の概要については、本要約の臨床評価段階にある予後(リスク)グループのセクションを参照のこと。)

(再燃時に重要な予後因子に関する情報については、本要約の小児ALLの初回再燃後の予後因子のセクションを参照のこと。)

リスクに基づく治療に影響する予後因子

患者特性と臨床的疾患特性

予後に影響する患者特性と臨床的疾患特性には以下のものがある:

  1. 診断時年齢
  2. 診断時のWBC数
  3. 診断時の中枢神経系(CNS)への浸潤
  4. 診断時の精巣浸潤
  5. ダウン症候群(21トリソミー)
  6. 性別
  7. 人種と民族
  8. 診断時および治療中の体重

診断時年齢

診断時年齢には強い予後的意義があり、年齢層が異なれば基礎にあるALLの生物学的特徴に差があることを反映している。 [7]

  1. 乳児(1歳未満)


    ALLの乳児は治療失敗のリスクが特に高い。治療失敗は、以下のグループに最も多くみられる:


    • 生後6ヵ月未満の乳児(生後90日以下の乳児では予後がさらに不良である)。 [8] [9] [10] [11] [12]

    • 初診時の白血球数がきわめて多い乳児(200,000~300,000×109/Lを超える)。 [9]

    • プレドニゾン前治療に対する反応が不良な乳児。 [9]

    • MLLKMT2A)遺伝子再構成を認める乳児。 [8] [9] [10] [11]


    ALLの乳児の最大80%には11q23の転座がみられ、さまざまな転座パートナーによりMLLKMT2A)遺伝子再構成が生じる。 [9] [11] [13] [14] 最も多くみられる再構成はMLL(KMT2A)-AFF1(t(4;11)(q21;q23))であるが、他に多くの転座パートナーとのMLL再構成も観察される。


    生後6ヵ月未満の乳児では、MLLKMT2A)遺伝子再構成の発生率が極端に高い;生後6ヵ月から1歳までは、MLL遺伝子再構成の発生率は低下するが、これより年長の小児にみられる発生率よりは依然として高い。 [9] [15] ALLの黒人の乳児は、MLL再構成を有する可能性が白人の乳児より有意に低い。 [15]


    MLLKMT2A)再構成を認める白血病の乳児では、典型的にWBC数がきわめて多く、CNS浸潤の発生率が高い。MLL再構成を認めるALLの乳児では、イベントフリー生存(EFS)および全生存(OS)が不良で、5年EFSおよびOSの割合はわずか35~40%である。 [9] [10] [11] MLL再構成を認めるALL乳児と小児における体細胞変異の全体像を比較すると、2つ年齢層間で有意な差が明らかになり、MLL再構成を認めるALLに特有な年齢関連の生物学的挙動がみられ、乳児で有意に不良な転帰に関連している可能性が示唆された。 [16] [17]


    MLLKMT2A)再構成を認める乳児の芽球は、CD10陰性で、FLT3の発現レベルが高いことが多い。 [9] [10] [14] [18] 対照的に、白血病細胞にMLL遺伝子の生殖細胞系配置がみられる乳児はCD10陽性の前駆B細胞免疫表現型を有する頻度が高い。これらの乳児は、MLL再構成を特徴とするALLの乳児より、転帰が有意に良好である。 [9] [10] [14] [19]


    (ALLの乳児に関する詳しい情報については、本要約の特定のALLサブグループに対する寛解導入後治療のセクションのALLの乳児のサブセクションを参照のこと。)

  2. 年少児(1歳から10歳未満)


    年少児(1歳から10歳未満)は、年長児、青年、および乳児よりも無病生存が良好である。 [3] [7] [20] [21] [22] 年少児における予後の改善は、白血病芽球において染色体数が51~65の高二倍体および/または予後良好な染色体のトリソミー、またはETV6-RUNX1TEL-AML1転座としても知られるt(12;21)(p13;q22))を含む予後良好な細胞遺伝学的特徴がより高頻度に認められることから、少なくともある程度は説明できる。 [7] [23] [24]

  3. 青年および若年成人(10歳以上)


    一般に10歳以上の患者の転帰は、1歳から10歳未満の患者より不良である。ただし、年齢が高い小児、特に青年の転帰は、時間の経過とともに著しく改善している。 [25] [26] [27] 15~19歳の青年では、5年生存率が36%(1975年~1984年)から72%(2003年~2009年)に増加した。 [28] [29] [30]


    複数のレトロスペクティブ研究により、16~21歳の青年は成人用プロトコルと比べて小児用プロトコルによる治療を受けた方が転帰良好であることが確立されている。 [31] [32] [33] (ALLの青年に関する詳しい情報については、本要約の特定のALLサブグループに対する寛解導入後治療のセクションを参照のこと。)

診断時のWBC数

WBC数と予後との関係は、段階的というより連続的に機能するが、予後が良好か不良かの実務上の分岐ポイントとして、一般にはWBC数の50,000/μLが用いられている。 [3] 前駆B細胞ALLで診断時のWBC数が多い患者は、最初のWBC数が少ない患者と比較して治療失敗のリスクが高い。 [34]

診断時のWBC数の中央値は、T細胞ALL(50,000/μL超過)の方が前駆B細胞ALL(10,000/μL未満)よりはるかに多いが、診断時のWBC数によるT細胞ALLの予後への影響は一貫していない。 [34] [35] [36] [37] [38] [39] [40] [41]

診断時のCNSへの浸潤

診断時のCNS白血病の有無は予後的に重要である。診断時に非外傷性腰椎穿刺であった患者は、WBC数/μLおよび遠沈での芽球の有無に応じて、以下のような3つのカテゴリーのいずれかになる:


  • CNS1:

    脳脊髄液(CSF)のWBC数に関係なく、遠沈で芽球陰性。

  • CNS2:

    CSFのWBC数が5個/μL未満、遠沈で芽球陽性。

  • CNS3(CNS病態):

    CSFのWBC数が5個/μL以上、遠沈で芽球陽性。

診断時にCNS病態(CNS3)を呈するALL小児は、CNS1またはCNS2に分類される患者より、治療(CNS内治療および全身的治療の両方)が失敗するリスクが高い。 [42] [43] CNS1患者と比較して、CNS2患者ではCNS再燃のリスクが高く、かつ/またはEFSが劣っていることを報告している研究がいくつかあるが [44] [45] 、これらを認めていない報告もある。 [42] [46] [47] [48]

診断時の芽球を含む外傷性腰椎穿刺(赤血球数が10個/μL以上)は、CNS再燃のリスクが高いこと、および全体的により不良な転帰と関連していることが一部の研究で認められているが [42] [47] [49] 、これらを認めていない研究もある。 [44] [46] CNS2、CNS3、または外傷性腰椎穿刺に分類される患者は、診断時のWBC数が有意に多い、診断時年齢が高い、T細胞性ALL表現型を示す頻度が高い、およびMLLKMT2A)遺伝子再構成が認められるといった不良な予後的特徴を示す頻度がCNS1に分類される患者より高い。 [42] [46] [47]

ほとんどの臨床試験グループでは、主に寛解導入療法中に髄腔内療法を追加するといったより強力な治療法を使用することで、CNS2および外傷性腰椎穿刺に対処している。 [42] [50] [51] ; [46] [証拠レベル:2A]

外傷性腰椎穿刺(芽球を伴う)が認められた患者をCNS3として治療すべきかどうかを判断するために、COGは、脊髄液および末梢血中のWBCおよび赤血球の数と関連付けたアルゴリズムを用いている。 [52]

診断時の精巣浸潤

診断時に顕性の精巣浸潤が約2%の男児に認められ、T細胞ALLに最も多くみられる。

初期のALL試験では、診断時の精巣浸潤は不良な予後因子であった。しかしながら、より積極的な初期治療を行った場合、診断時の精巣浸潤に予後的意義はないと考えられる。 [53] [54] 例えば、European Organization for Research and Treatment of Cancer(EORTC [EORTC-58881])では、診断時の顕性の精巣浸潤に不良な予後的意義はないことを報告している。 [54]

精巣浸潤に対する放射線療法の役割は不明である。St. Jude Children's Research Hospital(SJCRH)の研究は、放射線を用いない積極的な従来の化学療法により良好な転帰が達成可能であることを示唆している。 [53] COGも精巣病変を認める男児に対してこの戦略を採用し、精巣病変は導入療法を終えるまでに完全に消失する。COGは、他に呈する特徴とは無関係に精巣病変を認める患者を高リスクとみなしているが、他の米国および欧州の大規模な臨床試験グループのほとんどが精巣病変を高リスクの特徴としてみなしていない。

ダウン症候群(21トリソミー)

ダウン症候群とALLを合併した小児の転帰は、一般的にダウン症候群でない小児にみられる転帰よりもいくぶん劣ると報告されている。 [55] [56] [57] [58] [59] 一部の研究でダウン症候群の小児のEFSおよびOSが短いことは、ダウン症候群患者における導入療法失敗および再燃のリスクが高いことに加え、治療関連死亡率が高いことも関係していると考えられている。 [55] [56] [57] [58] [60] [61] ダウン症候群のALL患者における白血病に対する治療転帰が劣る理由の1つは、ETV6-RUNX1または4番および10番染色体のトリソミーを伴う高二倍体(染色体数が51~65)などの予後良好な生物学的特徴の有無による可能性がある。 [60] [61]


  • ダウン症候群のALL患者653人を含む大規模なレトロスペクティブ研究で、ダウン症候群の患者は、ダウン症候群ではない患者と比べてCR率が低く(97% vs 99%、P < 0.001)、再燃の累積発生率が高い(26% vs 15%、P < 0.001)上に、治療関連死亡率が高かった(7% vs 1%未満、P < 0.001)。 [61] ダウン症候群の患者で、6歳未満の年齢、10,000/μL未満のWBC数、およびETV6-RUNX1融合の存在(患者の8%で観察される)は、良好なEFSの独立した予測因子であった。

  • COGからの報告によると、MLLKMT2A)再構成、BCR-ABL1ETV6-RUNX1、ならびに4番および10番染色体のトリソミーを伴う高二倍体が認められない前駆B細胞ALL患者で、ダウン症候群の小児とそうではない小児におけるEFSとOSは同程度であった。 [60]

  • ダウン症候群の小児に発生したALLでは、IKZF1欠失、CRLF2異常、およびJAK突然変異などの特定のゲノム異常の頻度がダウン症候群ではない小児に発生したALLより高いことが確認されている。 [62] [63] [64] [65] [66] ダウン症候群のALL小児を対象とした複数の研究によると、IKZF1欠失の存在(ただし、CRLF2異常またはJAK突然変異は認められない)は、予後不良と関連していることが示唆される。 [61] [66] [67]

性別

数件の研究において、ALLの女児の予後は、ALLの男児の予後よりもわずかに良好である。 [68] [69] [70] 女児の予後が優位である理由の1つは、男児の精巣再燃であるが、男児は骨髄およびCNS再燃のリスクも高いと考えられている(その理由は十分に解明されているとはいえない)。 [68] [69] [70] 男児の転帰は女児の転帰ときわめて近いと報告している研究も一部にはあるが [22] [50] [71] 、大規模な臨床試験の経験および国内データによると、男児の生存率がやや低いことが依然として示されている。 [21] [28] [29] [72]

人種と民族

過去数十年間、米国における黒人およびヒスパニック系のALL小児の生存率は、白人のALL小児の生存率よりもいくぶん低くなっている。 [73] [74]

以下の人種と民族に関連する因子は生存に影響を及ぼす:


  • ALLサブタイプ。

    白人およびアジア系の小児の方が黒人およびヒスパニック系の小児よりも転帰が良好である理由は、ALLサブタイプのスペクトラムが異なっていることによって少なくともある程度は説明できる。例えば、黒人の小児ではT細胞ALLの相対発生率が高く、予後良好な遺伝的サブタイプである前駆B細胞ALLの割合が低い。

  • 治療の遵守。

    転帰における差は治療の遵守に関連している可能性もあり、この例として維持療法における経口6-メルカプトプリン(6-MP)の服薬遵守に関する2件の研究が挙げられる。最初の研究で、ヒスパニック系の小児の再燃リスクは、遵守レベルにもよるが、他の既知の変数で調整した場合でも非ヒスパニック系白人の小児と比べて高かった。しかしながら、遵守率が90%以上では、ヒスパニック系の小児の再燃率が依然として高いことを示していた。 [75] 2つ目の研究では、アジア系米国人およびアフリカ系米国人の患者では遵守率が非ヒスパニック系白人の患者よりも有意に低かった。これらの民族集団ではかなりの割合の患者で遵守率が90%未満であり、再燃リスクが3.9倍高かった。 [76]

  • 先祖に関連するゲノム変化。

    先祖に関連するゲノム変化は、ALLの発生および転帰の両方における人種と民族の差に関与している可能性がある。 [77] 例えば、人種と民族のグループが異なると特定の宿主多型の存在も異なることは、転帰の差に関与している可能性があり、この例としては、ヒスパニック系で高頻度に認められ、ALL感受性および再燃ハザードのいずれにも関連しているARID5B遺伝子の一塩基多型の発生が挙げられる。 [78]

診断時および治療中の体重

ALLの転帰に対する肥満の影響に関する研究の結果は多様である。これらの研究のほとんどで、肥満は、年齢および身長別の第95パーセンタイルを超える体重と定義される。


  • 3件の研究ではEFSに対する肥満の独立した影響を実証できていない。 [79] [証拠レベル:2Dii]; [80] [81] [証拠レベル:3iiDi]

  • 2件の研究で、肥満は10歳超の患者または中リスクもしくは高リスク疾患の患者においてのみ独立した予後因子であることが示されている。 [82] [83] [証拠レベル:3iiDi]

  • COGにより、高リスクALL試験(CCG-1961[NCT00002812])に登録した2,008人の小児(このうち14%が肥満であった)において、転帰に対する肥満の影響が報告された。 [84] [証拠レベル:2Di]肥満は、肥満でない患者と比較してより不良な転帰の独立変数であることが明らかにされた(5年EFS率、64% vs 74%;P = 0.002.)。しかしながら、診断時に肥満で治療の維持療法前に体重が標準範囲になった患者の転帰は、診断時の体重が標準範囲であった患者と同程度であった。

  • 単一施設で治療された患者を対象にしたレトロスペクティブ研究において、診断時の肥満は寛解導入療法終了時に微小残存病変(MRD)が認められるリスクの増加およびより不良なEFSに関連していた。 [85] [証拠レベル:3iiDi]

ALL小児患者762人(年齢2~17歳)を対象にした研究において、Dutch Childhood Oncology Groupは、診断時体重が標準以下の小児患者(集団の8%)の再燃リスクが標準以上の体重の患者(リスクグループおよび年齢で調整後)と比較してほぼ2倍高かったことを明らかにしたが、このことはEFSまたはOSにおける差につながらなかった。治療開始から最初の32週間以内に肥満指数が低下した患者は他の患者と同程度の再燃率を示したが、主として再燃後の救助率が不良であったために、OSは有意に不良であった。 [86]

白血病細胞の特徴

予後に影響する白血病細胞の特徴には以下のものがある:

  1. 形態学的特徴
  2. 免疫表現型
  3. 細胞遺伝学的変異/ゲノム変化

形態学的特徴

これまで、ALLリンパ芽球は、French-American-British(FAB)分類の基準を用いて、L1型、L2型、またはL3型に分類されていた。 [87] しかしながら、この分類体系は、独立した予後的意義に欠け、本質的に主観的な分類であるため、もはや使用されていない。

形態学的にL3型を示すALL症例のほとんどが細胞表面免疫グロブリン(Ig)を発現し、バーキットリンパ腫にみられるものと同じMYCが免疫グロブリン遺伝子のいずれかと結合したMYC遺伝子転座(すなわち、t(8;14)(q24;q32)、t(2;8))が認められる。この特異的でまれな形態の白血病(成熟B細胞またはバーキット白血病)の患者は、バーキットリンパ腫に対するプロトコルに従って治療すべきである。(B細胞ALLおよびバーキットリンパ腫の治療に関する詳しい情報については、小児非ホジキンリンパ腫の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

免疫表現型

骨髄腫瘍と急性白血病の2016年版世界保健機関(WHO)分類では、ALLをB細胞リンパ芽球性白血病またはT細胞リンパ芽球性白血病のいずれかに分類しており、分子的特徴に基づいてさらに細分している。 [88] [89] (詳しい情報については、本要約の診断のセクションを参照のこと。)

B細胞またはT細胞リンパ芽球性白血病は、いずれも骨髄系抗原を共発現している可能性がある。このような症例は、細胞系列があいまいな白血病と区別する必要がある。

  1. 前駆B細胞ALL(WHO分類でB細胞リンパ芽球性白血病)


    2008年より前にWHOは、B細胞リンパ芽球性白血病を前駆B細胞リンパ芽球性白血病として分類していたが、この用語は小児ALLの文献で成熟B細胞ALLと区別するために依然として頻繁に使用されている。成熟B細胞ALLは、現在ではバーキット白血病と呼ばれており、前駆B細胞ALLに対して実施される治療とは異なる治療が必要である。この古い用語も本要約において引き続き使用される。


    前駆B細胞ALLは、細胞質CD79a、CD19、HLA-DR、およびその他のB細胞に関連する抗原の発現により定義され、小児ALLの80~85%を占める。前駆B細胞ALL症例の約90%は、CD10(以前は共通ALL抗原[cALLa]として知られていた)表面抗原を発現している。CD10陰性は、MLLKMT2A)再構成、特にt(4;11)(q21;q23)および不良な転帰と関連している。 [9] [90] MLL遺伝子再構成が認められない場合に、CD10陰性が何らかの独立した予後的意義を有するかどうかは不明である。 [91]


    前駆B細胞ALLの主な免疫表現型サブタイプは、以下の通りである:


    • common前駆B細胞ALL(CD10陽性で、細胞表面または細胞質Igが認められない)

      前駆B細胞ALL患者の約4分の3は、common前駆B細胞の免疫表現型を有しており、予後が最も良好である。予後良好な細胞遺伝学的特徴を有する患者はほとんど常にcommon前駆B細胞の免疫表現型を示す。


    • pro-B ALL(CD10陰性で、細胞表面または細胞質Igが認められない)

      患者の約5%はpro-B免疫表現型を有している。pro-Bは乳児に最も多くみられる免疫表現型であり、MLLKMT2A)遺伝子再構成を伴っていることが多い。


    • pre-B ALL(細胞質Igが認められる)

      pre-B ALL患者の白血病細胞には細胞質Igが含まれており、pre-B ALL患者の25%にTCF3-PBX1(以前にE2A-PBX1として知られていた)融合を伴うt(1;19)(q21;p13)転座がみられる(以下を参照)。


      患者の約3%には、細胞表面Igの重鎖を発現しているが、軽鎖の発現、MYC遺伝子異常、およびL3の形態を認めない移行性pre-B ALLがみられる。この表現型の患者は前駆B細胞ALLに用いられる治療法によく反応する。


      患者の約2%に、バーキット白血病とも呼ばれる成熟B細胞白血病(細胞表面Igを発現し、一般にFAB分類L3形態を伴い、MYCを巻き込んだ8q24転座を有する)が認められる。成熟B細胞ALLの治療は非ホジキンリンパ腫の治療に基づいており、前駆B細胞ALLの治療とは全く異なる。細胞表面Igを認めないが、MYC遺伝子転座を伴うL3形態を示す成熟B細胞白血病のまれな症例も成熟B細胞白血病として治療すべきである。(B細胞ALLおよびバーキットリンパ腫の患児の治療に関する詳しい情報については、小児非ホジキンリンパ腫の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)


  2. T細胞ALL


    T細胞ALLは、白血病芽球上にT細胞関連抗原(細胞質CD3およびCD7に加え、CD2またはCD5)の発現によって定義される。T細胞ALLでは、以下を含むさまざまな臨床像との関連が頻繁に認められる: [20] [36] [71]


    • 男性である。

    • 年齢が高い。

    • 白血球増加症。

    • 縦隔腫瘤。


    T細胞ALLの小児の転帰は、適切な強化療法によりB細胞系列ALLの小児に近くなる。 [20] [36] [39] [40] [71]


    T細胞ALLの患者で一般に認められた予後因子はほとんどない。T細胞ALLで認められる白血球数の予後的意義に関して、矛盾したデータが存在する。 [35] [36] [37] [38] [39] [40] [41] [95] 診断時に縦隔腫瘤が存在するかどうかには予後的意義がない。縦隔腫瘤がある患者で、腫瘤の退縮速度に予後的意義はない。 [96]


    B細胞系列ALLによくみられる細胞遺伝学的異常(例、染色体数が51~65の高二倍体)がT細胞ALLでみられるのはまれである。 [97] [98]


    T細胞ALLでは複数の染色体転座が同定されており、構造的染色体再構成により転写因子(例、TAL1、LMO1およびLMO2、LYL1、TLX1/HOX11、ならびにTLX3/HOX11L2)をコードしている多くの遺伝子がT細胞受容体遺伝子座の一部と融合しているため、白血病細胞には、これらの転写因子の異常な発現が認められる。 [97] [99] [100] [101] [102] [103] これらの転座は標準の核型解析では明確でないことが多いが、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法などのより感度の高いスクリーニング技術を用いることで同定可能である。 [97] この遺伝子を巻き込んだt(10;14)(q24.3;q11.2)に起因するTLX1/HOX11の高い発現が小児T細胞ALL症例の5~10%にみられ、T細胞ALLの成人と小児のいずれにおいても、より良好な転帰と関連している。 [99] [100] [101] [103] 潜在性のt(5;14)(q35;q32)に起因するTLX3/HOX11L2の過剰発現が小児T細胞ALL症例の約20%にみられ、治療失敗のリスクが高いことに関連していると考えられているが [101] 、すべての研究で確認されているわけではない。


    T細胞ALLにおけるNotch経路のシグナル伝達は、多くがNOTCH1およびFBXW7遺伝子突然変異によって活性化される。 [104] NOTCH1遺伝子の活性化変異はT細胞ALL症例の約50~60%に発生し、FBXW7遺伝子の不活性化変異は症例の約15%に発生するため、これらの遺伝子の1つ以上に生じた突然変異によってNotch経路が活性化される症例は約60%となる。 [105] 小児T細胞ALLにおけるNOTCH1およびFBXW7突然変異によるNotch経路活性化の予後的意義は明らかではなく、突然変異を認める症例では予後良好なことを示している研究もあれば [106] [107] [108] [109] 、NOTCH1および/またはFBXW7突然変異の存在に予後的な意義はないことを示している研究もある。 [105] [110] [111] [112]


    NUP214-ABL1の融合がT細胞ALL症例の4~6%に認められており、成人と小児のいずれにも観察され、男性に多くみられる。 [113] [114] [115] この融合は細胞遺伝学的検査では潜在性で、FISH法では増幅したエピソームで確認されるが、それ以外でも、はるかにまれであるが、均一に染色された小領域として確認されることもある。 [115] T細胞ALLでは、他の遺伝子パートナー(例えば、ETV6BCR、およびEML1)とのABL1融合蛋白がまれに認められることもある。 [115] イマチニブまたはダサチニブなどのABLチロシンキナーゼ阻害薬は、このT細胞ALLのサブタイプで治療効果を示す可能性があるが [113] [114] [116] 、この戦略の臨床経験はきわめて限られている。 [117] [118] [119]


    初期の前駆T細胞ALL


    初期の前駆T細胞ALLは小児T細胞ALLの別のサブセットであり、正常な初期の前駆T細胞の発現プロファイルに強く相関している遺伝子発現プロファイルを示すT細胞ALLを特定することによって初めて定義された。 [120] このような解析によって特定されたT細胞ALL症例のサブセットは、全症例の13%を占め、特有な免疫表現型(CD1aおよびCD8陰性で、CD5の弱い発現と幹細胞または骨髄系細胞マーカーの共発現を伴う)を示す特徴がみられた。


    初期の前駆T細胞ALLを対象とした分子的特徴の詳細な検索により、この疾患は分子レベルにおいて高度に不均一で、3分の1を超える症例では突然変異またはコピー数変異により影響を受けた遺伝子が1つもみられないことが示された。 [121] 他のT細胞ALL症例と比較した場合、初期の前駆T細胞性グループでは、NOTCH1突然変異の発生率が低く、サイトカイン受容体およびRASの信号伝達、造血発生、およびヒストン修飾を調節している遺伝子の変異頻度が有意に高かった。初期の前駆T細胞ALLの転写プロファイルは、正常な造血幹細胞および骨髄性白血病幹細胞のものと類似性を示している。 [121]


    初期の前駆T細胞ALLについて記述した初期の報告で、このサブセットは他のT細胞ALL症例より予後が不良なことが示唆された。 [120] [122] [123] しかしながら、別の研究では、初期の前駆T細胞ALLのサブグループにおける5年EFS率が初期の前駆T細胞以外のT細胞ALL症例と比較して劣っていたものの有意ではなかった(76% vs 84%)ことが示された。 [124] 同様に、COG-AALL0434試験では、初期の前駆T細胞症例と初期ではない前駆T細胞症例で同程度の5年EFS率が観察され、いずれも約87%であった。 [125] 初期の前駆T細胞ALLの予後的意義をしっかりと確定するには、患者コホートを追加した研究がさらに必要であるが、ほとんどのALL治療グループが初期の前駆T細胞状態に基づいて患者の治療を変更していない。


    比較ゲノムハイブリダイゼーションおよび/または定量的DNA-PCRにより検出されるようなTCRγ遺伝子座の両アレル欠失が検出されないこと(ABGD)がT細胞ALL患者の早期治療失敗に関連していることが研究により明らかになっている。 [126] [127] ABGDは初期胸腺前駆細胞に特徴的な所見で、ABGDを伴うT細胞ALL患者の多くが初期の前駆T細胞の表現型の診断と一致した免疫表現型を有する。

  3. 骨髄細胞系抗原の発現


    小児ALL症例の最大で3分の1には、骨髄系細胞関連の表面抗原を発現する白血病細胞が認められる。骨髄系細胞に関連した抗原の発現は、ALLの特定のサブグループ、特にMLLKMT2A)再構成を認めるサブグループおよびETV6-RUNX1遺伝子再構成を認めるサブグループと関連していると考えられる。 [128] [129] 骨髄系表面抗原の発現に関する独立した不良な予後的意義は示されていない。 [128] [129]


    細胞系列があいまいな白血病


    小児における急性白血病症例の5%未満は細胞系列があいまいで、骨髄系およびリンパ系の両細胞系列の特徴を発現している。 [130] [131] [132] これらの症例は、免疫表現型検査および組織化学検査によって主要細胞系例が決定できない点で骨髄系の共発現を伴うALLと区別される。細胞系列があいまいな白血病の定義は研究間で異なっている。しかしながら、現在では研究者のほとんどが、European Group for the Immunological Characterization of Leukemias(EGIL)によって制定された基準、またはより厳密なWHO基準を採用している。 [133] [134] [135] WHO分類では、骨髄細胞系列であることを確定するにはミエロペルオキシダーゼの存在が必要である。このことは、EGIL分類に当てはまらない。


    表現型が混在した白血病には、以下の2つのグループが含まれる: [130]


    • 通常はリンパ系細胞と骨髄系細胞の2つの異なった細胞集団を認める二細胞系列白血病。

    • 個々の芽球がリンパ系細胞と骨髄系細胞の両方の特徴を示す二重表現型白血病。二重表現型の症例は混合表現型白血病の大多数を占める。 [130] ETV6-RUNX1融合がみられない骨髄B細胞二重表現型白血病の患者では、前駆B細胞ALLの患者より、完全寛解(CR)率が低く、EFSが有意に不良である。二重表現型白血病患者に対する至適治療法は依然として明らかではないが、一部の研究では、二重表現型白血病患者は、骨髄系と対照的にリンパ系の治療レジメンを用いることで予後が良い可能性が示唆されている。 [131] [132] [136]

細胞遺伝学的変異/ゲノム変化

特に前駆B細胞ALLでは、反復性の染色体異常の多くに予後的意義があることが明らかにされている。その中には、高度の高二倍体(染色体数が51~65)およびETV6-RUNX1融合のように、より予後良好な転帰と関連している染色体異常がある。他のものは歴史的に予後不良に関連しており、フィラデルフィア染色体(t(9;22)(q34;q11.2))、MLLKMT2A)遺伝子の再構成、低二倍体、およびAML1遺伝子の染色体内増幅(iAMP21)などがある。 [137]

これらのゲノム変化の多くで臨床的意義が認識されたことから、造血組織およびリンパ組織の腫瘍の2016年版世界保健機関分類では、前駆B細胞ALLに対して以下の名称が記載されている: [89]


  • B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、他に特定されない(NOS)。

  • B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、反復性遺伝子異常を伴う。

  • B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、t(9;22)(q34.1;q11.2);BCR-ABL1を伴う。

  • B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、t(v;11q23.3);KMT2A再構成を伴う。

  • B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、t(12;21)(p13.2;q22.1);ETV6-RUNX1を伴う。

  • B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、高二倍体を伴う。

  • B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、低二倍体を伴う。

  • B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、t(5;14)(q31.1;q32.3);IL3-IGHを伴う。

  • B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、t(1;19)(q23;p13.3);TCF3-PBX1を伴う。

  • 暫定的疾患単位:B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、BCR-ABL1-like

  • 暫定的疾患単位:B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、iAMP21を伴う。

小児ALLについて、これらおよびその他の染色体とゲノムの異常を以下に記載する。

  1. 染色体数


    • 高度の高二倍体(染色体数が51~65)。

      高度の高二倍体は、細胞当たりの染色体数が51~65、またはDNA指数が1.16を超えることで定義され、前駆B細胞ALLの症例の20~25%に生じるが、T細胞ALLの症例ではきわめてまれである。高二倍体は、細胞のDNA量(DNA指数)の測定または核型分類により評価できる。核型が正常な症例または標準的な細胞遺伝学的検査ができなかった症例では、分裂間期蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)により、隠れている高二倍体を検出できることがある。高度の高二倍体は、一般に臨床的に良好な予後因子を有する症例(1歳から10歳未満で、白血球[WBC]数が少ない患者)に認められ、それ自体が独立した良好な予後因子である。 1件の研究において、染色体数が51~65の高二倍体の範囲のうち、モダルナンバーが比較的高い(58~66)患者は予後良好であると考えられた。高二倍体性白血病細胞は、特にアポトーシスに陥りやすく、メトトレキサートおよびその活性ポリグルタミン酸塩代謝産物を高レベルに蓄積することから、これらの症例においてよく観察される良好な転帰が説明できる可能性がある。


      高度の高二倍体を認める患者の全体的な転帰は良好であると考えられるが、その予後的な意義は、年齢、WBC数、特定のトリソミー、および治療に対する早期の反応などの因子により変わることが示されている。


      4番、10番、および17番染色体がトリソミー(トリプルトリソミー)の患者は、Pediatric Oncology Group(POG)およびChildren's Cancer Groupの両者によるNCI標準リスクALLの解析で明らかにされたように、特に転帰が良好なことが示されている。POGのデータは、NCI標準リスクの患者で、4番および10番染色体がトリソミーの場合は、17番染色体の状態にかかわらず予後がきわめて良好なことを示唆している。


      染色体転座が高度の高二倍体を伴って認められる場合があり、そのような症例では患者はその転座の予後的意義に基づいてより適切にリスク分類される。例えば、ある研究で、フィラデルフィア染色体(t(9;22)(q34;q11.2))を有する患者の8%に高度の高二倍体も認められ、これらの(チロシンキナーゼ阻害薬がない時期に治療を受けた)患者の転帰は、フィラデルフィア染色体陽性(Ph+)で高度の高二倍体ではない患者で観察されたものより不良であった。


      高二倍体ALLの一部の患者では、倍の数の低二倍体クローン(顕在化しない低二倍体)が認められることがある。これらの症例では、特定の染色体の増加および欠失パターンに基づいて解釈できることがある。これらの患者は、低二倍体の患者と同様に転帰不良である。


      近三倍体(染色体数が68~80)および近四倍体(染色体数が80を超える)は、はるかにまれであり、高度の高二倍体とは生物学的に異なると考えられている。高度の高二倍体とは異なり、近四倍体の症例には、潜在性のETV6-RUNX1融合を有している割合が高い。 近三倍体および近四倍体は、過去には予後不良と関連していると考えられていたが、その後の研究ではそうではない可能性も示唆されている。


      高二倍体ALLに関するゲノムの全体像は、約半数の症例における受容体チロシンキナーゼ(RTK)/RAS経路の遺伝子変異により表される。ヒストン修飾因子をコードする遺伝子も少数の症例に反復性で認められる。変異プロファイルの解析により、染色体の増加が高二倍体ALLの発生機序における早期のイベントであることが実証されている。


    • 低二倍体(染色体数が44未満)

      染色体が正常な数より少ない前駆B細胞ALL症例は、さまざまな方法で再分類されており、ある報告では染色体基本数を基に以下の4つのグループに層別化している:


      • 近一倍体:染色体数が24~29(n = 46)。

      • 低度の低二倍体:染色体数が33~39(n = 26)。

      • 高度の低二倍体:染色体数が40~43(n = 13)。

      • 近二倍体:染色体数が44(n = 54)。


      低二倍体の患者のほとんどが近一倍体または低度の低二倍体のグループであり、このグループはいずれも非二倍体症例と比べて治療失敗のリスクが高い。 白血病細胞の染色体数が44未満の患者は、染色体数が44または45の患者よりも転帰不良である。近一倍体または低度の低二倍体のALL患者20人を対象にした1件の研究により、低二倍体集団におけるMRDは予後的意義を有しうることが示された。


      近一倍体および低度の低二倍体のALLでよくみられるゲノム変化は、お互いのALLとも、他の種類のALLとも異なると考えられている。近一倍体のALLでは、RTK信号伝達、RAS信号伝達、およびIKZF3に生じる変異が一般的である。低度の低二倍体のALLでは、TP53RB1、およびIKZF2が関与したゲノム変化が多い。重要な点として、低度の低二倍体のALLに観察されるTP53変異は、約40%の症例で非腫瘍細胞にも認められることから、これらの変異は生殖細胞変異であること、および低度の低二倍体のALLは、一部の症例でリー-フラウメニ症候群の症状を示すことが示唆される。


  2. 染色体転座および染色体セグメントの増幅/欠失


    • t(12;21)(p13.2;q22.1);ETV6-RUNX1(以前はTEL-AML1として知られていた)

      12番染色体上のETV6遺伝子と21番染色体上のRUNX1遺伝子の融合は、前駆B細胞ALL症例の20~25%にみられるが、T細胞ALLで観察されることはまれである。t(12;21)(p12;q22)は潜在性転座となり、従来の細胞遺伝学的検査では検出されず、FISHなどの手法で検出され、2~9歳の小児に最も多くみられる。 ヒスパニック系のALL小児では、白人の小児よりもt(12;21)(p13;q22)の発生率が低い。


      ETV6-RUNX1融合を認める小児では、一般的にイベントフリー生存(EFS)および全生存(OS)が良好なことを示す報告がある;しかしながら、この遺伝的特徴の予後的な影響は、以下の因子によって変化する:


        治療に対する早い反応。
        NCIリスクカテゴリー(診断時の年齢およびWBC数)。
        治療レジメン。

      新たにALLと診断された小児の治療を検討したある研究では、予後因子の多変量解析により、年齢および白血球数は独立した予後因子であるが、ETV6-RUNX1はそうではないことが明らかにされた。 ETV6(12p)またはCDKN2A/B(9p)の欠失といった二次性の細胞遺伝学的異常の存在はETV6-RUNX1融合が認められる患者の転帰に影響しないと考えられる。 ETV6-RUNX1融合を認める患者では、他の前駆B細胞ALLと比較して、晩期再燃の頻度が高い。 ETV6-RUNX1融合を認める再燃患者は、他の再燃患者より転帰が良好であると考えられており、診断から36ヵ月を過ぎてから再燃した患者は、特に予後良好である。t(12;21)(p13;q22)を認める患者における一部の再燃は、(最初の打撃がETV6-RUNX1転座であった)持続性の前白血病クローンが新たに独立して受けた2番目の打撃である可能性もある。


    • t(9;22)(q34.1;q11.2);BCR-ABL1(Ph+)

      フィラデルフィア染色体t(9;22)(q34;q11.2)は、ALL患児の約3%にみられ、チロシンキナーゼ活性を有するBCR-ABL1融合蛋白の産生につながる(図2を参照のこと)。

      図2.フィラデルフィア染色体は、ABL-1がん遺伝子(9番染色体の長腕上)と切断点クラスター領域BCR)(22番染色体の長腕上)との間の転座であり、これにより融合遺伝子BCR-ABL1が形成される。BCR-ABL1は、チロシンキナーゼ活性を有する発がん性蛋白をコードする遺伝子となる。

      このALLサブタイプは、前駆B細胞ALLでWBC数が多い年長児に多くみられ、ALLの若年成人でt(9;22)(q34;q11.2)の発生率は約25%まで増加する。


      歴史的にフィラデルフィア染色体t(9;22)(q34;q11.2)は、(特に、WBC数が多い患者、または初期治療に対する早期反応が緩慢な患者では)きわめて不良な予後と関連しており、その存在は第一寛解期の患者における同種造血幹細胞移植(HSCT)への適応と考えられていた。 メシル酸イマチニブなどのBCR-ABL1チロシンキナーゼ阻害薬は、Ph+ ALL患者に有効である。強化化学療法と同時にメシル酸イマチニブの連日投与を行った小児腫瘍学グループ(COG)の研究では、5年EFS率が70%±12%であったことが示されており、チロシンキナーゼ阻害薬(メシル酸イマチニブ)登場前の時代における歴史的対照のEFS率より優れていた。


    • t(v;11q23.3);MLL(KMT2A)再構成

      MLLKMT2A)遺伝子を巻き込んだ再構成は、小児ALL症例全体の約8%にみられるが、ALL乳児では最大80%に達する。これらの再構成は、一般に治療失敗のリスク増大と関連している。 t(4;11)(q21;q23)は、ALLの小児で最も多くみられるMLL遺伝子を巻き込んだ再構成で、小児ALLの約1~2%にみられる。


      t(4;11)(q21;q23)を認める患者は、一般にWBC数が多い乳児である;このような乳児では、中枢神経系(CNS)病変がみられる可能性、および初期治療に対する反応が不良である可能性が他のALL患児よりも高い。t(4;11)(q21;q23)を有する乳児および成人では、いずれも治療失敗のリスクが高いが、t(4;11)(q21;q23)を有する小児は、乳児または成人のいずれよりも転帰が良好と考えられる。 MLLKMT2A)遺伝子再構成の種類に関係なく、白血病細胞にMLL遺伝子再構成を認める乳児は、白血病細胞にMLL遺伝子再構成を認める年長患者より治療転帰が不良である。 全ゲノム配列決定法により、MLL遺伝子再構成を認める乳児ALL症例は別のゲノム変化(これらのいずれについても臨床的意義は不明である)をほとんど有さないことが明らかにされた。 MLL遺伝子の欠失は、予後不良と関係ないことが示されている。


      興味深いことに、MLLKMT2A)とMLLT1/ENLを巻き込んだt(11;19)(q23;p13.3)は、ALL症例の約1%にみられ、early B細胞系列ALLでもT細胞ALLでも認められる。t(11;19)を認める乳児の転帰は不良であるが、それより年齢が高いt(11;19)を認めるT細胞ALLの小児の転帰は比較的良好であると考えられている。


    • t(1;19)(q23;p13.3);TCF3-PBX1およびt(17;19)(q22;p13);TCF3-HLF

      t(1;19)は、小児ALL症例の約5%にみられ、19番染色体上のTCF3遺伝子が1番染色体上のPBX1遺伝子に融合したものである。 t(1;19)は、均衡型転座または不均衡型転座のいずれとしても発生することがあり、pre-B ALL免疫表現型(細胞質Ig陽性)を示す原発性の反復性ゲノム変異である。黒人の小児は、白人の小児よりもt(1;19)を伴うpre-B ALLである傾向が相対的に高い。


      代謝拮抗薬を基本にした治療状況では、t(1;19)は不良な転帰と関連していたが、その有害な予後的意義は、より積極的な多剤療法によってほぼ打ち消された。 しかしながら、St. Jude Children's Research Hospital(SJCRH)が実施した試験によると、すべての患者が頭蓋照射療法を含まない治療を受け、t(1;19)を有する患者は、この転座が認められない小児と全体的に同程度の転帰であったが、CNS再燃リスクが高く、骨髄再燃の発生率が低かったことから、これらの患者にはより強力なCNS療法が必要となる可能性が示唆される。


      TCF3-HLF融合を引き起こすt(17;19)は、小児ALL症例の1%未満にみられる。TCF3-HLF融合を認めるALLは、診断時の播種性血管内凝固症候群および高カルシウム血症に関連する。t(17;19)を有する小児の転帰は非常に不良で、21症例中20例の死亡を記録した文献レビューが報告されている。このALLサブタイプのゲノムの全体像は、TCF3-HLF融合に加えて、B細胞分化に関与する遺伝子(PAX5BTG1、およびVPREB1)における欠失とRAS経路の遺伝子(NRASKRAS、およびPTPN11)における突然変異を特徴としていた。


    • 高頻度でERG欠失を伴うDUX4再構成

      小児B前駆細胞ALL患者について標準リスクの約5%および高リスクの10%で、DUX4の過剰発現につながるDUX4が関与する再構成がみられる。 年齢の高い青年(15歳超)における頻度は約10%である。最も一般的な再構成は、IGH-DUX4融合をもたらし、ERG-DUX4融合も観察される。DUX4再構成症例の約50%は、ALLの他のサブタイプでは観察されないERGが関与する限局的な遺伝子内欠失で 、DUX4再構成症例では独特の遺伝子発現パターンがみられ、最初にERGにおけるこうした限局的な欠失との関係で特定された。 IKZF1の変化は、DUX4再構成ALLの35~40%で観察される。 ERG欠失は非常に優れた予後を暗示しており、OSは90%を超える;IZKF1欠失が認められる場合でも、予後は依然として非常に良好である。 ERG欠失が認められず、DUX4再構成を有する患者もまた予後が良好なようである。


    • t(5;14)(q31.1;q32.3);IL3-IGH

      この遺伝子異常は、造血器およびリンパ組織腫瘍に関する2016年版のWHO分類に含まれている。1980年代の過好酸球増加症のALL患者におけるt(5;14)(q31.1;q32.3)の検出は、本疾患の基礎をなす遺伝的根拠としてのIL3-IGH融合の同定につながった。 IGH遺伝子座がインターロイキン-3遺伝子(IL3)のプロモーター領域へ結合することで、IL3発現の調節異常に至る。過好酸球増加症の小児ALLにおける細胞遺伝学的異常はさまざまであるが、IL3-IGH融合に起因するサブセットのみである。


      公表文献で報告されているIL3-IGH ALLの症例数は、あまりにも少なく、IL3-IGH融合の予後的意義は評価できない。


    • 21番染色体の染色体内増幅(iAMP21)

      21q22に位置するRUNX1(AML1)遺伝子の過剰コピーを複数伴うiAMP21は、前駆B細胞ALL症例の約2%にみられ、比較的高い年齢(中央値、約10歳)、初診時のWBC数が50×109/L未満、わずかな女性優勢、および寛解導入療法終了時の高い微小残存病変(MRD)と関連している。


      MRC ALL 97/99試験で治療を受けた患者においてiAMP21が認められた場合は予後不良であること(5年EFS率、29%)が英国(UK)のALL臨床試験グループによって初めて報告された。その後の試験(UKALL2003 [NCT00222612])において、iAMP21が認められた患者はより集中的な化学療法レジメンに割り付けられ、転帰が顕著に改善した(5年EFS率、78%)。同様に、COGでもNCIの標準リスク患者において、iAMP21は有意に不良な転帰(4年EFS率、iAMP21の場合73% vs 他の患者では92%)と関連しているが、NCIの高リスク患者においては有意に不良な転帰と関連しない(4年EFS率、73% vs 80%)ことが報告されている。多変量解析で、iAMP21はNCIの標準リスク患者においてのみ転帰不良の独立した予測因子であった。UKALL2003およびCOG研究の結果から、高リスク化学療法レジメンによりiAMP21患者を治療することで、不良な予後的意義が撤回され、初回寛解時のSCTが必要なくなることが示唆される。


    • IKZF1欠失

      IKZF1欠失は、遺伝子全体の欠失および特定のエクソンの欠失を含め、前駆B細胞ALL症例の約15%にみられる。頻度は低いが、有害な点突然変異によりIKZF1が不活性化されることがある。 IKZF1欠失を認める症例は、年長の小児に発生する傾向があり、診断時のWBC数が多いことから、NCI標準リスクの患者と比較してNCI高リスクの患者に多くみられる。 BCR-ABL1症例では、高い割合でIKZF1欠失がみられ 、ダウン症候群の小児に発生したALLでは、IKZF1欠失の発生率が高いと考えられている。 IKZF1欠失は、CRLF2のゲノム変化を有する症例およびフィラデルフィア染色体(Ph)-like(BCR-ABL1-like)ALL(以下を参照のこと)でも多くみられる。


      多数の報告により、IKZF1欠失の有害な予後的意義が実証されており、ほとんどの研究で、多変量解析を用いて、この欠失は不良な転帰の独立した予測因子であることが報告された。 ;[証拠レベル:2Di]つまり、IKZF1の予後的意義は、ALLの生物学的サブタイプ間で同じように適用するわけにはいかず、この例は、ERG欠失を認める患者における予後的意義が一見してみられないことにより示される。


    • BCR-ABL1-like(Ph-like)

      遺伝子発現プロファイルがBCR-ABL1陽性の患者と類似したBCR-ABL1陰性の患者は、BCR-ABL1-likeと呼ばれている。 この疾患は小児ALL患者の10~15%にみられ、年齢とともに頻度が高くなり、予後不良およびIKZF1欠失または突然変異と関連している。 BCR-ABL1-like ALLの患者40人を対象にした1件の研究で観察された5年EFSが90%という結果から、MRDのレベルに基づくリスクに従った治療法で治療を受けた患者では、このサブタイプの不良な予後的意義が撤回される可能性があることが示唆された。これらの患者40人中6人は高リスクとして分類され、すべて同種SCTを受けた。[証拠レベル:2A]


      BCR-ABL1-like ALLの特徴はキナーゼ信号伝達の活性化で、50%にCRLF2のゲノム変化がみられ、これらの症例の半数では同時にJAK変異もみられる。 CRLF2のゲノム変化を有するBCR-ABL1-like ALL症例に関する追加の情報を以下に示す。


      それ以外のBCR-ABL1-like ALL症例の多くでは、キナーゼ関与の共通のテーマを有する一連の転座がみられ、キナーゼとしてABL1ABL2CSF1RJAK2、およびPDGFRBなどが確認されている。 これらの遺伝子の組み合わせから生じた融合蛋白は、一部の症例で変化をもたらす作用があり、in vitroおよびin vivoのいずれにおいてもチロシンキナーゼ阻害薬に反応を示すことが確認されているため、これらを有する患者に対する治療戦略となる可能性が示唆されている。ただし、キナーゼ遺伝子内の点突然変異は、JAK1およびJAK2を除いて、Ph-like ALL症例ではまれである。


      性染色体の偽常染色体領域に位置するサイトカイン受容体遺伝子であるCRLF2におけるゲノム変化が前駆B細胞ALL症例の5~10%に確認されている;これらはBCR-ABL1-like ALL症例の約50%を占める。 CRLF2の過剰発現につながることが多い染色体異常として、IgH遺伝子座(14番染色体)のCRLF2への転座、およびP2RY8-CRLF2融合をもたらす性染色体の偽常染色体領域における中間部欠失がある。 CRLF2異常は、IKZF1欠失およびJAK突然変異の存在と強く関係している ;これらは、ダウン症候群小児でもよく認められる。 JAK1およびJAK2以外のチロシンキナーゼ遺伝子内の点突然変異は、CRLF2を過剰発現している症例においてまれである。


      数件のレトロスペクティブ研究の結果から、CRLF2異常は単変量解析で有害な予後的意義を有する可能性が示唆されるものの、ほとんどの研究ではその異常を独立した転帰予測因子として確立できていない。 例えば、ヨーロッパの1件の大規模研究において、CRLF2の発現増加は多変量解析で不良な転帰と関連していなかった一方、IKZF1欠失およびBCR-ABL1-like遺伝子発現署名は不良な転帰と関連していた。 CRLF2の過剰発現またはCRLF2のゲノム変化の存在に基づいて、CRLF2異常の予後的意義を解析すべきかどうかという点では議論がある。


      BCR-ABL1-like ALL症例の約9%は、切断型エリスロポエチン受容体(EPOR)の過剰発現につながる再構成に起因している。本受容体で失われているC末端領域は、一次性家族性先天性多血症で変異がみられ、EPORの安定性を制御している領域である。JAK-STAT活性化および白血病発現誘導にはEPORの残りの部分で十分である。


  3. 薬剤代謝経路における遺伝子多型


    化学療法薬の代謝に関与する多くの遺伝子多型は小児期のALLに予後的意義を有することが報告されている。 [222] [223] [224] 例えば、チオプリンメチルトランスフェラーゼの変異表現型(6-メルカプトプリン[6-MP]などのチオプリン代謝に関与する遺伝子TPMT)を有する患者は、転帰が比較的良好であると考えられるが [225] 、このような患者は、骨髄抑制および感染などの重大な治療関連毒性が発現するリスクも高い可能性がある。 [226] [227] 酵素活性が低いことに関連するTPMT変異がホモ接合性の患者は、ごく低用量(標準用量の約10%)のメルカプトプリンしか耐容できず、過剰な毒性を避けるためメルカプトプリンの用量を低減した治療を受ける。この変異酵素遺伝子がヘテロ接合体である患者は、一般に重篤な毒性なしにメルカプトプリンに耐えられるが、実際には正常アレルがホモ接合体である患者よりも造血毒性に対する用量減量が頻繁に必要となる。 [228] [229]


    nucleoside diphosphate-linked moiety X-type motif 15(NUDT15)における生殖細胞変異もこの酵素の活性を低下または消失させ、チオプリンの忍容性低下につながる。 [228] [230] これらの変異は、東アジア系およびヒスパニック系に多くみられ、欧州系およびアフリカ系ではまれである。リスクのある変異がホモ接合性の患者は、ごく低い用量のメルカプトプリンしか耐容できず、リスクアレルがヘテロ接合性の患者は、野生型アレルがホモ接合性の患者より低い用量(平均して25%の減量)しか耐容できないが、この2群間では認容可能な用量が重なっている範囲が大きい。 [228] [231]


    遺伝子多型も、抗がん剤の細胞効果において中心的な役割を果たす蛋白の発現に影響する可能性がある。一例を挙げると、CEP72(微小管の形成に関与する中心体蛋白)のプロモーター領域の多型がホモ接合性を示す患者は、ビンクリスチンによる神経毒性のリスクが高い。 [232]


    全ゲノム多型性解析では、導入療法終了時のMRDレベルおよび再燃リスクが高いことに関連した特定の一塩基多型が同定されている。IL-15の多型は、エトポシドおよびメトトレキサートの代謝に関連する遺伝子と同様に、SJCRHプロトコルおよびCOGプロトコルに従って治療したALL患者の2つの大規模なコホートで治療に対する反応と有意に関連していた。 [233] 還元型葉酸キャリアとメトトレキサートの代謝に関与する多型変異体は、毒性および転帰に関連している。 [234] [235] これらの関係から薬物代謝の個人差が転帰に影響を与える可能性が示唆されるが、これらの個人差を調整しようとした研究はほとんどない;これらの知見に基づいて個別化した用量調節によって転帰が改善するかどうかは不明である。

初回治療に対する反応

治療開始後に白血病細胞が除去される速度および寛解導入療法終了時点における残存病変のレベルは、長期的な転帰と関連している。治療に対する反応は、白血病細胞の薬物感受性ならびに宿主の薬力学および薬理ゲノミクスによる影響を受けるため [236] 、早期反応は強い予後的意義を有する。治療に対する白血病細胞の反応を評価するために、以下のようなさまざまな方法が用いられている:

  1. MRD測定
  2. 治療7日目および14日目の骨髄反応
  3. ステロイドによる前治療に対する末梢血反応
  4. 多剤併用寛解導入療法に対する末梢血反応
  5. 寛解導入療法終了前(8日目、15日目)の末梢血MRD
  6. 寛解導入療法終了時の骨髄形態(寛解導入失敗)

MRD測定

血液または骨髄中に残存している白血病細胞を形態的に評価することは困難なことが多く、相対的に感度が低い。伝統的に、骨髄中の芽球5%(光学顕微鏡による判定)がカットオフ値として寛解状態の判定に使用されてきた。これは20個中1個の悪性細胞レベルに相当する。血液または骨髄のいずれかで低レベルの白血病細胞を検出したい場合、染色体転座により産生される融合転写産物である特異的なIg/T細胞受容体遺伝子再構成を測定するPCR分析法、または白血病に特異的な免疫表現型を検出するフローサイトメトリー分析法のような専門技術が必要となる。これらの技術を用いると、100,000個の正常細胞の中からわずか1個の白血病細胞の検出が可能であり、細胞10,000個中1個のレベルでMRDをルーチンで検出できる。 [237]

複数の研究で、寛解導入療法終了時のMRDは、B細胞系ALLの小児および青年における転帰の独立した予測因子として重要であることが明らかにされている。 [159] [238] [239] 年齢、白血球数、および細胞遺伝学的異常によって定義された患者サブグループでは、MRDの結果により転帰が分かれる。 [240] 寛解導入療法終了時のMRDレベルが高い患者は、それが低いレベルであるかまたは検出できない患者よりも予後が不良である。 [159] [237] [238] [239]

寛解導入療法終了時のMRDレベルは、ほとんどすべての患者群で寛解導入後の治療強度を決定する因子として使用され、レベルがより高いと認められた患者ほど、より強力な治療に割り当てられる。寛解導入中の初期(例、8日目および15日目)および後期の時点(例、治療12週目)のMRDレベルからも転帰が予測される。 [159] [237] [241] ; [242] [証拠レベル:2A]

治療開始後10~12週間経過時(地固め療法終了時)に得られるMRDレベルも予後において重要であることが示されている;この時点でMRDレベルが高い患者は他の患者と比較してEFSが有意に不良である。 [239] [240]


  • B細胞ALL:B細胞ALLの患者は2つの時点(寛解導入療法終了時および地固め療法終了時)でMRDを評価することにより、以下の3つの予後的に異なる患者のサブセットを同定できる: [240]
    1. 寛解導入療法終了時のMRDレベルが低いか検出できない-最も予後良好。
    2. 寛解導入療法終了時のMRDレベルが検出可能であるか高いが、地固め療法終了時のMRDレベルが低いか陰性-中程度の予後。
    3. 地固め療法終了時(治療12週目)のMRDレベルが検出可能であるか高い-最も予後不良。

  • T細胞ALL:T細胞ALL患者におけるMRDの予後的意義を報告している研究はほとんどない。Associazione Italiana Ematologia Oncologia Pediatrica(AIEOP)ALL-BFM-2000(NCT00430118)試験では、78日目(第12週目)のMRDの状態がT細胞ALL患者における最も重要な再燃予測因子であった。 [243] 寛解導入療法終了時にMRDが検出可能であったが78日目までにMRDが陰性となった患者では、寛解導入療法終了前の時点でMRD陰性に達した患者と同程度の良好な予後がみられた。 [243]

MRDの測定は、患者にみられるその他の特徴とともに、再燃のリスクがきわめて低い患者のサブセットを同定するためにも使用されてきた。COGの報告によると、前駆B細胞表現型、NCI標準リスクの年齢/白血球数、CNS1状態、および予後良好な細胞遺伝学的異常(予後良好なトリソミーを含む高度の高二倍体またはETV6-RUNX1融合のいずれか)を有しているが、8日目(末梢血にて)および寛解導入療法終了時(骨髄にて)のいずれもMRDレベルが0.01%未満であった患者は、予後がきわめて良好であった(5年EFSが97%±1%)。 [159] 寛解導入療法終了時のMRDレベルが低い患者における優れた治療成績は、診断から10年以上維持される。 [244]

MRD測定に基づいて治療法を修正することで、治療成績の改善が示されている。


  • UKALL2003(NCT00222612)研究で、高リスク以外の患者で導入療法終了時のMRDが良好であれば、治療縮小(すなわち、2コースよりもむしろ1コースの遅延強化療法)は転帰に悪影響を及ぼさなかったことが実証された。 [21] [証拠レベル:1iiDii]ランダム化比較試験のUKALL2003研究でも、導入療法終了時のMRDが0.01%を超えていた場合に強化療法を受けた標準リスクおよび中リスク患者でEFSの改善(5年EFS率、強化療法で89.6% vs 標準治療で82.8%)が実証された。 [245]

  • Dutch AAL10試験では、最初の1ヵ月の治療後および2サイクル目の化学療法後のMRDに基づいて、患者が以下の3つのリスクグループに層別化された: [246] [証拠レベル:2A]
    • 標準リスク(最初の1ヵ月の治療後のMRDレベルが低い)。

    • 中等度リスク(最初の1ヵ月の治療後のMRDレベルが高く、2サイクル目の化学療法後のMRDレベルが低い)。

    • 高リスク(2サイクル目の化学療法後のMRDレベルが高い)。


    同じグループにより実施された以前の試験と比較して、標準リスクの患者に対する治療は緩和されたが、中等度リスクおよび高リスクの患者に対する治療はより強力であった。全体の5年EFS率(87%)およびOS率(92%)は以前のオランダの研究よりも優れていた。


治療7日目および14日目の骨髄反応

多剤併用化学療法開始から7日または14日以内に、骨髄中の白血病細胞が5%未満に急速に減少する患者は、骨髄からの白血病細胞の除去が遅い患者よりも予後良好である。 [247] 寛解導入療法終了時のMRD評価は、治療への反応の予後指標として、7日目および14日目の形態学的評価からおおむね置き換えられているが、これは、多変量解析でMRDを解析に含めた場合に、後者では予後的意義が失われるためである。 [159] [248]

ステロイドによる前治療に対する末梢血反応

寛解導入前にプレドニゾンによる治療を7日間実施し、メトトレキサート髄注を1回行うことにより末梢血芽球数が1,000/μL未満に減少した(プレドニゾンに対する反応が良好な)患者は、末梢血芽球数が1,000/μLを超えて残存している(プレドニゾンに対する反応が不良な)患者よりも予後良好である。 [20] プレドニゾンに対する反応不良は、10%未満の患者に認められている。 [20] [249] ベルリン-フランクフルト-ミュンスター(BFM)臨床試験グループのプロトコルで行っている治療層別化の一部は、7日間のプレドニゾンによる前治療(多剤併用寛解導入療法開始直前に投与)に対する早期反応に基づいている。

多剤併用寛解導入療法に対する末梢血反応

多剤併用化学療法の開始から7~10日経過しても白血病細胞が持続的に循環血中にみられる患者は、治療開始後1週間以内に末梢血芽球の除去がみられる患者よりも再燃するリスクが高い。 [250] 末梢血芽球の除去率は、T細胞ALLとB細胞系列ALLの両方で予後に重要であることが明らかにされている。 [250]

寛解導入療法終了前(8日目、15日目)の末梢血MRD

多剤併用寛解導入化学療法の開始から1週間後に採取した末梢血を用いたMRDは、早期の治療への反応の予後因子としても評価されている。


  • 2,000人近くのALL患児を含むCOG研究では、8日目の末梢血におけるMRDの存在が予後不良に関連しており、MRDレベルが高いと、それに伴って予後的に転帰が不良であった。 [159]

  • 多変量解析では、寛解導入療法終了時のMRDが最も強力な予後因子であったが、8日目の末梢血MRDには、NCIリスクグループおよび予後良好なトリソミーの存在と同様に、その予後的意義が依然として認められた。15日目の末梢血MRDの予後的意義については、ステロイド前治療の1週間後および多剤併用寛解導入療法の1週間後において小規模な研究により評価された。 [251] この研究では、多剤併用寛解導入療法から1週間後の末梢血MRDレベルにも多変量解析での重要性が認められた

両研究で、多剤併用寛解導入療法から1週間後に低いMRDレベルを達成し、その後の治療失敗率が低かった患者群が特定された。

寛解導入療法終了時の骨髄形態(寛解導入失敗)

ALL小児の大多数が、治療後最初の1ヵ月以内に形態学的完全寛解を達成する。寛解導入期の終了時点で5%を超える芽球の存在がALL小児の1~2%に認められる。 [21] [22] [252] [253]

寛解導入失敗のリスクが最も高い患者には、以下の特徴が1つ以上認められる: [254] [255]


  • T細胞表現型(特に縦隔腫瘤を認めない)。

  • 白血球数がきわめて多い前駆B細胞ALL。

  • MLLKMT2A)遺伝子再構成。

  • 年齢が高い。

  • フィラデルフィア染色体(チロシンキナーゼ阻害薬が使用される前)。

大規模なレトロスペクティブ研究では、寛解導入に失敗した患者のOSはわずか32%であった。 [252] しかしながら、臨床的にも生物学的にも顕著な不均一性が認められた。年齢が1~5歳の前駆B細胞ALLで、有害な細胞遺伝学的所見(MLL[KMT2A]再構成またはBCR-ABL1)がみられない患者では、比較的良好な転帰が観察された。このグループでは10年生存率が50%を超えており、このサブセットに対して第一寛解期におけるHSCTを化学療法単独と比較した場合、生存の優位性との関連はみられなかった。転帰が最も不良な(10年生存率が20%未満の)患者には、年齢が14~18歳の患者およびフィラデルフィア染色体またはMLL再構成を認める患者が含まれていた。B細胞ALLの6歳未満の患者およびT細胞ALLの患者(年齢は問わない)では、CRに達した後に同種HSCTによる治療を受けた場合、その後も化学療法単独による治療を受けた患者より転帰が良好であることが確認された。

予後(リスク)グループ

数十年にわたって小児ALLについて研究している臨床試験グループは、リスク分類スキームを利用した患者の治療失敗の推定リスクに基づいて治療レジメンを割り当てるようになってきた。初期のリスク分類システムでは、年齢および初診時のWBC数のような臨床的因子を利用していた。その後、治療への反応の判定が追加されたが、早期の形態学的骨髄反応(例えば、8日目、15日目)を利用しているグループもあれば、プレドニゾン単剤に対する循環白血病細胞の反応を利用しているグループもある。最新のリスク分類システムでは、年齢および初診時のWBC数のような臨床的因子を依然として利用しており、さらに診断時の白血病細胞における細胞遺伝学的およびゲノム的損傷(例えば、予後良好な転座および予後不良な転座)ならびに寛解導入療法終了時(および一部の症例では、その後の時点)のMRD検出に基づいた治療への反応を採用している。 [243] COGおよびBFMグループのリスク分類システムについて、以下に簡潔に示す。

小児腫瘍学グループ(COG)によるリスクグループ

COGプロトコルでは、以下に示す予後因子のサブセットに基づいて、ALL患児は最初に各治療群(治療失敗リスクの程度はさまざまである)に層別化される:


  • 年齢。

  • 診断時のWBC数。

  • 免疫表現型。

  • 細胞遺伝学的変異/ゲノム変化。

  • 髄外病変の存在。

  • ダウン症候群。

  • ステロイド前治療。

良好リスク基準(年齢が1歳から10歳未満、WBC数が50,000/μL未満、および前駆B細胞免疫表現型)に該当する小児では、EFS率が85%を超える;高リスク基準に該当する小児では、EFS率が約75%である。 [4] [50] [249] [256] [257] 発症年齢、WBC数、免疫表現型、髄外性病変の存在、およびステロイド前治療と合わせて、寛解導入療法後に細胞遺伝学的異常および治療に対する早期反応判定(例えば、ダウン症候群患者では治療7日目および/または14日目の骨髄芽球の割合、ならびに8日目の末梢血および寛解導入療法終了時点の骨髄サンプルにおけるMRDレベル)などの付加的な因子を考慮することで、推定EFS率が40%未満の患者群から95%を超える患者群までを識別することができる。 [4] [159]

治療失敗リスクが特に高い患者は、以下のような患者である: [258] [259] [260] [261]


  • MLLKMT2A)再構成を認める乳児。

  • 低二倍体(染色体数が44未満)の患者。

  • 最初の寛解導入に失敗した患者。

ベルリン-フランクフルト-ミュンスター(BFM)によるリスクグループ

2000年以降、BFMプロトコルでのリスク層別化分類は、ほぼ治療に対する反応の基準だけに基づいている。プレドニゾンを用いた前治療への反応に加えて、治療に対する反応は2つの時点、つまり寛解導入療法終了時(5週間経過時)および地固め療法終了時(12週間経過時)にMRDを測定して評価される。

BFMリスクグループには以下のものがある: [240]


  • 標準リスク:

    両方の時点でMRD陰性(すなわち、10-4未満)の患者は、標準リスクに分類される。

  • 中リスク:

    5週目でMRD陽性であるが12週目でMRDレベルが低い(10-3未満)患者は、中リスクとみなされる。

  • 高リスク:

    12週目でMRDレベルが高い(10-3以上)患者は、高リスクである。プレドニゾンによる前治療への反応が不良な患者も、その後のMRDの状態に関係なく高リスクとみなされた。

表現型、BFM危険因子としても知られる白血病細胞の推定腫瘍量、および診断時のCNS病変の状態は、現在のリスク分類スキームとして考えられていない。しかしながら、t(9;22)(q34;q11.2)またはt(4;11)(q21;q23)のいずれかを認める患者は、早期反応の基準に関係なく高リスクと考えられる。

臨床評価段階にある予後(リスク)グループ

COG AALL08B1

(新規診断ALLの分類)

COGプロトコルAALL08B1では、以下の基準に基づいて、前駆B細胞ALL患者を4つのリスクグループ(低リスク、平均リスク、高リスク、超高リスク)に層別化している: [1]


  • 年齢および認められる白血球数(NCIリスクグループ基準を使用)。 [3]

  • 髄外病変(CNSおよび/または精巣における白血病細胞の有無)。

  • 白血病細胞におけるゲノム変化。

  • 8日目の末梢血MRD。

  • 29日目の形態学的骨髄反応とMRD。

  • ダウン症候群。

  • ステロイド前治療。

リスク層別化の一部として、骨髄における初期反応の形態学的評価が寛解導入療法の8日目および15日目に実施されることはない。T細胞表現型を示す患者は、別個の研究で治療を受けており、このような方法ではリスク分類されていない。

前駆B細胞ALL患者に対して:


  • 予後良好な遺伝学的所見は、4番および10番染色体のトリソミー(ダブルトリソミー)を伴う高二倍体またはETV6-RUNX1融合のいずれかの存在で定義される。

  • 予後不良な特徴は、診断時のCNS3状態、寛解導入失敗(29日目でM3の骨髄所見)、年齢が13歳以上、および次の予後不良なゲノム変化で定義される:低二倍体(染色体数が44未満またはDNA指数が0.81未満)、MLLKMT2A)再構成、t(17;19)、およびiAMP21。これらの予後不良な特徴のいずれかが存在すれば、他の特徴が認められたとしても、超高リスクとして患者を分類するのに十分である。BCR-ABL1(Ph+ ALL)を認める乳児および小児では、個別の臨床試験で治療を実施する。

  • 末梢血で8日目および骨髄で29日目のMRDレベルがリスク分類に使用される。

前駆B細胞ALLに対する4つのリスクグループは、表1に定義している。 [1]

表1.前駆B細胞急性リンパ芽球性白血病に対するリスクグループ

低リスク 平均リスク 高リスク 超高リスク
EFS = イベントフリー生存;HR = 年齢およびWBC数によるリスクグループが高リスク;MRD = 微小残存病変;NCI = 米国国立がん研究所;PB = 末梢血;SR = 年齢およびWBC数によるリスクグループが標準リスク;WBC = 白血球。

NCIリスク(年齢/WBC)

SR SR SR SR SR HR(13歳未満) SR HR HR(13歳以上) SRまたはHR

予後良好な遺伝学的所見

あり あり なし あり なし すべて なし すべて すべて すべて

予後不良な特徴

なし なし なし なし なし なし なし なし なし あり

8日目のPBのMRD

<0.01% ≥0.01% <1% 任意のレベル ≥1% 任意のレベル 任意のレベル 任意のレベル 任意のレベル 任意のレベル

29日目の骨髄のMRD

<0.01% <0.01% <0.01% ≥0.01% <0.01% <0.01% ≥0.01% ≥0.01% <0.01% 任意のレベル

患者の割合(推定値)

15% 36%

5年推定EFS

>95% 90%–95%


NCI-2014-00712;AALL1231(NCT02112916)

(新たにT細胞ALLまたはII~IV期T細胞リンパ芽球性リンパ腫と診断された若年患者の治療においてボルテゾミブを併用するまたは併用しない併用化学療法)

T細胞ALLの患者については、リスクカテゴリーへの割り付けに、COGは以下の基準を用いている:

標準リスク
  • 29日目でMRDが0.01%未満のM1の骨髄所見。

  • 診断時にCNS1状態で、精巣病変を認めない。

  • 治療前にステロイド療法を受けていない。

中リスク
  • 29日目でMRDが0.01%以上のM1またはM2の骨髄所見。

  • 地固め療法終了時のMRDが0.1%未満。

  • 診断時のCNS状態を問わない。

超高リスク
  • 29日目でM3の骨髄所見または地固め療法終了時のMRDが0.1%以上。

  • CNS状態を問わない。

SJCRH(Total XVI):

初診時の年齢、白血球数、CNS3状態または精巣白血病の有無、免疫表現型、細胞遺伝学および分子遺伝学による所見、DNA指標、ならびに治療に対する早期反応に基づいて患者を3つのカテゴリー(低リスク、標準リスク、高リスク)に分類する。ここで、(初診時の特徴を基にした暫定的な低リスクまたは標準リスク症例に対しては)寛解導入療法の完了後に最終的なリスク割り当てが実施される。この基準および(Total XV研究からのデータに基づいて)各カテゴリーに分類される患者の推定割合を以下に示す。

低リスクALLの基準(約48%の患者)
  • DNA指標が1.16以上、ETV6-RUNX1融合を認める、

    または

    年齢が1~9.9歳で初診時のWBC数が50×109/Lを下回る前駆B細胞ALL。

  • 以下に該当してはならない:
      CNS3状態(CSFのWBC数が5/μL以上で、形態学的に芽球が同定されるか、脳神経麻痺を伴う)。
      顕性の精巣白血病(超音波検査による証拠)。
      有害な遺伝的特徴—t(9;22)(q34;q11.2)またはBCR-ABL1融合;E2A-PBX1融合を伴うt(1;19);MLLKMT2A)再構成(FISHおよび/またはPCRによる測定);または低二倍体(染色体数が44未満)。
      早期反応不良(寛解導入療法から15日目でリンパ芽球が1%以上、寛解日の免疫学的または分子的検査法によりリンパ芽球が0.01%以上)。

標準リスクALLの基準(約44%の患者)
  • T細胞ALLの全症例および低リスクまたは高リスクの基準を満たさない前駆B細胞ALL症例。

高リスクALLの基準(約8%の患者)
  • t(9;22)(q34;q11.2)またはBCR-ABL1融合。

  • t(4;11)(q21;q23)またはMLLKMT2A)融合を認める乳児。

  • 寛解導入失敗または寛解日の骨髄における白血病リンパ芽球が1%を超える。

  • 継続治療の7週目(すなわち、約14週間の寛解後導入療法である再寛解導入療法1の前)の骨髄における白血病リンパ芽球が0.1%を超える。

  • 以前はMRD陰性であった患者にMRD(レベルは問わない)が認められたことによる白血病リンパ芽球の再出現。

  • 低レベルのMRDが持続的に検出可能。

  • 骨髄マーカーの異常発現と合わせてT細胞マーカーの発現が少ないことによって定義される初期の前駆T細胞ALL。 [120] 初期の前駆T細胞ALLの特徴として、以下のものがある:
      CD5発現量が、正常な末梢血Tリンパ球の10分の1に満たない。このT細胞ALLのサブセットを特定した研究では、CD5発現量が正常なリンパ球の10分1から200分1を下回るものまであり、非定型の17症例でCD5を発現している白血病細胞の割合の中央値は45%であった;対照的に、定型群の122症例では98%を超えていた。
      CD1aおよびCD8の発現欠失(10%未満)。
      骨髄性白血病に関連するHLA-Dr、CD34、CD13、CD33、またはCD11bなどのマーカーを1つ以上発現していると同時に細胞質CD3を発現しているが、細胞化学および/またはフローサイトメトリーにより測定したミエロペルオキシダーゼが3%未満。

最新の臨床試験

小児急性リンパ芽球性白血病患者を現在受け入れているNCI支援のがん臨床試験のリストを参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。


参考文献
  1. Hunger SP, Loh ML, Whitlock JA, et al.: Children's Oncology Group's 2013 blueprint for research: acute lymphoblastic leukemia. Pediatr Blood Cancer 60 (6): 957-63, 2013.[PUBMED Abstract]

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小児ALLに対する治療法選択肢の概要

がんの小児の治療に特有な考慮事項

ALLの小児の治療では、リスク分類および治療が複雑化し、集中的な支持療法(例えば、輸血;感染性合併症の管理;ならびに情緒的、財政的、および発育支援)が必要になるため、小児の支持療法に必要な設備をすべて備えたがんセンターまたは病院の集学的チームが評価および治療の調整を行うのが最も良い。 [1] 集学的チームのアプローチは、至適生存期間および至適QOLを得られるような治療、支持療法、およびリハビリテーションを小児が必ず受けられるようにするために、以下に示す医療専門家のスキルを集結したものである。


  • プライマリケア医。

  • 小児外科専門医。

  • 放射線腫瘍医。

  • 小児内科腫瘍医/血液専門医。

  • リハビリテーション専門家。

  • 小児専門看護師。

  • 社会福祉士。

  • チャイルドライフ専門員。

  • 心理士。

がん施設とこれらの施設が小児がん患者の治療において担う役割に関するガイドラインが米国小児科学会により概説されている。 [1] 小児ALLの治療では、一般に2~3年にわたって化学療法が実施される。白血病および化学療法による治療の結果として骨髄抑制および全身の免疫抑制が予想されるため、全治療期間を通じて、血液学的サポートおよび感染症や他の合併症の治療を実施するための十分な設備を直ちに利用できなければならない。患者の約1~3%が寛解導入療法中に死亡し、さらに1~3%が第一寛解期に治療関連合併症により死亡する。 [2] [3] [4] [5] 患者のケアを指示する医療センターおよび専門医は地域の委託医師との連絡を保つことが重要である。コミュニケーションの強い絆によって、患児が在宅中に必要なすべての緊急的または暫定的ケアが最適に保たれる。

ALL患児では臨床試験が一般的に利用可能であり、治療失敗のリスクが標準(低い)の小児、および治療失敗のリスクがより高い小児に特化してデザインされたプロトコルがある。一般に、ALL患児を対象とした臨床試験は、特定のリスク群に対する標準として現在受け入れられている治療法に対して、生存転帰を改善できる、および/または標準の治療レジメンに関連する毒性を低減できる可能性のあるより良い治療アプローチを比較するためにデザインされる。ALL患児の生存率の増大をもたらした治療法の革新の多くは、臨床試験により達成されており、ALLの小児および青年に臨床試験への参加を提案することが適切である。

リスクに基づく治療法の選定は、ALL小児に用いられる重要な治療戦略である。このアプローチにより、歴史的にみて転帰が非常に良好な小児は、控え目な治療を受け、より毒性の強い治療を避けることができると同時に、歴史的にみて長期生存の可能性が低い小児は、治癒の可能性が広がる可能性のあるより強力な治療を受けられるようになる。(予後的価値が実証されている多くの臨床的特徴および臨床検査所見に関する詳しい情報については、本要約のリスクに基づく治療割り付けのセクションを参照のこと。)

治療の段階

ALLの小児に対する治療法は、典型的に以下のように分けられる:

  1. 寛解導入療法(診断時点)。
  2. 寛解導入後療法(完全寛解達成後)。

聖域部位

歴史的に、特定の髄外部位は聖域部位(すなわち、典型的にALLの治療に用いられ、経口および静脈内に投与される化学療法薬の多くが浸透しにくい解剖学的空間)と考えられてきた。小児ALLで最も重要な聖域部位の2つは、中枢神経系(CNS)および精巣である。ALLの治療を成功させるためには、これらの髄外聖域部位における症候性または無症候性の白血病病変に対して効果的に対処する治療法が必要である。

中枢神経系(CNS)

診断時に患者の約3%にCNS病変がみられる(脳脊髄液検体にリンパ芽球を含む白血球が5個/μL以上認められ、かつ/または脳神経麻痺が存在することで定義される)。しかしながら、CNSに対して特異的な治療を実施しない限り、初回診断時の脊髄液にリンパ芽球が検出されるかどうかにかかわらず、最終的にほとんどの小児が顕性のCNS白血病を発症する。CNSに向けた治療法には、髄腔内化学療法、CNSに向けた全身化学療法、および頭蓋照射療法がある;これらの一部またはすべてが現行のALLレジメンに含まれている。(詳しい情報については、本要約の小児ALLに対するCNSに向けた治療のセクションを参照のこと。)

精巣

診断時の顕性の精巣浸潤は、約2%の男児にみられる。初期のALL試験では、診断時の精巣浸潤は不良な予後因子であった。しかしながら、より積極的な初期治療を行った場合、初期精巣浸潤の予後的意義は不明である。 [6] [7] 精巣浸潤に対する放射線療法の役割もまた不明である。St. Jude Children's Research Hospitalの研究によって、放射線を用いない積極的な従来の化学療法により良好な転帰が達成可能であることが示唆されている。 [6] 小児腫瘍学グループは、この戦略を精巣病変が認められる男児にも採用しており、この病変は寛解導入化学療法中に完全に消失する。


参考文献
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  7. Sirvent N, Suciu S, Bertrand Y, et al.: Overt testicular disease (OTD) at diagnosis is not associated with a poor prognosis in childhood acute lymphoblastic leukemia: results of the EORTC CLG Study 58881. Pediatr Blood Cancer 49 (3): 344-8, 2007.[PUBMED Abstract]

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新規診断小児ALLの治療

新規診断ALLに対する標準治療法の選択肢

新規診断小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)に対する標準治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 化学療法。

寛解導入化学療法

第1段階の治療(寛解導入療法)の目標は、完全寛解(CR)に誘導することである。この段階は、典型的に4週間継続される。全体として、この段階の終了時には、新たに前駆B細胞ALLと診断された患者の約98%がCRを達成するが、T細胞ALLまたは初診時の白血球数が多い乳児および乳児以外の患者では達成率がやや低い。 [1] [2] [3] [4] [5]

寛解導入化学療法には、アントラサイクリン系薬剤(ドキソルビシンまたはダウノルビシンのいずれか)を含む場合も含まない場合もあるが、典型的に以下の薬剤で構成される:


小児腫瘍学グループ(COG)のプロトコルでは、米国国立がん研究所(NCI)標準リスクのB細胞ALL患者に対しては、3剤併用の寛解導入療法(ビンクリスチン、コルチコステロイド、およびpegaspargase)を施行し、NCI高リスクB細胞ALLおよびT細胞ALL患者に対しては(ビンクリスチン、コルチコステロイド、およびpegaspargaseにアントラサイクリン系薬剤を追加)を施行する。他のグループはすべての患者に対して4剤併用の寛解導入療法を使用している、 [1] [2] [3]

コルチコステロイド療法

現在のレジメンの多くで寛解導入中およびその後の治療段階にプレドニゾンの代わりにデキサメタゾンが用いられているが、患者のすべてのサブセットでデキサメタゾンが有益であるかどうかに関しては異論がある。数件の試験でも、寛解導入中のデキサメタゾンは、感染、ミオパチー、および行動の変化など、プレドニゾンより大きな毒性に関連している可能性が示唆されている。 [1] [6] [7] [8] 寛解導入中のデキサメタゾンは、年長の(10歳を超える)患者で骨壊死のリスクが高いことに関連していることがCOGから報告されたが [8] 、他のランダム化研究でこの知見は確認されていない。 [1] [7]

証拠(寛解導入中のデキサメタゾン vs プレドニゾン):

  1. Children's Cancer Groupは、アントラサイクリン系薬剤を含まない3剤併用の寛解導入療法を受けている標準リスクのB細胞ALL患者を対象にデキサメタゾンプレドニゾンを比較するランダム化試験を実施した。 [6]
    • デキサメタゾンは優れたイベントフリー生存(EFS)と関連していた。

    • デキサメタゾンは、可逆性のステロイド性ミオパチーおよび高血糖の頻度が高いことに関連していた。2つのランダム化群間で寛解導入中の感染の発生率に有意な差は観察されなかった。

  2. 標準リスクおよび高リスクのいずれの患者も含まれていた別のランダム化試験がUnited Kingdom Medical Research Councilによって実施された。 [7]
    • この試験では、すべての患者サブグループにおいてデキサメタゾンの方がプレドニゾロンよりも転帰が良好であったことが明らかにされた。

    • デキサメタゾンの投与を受けた患者では、中枢神経系(CNS)再燃およびCNS以外の再燃のいずれの発生率もプレドニゾロンの投与を受けた患者より有意に低かった。

    • デキサメタゾンは、ステロイド関連の行動面の問題およびミオパチーの発生率増加と関連していたが、骨壊死の過剰なリスク増加は観察されなかった。ランダム化群間で導入療法中の死亡率に差は認められなかった。

  3. AIEOP-BFM 2000試験では、7日間のプレドニゾン前治療に続く多剤併用寛解導入療法(すべての患者でアントラサイクリン系薬剤が含まれた)中にデキサメタゾン(10mg/m2/日)またはプレドニゾン(60mg/m2/日)のいずれかを受ける群に3,720人の患者がランダムに割り付けられた。 [9]
    • デキサメタゾンは致死的なイベント(主に感染症)の発生率増加に関連し、その結果有意に高い寛解導入療法での死亡率(デキサメタゾン群で2.5% vs プレドニゾン群で0.9%;P = 0.00013)を招いた。

    • ランダム化群間で骨壊死の発生率に差は認められなかった。

    • デキサメタゾン群では5年累積再燃率が有意に低く(11% vs 16%;P < 0.0001)、寛解導入療法での死亡率が高かったにもかかわらず優れた5年EFS率が得られた(デキサメタゾン群で84% vs プレドニゾン群で81%、P = 0.024)。

    • ステロイドのランダム化に基づく全生存(OS)の差は観察されなかったが、この研究はOSにおけるわずかな差を検出できるほど十分な検出力を有していなかった。

  4. COGは、NCI高リスクのB細胞ALL患者を対象にデキサメタゾンプレドニゾンのランダム化試験を実施した。 [8] 4剤併用の寛解導入療法(アントラサイクリン系薬剤を含む)中、デキサメタゾンの14日間投与またはプレドニゾンの28日間投与に患者がランダムに割り付けられた。この試験には、中間維持療法期の大量メトトレキサートと漸増用量メトトレキサートのランダム化比較も含まれていた。
    • デキサメタゾンは感染の高い発生率と関連していたが、デキサメタゾンプレドニゾンを比較した場合、寛解導入中の死亡率に差は認められなかった。

    • 診断時年齢が10歳未満の患者では、コルチコステロイドとメトトレキサートのランダム化間の重大な相互作用が認められた;しかしながら、この患者集団で最善の転帰は、寛解導入中にデキサメタゾンが投与され、さらに中間維持期に高用量メトトレキサートが投与された患者で観察された。

    • デキサメタゾンにランダムに割り付けられた患者で骨壊死が過剰に発生したため、診断時年齢が10歳以上の患者に対するコルチコステロイドへのランダム化は早期に中止された;しかしながら、これらの年長の小児でデキサメタゾンに伴うEFSの利益は認められないことが確認された(5年EFS率がデキサメタゾンで73.1%、プレドニゾンで73.9%;P = 0.78)。

使用されるプレドニゾンデキサメタゾンの用量比が転帰に影響する可能性がある。デキサメタゾンプレドニゾンの比率が1:5~1:7であった研究では、デキサメタゾンの方が良好な結果が示されているが、1:10の比率を用いた研究でも同様な結果が示されている。 [10]

L-アスパラギナーゼ

ALL患児の治療には、以下のようないくつかの種類のL-アスパラギナーゼが使用されている:


米国では、pegaspargaseおよびErwinia菌由来L-アスパラギナーゼのみが利用できる。他の国では、天然の大腸菌(E. coli)由来のL-アスパラギナーゼが依然として利用可能である。

pegaspargase(PEGアスパラギナーゼ)

pegaspargaseは、大腸菌(E. coli)誘導酵素がポリエチレングリコールの共有結合によって修飾されている形態のL-アスパラギナーゼであり、新たに診断され、米国および西欧で治療を受ける患者で寛解導入療法中および寛解導入後療法中のいずれにおいても使用される最も一般的な製剤である。

pegaspargaseは、筋肉内(IM)注射または静脈内(IV)注射のいずれかで投与される。 [11] pegaspargaseのIM投与とIV投与では、薬物動態および毒性プロファイルがほぼ同じである。 [11] pegaspargaseのIV投与の方がIM投与より毒性が強いという証拠はない。 [11] [12] [13]

pegaspargaseは、天然の大腸菌(E. coli)由来L-アスパラギナーゼよりも血清中半減期がはるかに長く、1回の注射でアスパラギンを長期に枯渇させることができる。 [14]

血清中アスパラギナーゼ酵素活性レベルが0.1IU/mLを超えると、血清中アスパラギンの枯渇につながることが示されている。多剤併用寛解導入療法の一部としてpegaspargaseをIMまたはIVのいずれかで単回投与すると、ほぼすべての患者で2~3週間以上にわたって0.1IU/mLを超える血清中酵素活性が得られることが複数の研究で示されている。 [11] [12] [15]

証拠(天然の大腸菌[E. coli]由来L-アスパラギナーゼの代替としてのpegaspargaseの使用):

  1. pegaspargaseのIV投与と天然の大腸菌(E. coli)由来アスパラギナーゼのIM投与のランダム化比較が実施された。各薬剤がCR達成後の30週間にわたって投与された。 [13] [証拠レベル:1iiC]
    • 血清中アスパラギナーゼ活性濃度は、pegaspargaseのIV投与で有意に高く、ほぼすべての患者で30週間にわたって目標とする(0.1IU/mLを超える)治療濃度を上回っていた。

    • ランダム化治療群間でEFSおよびOSにおける有意差は認められなかった。

    • 過敏症、膵炎、血栓塞栓性合併症など、アスパラギナーゼ関連毒性の発生率における差は認められなかった。

    • 両方の患者群で同様の転帰および同様のアスパラギナーゼ関連毒性の発生率が観察された。

    • pegaspargaseのIV投与に伴って、患者と親を調査して評価した治療関連不安がより低下した。

  2. 別のランダム化試験では、標準リスクのALL患者を対象に、寛解導入療法中および2つの遅延強化療法コースのそれぞれの期間中に、pegaspargaseまたは天然の大腸菌(E. coli)由来アスパラギナーゼのいずれかを投与する群に割り付けた。 [15]
    • 導入療法期間中にビンクリスチンおよびプレドニゾンとともにpegaspargaseを単回投与すると、大腸菌(E. coli)由来L-アスパラギナーゼを9回(1週間に3回投与を3週間)IM投与した場合と同程度の活性および毒性が認められた。

    • pegaspargaseの使用に伴って、芽球のクリアランスがより急速で、中和抗体の発生率がより低下した。

pegaspargaseに対するアレルギー反応がみられる患者では、Erwinia菌由来L-アスパラギナーゼに切り替えるべきである。

asparaginase Erwinia chrysanthemi(Erwinia菌由来L-アスパラギナーゼ)

天然の大腸菌(E. coli)由来L-アスパラギナーゼまたはpegaspargaseに対するアレルギーが確認されている患者には、典型的にErwinia菌由来L-アスパラギナーゼが使用される。

Erwinia菌由来L-アスパラギナーゼの半減期(0.65日)は、天然の大腸菌(E. coli)由来アスパラギナーゼ(1.2日)またはpegaspargase(5.7日)よりもはるかに短い。 [14] Erwinia菌由来L-アスパラギナーゼを使用する場合、Erwinia製剤の半減期が短いため、アスパラギンの十分な除去を達成するためには、より頻回に投与する必要がある。

証拠(Erwinia菌由来L-アスパラギナーゼの投与頻度を多くして目標の治療効果を達成する必要性):

  1. COG試験で、pegaspargaseに対するアレルギーが認められた患者に対してErwinia菌由来アスパラギナーゼを週3回IM投与したところ、治療効果がある血清中アスパラギナーゼ酵素活性レベル(0.1IU/mL以上として定義)につながったことが実証された。この試験で、Erwinia菌由来アスパラギナーゼ投与後に0.1IU/mL以上のレベルを達成した小児は、投与2日後が96%、投与3日後が85%であった。 [16]
  2. pegaspargaseに対するアレルギーが確認された患者に月-水-金スケジュールでIV投与するErwinia菌由来L-アスパラギナーゼの試験によると、治療効果がある血清中アスパラギナーゼ酵素活性(0.1IU/mL以上として定義)が示されたのは、投与48時間後が患者の83%であったが、投与72時間後では患者のわずか43%であった。月-水-金スケジュールでErwiniaをIV投与する場合、著者らは治療効果があるレベルを確実に維持するために72時間の酵素活性レベルの最下点を監視すべきであると提唱している。 [17]

寛解導入中のアントラサイクリン系薬剤

COGのプロトコルでは、NCI標準リスクのB細胞ALL患者に対しては、3剤併用の寛解導入療法(ビンクリスチン、コルチコステロイド、およびpegaspargase)を施行し、NCI高リスクB細胞ALLおよびT細胞ALL患者に対しては(ビンクリスチン、コルチコステロイド、およびpegaspargaseにアントラサイクリン系薬剤を追加)を施行する。他のグループはすべての患者に対して4剤併用の寛解導入療法を使用している、 [1] [2] [3]

アントラサイクリン系薬剤を含む寛解導入レジメンでは、典型的にダウノルビシンまたはドキソルビシンが用いられる。寛解導入中に2つの薬剤を比較する1件のランダム化試験において、治療1週目の末梢血芽球数の減少、15日目の骨髄形態、寛解導入療法終了後の微小残存病変(MRD)レベルなどの早期反応の測定値に差は認められなかった。 [18] [証拠レベル:1iiDiv]

寛解導入療法に対する反応

新たに診断されたALL患児の95%以上が治療開始4週間以内に完全寛解(CR)を達成する。最初の4週間以内にCRに至らなかった患者では、約半数が寛解導入相で毒性により死亡し(通常は感染に起因する)、残りの半数が抵抗性の病態(形態学的に白血病が残存)を示す。 [19] [20] [21] ; [22] [証拠レベル:3iA]

4週間の寛解導入相終了時点で白血病が残存している患者のほとんどは予後不良であるが、CRに達した時点で同種造血幹細胞移植(HSCT)を実施することにより利益が得られる可能性がある。 [23] [24] [4] 大規模なレトロスペクティブシリーズで、白血病が残存している患者の10年OS率は32%であった。 [25] 化学療法単独と比較して同種HSCTによる転帰が優れている傾向は、T細胞表現型の患者(年齢は不問)および前駆B細胞型の6歳未満の患者で観察された。診断時年齢が1~5歳で、有害な細胞遺伝学的異常(MLL[KMT2A]再構成、BCR-ABL1)がいずれも認められない前駆B細胞ALLの患者では、予後が比較的良好であり、化学療法単独と比較してHSCTの実施による転帰の優位性は認められなかった。 [25]

CRに達した患者では、芽球のクリアランスの迅速性の測定およびMRDの判定には、特に以下に示す重要な予後的意義がある:


  • 多剤寛解導入療法開始後7日目および14日目で形態学的に検出可能な骨髄芽球の割合は、再燃リスクと相関しており [26] 、これまでCOGは患者のリスク層別化に使用している。しかしながら、多変量解析で寛解導入療法終了時のMRDを含めた場合、このような初期の骨髄所見の予後的意義は失われる。 [27] [28]

  • 寛解導入療法終了時にマルチパラメータフローサイトメトリー法またはポリメラーゼ連鎖反応法のいずれかで評価される超顕微鏡的なMRDレベルは、長期的な転帰と強い相関を示す。 [27] [29] [30] [31] 導入療法終了時のMRDレベルの高い患者に対する寛解導入後療法の強化は、ほとんどのALL治療レジメンの共通の要素である。UK-ALLグループが実施したランダム化試験で、寛解導入後療法の強化により、寛解導入終了時のMRDレベルが高い標準リスクおよび中リスクの患者の転帰が改善することが示された。 [32]

  • B細胞およびT細胞ALLのいずれにおいても、寛解導入療法早期(例えば、8日目および15日目)だけでなく、その後の寛解導入後の時点(例えば、治療開始後12週目)のMRDレベルにも予後的意義があることが示されている。 [27] [28] [31] [33] [34] [35] [36]

(詳しい情報については、本要約の初回治療に対する反応のセクションを参照のこと。)

(新たにALLと診断された小児におけるCNS再燃を予防するCNS療法に関する具体的な情報については、本要約の小児ALLに対するCNSに向けた治療のセクションを参照のこと。)

最新の臨床試験

未治療の小児急性リンパ芽球性白血病患者を現在受け入れているNCI支援のがん臨床試験のリストを参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。


参考文献
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  3. Silverman LB, Stevenson KE, O'Brien JE, et al.: Long-term results of Dana-Farber Cancer Institute ALL Consortium protocols for children with newly diagnosed acute lymphoblastic leukemia (1985-2000). Leukemia 24 (2): 320-34, 2010.[PUBMED Abstract]

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小児ALLに対する寛解導入後療法

小児ALLに対する標準寛解導入後療法の選択肢

地固め/強化療法および維持療法に対する標準治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 化学療法。

すべてのグループが、維持化学療法前に中枢神経系(CNS)向けの治療を実施している。維持療法中に継続して髄腔内化学療法を行うプロトコル(小児腫瘍学グループ[COG]、St. Jude Children's Research Hospital [SJCRH]、およびDana-Farber Cancer Institute[DFCI])もあれば、行わないプロトコル(ベルリン-フランクフルト-ミュンスター[BFM])もある。(寛解導入後療法を受けている急性リンパ芽球性白血病[ALL]患児におけるCNS再燃を予防するCNS療法に関する具体的な情報については、本要約の小児ALLに対するCNSに向けた治療のセクションを参照のこと。)

地固め/強化療法

完全寛解(CR)が得られた時点で、CNSに向けた治療と合わせて全身療法を続ける。寛解導入後化学療法の強度は、リスクグループの割り付けに応じて大幅に異なるが、すべての患者は、CRを得た後に維持療法を開始する前に、何らかの強化療法を受ける。

最も多く使用されている強化スキームは、BFMの基本骨格である。この治療基本骨格は、最初にBFM臨床試験グループにより導入されたもので、以下を含んでいる: [1]

  1. 初回の寛解導入相の直後に実施する最初の地固め相(寛解導入IBと呼ばれる)。この地固め相では、シクロホスファミド、低量シタラビン、およびメルカプトプリンが使用される。
  2. ロイコボリン救援を伴う高用量のメトトレキサート(典型的に5g/m2)またはロイコボリン救援を伴わない漸増用量メトトレキサート(開始用量100mg/m2)を複数回投与する中間維持相。
  3. 典型的に寛解導入相および初回地固め相と同様な薬剤およびスケジュールを使用する再寛解導入相(または遅延強化相)。
  4. 典型的に髄腔内療法を継続しながら、メルカプトプリン1日1回投与および低量メトトレキサート週1回投与を行い、ときにビンクリスチンおよびコルチコステロイドを投与する維持相。

この基本骨格は、COGを含む多くのグループが採用している。この基本骨格の変法には以下のものがある:


  • 中間維持相および遅延強化相を繰り返すとともに、ビンクリスチンおよびpegaspargaseの追加投与を含めることによる高リスク患者の強化。 [2] [3]

  • 低リスクの患者に対して急性および長期毒性を最小に抑えるために、各相のいくつかを省略または短縮化。

他の臨床試験グループは、寛解導入後療法期間に以下の異なった治療基本骨格を用いている:


  • DFCI:DFCI ALL Consortiumプロトコルには、維持療法レジメン(ビンクリスチン/デキサメタゾンの律動的投与、低用量メトトレキサートメルカプトプリン夜間投与)と合わせて、治療の7週目に開始する20~30週間のpegaspargase治療レジメンを含んでいる。 [4] これらのプロトコルにも遅延強化相は含まれていないが、実際には高リスク患者に対して強化相でドキソルビシンメトトレキサートの代替)を追加投与する。

  • SJCRH:SJCRHはBFM基本骨格に従っているが、一部の患者には、維持相中にpegaspargaseの投与、頻繁なビンクリスチン/コルチコステロイドの律動的投与、および2つの薬剤の交互投与による強化を含めることによって再寛解導入相および維持相を強化している。 [5]

標準リスクのALL

標準リスクのB細胞ALL患児では、アントラサイクリン系薬剤およびアルキル化剤のように晩期毒性作用のリスク増加と関連している可能性がある薬物への曝露を制限する試みがなされている。 [6] [7] [8] BFM基本骨格を使用しているレジメン(COGなど)では、漸増用量メトトレキサートロイコボリン救援を伴わない)およびビンクリスチンからなる中間維持相と合わせて単回の再寛解導入/遅延強化相を実施することで、良好な転帰が得られている。 [9] 標準リスクの患者では、地固め療法として中用量または高用量のメトトレキサートによる限定された数コースを実施した後に(再寛解導入相は含まない)維持療法を実施したPediatric Oncology Group (POG) [7] [10] [11] 、および寛解導入療法後にアルキル化剤またはアントラサイクリンに対する曝露を避けて、地固め療法としてpegaspargaseの反復投与(20~30週間)を実施したDFCI ALL Consortiumから良好な転帰が報告されている。 [12] [13]

しかしながら、導入療法および/または地固め療法終了時の微小残存病変(MRD)の予後的影響は、最初に米国国立がん研究所(NCI)の標準リスクALLと診断された患者の治療に影響を及ぼしている。多数の研究で、導入療法終了時のMRDレベルが高い場合、予後不良に関連することが実証されている。 [14] [15] [16] [17] [18] 導入療法終了時のMRDレベルが高い標準リスク患者において、治療の強化により転帰が改善されることが示されている。 [19] したがって、導入療法終了時のMRDレベルが高い標準リスク患者は、導入療法終了時のMRDレベルが低い標準リスク患者に対して記述されているアプローチでは治療されず、通常は高リスクレジメンで治療される。

証拠(標準リスクALLに対する治療強度):

  1. 1980年代および1990年代初期に実施された臨床試験により、BFM基本骨格を用いたレジメンによる治療を受けた標準リスクのALL患児では、遅延強化相を用いることで転帰が改善することが実証された。 [20] [21] [22] このようなレジメンの遅延強化療法期間は、COGのレジメンも含めて、8週間の再寛解導入療法(アントラサイクリン系薬剤を含む)、および寛解に至ってから約4~6ヵ月間投与するシクロホスファミドシタラビン、および6-thioguanineを含む再地固め療法から構成される。 [20] [23] [24]
  2. 標準リスクのALLを対象としたChildren's Cancer Groupの研究(CCG-1991/COG-1991)では、3剤併用の導入療法期にデキサメタゾンを用い、2回目の遅延強化療法相の利用を検証した。この研究では、2回の中間維持相に投与する経口メトトレキサートを含む標準的な維持併用療法に対して、ビンクリスチンと併用した漸増用量の静注(IV)メトトレキサートロイコボリン救援を伴わない)も比較された。 [9] [証拠レベル:1iiDi]
    • 初期反応が早期にみられた患者(寛解導入相の14日目までにM1またはM2の骨髄所見)では、2回目の遅延強化相による利益は得られなかった。

    • 中間維持相での漸増用量のIVメトトレキサートにより、この相での経口メトトレキサートと比較して、イベントフリー生存(EFS)に有意な改善が認められたが、その理由は、孤立性髄外再燃、特にCNSに発生した再燃の発生率が減少したためであった。

  3. 英国で実施された1件のランダム化研究では、高リスクの特徴(有害な細胞遺伝学的異常、および/または寛解導入療法8日目または15日目のM3の骨髄形態所見など)を有さないALLの小児および若年成人に、寛解導入療法終了時(4週目)および治療11週目のMRDレベルに基づくリスク層別化が行われた。4週目にMRDが検出不能であった(または4週目のMRDレベルが低く、11週目までに検出不能になった)患者は低リスクとみなされ、1または2コースの遅延強化療法による治療へのランダム化割り付けの対象とされた。 [25] [証拠レベル:1iiDi]
    • 1または2コースの遅延強化療法による治療を受けた患者間でEFSにおける有意差は認められなかった。

    • 2群間で治療関連死における有意差は認められなかった;しかしながら、2コースの遅延強化療法はこの治療群にランダムに割り付けられた患者261人の17%でグレード3または4の毒性イベントと関連し、1人の患者が2コース目の遅延強化療法期間中に治療に関連して死亡した。

  4. 診断時に標準リスクまたは中リスクであっても導入療法終了時のMRDレベルが高い患者は、比較的予後不良であることが示されており、高リスク患者として治療すべきである。UKALL2003(NCT00222612)試験では、導入療法終了時のMRDレベルが高い標準リスクまたは中リスクの患者に対する治療に、強化した導入後療法(過剰用量のpegaspargaseとビンクリスチンおよびロイコボリン救援を伴わない漸増用量のIVメトトレキサート)が使用された。 [19] [証拠レベル:1iiDi]
    • 導入後療法の強化によりEFSが延長し、導入療法終了時のMRDレベルが低い患者と同程度となった。

高リスクのALL

高リスク群の患者では、多数のさまざまなアプローチが用いられており、同程度の効力が認められている。 [12] [26] ; [24] [証拠レベル:2Di]高リスクの患者に対する治療は、一般に標準リスクの患者に対する治療よりも強力であり、通常はアントラサイクリン系薬剤および/またはアルキル化剤を含む複数の薬剤の累積投与量が大きい。これらの薬剤の用量が高くなるほど短期および長期毒性のリスクがいずれも増加するため、多くの臨床試験では、これらの強化レジメンによる副作用を抑えることを中心に検討している。

証拠(高リスクALLに対する治療強度):

  1. 旧CCGは、2回目の中間維持相および遅延強化相を加えた増強BFM治療レジメンを開発した。このレジメンは、中間維持相でビンクリスチンとpegaspargaseを併用投与する漸増用量のIVメトトレキサートロイコボリン救援なし)のコースを反復し、初回地固め相および遅延強化相にビンクリスチンとpegaspargaseの律動的投与を追加することを特徴としている。CCG-1882試験では、早期反応が緩慢な(寛解導入療法から7日目でM3の骨髄所見)NCI高リスク患者を、標準BFM療法施行群または増強BFM療法施行群のいずれかにランダムに割り付けた。 [2]
    • CCG-1882試験における増強療法レジメンでは、標準のCCG修正BFM療法よりも有意に良好なEFSが得られた。

    • 増強療法(寛解導入後療法として21日間のデキサメタゾンによる2コースを含む)を受けた10歳を超える患者では、標準群(寛解導入後療法として21日間のデキサメタゾンによる1コース)で治療を受けた患者と比較して、骨壊死の発生率が高かった。 [27]

  2. イタリアのある研究では、遅延強化療法の2回の適用(プロトコルII)が、プレドニゾンによる前治療に対する反応が鈍い患児の転帰を有意に向上させたことが、研究者により示された。 [28]
  3. CCG-1961研究では、初期反応が早期に認められたNCI高リスク患者を対象に、2×2要因デザインを用いて、標準強化療法 vs 増強強化療法の比較に加え、標準治療期間(中間維持相および遅延強化相を1回) vs 延長治療期間(中間維持相および遅延強化相を2回)についても比較した。この試験では、遅延強化相におけるデキサメタゾンの連日投与と隔週投与で、骨壊死の発生率に影響がみられるかどうかについても検証が行われた。
    • 増強強化療法に伴って、EFSの改善が認められた;2回目の中間維持相および遅延強化相の実施によるEFSの有益性は認められなかった。 [3] [証拠レベル:1iiA]

    • 5年時点での骨壊死の累積発生率は、10~15歳の患者で9.9%、16~21歳の患者で20.0%であったのに対して、1~9歳の患者では1.0%であった(P = 0.0001)。10~21歳の患者では、遅延強化相でデキサメタゾンを隔週投与した場合、連日投与した場合と比べて骨壊死の累積発生率が有意に低かった(8.7% vs 17.0%、P = 0.0005)。 [29] [証拠レベル:1iiC]

  4. COGのAALL0232(NCT00075725)研究(2004年~2011年)で、高リスクのB細胞ALL患者に対して1回の中間維持相と遅延強化相とともに 強化されたBFM骨格が使用された;導入療法終了時にMRDが0.1%を超えるか、5日目でM2/M3骨髄所見であった患者に対してのみ2回の中間維持相/遅延強化相が実施された。中間維持療法期(これらの相を2回受ける患者のみが最初の相)に大量メトトレキサートまたは漸増用量のIVメトトレキサート(Capizzi方式のメトトレキサート)のいずれかを投与する群に患者がランダムに割り付けられた。 [30] [31]
    • 計画された中間モニタリングで大量メトトレキサートに伴う転帰が優れていることが示された時点で、このメトトレキサートのランダム化は、早期に中止された。大量メトトレキサート群にランダムに割り付けられた患者の5年EFSは79.6%であったのと比較して、Capizzi方式のメトトレキサート群にランダムに割り付けられた患者では75%であった。大量メトトレキサートに伴って、5年全生存(OS)率も優れていた(P = 0.025)。 [31]

    • 寛解導入療法終了時のMRDが0.01%未満の患者の5年EFS率が87%であったのと比較して、MRDが0.01~0.1%の患者では74%であった。MRDレベルが0.1%を超える患者は経過が不良であった。 [30]

    • 寛解導入療法終了時のMRDが0.01%を超える患者では、大量メトトレキサートに伴ってEFSが優れていた(大量メトトレキサート群で68%、Capizzi方式のメトトレキサート群で58%;P = 0.008)。 [30]

高リスクALLに対する治療にはより強力な治療が使用されるため、急性および長期毒性の高いリスクにつながり、EFSに有害な影響を与えないで副作用を抑える介入が多くの臨床試験で検討されている。検討されている介入には、心筋保護薬デクスラゾキサンの使用(アントラサイクリン系薬剤関連の心毒性作用の防止を目的)およびコルチコステロイドの代替投与スケジュール(骨壊死のリスク低減を目的)がある。

証拠(デクスラゾキサンの心筋保護作用):

  1. DFCI ALL Consortium試験では、高リスクALL患児を対象に、多剤併用化学療法による寛解導入相および強化相で、単にドキソルビシン(1回当たり30mg/m2で、累積用量300mg/m2まで)を併用する群、または同用量のドキソルビシンに加えてデクスラゾキサンも併用する群のいずれかにランダムに割り付けた。 [32] [33]
    • 心筋保護薬デクスラゾキサンをドキソルビシンの前に使用することにより、治療後5年で、EFSに対して有害な影響を及ぼすこともなく、二次悪性腫瘍のリスクを高めることもなしに、ドキソルビシンのみを使用した群と比べて、左室内径短縮率が良好で、収縮末期径のZスコアが改善した。

    • 長期的な保護効果は、男児より女児において大きいことが認められた。

  2. POG-9404試験で、T細胞ALLの患者がドキソルビシン(累積用量、360mg/m2)の各投与前にデクスラゾキサンを投与する群または投与しない群にランダムに割り付けられた。 [34]
    • デクスラゾキサンを投与したT細胞ALL患者とデクスラゾキサンを投与しなかった患者(ドキソルビシン累積用量、360mg/m2)間でEFSにおける差は示されなかった。

    • 治療中に発生したグレード3および4の毒性作用の頻度はランダム化群間でほぼ同じであり、二次悪性腫瘍の累積発生率における差は認められなかった。初回診断から3年後の左室内径短縮率および左室壁厚は、いずれもデクスラゾキサンを投与した患者よりもドキソルビシン単独を投与した患者で有意に不良であったことから、デクスラゾキサンが心保護作用を有することを示している。

証拠(骨壊死のリスク低減):

  1. CCG-1961研究で、骨壊死の頻度低減を目的として、遅延強化相でデキサメタゾンの隔週投与が検討された。 [29] このプロトコルで、寛解導入療法に対する早期の形態学的反応が速やかな高リスクのB細胞ALL患者が遅延強化相を1回または2回受けるいずれかの群にランダムに割り付けられた。遅延強化相を1回受ける群にランダムに割り付けられた患者では、デキサメタゾンが1日1回(連続21日間)投与され、遅延強化相を2回受ける群にランダムに割り付けられた患者では、各遅延強化相でデキサメタゾンが隔週(0~6日目と14~21日)に投与された。
    • 診断時年齢が10歳以上の患者で、2回の遅延強化相(デキサメタゾンの隔週投与)を受けた患者では、症状を伴う骨壊死のリスクが有意に低かった(5年累積発生率が8.7%に対して、デキサメタゾンの連日投与とともに1回の遅延強化相を受けた患者で17%;P = 0.001)。

    • 最も大きな影響は、16~21歳の女性で確認され、デキサメタゾンの連日投与を含む標準的治療で骨壊死の発生率が最も高いことが示された;デキサメタゾンの隔週投与での骨壊死の発生率は5.6%であったのに対して、連日投与を受けた患者では57.6%であった。

(詳しい情報については、本要約の骨壊死のセクションを参照のこと。)

超高リスクのALL

ALL患者の約10~20%が超高リスクとして分類され、その中には以下の患者が含まれる: [24] [35]


  • 1歳未満の乳児で、特にMLLKMT2A)遺伝子再構成が認められる場合。(ALLの乳児に関する詳しい情報については、本要約の特定のALLサブグループに対する寛解導入後治療のセクションのALLの乳児のサブセクションを参照のこと。)

  • t(9;22)(q34;q11.2)、t(17;19)、MLL遺伝子再構成、および低度の低二倍体(染色体数が44未満)を含む有害な細胞遺伝学的異常を認める患者。

  • 完全寛解に達したが初回治療に対する早期反応が緩徐であった患者で、7日間のステロイド前治療後に芽球絶対数が多い患者および寛解導入療法終了時点(4週目)またはその後の時点(例、12週目)でMRDレベルが高い患者を含む。

  • 後で完全寛解に達したとしても、治療開始から4週間後に形態学的に病変が残存している(寛解導入失敗)患者。

COGは年齢が13歳以上の患者も超高リスクとみなしているが、他のグループは、この年齢基準を使用していない。

超高リスクの特徴を示す患者は、(通常、典型的なBFM基本骨格の強化相に加えて)地固め相で強化化学療法サイクルを複数回繰り返す治療を受けている。これらの追加サイクルには、標準リスクおよび高リスクの患者に対する初期ALLレジメンでは一般に使用されていない高用量シタラビンイホスファミド、およびエトポシドといった薬剤が含まれることが多い。 [24] しかし、この強化療法を併用しても、この患者サブセットで報告された長期EFS率は30~50%の範囲である。 [24] [36]

数件の臨床試験で、超高リスクの患者も第一CR期での同種造血幹細胞移植(HSCT)の候補とみなされている。 [36] [37] [38] [39] しかしながら、第一CR期での同種HSCTによる治療を受けた超高リスクの患者の転帰に関するデータは限られている。HSCTから利益が得られる可能性のある亜集団に関しては意見の相違がある。

証拠(超高リスク患者に対する第一寛解期における同種HSCT):

  1. 1995年から2000年に実施された欧州の共同研究グループによる研究では、超高リスク(次のいずれかで定義される:4剤併用寛解導入療法後に形態学的に病変が残存、t(9;22)(q34;q11.2)もしくはt(4;11)(q21;q23)、またはT細胞表現型もしくは初診時の白血球[WBC]が100,000/μLを超えている患者でプレドニゾン前治療に対する反応が不良)の患者を対象に、第一CR期における同種HSCT(ヒト白血球抗原適合血縁ドナーが得られることが前提)施行群または強化化学療法施行群のいずれかに割り付けた。 [36]
    • ITT(intent-to-treat)解析を用いた場合、同種HSCTに割り付けられた患者(ドナーが得られることが前提)では、強化化学療法に割り付けられた患者よりも5年無病生存(DFS)率が高かった(移植群で57%±7% vs 化学療法群で41%±3%、P = 0.02)。

    • OS率における有意差は認められなかった(移植群で56%±6% vs 化学療法群で50%±3%、P = 0.12)。

    • T細胞ALLでプレドニゾン前治療に対する反応が不良であった患者では、DFS率およびOS率のいずれも同種HSCT群で有意に高かった。 [37]

  2. 寛解導入に失敗した患者を対象とした大規模なレトロスペクティブシリーズによると、白血病が残存していた患者では10年OS率が32%であった。 [40]
    • 化学療法単独と比較して同種HSCTによる転帰が優れている傾向は、T細胞表現型の患者(年齢は不問)および前駆B細胞ALLの6歳を超える患者で観察された。

    • 診断時年齢が1~5歳で、有害な細胞遺伝学的異常(MLL[KMT2A]再構成、BCR-ABL1)がいずれも認められない前駆B細胞ALLの患者では、予後が比較的良好であり、化学療法単独と比較してHSCTの実施による転帰の優位性は認められなかった。

  3. Associazione Italiana Ematologia Oncologia Pediatrica(AIEOP)のALL-BFM-2000(NCT00430118)研究では、以下の基準のいずれかを満たす場合に高リスクとして患者を分類した:プレドニゾン前治療に対する不良な反応、治療1ヵ月目終了時にCRに達しない場合、寛解導入IB(治療78日目)後のMRDレベルが高い場合、およびt(4;11)(q21;q23)。これらの患者は、ドナーの入手性および研究者の判断を基にプロトコルに従い第一CR期での同種HSCTに割り付けられた。 [41] [証拠レベル:2Dii]
    • 高リスクALLの基準を満たす患者全体の5年EFS率は58.9%であった。

    • 高リスクの特徴がプレドニゾンに対する反応不良のみである患者の5年EFS率は74%であった;プロトコル(T細胞ALLおよび/またはWBCが100,000/mm3以上)に従いHSCTが許されたプレドニゾンに対する反応不良の患者でHSCTと化学療法を比較すると、DFS(P = 0.31)またはOS(P = 0.91)に有意差は認められなかった。

    • 他のすべての高リスク(すなわち、初回寛解導入失敗、78日目MRD高値、および/またはt(4;11)(q21;q23))の患者では、EFS率が50%未満であった。これらの患者でHSCTまでの待機期間(5.7ヵ月)について調整した後、HSCTを受けた患者(n = 66)と化学療法のみを受けた患者(n = 88)ではDFSに統計的有意差は認められなかった。

維持療法

維持療法の基本骨格

ほとんどのプロトコルにおける維持療法の基本骨格は、メルカプトプリン連日経口投与および週1回のメトトレキサート経口または非経口投与である。臨床的実践では、一般にメルカプトプリンの経口投与を夕方行うよう求められるが、これは、この実施方法によりEFSが改善する可能性があるという過去の研究からの証拠に基づいている。 [42] 多くのプロトコルで、CNS聖域療法としての髄腔内化学療法は維持療法期間を通して継続される。維持療法を受けている小児は、薬物関連毒性および維持療法中に使用される経口化学療法薬の服薬遵守について注意深くモニターすることが肝要である。 [43] COGが行った研究で、さまざまな人種および社会経済的状態の集団間でメルカプトプリン(6-MP)の服薬遵守について有意差が実証された。重要なことに、維持相でのメルカプトプリンによる治療に対する不遵守に伴って、再燃リスクに有意な増加がみられた。 [43] [44]

一部の患者では、メルカプトプリンを不活性化させる酵素であるチオプリンS-メチルトランスフェラーゼが先天的に欠損(ホモ接合性変異)しているために、従来の用量でメルカプトプリンを投与すると重度の造血毒性を来すことがある。 [45] [46] このような患者は、従来使用されている用量よりもかなり低く抑えない限り、メルカプトプリンを忍容することができない。 [45] [46] この変異酵素遺伝子がヘテロ接合体である患者は、一般に重篤な毒性なしにメルカプトプリンに忍容性を示すが、実際には正常アレルがホモ接合体である患者よりも造血毒性に対する用量減量が頻繁に必要となる。 [45] 東アジアおよびヒスパニック系の患者で高頻度に観察されるNUDT15遺伝子の多型は、メルカプトプリンの骨髄抑制作用に対する過度の感受性にもつながっている。 [47] [48]

証拠(維持療法):

  1. チオプリン系薬剤を比較したランダム化試験を対象としたメタアナリシスによると、thioguanineにより全体的なEFSは改善しなかったが、特定のサブグループでは、この薬剤を使用することで利益が得られる例がみられた。 [49] 維持期におけるメルカプトプリンの代用としてのthioguanineの継続使用は、肝静脈閉塞疾患および門脈圧亢進などの肝合併症のリスク増大に関連する。 [50] [51] [52] [53] [54] thioguanineの毒性が大きいために、依然としてメルカプトプリンが標準薬として選択されている。
  2. シクロホスファミドおよびエピポドフィロトキシンとともに、これより標準的な維持療法薬剤も含めて、2剤を順次入れ替えて使用する強化維持療法レジメンがSJCRHおよび他のグループにより実施された数件の臨床試験で評価されている。 [55]
    • 2剤を順次入れ替えて投与する強化維持療法では、発熱性好中球減少症の発生が多く [56] 、特にエピポドフィロトキシンを併用する場合 [56] は二次急性骨髄性白血病のリスクが高い [57] [58] ことに関係している。

      これらの試験結果を基に、SJCRHでは、維持療法期間中に順次入れ替える2剤スケジュールで用いる薬剤を変更している。Total XV研究において、標準リスクと高リスクの患者には、治療期間中に3組の順次入れ替えの2剤ペア(メルカプトプリン + メトトレキサートシクロホスファミド + シタラビン、およびデキサメタゾン + ビンクリスチン)が投与された;低リスクの患者には(シクロホスファミドおよびシタラビンを併用しない)より標準的な維持療法が施行された。


    • アルゼンチンのランダム化研究では、BFMの基本骨格に基づいた寛解導入療法相および地固め療法相の治療を受けた患者に対するより標準的な維持療法レジメンと比べて、この強化アプローチによる利益は実証されなかった。 [56]

ビンクリスチン/コルチコステロイドの律動的投与

ビンクリスチンおよびコルチコステロイドの律動的投与は標準維持療法の基本骨格に加えられることが多いが、現代的な多剤併用化学療法レジメンが使用されている状況下で、こうした律動的投与の有益性については依然として異論がある。

証拠(ビンクリスチン/コルチコステロイドの律動的投与):

  1. 1980年代に実施されたCCGのランダム化試験では、ビンクリスチン/プレドニゾンによる月1回の律動的投与を受けた患者の転帰に改善が認められたことが示された。 [59]
  2. 治療法が同じ時代の6件の臨床試験から得られたデータをまとめたメタアナリシスでは、ビンクリスチン/プレドニゾンの律動的投与でEFSが優れていることが示された。 [60] [61]
  3. つい最近の臨床試験を対象にビンクリスチンとステロイドの律動的投与の効果を検討した系統的レビューでは、より強力な早期の治療を含む現行のALL治療において、このような律動的投与に価値があるのかという疑問が提起された。 [61]
  4. 中リスクのALL患児を対象にBFMレジメンによる治療を行った多施設ランダム化試験では、治療継続期間にビンクリスチン/デキサメタゾンの律動的投与を6回追加したが、有益性が実証されている他の試験よりも律動的投与の頻度が少なかったとはいえ、関連した有益性は認められなかった。 [62]
  5. 平均リスクの患者を対象とした小規模の多施設共同試験では、ビンクリスチンとコルチコステロイドの律動的投与を受けた患者でEFSが優れていることが示された。この研究では、ステロイドの種類(プレドニゾン vs デキサメタゾン)に基づいた転帰に違いは認められなかった。 [63] [証拠レベル:1iiA]

ビンクリスチン/コルチコステロイドの律動的投与を含むレジメンでは、どちらのステロイド(デキサメタゾンまたはプレドニゾン)を使用すべきかという問題に多くの研究が取り組んでいる。これらの研究から、デキサメタゾンではEFSが優れているという関係がみられるが、特に年長の小児および青年では骨毒性および感染などのステロイド関連合併症の頻度が高まる原因となる可能性もある。これより若い患者では、デキサメタゾンにより、これらの合併症の頻度が増加するという関連性は認められていない。 [20] [64] [65] [66] [67]

証拠(デキサメタゾン vs プレドニゾン):

  1. CCG研究で、1歳から10歳未満の低リスクALL患児を対象に、デキサメタゾンプレドニゾンと比較された。 [20] [64]
    • デキサメタゾンを投与する群にランダムに割り付けられた患者は、CNS再燃が有意に少なく、EFS率が有意に良好であった。

  2. MRC UK-ALL試験では、標準リスクおよび高リスクの患者を対象として寛解導入療法および維持療法期間にデキサメタゾンがプレドニゾロンと比較された。 [65]
    • デキサメタゾンの使用により、EFSに加え、CNS再燃および非CNS再燃のいずれの発生率も改善した。

    • デキサメタゾンでは、行動面の問題、ミオパチー、骨減少などのステロイド関連毒性のリスク増加を伴っていた。

  3. DFCI ALL Consortium試験では、すべての寛解導入後治療相でデキサメタゾン投与群またはプレドニゾン投与群のいずれかに患者をランダムに割り付けた。 [67]
    • デキサメタゾンに関連して優れたEFSが得られたが、感染(主に菌血症の発生)の頻度も高く、10歳以上の患者では骨壊死および骨折の発生率が高かった。

10~18歳の小児集団ではステロイド誘発性骨壊死のリスクが増大するため、この年齢の小児に対してデキサメタゾンを使用する有益性についてはさらに調査が必要である。 [27] [66]

維持療法の期間

維持化学療法は一般にCRが持続する2~3年まで継続する。一部の研究では、男児は女児よりも治療期間が長かったが、 [20] 別の研究では性別に基づく治療期間の差はみられなかった。 [12] [24] 特に現在の治療状況で、男児において維持治療期間を長くするほど再燃が少なくなるかどうかは明らかではない。 [24] [証拠レベル:2Di]維持療法期間を延長して3年を超えても転帰の改善は認められない。 [60]

維持療法中の経口投与に対する遵守

維持療法中のメルカプトプリンによる治療に対する不遵守は、有意な再燃リスクと関連している。 [43]

証拠(治療に対する遵守):

  1. COGは、小児および青年327人(ヒスパニック系169人および非ヒスパニック系白人158人)を対象に、維持療法中のメルカプトプリンに対する不遵守の影響について検討した。 [43]
    • メルカプトプリンに対する遵守率の低下に伴って再燃の進行性増加が観察され、94.9~90%、89.9~85%、および85%未満の遵守率に対するハザード比(HR)は4.0~5.7%に及んだ。他の予後因子(NCIリスクグループおよび染色体異常)について調整した場合、メルカプトプリンに対する遵守率の低下に伴って再燃の進行性増加が確認された。

    • 遵守率は、ヒスパニック系、12歳を超える小児、および母子家庭の患者で有意に低かった。

  2. 遵守に関する2つ目の研究がALLの小児298人(アジア系米国人71人、アフリカ系米国人68人、および非ヒスパニック系白人159人)を対象に実施された。 [44]
    • 90%未満の遵守率は、再燃リスクの増加に関連した(HR、3.9)。

    • 不遵守の定義として90%未満の遵守率を用いると、参加者の20.5%が不遵守者となった。

    • 遵守率は非ヒスパニック系白人よりもアジア系米国人およびアフリカ系米国人において有意に低かった。

  3. 小児742人を対象とした3番目の研究で、以下の主要な観察がみられた: [68]
    • メルカプトプリン不遵守の患者(平均遵守率が95%未満として定義)は、遵守者と比較して再燃リスクが2.7倍高かった。

    • 遵守者のうち、thioguanine濃度の個人内変動(用量強度および薬物治療中断の変動による)が高いことは、再燃リスク増大と関連していた。

臨床評価段階にある治療法の選択肢

リスクをベースとした治療割り付けは、ALL患児に用いられる重要な治療戦略であり、治療失敗リスクの程度が異なる特定の患者集団ごとにプロトコルがデザインされる。本要約のリスクに基づく治療割り付けのセクションでは、ALL患児をリスクに基づく治療グループに初期層別化するために用いられる臨床的特徴および臨床検査所見について記載している。

実施中の臨床試験には以下のものがある:

前駆B細胞ALLに対するCOGの研究

標準リスクのALL

  1. COG-AALL0932(NCT01190930)

    (新たに標準リスクのALLと診断された若年患者を対象としたリスク調整化学療法)


    この試験では、標準リスクの患者を次の2つのグループに細分している:低リスクおよび平均リスク。低リスクは、次の項目のすべてに該当することで定義される:NCI標準リスクの年齢/WBC、予後良好な遺伝学的所見(例えば、ダブルトリソミーまたはETV6-RUNX1)、初診時にCNS1、および8日目(末梢血)および29日目(骨髄)のMRDレベルが低い(フローサイトメトリーで0.01%未満)。平均リスクにはその他のNCI標準リスクの患者が含まれるが、29日目のMRDが多く形態学的に寛解導入に失敗した患者、またはその他の予後不良の特徴(例えば、CNS3、iAMP21、低度の低二倍体、MLL[KMT2A]再構成、およびBCR-ABL1)を示す患者は除かれる。


    すべての患者に対して、3剤併用寛解導入療法(デキサメタゾンビンクリスチン、およびIV pegaspargase)を髄腔内化学療法と併用して施行する。寛解導入後療法では、低リスク患者を以下のいずれかの投与群にランダムに割り付ける:



    研究の目的は、いずれかのレジメンの優越性を証明することではなく、優れた転帰(5年DFSが95%以上)が達成できるかどうかを判定することである。


    平均リスクの患者は、すべて寛解導入後の治療として修正BFM基本骨格による治療を受ける。これらの患者を対象に、この研究ではランダム化の様式で、維持相の期間中に週1回投与する経口メトトレキサートを2種類の用量(20mg/m2および40mg/m2)で比較し、用量が高い方がDFSに対する効果が良好かどうかを判定している。平均リスクの患者も、維持療法中のビンクリスチン/デキサメタゾンの2つの律動的投与スケジュール(4週間ごとまたは12週間ごとに投与)のランダム化比較への参加に適格である。このランダム化の目的は、転帰に悪影響を与えないで、ビンクリスチン/デキサメタゾン律動的投与の頻度を少なくすることが可能かどうかを判定することである。

高リスクおよび超高リスクのALL

  1. COG-AALL1131(NCT01406756)

    (新たに高リスクのALLと診断された若年患者の治療における併用化学療法)


    このプロトコルは、30歳以下のB細胞ALL患者を対象としている。この試験の患者は、以下の場合に高リスクとして分類される:

    1. NCI高リスク(年齢またはWBCによる)であるが、超高リスクの特徴(以下を参照)を認めない;または
    2. NCI標準リスクで、超高リスクの特徴を認めず、以下の基準のいずれかを満たす:
      • 予後良好な遺伝学的所見がみられず(ETV6-RUNX1または4番と10番染色体のダブルトリソミーがみられない)、8日目の末梢血MRDが1%を超える。

      • 予後良好な遺伝学的所見がみられ、29日目の骨髄MRDが多い。


    以下の基準のいずれかを満たす患者は超高リスクとして分類される:

    1. 年齢が13歳以上。
    2. 診断時点でCNS3。
    3. 29日目でM3の骨髄所見。
    4. 予後不良の遺伝学的所見(例えば、iAMP21、低度の低二倍体、MLL[KMT2A]遺伝子再構成)。
    5. 29日目で骨髄のMRDが多い(フローサイトメトリー法で0.01%を超える)場合(予後良好な遺伝学的所見を伴うNCI標準リスクを除く)。

    この試験に参加した患者に対しては、4剤併用(ビンクリスチン、コルチコステロイド、ダウノルビシン、およびIV pegaspargase)寛解導入療法を髄腔内化学療法と併用して施行する。10歳未満の患者には寛解導入療法でデキサメタゾンを2週間投与し、10歳以上の患者にはプレドニゾンを4週間投与する。寛解導入後療法は修正強化BFM基本骨格から構成され、その中には大量メトトレキサートによる1回の中間維持療法相および1回の遅延強化療法相が含まれている。


    この研究では、高リスク患者を対象に、ランダム化の様式でトリプル髄腔内化学療法(メトトレキサートシタラビン、およびヒドロコルチゾン)と髄腔内メトトレキサート投与を比較し、トリプル髄腔内化学療法によりCNS再燃率が低下し、EFSが改善するかどうか判定する。


    超高リスク患者について、地固め相および遅延強化相後半の強化によりDFSが改善するかどうか研究で評価されている。これらの治療相で標準療法(シクロホスファミド、thioguanine、および低用量のシタラビン)または強化療法(シクロホスファミドおよびエトポシド)のいずれかを受ける群に患者がランダムに割り付けられる。本試験が開始された当初、クロファラビン、シクロホスファミド、およびエトポシドからなる3番目の群が設けられていたが、この群は、過度の毒性(主に感染および長期の骨髄抑制に関連)のために中止された。


    BCR-ABL-like ALLと同定され、ダサチニブに感受性を示すキナーゼ(ABL1ABL2CSF1FPDGFRBなど)が関与する遺伝子融合がみられる患者は、標準化学療法にダサチニブを追加した治療に割り付けられる。ダサチニブによる治療は導入療法の完了後に開始され、維持療法の期間中継続される。

その他の研究

  1. Total XVI 研究(TOTXVI)

    (新たに診断されたALL患者に対するTotal Therapy Study XVI)

    SJCRHで実施された研究で、寛解後療法期間にpegaspargaseを標準用量(2,500u/m2)または高用量(3,500u/m2)のいずれかで投与する群に患者がランダムに割り付けられる。

最新の臨床試験

寛解期の小児急性リンパ芽球性白血病患者を現在受け入れているNCI支援のがん臨床試験のリストを参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。


参考文献
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小児ALLに対するCNSに向けた治療

診断時に患者の約3%は、中枢神経系3(CNS3)疾患(脳脊髄液[CSF]検体にリンパ芽球を含む白血球[WBC]が5個/μL以上認められ、かつ/または脳神経麻痺が存在する)である。しかしながら、CNSに対して特異的な治療を実施しない限り、初回診断時の脊髄液にリンパ芽球が検出されるかどうかにかかわらず、最終的にほとんどの小児が顕性のCNS白血病を発症する。したがって、急性リンパ芽球性白血病(ALL)患児はすべて、全身性多剤併用化学療法とともに、何らかのCNS予防療法を受ける必要がある。

CNSは聖域部位(すなわち、典型的にALLの治療に用いられる全身性投与の化学療法薬の多くが浸透しにくい解剖学的空間)であるため、すべての患者で診断時に臨床的に明らかなCNS病変を除去し、CNS再燃を防ぐために、治療の早期に特定のCNSに向けた治療法を策定しなければならない。歴史的に、CNSに向けた治療法が治療レジメンに追加されてからは、ALL患児の生存率は劇的に改善した。

CNSに向けた治療の標準治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 髄腔内化学療法
  2. CNSに向けた全身化学療法
  3. 頭蓋照射

これらの治療法のすべてがCNS白血病の治療および予防に役立っている。髄腔内化学療法とCNSに向けた全身化学療法を合わせた併用療法が標準である;頭蓋照射療法は、選択的状況でのみ使用される。 [1]

使用されるCNS療法の種類は、患者のCNS疾患再燃リスクに基づき、リスクが高い患者ほど強力な治療を受ける。以下の患者グループは、CNS再燃のリスクが高いことがデータから示唆されている:


  • 診断時にWBC数が5個/μL以上で、CSFに芽球が認められる(CNS3)患者。

  • CSFに芽球が認められるがWBC数が5個/μL未満(CNS2)の患者は、CNS再燃のリスクが高い可能性があるが [2] 、特に寛解導入相で通常より高用量の髄腔内化学療法を施行した場合、このリスクはほぼ完全に消失すると考えられる。 [3]

  • T細胞ALLで、特に初診時の末梢血白血球数が多い患者。

  • 診断時に外傷性腰椎穿刺で芽球を示す患者は、CNS再燃リスクが高い可能性がある。このような患者に対しては、何らかの治療プロトコルを用いて、より強力なCNSに向けた治療を実施する。 [3] [4]

新規診断小児ALLに対するCNSに向けた治療レジメンを以下の表2に示している:

表2.新規診断小児ALLに対するCNSに向けた治療レジメン

病態 標準治療法の選択肢
ALL = 急性リンパ芽球性白血病;CNS = 中枢神経系;CNS3 = 脳脊髄液で白血球が5個/μL以上、遠沈で芽球陽性、または脳神経麻痺。
a 薬物自体はCNSに浸透しないが、脳脊髄液のアスパラギン枯渇をもたらす。
標準リスクのALL 髄腔内化学療法
  メトトレキサート単独
  メトトレキサートシタラビンとヒドロコルチゾンを併用
CNSに向けた全身化学療法
  デキサメタゾン
  L-アスパラギナーゼa
  高用量メトトレキサートロイコボリン救援を併用
  漸増用量の静脈内投与メトトレキサートロイコボリン救援を伴わない)
高リスクおよび超高リスクのALL 髄腔内化学療法
  メトトレキサート単独
  メトトレキサートシタラビンとヒドロコルチゾンを併用
CNSに向けた全身化学療法
  デキサメタゾン
  L-アスパラギナーゼa
  高用量メトトレキサートロイコボリン救援を併用
頭蓋照射


現在のALL臨床試験の主な目的は、神経毒性およびその他の晩期障害を最小限に抑えながら、有効なCNS療法を提供することにある。

髄腔内化学療法

小児ALLに対するすべての治療レジメンに髄腔内化学療法が含まれる。髄腔内化学療法は通常、寛解導入相の初めから開始し、地固め相で強化するが、多くのプロトコルで維持相を通して継続している。

髄腔内化学療法は、典型的に以下のいずれかにより構成される: [5]

  1. メトトレキサート単独。
  2. メトトレキサートシタラビンとヒドロコルチゾンを併用(トリプル髄腔内化学療法)。

髄腔内シタラビン投与とは異なり、髄腔内メトトレキサート投与には有意な全身的効果があり、骨髄再燃の防止に寄与する可能性がある。 [6]

CNSに向けた全身化学療法

脳および脊髄液に直接施行される治療に加えて、全身的な薬剤投与もCNS発症を効果的に予防する重要な手段である。以下の全身的に投与される薬剤により、ある程度のCNS予防効果が得られる:


証拠(CNSに向けた全身化学療法):

  1. 標準リスクの患者を対象としたランダム化Children's Cancer Group(CCG)研究では、すべての患者が同一の用量とスケジュールで髄腔内メトトレキサート投与を受け、頭蓋照射は受けなかったが、経口デキサメタゾン投与に伴い、経口プレドニゾン投与と比較してCNS再燃率に50%の低下が認められた。 [7]
  2. 別の標準リスクALLの試験(COG-1991)では、ロイコボリン救援を伴わない漸増用量のIVメトトレキサートにより、2回の中間維持相のそれぞれで投与する標準低量経口メトトレキサートと比べ、CNS再燃率が有意に減少した。 [8]
  3. 旧Pediatric Oncology Groupにより実施されたランダム化臨床試験では、T細胞ALL患者に高用量のメトトレキサートを投与することで、高用量のメトトレキサートを投与しなかった患者よりもCNS再燃率が有意に低いことが認められた。 [9]

頭蓋照射

頭蓋照射を受ける患者の割合は次第に著しく低下してきている。現在では、新たにALLと診断された小児のほとんどが、頭蓋照射を使用しないで治療を受けている。診断時にCNS白血病(前述の定義の通り)(芽球を伴うWBCが5個/μLを超える;CNS3)と認定された患者および/または初診時のWBC数が多いT細胞表現型の患者など、治療後のCNS再燃リスクが最も高いとみなされる患者に対してのみ頭蓋照射を施行しているグループが多い。 [10] 実際に放射線療法を施行する患者では、頭蓋照射線量を大幅に低くしており、脊髄照射の実施は非標準である。

実施中の試験では、生存に悪影響を与えたり、毒性の発生率が増加したりすることなく、初期療法から救援療法まで、すべてのALL患児の治療から放射線照射を省略することができるかどうかを判定しようとしている。 [11] [12] CNSに向けた治療のランダム化試験を対象としたメタアナリシスでは、ALL患者のほとんどで放射線療法が髄腔内化学療法に置き換えられていることが確認されている。使用した薬剤および強度にもよるが、全身性治療の追加が必要になる場合がある。 [13] ; [1] [証拠レベル:1iDi]

標準リスクの患者に対するCNS療法

頭蓋照射を併用しない髄腔内化学療法に加え、適切な場合に全身化学療法を施行することで、標準リスクのALL小児ではCNS再燃率が5%未満となる。 [11] [12] [14] [15] [16] [17]

これらの患者に対する頭蓋照射の使用はCNS向けの治療法に必要な要素ではない。 [18] [19] トリプル髄腔内化学療法(メトトレキサートシタラビン、およびヒドロコルチゾン)を使用しているレジメンもあるが、治療を通して髄腔内メトトレキサートのみを使用しているレジメンもある。

証拠(トリプル髄腔内化学療法 vs 髄腔内メトトレキサート):

  1. 米国国立がん研究所(NCI)標準リスクの患者を対象としたCCG-1952研究では、放射線照射を受けなかった患者における単独の髄腔内投与薬剤としてのメトトレキサートに対して、トリプル髄腔内化学療法(メトトレキサートシタラビン、およびヒドロコルチゾン)の相対的な有効性および毒性が比較された。 [20]
    1. CNS毒性または非CNS毒性のいずれについても有意差は認められなかった。
    2. トリプル髄腔内化学療法に伴って、孤立性CNS再燃率(髄腔内メトトレキサートの5.9%±1.2%と比較して3.4%±1.0%;P = 0.004)が低下したが、イベントフリー生存(EFS)に差は認められなかった。
      • CNS再燃率の低下は、診断時にCNS2状態(CSFの遠沈でリンパ芽球が認められるが、CSF細胞計数でWBCが高倍率視野[hpf]当たり5個未満)の患者に特に顕著にみられた;孤立性CNS再燃率は、トリプル髄腔内化学療法を受けたCNS2患者で7.7% ± 5.3%であったのに対して、髄腔内メトトレキサート単独投与を受けたCNS2患者では23.0% ± 9.5%(P = 0.04)であった。

      • トリプル髄腔内化学療法を受けた群では骨髄再燃が多く、全生存(OS)率(90.3%±1.5%)は、髄腔内メトトレキサート単独投与群(94.4%±1.1%)と比べて不良となった(P = 0.01)。

      • この解析を前駆B細胞ALLで速やかな早期反応(14日目にM1の骨髄所見)を示した患者に限定すると、CNS再燃率、OS、またはEFSに関して、トリプルとシングルの髄腔内化学療法の間に差はみられなかった。

      • この試験の結果は、患者に対して他の治療法が施行されていたことを考慮に入れて解釈する必要がある。他の試験の標準リスクの患者では、デキサメタゾンによりCNS再燃率が低下し、EFSが改善することが示されているが [7] [21] 、CCG-1952でデキサメタゾンは使用されていない(プレドニゾンが患者に投与された唯一のステロイドであった)。 [22] CCG-1952試験の結果がデキサメタゾンおよび/または他のCNSに向けた全身性治療の使用を含むプロトコルに一般化可能であるかどうかは明らかではない。

    3. 2群における神経認知機能の追跡研究では、臨床的有意差は認められなかった。 [23] [証拠レベル:1iiC]

高リスクおよび超高リスク患者に対するCNS療法

高リスクおよび超高リスク患者では頭蓋照射による治療を実施すべきであるという点に関しては異論がある。プロトコルによっては、ALL患児の最大20%が診断時にCNS浸潤がみられなくても、CNS向けの治療法の一部として頭蓋照射を受ける。多くの治療レジメンで頭蓋照射を受けているのは以下の患者である: [10]


  • 初回測定のWBC数が多いT細胞表現型の患者。

  • 高リスクの前駆B細胞ALL患者(例えば、初診時の白血球数が著しく多く、かつ/または有害な細胞遺伝学的異常および/またはCNS3の病態)。

放射線療法を受ける患者の割合および照射される放射線量は、いずれも過去20年間にわたって減少している。

証拠(頭蓋照射):

  1. 1990年から1995年に実施された試験で、ベルリン-フランクフルト-ミュンスター(BFM)グループは、線量を減弱した放射線(18Gyの代わりに12Gy)を予防照射することで、高リスクの患者において効果的なCNS予防法が得られることを示した。 [24]
  2. 1995年から2000年にBFMグループが実施した追跡試験(BFM-95)では、T細胞表現型、初期反応の遅延(ステロイドによる1週間の前治療後の末梢血芽球数により判定)、および/または有害な細胞遺伝学的異常を認める患者を含め、約20%の患者(以前の試験では70%の患者)に対して頭蓋照射が施行された。 [17]
    • 孤立性CNS再燃率は頭蓋照射を受けなかった高リスクの患者の方が(頭蓋照射を受けた)歴史的コホートに比較して高かったが、全体的なEFS率に有意差は認められなかった。

  3. St. Jude Children's Research Hospital(SJCRH)、Dutch Childhood Oncology Group(DCOG)、およびEuropean Organization for Research and Treatment of Cancer(EORTC)を含むいくつかのグループが、高リスクのサブセットを含むすべての患者に対して頭蓋照射を省略した試験結果を公表している。 [11] [12] [25] これらの試験のほとんどが寛解導入後の地固め療法期間に高用量メトトレキサートを4回以上投与し、髄腔内化学療法の頻度を高めている。SJCRHおよびDCOGの研究でも、高頻度のビンクリスチン/デキサメタゾンの律動的投与および強化用量のpegaspargaseが含まれていたが [11] [12] 、EORTC試験では、CNS3の患者(CSFにWBCが5個/μL以上みられ、遠沈で芽球陽性)に対して寛解導入後治療相で高用量のメトトレキサートの追加投与および高用量のシタラビンの反復投与が含まれていた。 [25]
    • これらの試験で孤立性CNS再燃の5年累積発生率は2~4%の範囲であったが、一部の患者サブセットではCNS再燃率が有意に高かった。SJCRHの研究では、孤立性CNS再燃の有意に高いリスクに関連する臨床的特徴には、T細胞表現型、t(1;19)転座、または診断時のCSFにおける芽球の存在などが含まれていた。 [11]

    • 全体的なEFS率はSJCRH研究で85.6%、DCOG研究で81%であり、両研究とも一部の患者に対して予防的放射線療法を施行した同時期の臨床試験で達成された治療成績と一致しているが、EORTC試験では低かった(8年EFS、69.6%)。 [25]

    • 注目すべき点として、SJCRH研究では、第一寛解期に患者498人中33人(6.6%)が高リスクの特徴を示し(微小残存病変[MRD]が多い患者が26人、フィラデルフィア染色体陽性ALLの患者が6人、および近一倍体の患者が1人)、全身放射線照射を含む同種造血幹細胞移植を受けた。 [11]

  4. 10組の共同グループにより1996年から2007年に治療を受けた16,000人を超える患者から併合したデータのメタアナリシスにおいて、頭蓋照射療法の使用は5年OS率または何らかのイベントの累積発生率に影響を及ぼさないと考えられた。 [13]
    • 高リスクサブセットのサブグループ解析では、診断時にCNS3の患者のみが頭蓋照射から利益が得られると考えられ、照射を受けた患者ではCNS再燃率(孤立性/すべて)が有意に低下した;しかしながら、このサブグループ内でも、OSは放射線療法の使用または不使用でほぼ同じであった。

    • この研究から、頭蓋照射療法は高リスク患者に対するものであっても、不可欠な治療要素ではない可能性が示唆される;ただし、さまざまな共同グループが患者に対して施行した治療にはかなりの変動があるために、解釈には限界がある。

診断時にCNS病変を認める(CNS3の病態)患者に対するCNS療法

診断時に臨床的に明らかなCNS病変(WBCが5個/hpf以上、遠沈で芽球陽性;CNS3)を認めるALL患者に対する治療には、典型的に髄腔内化学療法と頭蓋照射(通常の線量は18Gy)が含まれる。 [17] [19] 現在。脊髄照射は使用されていない。

証拠(頭蓋照射):

  1. SJCRH、DCOG、およびEORTCは、高リスクのサブセットを含むすべての患者に対して頭蓋照射を省略した試験の結果を公表している。 [11] [25] これらの試験には、寛解導入後の地固め療法期間に高用量メトトレキサートを4回以上投与すること、および髄腔内化学療法の頻度を高めることが含まれている。SJCRHの研究には、小児腫瘍学グループ(COG)試験より累積用量が高いアントラサイクリン系薬剤に加え、頻回のビンクリスチン/デキサメタゾンの律動的投与および強化用量のpegaspargaseも含まれていたが [11] 、EORTC試験には、CNS3(CSFにWBCが5個/μL以上、遠沈で芽球陽性)の患者に対する寛解導入後治療相で高用量メトトレキサートの追加投与および高用量シタラビンの反復投与が含まれていた。 [25]
    • SJCRH Total XV(TOTXV)研究では、CNS3状態の患者(N = 9)が頭蓋照射を含まない治療を受けた(観察された5年EFS率は、43%±23%;OS、71%±22%)。 [11] この研究で、診断時のCNS白血病(CNS3状態または芽球を伴う外傷性腰椎穿刺で定義)は、EFS不良を示す独立した予測因子であった。

    • DCOG-9試験で頭蓋照射を含まない治療を受けたCNS3の患者(n = 21)では、5年EFS率が67%±10%であった。 [12]

    • EORTC試験で頭蓋照射を含まない治療を受けたCNS3の患者(n = 49)では、8年EFS率が68%であった。これらの患者における孤立性CNS再燃の累積発生率は9.4%であった。 [25] [証拠レベル:2A]

  2. 10組の共同グループにより1996年から2007年に治療を受けた16,000人を超える患者から併合したデータのメタアナリシスでは、高リスク患者のサブセットで頭蓋照射療法の使用により転帰に影響が現れるかどうかが評価された。 [13]
    • 高リスクサブセットのサブグループ解析では、診断時にCNS3の患者のみが頭蓋照射療法から利益が得られると考えられ、照射を受けた患者ではCNS再燃率(孤立性/すべて)が有意に低下した;しかしながら、このサブグループ内でも、OSは放射線療法の使用または不使用でほぼ同じであった。

CNS3の患者において頭蓋照射を省略することによる安全性を完全に解明するには、大規模なプロスペクティブ研究が必要である。

臨床評価段階にある発症前CNS療法の選択肢

臨床評価段階にある治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. NCI-2014-00712;AALL1231(NCT02112916)

    (新たにT細胞ALLまたはII~IV期T細胞リンパ芽球性リンパ腫と診断された若年患者の治療においてボルテゾミブを併用するまたは併用しない併用化学療法)

    この試験はT細胞ALL患者を対象にしており、予防的な頭蓋照射を受けるT細胞ALL患者の比率における減少を非ランダム化様式で検証している。この研究では、超高リスクの患者(最初のCNSの状態に関係なく、29日目でM3の骨髄所見を呈するか、地固め療法終了時点でMRDが0.1%を超える患者)のほか、診断時にCNS3のすべての患者のみが頭蓋照射療法を受ける。CNS3の患者は18Gyの頭蓋照射を受ける一方、頭蓋照射を受けるように割り付けられた残りの患者は12Gyを受ける。以前のCOG試験では85~90%のT細胞ALL患者が頭蓋照射を受けていたのに対し、AALL1231では10~15%のT細胞ALL患者が頭蓋照射を受けると推定されている。
  2. COG-AALL1131(NCT01406756)

    (新たに高リスクALLと診断された若年患者の治療における併用化学療法)

    高リスクの前駆B細胞ALL患者向けのCOG-AALL1131プロトコルには、トリプル髄腔内化学療法(メトトレキサートシタラビン、およびヒドロコルチゾン)と髄腔内メトトレキサート投与のランダム化比較が含まれており、トリプル髄腔内化学療法によりCNS再燃率が低下し、全体のEFSが改善するかどうかを判定することを目的としている。CNS3の状態にある患者のみが頭蓋照射(18Gy)を受ける。
  3. SJCRH Total XVI(TOTXVI;NCT00549848)

    (新たに診断されたALL患者に対するTotal Therapy Study XVI)

    患者に対して髄腔内化学療法および大量メトトレキサートを併用し、放射線療法は使用しない。t(1;19)転座を認める患者を含む高リスクの特徴を示す特定の患者では、強化髄腔内療法を実施する。

CNSに向けた治療の毒性

小児ALLに対するCNSに向けた治療法の毒性作用は、急性および亜急性または晩期発現の可能性がある。(詳しい情報については、小児がん治療の晩期障害に関するPDQ要約の中枢神経系の晩期障害のセクションを参照のこと。)

急性および亜急性毒性

髄腔内化学療法の単独施行に伴って最も多くみられる急性の副作用は痙攣発作である。髄腔内化学療法薬を頻繁に投与する治療を受け、放射線療法を受けていないALL患児では、治療中に少なくとも1回の痙攣発作が最大5%にみられる。 [11] 髄腔内化学療法に加えて高用量のメトトレキサートを複数回投与する地固め療法レジメンでは、観察された痙攣発作の発生率が高くなった。 [26] 髄腔内および高用量静脈内メトトレキサートに伴って、ほとんどの場合に可逆性で現れる脳卒中様症候群も認められている。 [27]

治療中に痙攣発作を起こしたALL患児および抗痙攣薬療法を受けているALL患児に対して抗痙攣薬治療としてフェノパルビタールまたはフェニトインを投与すると、一部の化学療法薬のクリアランスを増大させ、転帰に有害な影響を及ぼす可能性があるため投与すべきではない。 [28] ガバペンチンおよびバルプロ酸は代用可能な坑痙攣薬で、酵素誘導能が低い。 [28]

遅発性毒性

CNSに向けた治療法に伴う晩期作用には、二次腫瘍、神経内分泌障害、白質脳症、および神経認知的障害がある。

二次腫瘍は、主に頭蓋照射を受けた生存者に観察される。髄膜腫が多くみられ、典型的に悪性化の可能性は低いが、高悪性度の病変も発生する。再燃したことのない1,290人を超えるALL患者を対象としたSJCRHのレトロスペクティブ研究で、CNSに発生した二次腫瘍の30年累積発生率は3%であった;髄膜腫を除くと、30年累積発生率は1.17%であった。 [29] これらのCNS二次腫瘍のほぼすべてが過去に放射線照射を受けた患者に発生した。

神経認知的障害は、重症度および機能的帰結に幅があり、放射線療法の有無を問わず治療を受けた長期ALL生存者で明らかになっている。一般に、頭蓋照射なしで治療を受けた患者は、頭蓋照射を受けた患者よりも重度の神経認知的後遺症が少なく、実際に発生する障害は、いくつかの限定された領域において比較的軽度の神経心理学的機能低下をもたらす。 [30] [31] [32] [33] 頭蓋照射療法を受けた患者では、毒性の頻度および重症度が用量依存性であると考えられる;頭蓋照射療法で線量が18Gyであった患者では、線量が24Gy以上の治療を受けた患者と比較して重度障害のリスクが低いと考えられた。診断時年齢が若い、および女性であることが神経認知的晩期障害の高いリスクに関係することが多くの研究で報告されている。 [34]

数件の研究で神経認知的晩期障害の発生に対する他の治療要素の影響も評価されている。メトトレキサート vs トリプル髄腔内化学療法による治療を受けた患者を対象に神経認知機能の転帰を比較した場合、臨床的意義のある差は示されなかった。 [23] [証拠レベル:3iiiC]デキサメタゾンの投与を受けている患者では神経認知的障害のリスクが高いかどうかという問題に関しては見解の一致をみていない。 [35] 放射線照射を受けていない長期生存者を対象にしたSJCRH研究で、デキサメタゾンによる治療は、注意および実行機能の障害の高いリスクと関連していた。 [36] 対照的に、標準リスクのALLの既往があり、治療中にデキサメタゾンまたはプレドニゾンのいずれかの投与を受けた92人の小児を対象とした長期の神経認知機能の検証では、コルチコステロイドによるランダム化に基づいた認知機能において何らかの意義のある差は示されなかった。 [37]

証拠(頭蓋照射の神経認知的晩期障害):

  1. 小児ALLの成人までの長期生存者567人(診断からの平均期間、26年)を対象としたSJCRH研究では、神経認知機能検査を実施した。 [36]
    • 24Gyの頭蓋照射による治療を受けた患者は、障害の発生率が最も高いことが示された。これらの患者の最大3分の1では、注意、記憶、処理速度、および実行機能に障害(検査スコアが年齢調整国内標準値から2標準偏差以上下回るとして定義)があることが示された。

    • 18Gyの頭蓋照射を受けて重度の障害が明らかになった患者は、24Gyの照射を受けた患者と比較してかなり少なかった。一般に、放射線照射を受けていない生存者と18Gyの頭蓋照射を受けた生存者で障害の発生率に有意差は認められなかった;しかしながら、18Gy照射群では学業成績が問題となるリスクが高かった。

    • 頭蓋照射の神経認知的影響は、線量依存性に加えて、診断時年齢にも依存し、若い年齢で診断された患者ほど、障害の頻度が高かった。

  2. 18Gyの頭蓋照射を受けた患者(n = 127) vs 24Gyの頭蓋照射を受けた患者(n = 138)で、記憶障害を比較した研究がある。 [38]
    • 24Gyの頭蓋照射を受けた長期生存者では、即時記憶および遅延記憶に重大な障害がみられるが、18Gyでは認められなかったことが示された。

  3. 標準リスクALL患者の放射線(線量18Gy)照射群と非照射群を比較したランダム化試験で、以下が観察された; [30] [証拠レベル:1iiC]
    • 両群の認知機能(診断後中央値6年で評価)は、平均的な範囲内で、認知技能において両群間に軽微な差が認められたに過ぎなかった。

  4. あるランダム化試験において、多分割照射(線量は18Gy)では、従来の分割照射と比較して神経学的晩期障害は低下しなかった;両群とも認知機能に重大な障害はみられなかった。 [39]

証拠(放射線照射を受けていない患者における神経認知的晩期障害):

  1. 成人の長期生存者567人を対象としたSJCRHの長期追跡研究で、放射線照射を受けていない一部の患者でも神経認知的障害が示された。 [36]
    • 放射線照射を受けていない患者の年齢調整後の平均検査スコアは、予測された国内標準と非常に類似していた。しかしながら、この研究に参加した放射線照射を受けていない生存者の約15%では、注意、記憶、処理速度、および実行機能を含むいくつかの領域で障害がみられることが示された。

    • 神経認知検査で障害が認められたにもかかわらず、全体として検査を受けたALL生存者の学業成績および雇用状態は、米国の人口調査データを用いて年齢および性調整後に予想される割合と同程度であった。

  2. SJCRHからの別の研究では、Total Study XV(全患者で頭蓋照射を省略した)に参加した患者が導入療法時、維持療法終了時、治療終了2年後に包括的な神経心理学的評価を受けた。 [40]
    • 治療終了後2年での神経認知機能はおおむね年齢にふさわしいものであり、知的機能、学業成績、学習、および記憶の測定値で過度の障害はみられなかった。この集団では、標準的な予想と比較して注意持続の問題が高い頻度で観察された。

    • より強化されたCNSに向けた化学療法(大量メトトレキサートおよび髄腔内化学療法の頻回使用を含む)を受けた高リスク患者では、注意、処理速度、および学業成績の障害が生じるリスクが高かった。


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  39. Waber DP, Silverman LB, Catania L, et al.: Outcomes of a randomized trial of hyperfractionated cranial radiation therapy for treatment of high-risk acute lymphoblastic leukemia: therapeutic efficacy and neurotoxicity. J Clin Oncol 22 (13): 2701-7, 2004.[PUBMED Abstract]

  40. Jacola LM, Krull KR, Pui CH, et al.: Longitudinal Assessment of Neurocognitive Outcomes in Survivors of Childhood Acute Lymphoblastic Leukemia Treated on a Contemporary Chemotherapy Protocol. J Clin Oncol 34 (11): 1239-47, 2016.[PUBMED Abstract]

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特定のALLサブグループに対する寛解導入後療法

T細胞ALL

歴史的に見て、T細胞急性リンパ芽球性白血病(ALL)の患児の予後は、前駆B細胞ALLの患児より不良である。小児腫瘍学グループ(COG)試験で治療を受けた多数の患者を15年にわたって追跡したレビューによると、多変量解析でT細胞免疫表現型は依然として不良な予後因子であることが明らかにされた。 [1] しかしながら、現行の治療レジメンにより、T細胞ALLの小児の転帰は、前駆B細胞ALLの小児で達成できる転帰に現在接近してきている。例えば、Dana Farber Cancer Institute(DFCI)のDFCI-95001(NCT00004034)試験で治療を受けたT細胞ALL患児では、10年全生存(OS)率が90.1%であったのに対して、B細胞ALL患児では88.7%であった。 [2] その他の例として、T細胞ALLに対するCOG試験(AALL0434[NCT00408005]で、4年無病生存(DFS)率が89.3%であったことが観察された。 [3]

T細胞ALLに対する治療法選択肢

  1. 旧Pediatric Oncology Group(POG)のプロトコルは、B細胞系列ALL患児とは異なる方法でT細胞ALLの患児を治療した。T細胞ALL患児を対象としたPOG-9404プロトコルは、大量メトトレキサート療法の役割を評価することを目的としてデザインされたものである。このプロトコルの多剤併用化学療法レジメンは、DFCI-87001レジメンに基づいていた。 [4]
    • POG-9404研究による結果から、T細胞ALL患者においてDFCIベースの化学療法レジメンに大量メトトレキサートを加えることで、イベントフリー生存(EFS)が有意に改善することが示された(10年EFS率は、大量メトトレキサート群にランダムに割り付けられた患者で78% vs 大量メトトレキサートなしの治療群にランダムに割り付けられた患者で68%、P = 0.05)。

    • 大量メトトレキサートは、中枢神経系(CNS)を巻き込んだ再燃の発生率が低いことに関係していた。 [5] このPOG研究は、T細胞ALL患児に対してメトトレキサート大量投与により転帰を改善できるという証拠が得られた初の臨床試験である。大量アスパラギナーゼドキソルビシン、および予防的な頭蓋照射も、このレジメンの重要な要素であった。 [2] [5]

  2. POG-9404研究で、デクスラゾキサン併用または非併用のドキソルビシンに患者がランダムに割り付けられ、晩期の心臓死を予防するデクスラゾキサンの有効性が判定された。 [6] [証拠レベル:1iiDi]
    • T細胞ALL患者(ドキソルビシン累積用量、360mg/m2)でデクスラゾキサン治療を受けた場合とデクスラゾキサン治療を受けなかった場合、EFSに差はみられなかった。 [6]

    • 治療中に発生したグレード3および4の毒性の頻度は、ランダム化群間でほぼ同じであり、二次悪性腫瘍の累積発生率に差は認められなかった。初回診断から3年後の左室内径短縮率および左室壁厚はいずれもデクスラゾキサンを投与された患者よりもドキソルビシンのみを投与された患者で有意に不良であったことから、デクスラゾキサンに心保護作用があることが示された。 [6]

    • ドキソルビシン治療に関してデクスラゾキサンをランダム化し、追跡期間中央値が12.6年に達した3件のCOG試験(P9404、P9425、およびP9426)からの併合データで、デクスラゾキサンにより長期生存が損なわれることはないと考えられた。 [7] [証拠レベル:1iiA]

  3. 旧Children’s Cancer Group(CCG)のプロトコルでは、プロトコルおよび治療割り付けは患者の臨床的特徴(例えば、年齢および白血球[WBC]数)および疾患の初期療法に対する反応に基づいて、T細胞ALL患児をB前駆細胞ALL患児と同じ治療レジメンで治療した。T細胞ALL患児のほとんどが米国国立がん研究所(NCI)の高リスク基準を満たしている。
    • T細胞ALLを含む高リスクALLを対象としたCCG-1961の結果では、単回の遅延強化療法コースを用いた増強ベルリン-フランクフルト-ミュンスター(BFM)レジメンにより、初回寛解導入療法に対して迅速な形態学的反応を示した患者に最も良好な結果が得られたことが示された(推定5年EFS率、83%)。 [8] [9] このアプローチで、200,000を超えるWBC数を呈する患者の転帰は、WBC数が200,000未満の患者と同程度であった。 [10] [証拠レベル:1iiDi]

    • POG-9404およびCCG-1961から得られた全体的な結果は類似していたが、POG-9404では、アントラサイクリン系薬剤の累積用量が高く、すべての患者に対して頭蓋照射が用いられたのに対し、CCG-1961では、形態学的反応が緩徐な患者に対してのみ頭蓋照射が用いられた。 [9] [5]

    • NCI標準リスクのT細胞ALL患児で、CCG-1952COG-1991、およびPOG-9404で治療を受けた場合の7年EFS率は、POG-9404に含まれていた予防的頭蓋照射なしの強度の低い化学療法骨格で著しく少ないアントラサイクリン系薬剤を用いたCOGレジメンと同程度であった。 [11]

  4. COGでは、T細胞ALL患児に対してB前駆細胞ALL患児と同じプロトコルによる治療を実施していない。
    • COGによるパイロット研究では、新たにT細胞ALLと診断された患者に対してBFMレジメンが使用されている状況下で、ネララビン(再燃性および難治性のT細胞リンパ芽球性疾患の患者に効果が実証されているヌクレオシドアナログ) [12] [13] [14] を組み込む実施可能性が実証されている。このパイロット研究での5年生存率は、ネララビンを投与した全患者で73%、初期反応の遅延がみられた患者では69%であった。 [15]

    • COGのAALL0434(NCT00408005)試験では、T細胞ALL患者に対して強化BFMレジメンによる治療を実施し、ロイコボリン救援を伴う大量メトトレキサートまたはロイコボリン救援を伴わない漸増用量のメトトレキサート(Capizzi方式)のいずれかに患者をランダムに割り付けた。 [3] 低リスク患者を除くすべての患者に対して、予防的(12Gy)または治療的(18Gy)頭蓋照射が施行された。Capizzi方式群にランダムに割り付けられた患者でEFSが良好であることが結果から示された:4年EFS率92.5% vs 大量メトトレキサート群で86.1%(P = 0.0173)。 [16]

  5. T細胞ALLの治療における予防的な頭蓋照射の使用は減少している。St. Jude Children's Research Hospital(SJCRH)およびDutch Childhood Oncology Group(DCOG)など、一部のグループでは、ALLの第一選択治療に頭蓋照射を使用していないが、他のDFCI、COG、およびBFMなどのグループでは、現在、超高リスクの特徴またはCNS3疾患を認める患者に放射線療法を制限している。

T細胞ALLに対して臨床評価段階にある治療法の選択肢

T細胞ALLに対して臨床評価段階にある治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. NCI-2014-00712;AALL1231(NCT02112916)

    (新たにT細胞ALLまたはII~IV期T細胞リンパ芽球性リンパ腫と診断された若年患者の治療においてボルテゾミブを併用するまたは併用しない併用化学療法)

    この第III相試験では、T細胞ALLの1~30歳の患者に対して修正強化BFMレジメンを採用している。患者は、29日目の骨髄における形態学的反応、29日目と地固め療法終了時の微小残存病変(MRD)の状態、および診断時のCNS状態に基づいて、3つのリスク群(標準リスク、中リスク、超高リスク)のいずれかに分類される。年齢および認められる白血球数は患者の層別化には用いられない。試験の目的は以下の通りである:
    • 修正強化BFMの基本骨格においてボルテゾミブを併用する群か併用しない群にランダムに割り付けられた患者におけるEFSを比較すること。ボルテゾミブを併用する群にランダムに割り付けられた患者には、寛解導入相(4回)に加え、さらに遅延強化相(4回)にもボルテゾミブが投与される。

    • T細胞ALLに対して、寛解導入相および維持相にプレドニゾンの代わりにデキサメタゾンを使用し、寛解導入相および遅延強化相にpegaspargaseを追加投与する修正標準COG療法の安全性および実施可能性を判定すること。

    • 歴史的対照と比較して85~90%のT細胞ALL患者(超高リスクおよびCNS3以外の患者)において、再燃リスクを増加させることなく、予防的な頭蓋照射を省略できるかどうかを決定すること。

    • 地固め療法終了時のMRDが0.1%を超える患者のうち、大量シタラビン、大量メトトレキサートイホスファミド、およびエトポシドを含む3つの高リスクBFMブロックを用いる強化療法後にMRD陰性となる患者の割合を明らかにすること。

最新の臨床試験

小児T細胞急性リンパ芽球性白血病患者を現在受け入れているNCI支援のがん臨床試験のリストを参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。

ALL乳児

乳児のALLはまれであり、小児ALL症例の約2~4%を占める。 [17] ALLの乳児は特有な生物学的特徴を示し、白血病の再発リスクが高いことから、この患者集団に対して特化してデザインされたプロトコルによる治療を実施する。ALL乳児の治療に用いられる強化化学療法レジメンの一般的な治療のテーマは、大量のシタラビンおよびメトトレキサートを用いた寛解導入後強化コースを含めることである。 [18] [19] [20]

生後数ヵ月以内に診断された乳児の転帰は特に不良である。1件の研究では、生後1ヵ月以内に診断された患者の2年OS率は20%であった。 [21] [証拠レベル:2A]別の研究では、生後90日未満で診断された乳児の5年EFS率は16%であった。 [20] [証拠レベル:2A]

MLLKMT2A)遺伝子再構成が認められる乳児では、EFS率が35%の範囲に留まっている。 [18] [19] [20] [22] [証拠レベル:2A]MLL再構成を有する乳児で不良な転帰を予測する因子には以下のものがある: [19] [20] ; [23] [証拠レベル:3iDii]


  • 年齢が非常に若い(生後90日以下)。

  • 認められる白血球の数がきわめて多い(200,000~300,000/μL以上)。

  • プレドニゾン前治療に対する反応不良または治療の寛解導入相および地固め相終了時のMRDレベルが高いことを反映している早期反応不良。

乳児は、より年齢の高いALL小児よりも再燃率が有意に高く、治療関連毒性、特に感染症を発症するリスクが高い。この集団に対して現在の治療アプローチを用いた場合、治療関連死は乳児の約10%に発生すると報告されており、この割合は、より年齢の高いALL小児よりもはるかに高い。 [19] [20] COG AALL0631(NCT00557193)試験では、強化された寛解導入レジメンによる寛解導入中死亡率が15.4%(患者26人中4人)であった;この試験はその後、強度を弱めた寛解導入と高度支持療法のガイドラインを含めるように修正され、寛解導入中死亡率が有意に低下し(1.6%、患者123人中2人)、有意に高い完全寛解(CR)率(94% vs 以前のより強度の高い寛解導入レジメンでは68%)が得られた。 [24]

MLL(KMT2A)再構成を有する乳児に対する治療法選択肢

一般にMLLKMT2A)遺伝子再構成を認める乳児では、年長のALL小児に対する初期治療に典型的に採用されていない薬剤を用いた強化化学療法レジメンによる治療を実施する。しかしながら、このような強化アプローチにもかかわらず、これらの患者ではEFS率が依然として劣っている。

証拠(MLL[KMT2A]再構成を認める乳児に対する強化化学療法レジメン):

  1. International Interfant Clinical Trials Consortiumは、シタラビン強化化学療法レジメンを用い、治療の最初の数ヵ月間で低用量および高用量にかかわらずシタラビンに対する曝露を高めて、MLLKMT2A)再構成を認める乳児で、5年EFS率が37%という結果を得ている。 [19]
  2. COGは、大量メトトレキサートシクロホスファミド、およびエトポシドの複数回投与を含むレジメンによる治療の強化について検証し、MLL再構成を認める乳児で、5年EFS率が34%という結果を得ている。 [18]
  3. COG P9407(NCT00002756)試験では、乳児が短期(46週間)の強化化学療法レジメンで治療された。MLL再構成を認める乳児での5年EFS率は36%であった。 [20] [証拠レベル:2A]

MLLKMT2A)遺伝子再構成を認める乳児で第一寛解期における同種造血幹細胞移植(HSCT)の役割については、依然として意見の相違がある。

証拠(MLL[KMT2A]再構成を認める乳児に対する第一寛解期における同種HSCT):

  1. 1998年から2002年に実施された日本の臨床試験では、MLLKMT2A)再構成を認める乳児は、すべて診断から3~5ヵ月後に利用可能性が最も高いドナー(血縁者、非血縁者、または臍帯血)からの同種HSCTを受けるようになっていた。 [25]
    • 登録された全乳児の3年EFS率は44%であった。このような結果が得られた要因の1つは、強力な化学療法にもかかわらず早期再燃の頻度が高かったことである;この試験でMLL再構成を認める乳児でCRに達した41人のうち、11人(27%)の乳児が移植に進む前に再燃した。

  2. 1996年から2000年にCCGまたはPOGによる乳児向けALLプロトコルで治療を受けた乳児189人を含むCOGの報告では、第一CR期にHSCTを受けた患者と化学療法のみを受けた患者の間で、EFSに差は認められなかった。 [26]
  3. Interfant clinical trials groupは、Interfant-99試験で第一CR期の同種HSCTまたは化学療法単独のいずれかによる治療を受けたMLLKMT2A)再構成を認める高リスク(プレドニゾン反応により判定)の乳児において、移植待機期間について調整した後でも無病生存(DFS)に差を認めなかった。 [19]
    • 同試験のサブセット解析によると、診断時に生後6ヵ月未満で、ステロイドに対する8日目の反応が劣るか、白血球数が300,000/μL以上のMLL再構成を認める乳児では、第一寛解期での同種HSCTに伴って有意に良好なDFSが得られた。 [27] このサブセットでは、第一寛解期でのHSCTに関連して、化学療法単独と比較して再燃または死亡による失敗リスクが64%低下した。

  4. 第一CR期に移植を受けるALLの乳児では、全身照射(TBI)を行わないレジメンとTBIを基本としたレジメンで転帰はほぼ同じと考えられる。 [26] [28]

MLL(KMT2A)再構成を認めない乳児に対する治療法選択肢

MLLKMT2A)再構成を認めない乳児に対する至適治療法も依然として明らかではない。

  1. Interfant-99試験では、MLLKMT2A)再構成を認めない患者に対してシタラビン強化療法レジメンを使用することで、比較的良好な転帰が達成された(4年EFS率が74%)。 [19]
  2. 強化化学療法レジメンに関するCOG P9407(NCT00002756)試験で、MLL再構成を認めない乳児の5年EFS率は70%であったと報告された。 [20] [証拠レベル:2A]
  3. この患者サブセットの良好な転帰は、より年長のALL小児の治療に使用されるものと同様な治療法を用いた日本の研究で得られた [22] ;しかしながら、この研究は、被験者が少数(n = 22)で、性別分布が異常に片寄っていた(男性が91%)ことから限界があった。

ALL乳児に対して臨床評価段階にある治療法の選択肢

臨床評価段階にある治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. Interfant-06 Study Group trial (DCOG-INTERFANT-06)

    (新たに急性白血病と診断された乳児の治療における異なった治療)

    Interfant-06 Study Groupは、MLLKMT2A)再構成を伴うALL乳児に対して、ALL/急性骨髄性白血病のハイブリッドレジメンにより転帰が改善するかどうか検証するため、国際共同ランダム化試験(米国の施設を含む)を実施している。第一寛解期での同種移植の役割は、高リスク患者(MLL再構成を認めるALLで、生後6ヵ月未満、かつWBCが300,000/μLを超える乳児として定義)、またはステロイドによる前治療に対する末梢血反応が不十分な患者でも評価中である。MLL再構成を認めるALL乳児で、地固め相終了時にMRDが多い場合は、他にどのような特徴が認められても、同様に第一寛解期での同種HSCTに適格である。

ALLの青年および若年成人

ALLの青年および若年成人は、数十年にわたって高リスクとみなされてきた。ほぼすべての治療研究において、この年齢層の転帰は10歳未満の小児と比べて不良である。 [29] [30] [31] この違いにおける原因として、診断時に以下を含む有害な予後因子を示す頻度が高いことが挙げられる:


  • T細胞免疫表現型。

  • フィラデルフィア染色体陽性(Ph+)およびBCR-ABL1-like(Ph-like)疾患。

  • 予後良好な細胞遺伝学的異常の発現率が低い。

有害な予後因子の頻度が高いことに加え、この年齢層の患者では、治療関連死亡 [30] [31] [32] [33] および治療に対する不遵守の割合が高くなっている。 [32] [34]

治療法の選択肢

米国およびフランスの研究は、治療レジメンに基づいて転帰の差を特定した最初のものである。 [35] 他の研究により、年長の青年および若年成人の患者は、成人向けのレジメンよりむしろ小児向けのレジメンで経過が良好なことが確認されている。 [35] [36] [37] [38] [39] [40] [41] [42] ; [43] [証拠レベル:2A]これらの研究結果を表3に要約している。

これらの患者では、高リスク小児ALLに使用される化学療法レジメンで比較的良好な転帰が達成できることを考えると、ALLの青年および若年成人に対して第一寛解期における同種HSCTのルーチン使用が果たす役割はない。 [31]

証拠(ALLの青年および若年成人に対する小児治療レジメンの使用):

  1. Cancer and Leukemia Group B(CALGB)研究(成人ALLレジメン)で治療を受けた青年および若年成人124人では7年EFS率が34%であったのと比較して、CCG研究(小児ALLレジメン)で治療を受けた16~21歳の患者197人では7年EFS率が63%であったことが研究者らから報告された。 [35]
  2. 1993年から1999年に診断された15~20歳の患者を対象としたフランスの研究では、小児を対象とした臨床試験で治療を受けた患者(5年EFS率が67%)の転帰は、成人を対象とした臨床試験で治療を受けた患者(5年EFS率が41%)と比べて優れていたことが示された。 [40]
  3. COGの高リスク研究(CCG-1961)では、16~21歳の患者262人の5年EFS率が71.5%であった。 [31] [証拠レベル:1iiDi]この研究の強度増強群で、早期強化寛解導入後療法にランダムに割り付けられ、迅速な反応を示した患者では、5年EFS率が82%であった(n = 88)。
  4. DFCIのALL Consortiumは、小児向け試験において15~18歳の青年51人を対象とした研究で、5年EFS率が78%であったことを報告した。 [37]
  5. SJCRHの研究では、15~18歳の青年44人でEFS率が約85%±5%であった。 [30]
  6. スペインの研究では、標準リスクのALLの青年(15~18歳)35人および若年成人(19~30歳)46人が小児向けレジメンをベースにした治療を受けた。 [43] [証拠レベル:2A]
    • EFS率は61%。

    • OS率は69%。

    • 青年と若年成人の間で、転帰に差は認められなかった。

  7. 日本で実施された試験では、139人のフィラデルフィア染色体陰性ALLの青年および若年成人患者(15~24歳)が高リスク小児レジメンで治療された。 [44]
    • 5年DFS率は67%、5年OS率は73%であった-非小児レジメンを使用していた先行試験で治療された同年齢の患者に観察された治療成績(5年DFS率、44%およびOS率、45%)よりも有意に良好であった。

    • 青年および若年成人患者では、同じ高リスクレジメンで治療された年齢のより低い患者よりも重度の有害事象が少ないと考えられた。

    • 青年および若年成人患者の21%は予定された全治療コースを受けられなかった;これらの患者のDFSは有意に不良であった。

  8. UKALL2003(NCT00222612)試験では、寛解導入終了時のMRDに従って行う治療強化が検討された。この研究には、16~24歳のフィラデルフィア染色体陰性患者(N = 229)が登録された。 [45] [証拠レベル:1iiDi]
    • このグループ全体での5年EFS率は72%であった。

    • 低リスク患者での5年EFS率は93%であった。

    • この年齢層では、重篤な有害事象がより若い患者よりも多くみられた。

他の研究で、より年長の青年患者および若年成人は、成人向けレジメンよりも小児向けレジメンを受けた方が予後良好であることが確認されている(表3を参照)。 [36] [38] [41] [42] ; [43] [証拠レベル:2A]

青年および若年成人では、小児向けレジメンにより達成される転帰が優れている理由は不明であるが、考えられる説明として以下のものが挙げられる: [36]


  • 治療状況(すなわち、施設におけるALL治療の経験)。

  • 治療プロトコルの遵守程度。

  • 治療プロトコルの構成。

表3.ALLの青年および若年成人に対する治療プロトコルよる転帰

施設および研究グループ 青年および若年成人の患者数 平均年齢(歳) 生存率(%)
ALL = 人急性リンパ芽球性白血病;EFS = イベントフリー生存;OS = 全生存。
AIEOP = Associazione Italiana Ematologia Oncologia Pediatrica;CALGB = Cancer and Leukemia Group B;CCG = Children's Cancer Group;DCOG = Dutch Childhood Oncology Group;FRALLE = French Acute Lymphoblastic Leukaemia;GIMEMA = Gruppo Italiano Malattie e Matologiche dell'Adulto;HOVON = Dutch-Belgian Hemato-Oncology Cooperative Group;LALA = France-Belgium Group for Lymphoblastic Acute Leukemia in Adults;MRC = Medical Research Council(英国);NOPHO = Nordic Society for Pediatric Hematology and Oncology;UKALL = United Kingdom Acute Lymphoblastic Leukaemia。

米国

[35]
     
CCG(小児) 197 16 7年OS率で、67
CALGB(成人) 124 19 46
 

フランス

[40]
     
FRALLE 93(小児) 77 16 EFS率で、67
LALA 94 100 18 41
 

イタリア

[46]
     
AIEOP(小児) 150 15 2年OS率で、80
GIMEMA(成人) 95 16 71
 

オランダ

[47]
     
DCOG(小児) 47 12 EFS率で、71
HOVON 44 20 38
 

スウェーデン

[48]
     
NOPHO 92(小児) 36 16 5年OS率で、74
成人ALL 99 18 39
 

英国

[38]
     
MRC ALL(小児) 61 15–17 5年OS率で、71
UKALL XII(成人) 67 15–17 56
UKALL 2003 [45] 229 16–24 EFS率で、72


骨壊死

ALLの青年は小児に比べ、骨壊死、深部静脈血栓症、膵炎などの治療に関連する合併症の発現リスクが高い。 [37] [49] ALLの治療に寛解導入後強化療法が採用される前は、骨壊死はまれであった。10歳以上の小児および青年の転帰が改善するにつれて、骨壊死の発生率が増加してきた。

骨壊死を発症した患者の95%で体重を支える関節に影響がみられ、40%を超える症例で症状および運動障害の管理に外科的介入が必要となる。大多数の症例が治療から最初の2年以内に診断され、維持相で症状が認識されることが多い。

証拠(骨壊死):

  1. CCG-1961の高リスクALL試験において、遅延強化相でデキサメタゾンの隔週投与が標準的なデキサメタゾンの連日投与と比較され、骨壊死のリスクが低下するかどうか検討された。 [49]
    • 症状発現時の年齢中央値は16歳であった。

    • 累積発生率は、16~21歳の青年および若年成人(5年で20%)の方が10~15歳(9.9%)または1~9歳の患者(1%)より高かった。

    • 40%を超える症例で症状および運動障害の管理に外科的介入が必要であった。

    • CCG-1961において遅延強化相で標準的なデキサメタゾンの連日投与と比較したデキサメタゾンの隔週投与の使用では、骨壊死のリスクが低下した。最も大きな影響は16~21歳の女性で確認され、デキサメタゾンの連日投与を含む標準的治療で骨壊死の発生率が最も高いことが示された;寛解導入後のデキサメタゾンの隔週投与で骨壊死の発生率が低下した(57.6%から5.6%へ)。

  2. COGのAALL0232(NCT00075725)高リスクALL試験で、寛解導入期にデキサメタゾンの14日間投与群またはプレドニゾンの28日間投与群のいずれかに患者がランダムに割り付けられた。 [16]
    • デキサメタゾンが投与された10歳を超える患者における骨壊死の発生率は24.3%であったのに対し、プレドニゾンが投与された患者では発生率が15.9%であった(P = 0.001)。

    • 有効性およびその他の毒性は、2群とも同程度であった。

青年および若年成人のALL患者に対して臨床評価段階にある治療法の選択肢

臨床評価段階にある治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. NCI-2014-00712;AALL1231(NCT02112916)

    (新たにT細胞ALLまたはII~IV期T細胞リンパ芽球性リンパ腫と診断された若年患者の治療においてボルテゾミブを併用するまたは併用しない併用化学療法)

    T細胞ALLの1~30歳の患者に対するこの第III相試験では、修正強化BFMレジメンを採用している。患者は、29日目の骨髄における形態学的反応、29日目と地固め療法終了時のMRDの状態、および診断時のCNS状態に基づいて、3つのリスク群(標準リスク、中リスク、超高リスク)のいずれかに分類される。年齢および認められる白血球数は患者の層別化には用いられない。試験の目的は以下の通りである:
    • 修正強化BFMの基本骨格においてボルテゾミブを併用する群か併用しない群にランダムに割り付けられた患者におけるEFSを比較すること。

    • T細胞ALLに対して、寛解導入相および維持相にプレドニゾンの代わりにデキサメタゾンを使用し、寛解導入相および遅延強化相にpegaspargaseを追加投与する修正標準COG療法の安全性および実施可能性を判定すること。

    • 歴史的対照と比較して85~90%のT細胞ALL患者(超高リスクおよびCNS3以外の患者)において、再燃リスクを増加させることなく、予防的な頭蓋照射を省略できるかどうかを決定すること。

    • 地固め療法終了時のMRDが0.1%を超える患者のうち、大量シタラビン、大量メトトレキサートイホスファミド、およびエトポシドを含む3つの高リスクBFMブロックを用いる強化療法後にMRD陰性となる患者の割合を明らかにすること。

  2. COG-AALL1131(NCT01406756)

    (新たに高リスクのALLと診断された若年患者の治療における併用化学療法)


    このプロトコルは30歳以下の患者を対象に募集が行われている。この試験で治療を受けた患者は、超高リスクの特徴がみられない場合、およびNCI標準リスクの次の2つのグループで、これ以外に超高リスクの特徴がみられない場合、高リスク群として分類される:(1)予後良好な遺伝学的所見が認められず(ETV6-RUNX1または4番および10番染色体のダブルトリソミーを認めない)、8日目の末梢血でMRDが1%を超える患者;(2)細胞遺伝学的所見では予後良好であるが、29日目の骨髄でMRDが多い患者。BCR-ABL1(Ph+)を有する患者は、別個の臨床試験で治療を受ける。


    この試験に参加した患者に対しては、4剤併用(ビンクリスチン、コルチコステロイド、ダウノルビシン、および静注アスパラギナーゼ)寛解導入療法を髄腔内化学療法と併用して施行する。10歳未満の患者には寛解導入療法でデキサメタゾンを2週間投与し、10歳以上の患者にはプレドニゾンを4週間投与する。寛解導入後療法は修正強化BFM基本骨格から構成され、その中には大量メトトレキサートによる1回の中間維持療法相および1回の遅延強化療法相が含まれている。


    この研究では、高リスク患者を対象に、ランダム化の様式でトリプル髄腔内化学療法(メトトレキサートシタラビン、およびヒドロコルチゾン)と髄腔内メトトレキサート投与を比較し、トリプル髄腔内化学療法によりCNS再燃率が低下し、EFSが改善するかどうか判定する。


    超高リスクの特徴を有する1~30歳の患者は、COG-AALL1131の超高リスク層での治療に適格である。以下のいずれかの特徴を認める患者は、超高リスクとして分類される。


    • 年齢が13歳以上。

    • 診断時点でCNS3。

    • 29日目でM3の骨髄所見。

    • 予後不良の遺伝学的所見(例えば、iAMP21、低度の低二倍体、MLL[KMT2A]遺伝子再構成)。

    • 29日目で骨髄のMRDが多い(フローサイトメトリー法で0.01%を超える)場合(予後良好な遺伝学的所見を伴うNCI標準リスクを除く)。


    超高リスク患者は、最初の中間維持療法相での大量メトトレキサート、単回の遅延強化相、およびCapizzi方式のメトトレキサート + pegaspargaseを用いる2回目の中間維持相を含むBFM基本骨格による治療を受ける。超高リスク患者について、研究ではランダム化の様式で、地固め相と遅延強化相の最後の4週間に標準 vs 強化療法が比較される。患者は、標準用量のシクロホスファミド、thioguanine、および低用量のシタラビンまたはシクロホスファミドおよびエトポシドのいずれかにランダムに割り付けられる。地固めおよび遅延強化療法の他のすべての構成要素は治療群間で同一である。この試験では当初、地固め相と遅延強化相の最後の4週間にクロファラビン、シクロホスファミド、およびエトポシドを組み込んだ3番目の治療群が含まれていたが、安全性に関する中間解析で、この治療がグレード4および5の感染と長期間の骨髄抑制など、許容できないと考えられる過剰な毒性と関連していることが確認された後、この治療群は永久的に中止された。

フィラデルフィア染色体陽性(BCR-ABL1陽性)ALL

フィラデルフィア染色体陽性(Ph+)ALLは、小児ALL症例の約3%にみられ、青年ではこれより多く、成人では15~25%にみられる。過去には、このALLのサブタイプはきわめて治療が困難で転帰不良であるとみなされてきた。2000年に国際小児白血病グループは、7年EFS率が25%で、OS率が36%であることを報告した。 [50] 2010年に同グループは、チロシンキナーゼ阻害薬を使用しないで治療した場合のPh+ ALL患者では、7年EFS率が31%で、全生存率が44%であることを報告した。 [51] このサブグループの治療は、積極的な化学療法に重点を置いたものから骨髄移植に進展しており、現在では化学療法にチロシンキナーゼ阻害薬を加えた併用療法に進歩している。

治療法の選択肢

チロシンキナーゼ阻害薬出現前の時代

メシル酸イマチニブが使用されるようになる前は、適合同胞ドナーからのHSCTが、Ph+ ALL患者に対して選択される治療法であった。 [52] このことを支持するデータには、Ph+ ALLの小児および若年成人を対象としたレトロスペクティブな複数グループ解析があり、これによると、適合同胞ドナーからのHSCTは、標準(メシル酸イマチニブ導入以前の)化学療法より転帰が良好であることと関連していた。 [50] このレトロスペクティブ解析では、非血縁ドナーからのHSCTを受けたPh+ ALL患者は転帰がきわめて不良であった。しかしながら、同グループがその後の10年間(メシル酸イマチニブ導入以前の時代)の転帰を評価した追跡調査研究では、適合血縁者または適合非血縁者のいずれのドナーによる移植も類似していた。5年時点でのDFSでは、化学療法と比較して、第一寛解期での移植の優位性が示されたが、有意性はボーダーラインに近く(P = 0.049)、OSも化学療法に比べ移植の方が高かったとはいえ、5年時点での優位性は有意ではなかった。 [51]

チロシンキナーゼ阻害薬出現前の時代では、良好な予後と有意な関係が認められた因子には以下のものがあった:


  • 診断時年齢が若いこと。 [51]

  • 診断時の白血球数が少ないこと。 [51]

  • 早期反応の判定。 [51] [53] [54]

  • 寛解導入療法に対して迅速な形態学的反応または迅速な末梢血反応を示すPh+ ALL。 [51] [53]

BCR-ABL1融合転写産物に対する逆転写ポリメラーゼ連鎖反応によるMRDの追跡は、Ph+の患者の転帰の予測にも役立つことがある。 [55] [56] [57]

チロシンキナーゼ阻害薬の時代

メシル酸イマチニブは、BCR-ABLプロテインキナーゼの選択的阻害剤である。再燃したまたは難治性のPh+ ALLの小児および成人におけるイマチニブ単剤投与に関する第IおよびII相研究により、比較的高い奏効率が示されているが、これらの反応は短期間しか持続しない傾向がみられた。 [58] [59]

Ph+ ALLの成人および小児における複数の臨床試験により、多剤併用化学療法と併用するメシル酸イマチニブ投与の可能性が示唆されている。 [60] [61] [62] Ph+ ALLにおける転帰の結果では、イマチニブを移植の前後に投与した場合、HSCT後の転帰が良好なことが明らかになった。 [63] [64] [65] [66] [67] 小児Ph+ ALL患者の多くが移植を受けずに、強化化学療法およびチロシンキナーゼ阻害薬の併用により十分に治療可能なことも臨床試験で実証されている。 [67] [68]

証拠(チロシンキナーゼ阻害薬):

  1. Ph+ ALLの小児患者30人を対象にした1件のレトロスペクティブ研究(1991年から2004年までは19人の患者がチロシンキナーゼ阻害薬なしで治療され、2004年から2012年までは11人の患者がイマチニブまたはダサチニブのいずれかで治療された)により、チロシンキナーゼ阻害薬は導入療法の途中で開始した場合に、導入療法終了時のMRDレベルが低くなることが示された。 [69]
  2. COG-AALL0031研究では、Ph+ ALLの小児に対する強化化学療法レジメンにメシル酸イマチニブを組み込めるかどうかが評価された。患者は、寛解導入後療法中に化学療法とともにメシル酸イマチニブの投与を受けた。メシル酸イマチニブを併用した2サイクルの地固め化学療法後に同種HSCTに進む患者もいたが、全治療期間にわたって化学療法と併用してメシル酸イマチニブの投与を受ける患者もいた。 [62] [67]
    • メシル酸イマチニブの継続投与と併用して強化化学療法を受けた患者25人では、5年DFS率が70%±12%であった。これらの患者は、化学療法単独による(メシル酸イマチニブを併用しない)治療を受けた歴史的対照より経過が良好であり、少なくともこの試験で同種移植を受けたその他の患者と同様な経過であった。5年DFS率は、同胞ドナー移植を受けた患者(n = 21)で66%、非血縁者移植を受けた患者(n = 13)で59%であった。

    • その他の細胞遺伝学的異常が認められる患児の転帰は不良であった(P = 0.05)。

  3. 非ランダム化研究で、化学療法、イマチニブ、および同種HSCTによる治療を受けたPh+ ALL小児患者16人の転帰が報告された。 [66]
    • 追跡期間中央値65ヵ月で、イマチニブによる治療を受けた患者では、5年EFS率が81%であったのと比較して、同様な治療ではあるがイマチニブを含まない治療を受けた歴史的対照患者では、30%(P = 0.01)であった。 [70] 注目すべきことに、移植後に予防的イマチニブを投与された患者は16人中1人のみであった。

  4. EsPhALL試験では、強化化学療法と合わせてイマチニブを投与(不連続的に投与)することで、小児Ph+ ALL患者の転帰が改善するかどうかが検証されたが、患者のほとんど(80%)が第一CR期に同種HSCTを受けた。寛解導入療法終了時点で早期反応判定および寛解状態に基づいて、患者は良好リスクまたは不良リスクのいずれかに分類された。良好リスクの患者(n = 90)は、イマチニブの投与群または非投与群にランダムに割り付けられた;不良リスクの患者(n = 70)は、直接イマチニブ投与群に割り付けられた。この研究では、良好リスク患者におけるランダム化割り付けで非コンプライアンス率が高く、イマチニブが化学療法と併用して連続的に投与されているCOG AALL0031試験の結果が公表されたことで、目標の登録数に達するまでに早期に閉鎖されたことから、解釈が限定される。 [68]
    • この試験で治療を受けた患者の全体的なDFSは、歴史的対照より良好と考えられ、実際に受けた治療で(さらにITT解析ではなく)解析した場合、イマチニブが投与された良好リスクの患者はDFSが優れていた。

    • その後、EsPhALL試験は修正され、イマチニブの連日投与が検証されている;結果はまだ発表されていない。

現在、Ph+ ALLの初期治療において第二世代のチロシンキナーゼ阻害薬であるダサチニブが研究されている。ダサチニブは、マウスモデルでも、CNS陽性の白血病患者を対象としたシリーズでも、CNSにおいて顕著な効果を示している。 [71] 小児患者におけるダサチニブの第I相試験の結果は、1日1回の投与でグレード3または4の非血液学的有害事象はほとんどなく、毒性プロファイルは受け入れられるものであることを示した。 [72]

最新の臨床試験

フィラデルフィア染色体陽性の小児前駆細胞急性リンパ芽球性白血病患者を現在受け入れているNCI支援のがん臨床試験のリストを参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。


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再燃小児ALLの治療

小児ALLの初回再燃後の予後因子

急性リンパ芽球性白血病(ALL)が再発した小児の予後は、多くの因子に左右される。 [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] ; [15] [証拠レベル:3iiDi]

小児ALLの初回再燃後の最も重要な予後危険因子は、以下の2つである:


その他の予後因子には以下のものがある:


再燃部位

孤立性髄外再燃の患者は、骨髄に浸潤した再燃の患者より経過が良好である。一部の研究によると、骨髄再燃/髄外再燃を併発した患者は、骨髄再燃のみの患者より予後が良好であった;しかしながら、他の研究ではこの知見を確認できていない。 [5] [13] [16]

診断から再燃までの時間

前駆B細胞ALLの再燃患者において、早期の再燃は遅発再燃よりも経過が不良であり、骨髄再燃は孤立性の髄外再燃よりも経過が不良である。例えば、生存率は、診断後18ヵ月以内に骨髄再燃を起こした患者の20%未満から、診断後36ヵ月を過ぎてから再燃を起こした患者の40~50%に及んでいる。 [5] [13]

孤立性中枢神経系(CNS)再燃を認める患者では、全生存(OS)率が、早期(診断から18ヵ月未満)再燃で40~50%、晩期(診断から18ヵ月以上)再燃で75~80%である。 [13] [17] 治療を行っていない患者では、監視(全血球数または骨髄検査)の頻度を高め、再燃を早期に発見することにより転帰が改善するという証拠はない。 [18]

患者特性

診断時および再燃時の年齢が10歳以上は、不良な転帰の独立した予測因子として報告されている。 [13] [16] さらに小児腫瘍学グループ(COG)の研究によると、初回診断時に10~15歳の患者は1~9歳の患者より予後が悪いが(再燃後3年生存率が35% vs 48%)、15歳を超える患者ではさらに悪い(3年OS率、15%;P = 0.001)ことが示された。 [19]

ベルリン-フランクフルト-ミュンスター(BFM)グループも、遅発性骨髄再燃の患者において再燃時の末梢血芽球数が多い(10,000/μLを超える)ことが不良な転帰と関連していたことを報告している。 [10]

ALLが再燃したダウン症候群の小児では、一般に寛解導入中の死亡、治療関連死亡、および再燃の増加により転帰が劣っていた。


  • BFMグループは、2000年以降、支持療法の改善によりダウン症候群の小児における治療関連死亡率が低下しているが、再燃リスクが依然として高いことを報告した。 [20]

  • 2000年から2009年の間に造血幹細胞移植(HSCT)を受けたダウン症候群のALL患者27人を対象にしたCenter for International Blood and Marrow Transplant Research(CIBMTR)からのデータ解析で、この知見が裏付けられた。現状の移植医療では、造血機能の回復、移植片対宿主病(GVHD)、および移植関連死亡率がダウン症候群以外のALL患者と比較して想定される範囲内であったことが注目された。しかしながら、再燃が予想よりも多く(50%を超える)、治療失敗の主因であり、不良な生存につながった(3年無病生存[DFS]率が24%)。 [21] [証拠レベル:3iiiA]

初回診断時のリスクグループ分類

COGは、初回診断時のリスクグループ分類は再燃後の予後に重要であることを報告した;初回診断時に米国国立がん研究所(NCI)の標準リスク基準を満たす患者は、NCIの高リスク患者よりも再燃後の予後が良好であった。 [13]

再寛解導入療法に対する反応

再寛解導入療法開始から1ヵ月終了時点で形態学的に病変が残存している骨髄再燃の患者は、その後に第二完全寛解(CR)に達したとしても、予後がきわめて不良である。 [22] [証拠レベル:2Di]; [23] [証拠レベル:3iiiA]第二CR達成後の微小残存病変(MRD)レベルは再燃ALLにおいて予後的に重要なことがいくつかの研究で示されている。 [22] [24] [25] [26] ; [27] [証拠レベル:3iiiDi]再寛解導入療法終了時およびその後の時点でMRDレベルが高いことは、その後のきわめて高い再燃リスクと関連している。

細胞遺伝学的変異/ゲノム変化

診断から再燃までの期間で、突然変異プロファイルの変化が遺伝子塩基配列決定法で確認されている。 [28] [29] 発がん遺伝子の融合(例、TCF3-PBX1ETV6-RUNX1)は、初回診断時から再燃までにみられる一方で、一塩基変異体およびコピー数変異体は、診断時にみられることがあるが、再燃時にはみられず、その逆の場合もある。 [28] 例えば、RAS家族性突然変異は診断時と再燃時の両方で一般的にみられる一方、特定のRAS家族性突然変異は、特異的な白血病サブクローンが治療期間中に増加および減少するために、診断から再燃までの間に変化することがある。 [28] 対照的にNT5C2(ヌクレオチド代謝に関与する遺伝子)における再燃特異的な突然変異は、早期再燃がみられるALL症例の実に45%に示されている。 [28] [30] [31]

初回再燃時点でTP53の変異(突然変異および/またはコピー数変異)がALL患者の約11%に認められ、初回の再寛解導入後も白血病が持続する可能性が高く(TP53変異型で38.5% vs TP53野生型で12.5%)、イベントフリー生存(EFS)率が劣る(TP53変異型で9% vs TP53野生型で49%)という関係が認められている。 [32] TP53変異の約半数は初回診断時に認められていたもので、半数が再燃時に新たに確認されたものである。 [32] 骨髄再燃を初めて来した前駆B細胞ALL患者における予後不良を予測することが明らかにされた2つ目のゲノム変化は、IKZF1欠失である。 [33] 前駆B細胞ALL患者における初回再燃時のIKZF1欠失の頻度は、Acute Lymphoblastic Leukemia Relapse(ALL-REZ) BFM 2002(NCT00114348)研究の患者で33%であり、これはALL初回診断時の小児で報告された頻度の約2倍も高かった。 [33]

RAS経路遺伝子(KRASNRASFLT3、およびPTPN11)の突然変異は、前駆B細胞ALL患者における再燃時によくみられ、206人の小児を対象にした1件の研究では、初回再燃時の患者の約40%にこれらの突然変異が認められた。 [28] [34] 診断時に観察されているように、再燃時のRAS経路の突然変異の頻度は細胞遺伝学的サブタイプによって異なる(例、高二倍体症例では頻度が高く、ETV6-RUNX1症例では頻度が低い)。再燃時のRAS経路の突然変異の存在は早期再燃と関連していた。しかしながら、再燃時のRAS経路の突然変異の存在は転帰の独立した予測因子ではなかった。

ETV6-RUNX1陽性ALL患者は初回再燃時の予後が比較的良好と考えられ、こうした患者では診断後36ヵ月以上経過してから再燃する割合が高いことと一致している。 [33] [35]


  • ALL-REZ BFM 2002(NCT00114348)研究において、骨髄再燃を来したETV6-RUNX1陽性のALL患者で観察されたEFS率は84%±7%であった。 [33] この研究で、ETV6-RUNX1を有する患者の94%で一次治療完了後に6ヵ月以上第一寛解期が持続し、多変量解析では、再燃までの期間(ETV6-RUNX1の存在ではなく)が転帰の独立した予測因子であった。

  • 同様に、French Acute Lymphoblastic Leukaemia(FRALLE)93研究に登録し、部位にかかわらず診断後36ヵ月を超えてから再燃したETV6-RUNX1陽性患者の5年OS率は81%であり、ETV6-RUNX1の存在は他の晩期再燃患者と比較して生存転帰の改善に関連していた。 [35] しかしながら、早期再燃(36ヵ月未満)を経験したETV6-RUNX1陽性患者の3年OS率はわずか31%であった。

免疫表現型

免疫表現型は再燃時の重要な予後因子である。治療中または治療後のある時点で骨髄再燃(孤立性または併存性)が認められたT細胞ALLの患者は、B細胞ALLの患者より第二寛解に達して長期EFSが得られる可能性が低い。 [5] [22]

小児ALLの初回骨髄再燃に対する標準治療法の選択肢

初回骨髄再燃に対する標準治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 再寛解導入化学療法
  2. 第二CR達成患者に対する再寛解導入後の治療法

再寛解導入化学療法

再燃に対する最初の治療は、第二CRを達成するための再寛解導入療法である。4剤併用の再寛解導入レジメン(新規診断高リスク患者に投与されるレジメンと同様)または大量メトトレキサートおよび大量シタラビンを含む代替レジメンのいずれかを用いることで、骨髄再燃患者の約85%が治療開始1ヵ月時点で第二CRに達する。 [5] ; [36] [証拠レベル:2A]; [22] [証拠レベル:2Di]骨髄再燃が早い患者では、形態学的第二CRに達する割合(約70%)が、骨髄再燃が遅い患者(約95%)より低い。 [22] [36]

証拠(再寛解導入化学療法):

  1. COG研究では、HSCTまたは化学療法継続のいずれかを行う前に、最初にドキソルビシンを含む4剤併用療法を行った後に強化地固めブロックを2回行う3ブロックの強化再寛解導入療法を使用した。 [22]
    • ブロック1の後に、再燃が早い(初回診断から36ヵ月未満)患者の68%および再燃が遅い患者の96%が第二寛解を達成した。

    • ブロック2および3では、ブロック1の後にMRD陽性であった患者56人中40人でMRDが減少した。

  2. 英国をベースとしたランダム化試験では、初回再燃ALL患者を対象に、4剤併用療法による再寛解導入療法として用いたイダルビシン vs ミトキサントロンを比較した。 [37] [証拠レベル:1iiA]
    • 両研究群間で第二CR率または再寛解導入療法終了時のMRDレベルに差は認められなかった。

    • ミトキサントロン群では移植後の再燃が少なかったため、OSに有意な改善(69% vs 45%、P = 0.007)が報告された。


    再燃ALLレジメンにおいてミトキサントロンから得られる可能性がある有益性については、さらに研究する必要がある。

  3. ALL-REZ BFMグループの研究者は、大量メトトレキサートを含む6剤併用アプローチを用いた。再寛解導入でメトトレキサートの1g/m2 vs メトトレキサートの5g/m2のランダム化比較で、高用量の優位性は認められなかった。 [38]
  4. クロファラビン、シクロホスファミド、およびエトポシドの併用により、難治性病態または多数回再燃した患者の42~56%に寛解が得られることが報告された。 [39] [40] ; [41] [証拠レベル:2A]
  5. ボルテゾミブを追加したビンクリスチンデキサメタゾン、pegaspargase、およびドキソルビシンの併用療法により、多数回再燃した前駆B細胞ALL患者の80%に完全奏効(血小板回復の有無を問わない)が得られることが報告された。 [42] [証拠レベル:3iiiDiv]注目すべき点として、この試験には再寛解導入療法に抵抗性の患者は含まれていなかった。
  6. 初回再燃を来した患者に対して強化アスパラギナーゼ(毎週のpegasparaginase または12回の大腸菌[E.coli]由来アスパラギナーゼ)を追加したプレドニゾンビンクリスチン、およびドキソルビシンの併用で構成された寛解導入療法の研究における第二CR率は、pegaspargase投与群で86%および大腸菌(E.coli)由来アスパラギナーゼ投与群で81%であった。 [43] [証拠レベル:2Di]

T細胞ALLが再燃した患者では、標準の再寛解導入レジメンにより第二CRに達する割合が、前駆B細胞表現型を認める患者よりはるかに低い。 [22] 骨髄に初めてT細胞ALLの再燃が認められる小児に対するT細胞選択的薬剤ネララビンを用いた単剤療法による治療で、約50%の奏効率が得られている。 [44] 再燃/難治性のT細胞ALL患者では、ネララビンシクロホスファミドおよびエトポシドの併用療法により寛解が得られている。 [45]

再寛解導入失敗は予後不良因子であるが、その後の寛解を得ようとする試みが成功する場合があり、HSCT後の生存につながりうる。伝統的に、治療アプローチでは最初の試みとは異なる薬物の併用が用いられている;これらのレジメンには臨床試験で研究段階にある新たな薬物がしばしば含まれる。それぞれの試みの後で生存の可能性は次第に低くなるが、追加の試みはしばしば2~4回続行され、各試みの後に測定される成功の水準が減少していく。 [46]

第二完全寛解に達した患者に対する再寛解導入療法

早発性再燃の前駆B細胞ALL

早期に骨髄再燃を来した前駆B細胞患者では、ヒト白血球抗原(HLA)適合同胞ドナーまたは適合非血縁ドナーによる同種移植を第二寛解期に実施することで、化学療法アプローチより無白血病生存率が高くなることがほとんどの研究で報告されている。 [7] [27] [47] [48] [49] [50] [51] [52] [53] [54] [55] しかし、移植をしたとしても、早期に骨髄再燃を来す患者の生存率は50%未満である。(詳しい情報については、本要約の初回およびその後の骨髄再燃に対する造血幹細胞移植のセクションを参照のこと。)

遅発性再燃の前駆B細胞ALL

骨髄再燃が遅い前駆B細胞ALL患者では、第二CR達成後の一次化学療法アプローチにより、約50%の生存率が得られているが、同種移植により優れた治癒率につながるかどうかは明らかではない。 [5] [9] [37] [56] [57] [58] ; [59] [証拠レベル:3iiA]再寛解導入療法終了時のMRDレベルは、第二CR中に(HSCTではなく)化学療法単独で治療すると、その後の再燃リスクが高くなる患者の同定に役立つことがある。1件の研究の結果から、再寛解導入療法終了時のMRDレベルが高くても骨髄再燃が遅い患者は、第二CR期に同種HSCTを受ければ、より良好な転帰が得られる可能性がある。 [60]

証拠(遅発性再燃の前駆B細胞ALLに対するMRDベースのリスク層別化):

  1. St. Jude Children's Research Hospitalの研究では、遅発性再燃を認め化学療法を受けて第二CRとなった患者23人が含まれており、2年累積再燃率は、再寛解導入療法終了時にMRD陽性の患者12人が49%、MRD陰性の患者11人が0%であった。 [24]
  2. BFM研究で、患者が遅発性の孤立性骨髄再燃または早発性もしくは遅発性の骨髄/髄外併発型再燃であれば、中リスクとみなされる。このグループのALL-REZ BFM P95/96研究で、中リスクの再燃B細胞ALLの小児に対して第二CR中に化学療法単独(HSCTではない)による治療を実施したところ、再寛解導入療法終了時のMRD(ポリメラーゼ連鎖反応をベースとした検査で評価)で転帰が有意に予測された。 [26]
    • MRDレベルが低い(10-3未満)の患者は、10年EFS率が73%で、MRDレベルが高い(10-3超過)の患者は、10年EFS率が10%であった。多変量解析で、再寛解導入療法終了時のMRDは最も強い独立した予後因子であった。

  3. その後のBFM研究(ALL-REZ BFM 2002 [NCT00114348])において、中リスクの再燃患者が治療開始から1ヵ月後におけるMRDレベルが高い場合に、同種HSCTに割り付けられた。再寛解導入療法終了時のMRDレベルが低い患者は化学療法単独(HSCTなし)で治療された。 [60]
    • 再寛解導入療法終了時のMRDレベルが高く、第二CR期に同種HSCTで治療された患者のEFS率は64%であり、これは以前のP95/96試験(同様の患者がHSCTなしで化学療法を受けた)で観察されたEFS率よりも有意に良好であった。EFS率の改善は主に第二CR期にHSCTを受けたコホートで再燃リスクが有意に低いためであった(累積再燃率、2002試験で27%であったのに対し、P95/96試験では59%)。

    • 骨髄での遅発性再燃を来し、再寛解導入療法終了時のMRDレベルが低い患者は化学療法単独で治療され、76%の5年EFS率が得られており、以前のP95/96試験で示された結果が確認された。しかしながら、再寛解導入療法終了時のMRDレベルが低くても早期の複合性再燃(骨髄 + 髄外部位)を来した患者に対する化学療法単独の戦略は、転帰が有意に不良となった;これらの患者の5年EFS率はわずか37%であった。したがって、BFM試験では早期の複合性再燃を来した患者はもはや中リスクとはみなされず、患者の治療には再寛解導入療法終了時のMRDに基づくリスク層別化は行われない。

T細胞ALL

T細胞ALLで骨髄再燃後に寛解に達した患者で、再寛解導入後の化学療法単独による転帰は、一般に不良であり [5] 、これらの患者は通常、再燃時期に関係なく第二CR期に同種HSCTによる治療を受ける。第二寛解期にあるT細胞ALLに対する同種移植後の3年OS率は48%で、DFS率は46%と報告された。 [61] [証拠レベル:3iiiA]

2回目およびその後の骨髄再燃に対する治療法の選択肢

第三CR期またはその後のCR期の患者を対象に化学療法とHSCTを直接比較した研究はないが、化学療法単独による治癒はまれであるため、一般に寛解に達している患者に対して移植が妥当なアプローチとみなされている。2回目の再燃後はすべての患者で長期生存率が特に不良であり、10%未満から20%の範囲となっている。 [53] この主な理由の1つは、第三寛解が得られないことである。新規併用療法アプローチが数多く検討されているにもかかわらず、2回目の再燃を来した小児で寛解に達するのは約40%のみである。 [62] このような患者がCRに達したとしても、HSCTによる治癒率は20~35%で、再燃率および移植関連死亡率が高いために治療に失敗することが示されている。 [63] [64] [65] [66] [67] [証拠レベル:3iiA]

初回およびその後の骨髄再燃に対する造血幹細胞移植

移植プロセスの要素

HSCTの適応に関する専門家委員会のレビューが2012年に発表された。 [68] ALL患児に対するHSCTによる転帰の改善または予測に重要なことが示されている移植プロセスの要素には以下のものがある:

  1. 全身放射線照射(TBI)を含む移植前処置レジメン
  2. 移植直前のMRD検出
  3. 移植後のMRD検出
  4. ドナー種別およびHLA適合性
  5. ALLにおけるGVHD/移植片対白血病(GVL)の役割と再燃を予防する移植後の免疫調節

TBIを含む移植前処置レジメン

同種HSCTを受ける患者では、TBIが前処置レジメンの重要な要素であると考えられている。2件のレトロスペクティブ研究および1件のランダム化試験から、TBIを含む移植前処置レジメンでは、化学療法のみによる移植前処置レジメンよりも高い治癒率が得られることが示唆される。 [47] [69] [70] 分割TBI(総線量12~14Gy)は、シクロホスファミドエトポシドチオテパ、またはこれらの併用療法と組み合わせることが多い。これらの併用療法による研究結果では、一般に同程度の生存率が得られているが [71] [72] [73] 、1件の研究では、シクロホスファミドを他の化学療法薬と併用しない場合は、TBI線量を高くする必要があることが示唆された。 [74] 多くの標準レジメンで、線量が13.2~14GyのTBIと併用して、シクロホスファミドが使用されている。一方で、シクロホスファミドおよびエトポシドをTBIと併用した場合は、線量が12Gyを超えると過剰な毒性のために生存率が悪化した。 [72]

TBIを含まないアプローチを検討した一部の研究では、妥当な転帰を示しており [75] [76] 、TBI vs 非TBIレジメンを比較する大規模なBFM研究を促しているが、最も若い小児(3歳未満または4歳未満)以外のすべての小児に対するTBIは、依然として北米のほとんどの施設で最も多く使用されている治療法である。 [61] [66]

移植直前のMRD検出

移植時の疾患の寛解状態は、転帰の重要な予測因子であることが古くから知られており、HSCT時にCRに達していない患者の生存率はきわめて低い。 [77] 数件の研究でも、CR期に同種HSCTを受けるALL患児において移植時のMRDレベルが重要な危険因子であることが実証されている。 [25] [78] [79] [80] [81] [82] [83] [84] [証拠レベル:3iiA]; [85] [証拠レベル:3iiB]移植前にMRD陽性の患者における生存率は、20~47%であるのと比較して、MRD陰性の患者では60~88%であることが報告されている。

MRD陰性の寛解を得ることを目的として患者が化学療法を2~3サイクル受けている場合、MRD陰性を達成するためにさらに強化療法を受ける有益性については、重大な毒性の可能性と比較検討しなければならない。さらに、複数サイクルの治療を受けている患者におけるMRD陽性は、修正できない転帰不良を示す生物学的病勢マーカーであること、またはこのような患者をMRD陰性の寛解に導くために実施するさらなる介入により、この危険因子が克服され、生存が改善するかどうかを示す明らかな証拠はない。


  • 1件の報告において、計画された移植時のMRDレベルが高いALL患者13人がHSCTに進む前にMRDを下げるため追加で1サイクルの化学療法を受けた。13人のうち10人の患者(77%)はHSCT後もCRを維持し、追加の化学療法後にMRDレベルが低下した8人の患者では再燃は認められなかった。これに対して、HSCT前に追加の化学療法を受けることなく直接HSCTに進んだMRDレベルが高かった患者21人中、CRを維持できたのはわずか6人(29%)であった。 [78]

移植後のMRD検出

HSCT後の検出可能なMRDの存在はその後の再燃リスクの増加に関連している。 [84] [86] [87] [88] [89] HSCTからの経過時間が長くなるにつれて再燃を予測するMRDの正確度が高まり、いずれかの所定の時点で検出されたMRDのレベルが高い患者では、再燃リスクも高い。1件の研究により、HSCT後早期ではフローサイトメトリーよりも次世代の塩基配列決定法を用いた場合に再燃を予測する感度が高いことが示された。 [88]

ドナー種別およびHLA適合性

適合非血縁ドナーおよび臍帯血移植後の生存率は、過去10年間で著しく改善してきており、適合同胞ドナー移植で得られるものとほぼ同程度の転帰が得られる。 [51] [90] [91] [92] [93] ; [94] [95] [証拠レベル:2A]; [96] [証拠レベル:3iiiA]; [97] [証拠レベル:3iiiDii]非血縁者ドナー移植後の臨床的に広範囲のGVHDの発生率および治療関連死亡率は、適合同胞ドナー移植と比べて依然として高い。 [52] [63] [90] しかしながら、適合非血縁ドナー移植では再燃率が低い可能性を示す証拠がいくつか得られており、National Marrow Donor ProgramおよびCIBMTRによる解析では、GVHDの発生率、治療関連死亡率、およびOSが時間の経過とともに改善していることが実証されている。 [98] [99] [100] ; [101] [102] [証拠レベル:3iiA]

別のCIBMTR研究により、HLA抗原が1座または2座不一致の臍帯血移植後の転帰は、適合家族ドナーまたは適合非血縁ドナーによる転帰と同程度であるということが示唆されている。 [103] 適合ドナーがみつからないか、即時移植がきわめて重要であると考えられる一部の症例においては、大量の幹細胞を用いるハプロタイプ一致移植が検討されることもある。 [104]

ALLにおけるGVHD/GVLの役割と再燃を予防する移植後の免疫調節

小児および若年成人患者を対象にしてこの問題に取り組んでいる研究のほとんどで、再燃を減少させる上で急性および慢性の両GVHDの効果が示唆されている。 [90] [105] [106] [107]


  • ALL小児に対する移植に関するCOG試験において、グレードI~IIIの急性GVHDは再燃リスクの低下(ハザード比[HR]、0.4;P = 0.04)およびより良好なEFS(多変量解析のHR、0.5;P = 0.02)に関連した。再燃リスクを低下させる上でグレードIVの急性GVHDの効果は移植関連死亡率の顕著な増加(HR、6.4;P = 0.003)により弱められた一方、グレードI~IIIの急性GVHDでは移植関連死亡率に対して検出可能な統計的に有意な影響は認められなかった(HR、0.6;P = 0.42)。 [107]

  • 多変量モデルで移植前MRDと急性GVHDの両方が再燃の独立した予測因子であり、再燃リスクは、移植前MRDレベルが低く、グレードI~IIIの急性GVHDを認める患者において最も低かった。 [87] HSCTの55日後までに急性GVHDを発症しなかった患者では、ほとんどすべての再燃がHSCTの100~400日後に生じた。

このGVL効果を利用して、移植後の再燃を防ぐために多くのアプローチが研究されており、その中には、免疫抑制剤の中止またはドナーリンパ球輸注のほか、モノクローナル抗体およびナチュラルキラー細胞療法のような標的免疫療法などがある。 [108] [109] 欧州および英国の試験によると、レシピエントのキメリズム増加(すなわち、レシピエントDNAマーカーの割合が増加)に基づいて再燃リスクが高いと判定された患者では、過剰な毒性を伴わないで免疫抑制の中止を問題なく実施可能なことが示されている。 [110] [111]


  • ある研究では、レシピエントのキメリズム増加を示す患者46人のうち、免疫抑制中止、ドナーリンパ球輸注、またはその両方の治療を行った患者31人では、3年EFS率が非介入群の0%に対して37%(P < 0.001)であったことが示された。 [112]

  • 他の複数の研究で、HSCT前にMRD陽性であった患者がHSCT後に検出されたMRDの漸減が認められれば、予想より良好な生存率が得られることが示されている。 [113]

再燃を予防するHSCT後の免疫調節

HSCT後の髄腔内化学療法による予防的化学療法の使用については意見が分かれている。 [114] [115] [116] [117]

ALL再燃に対する同種HSCT後の再燃

ALLに対する同種HSCT後に再燃を来した患者では、2回目の骨髄破壊的同種HSCTが実施可能な場合がある。しかしながら、寛解達成失敗、毒性による早期死亡、または救援化学療法に伴う重度の臓器毒性のために、2回目のHSCTを受けることができない患者が多い。 [118] 2回目の骨髄破壊的同種HSCTを受けることができる厳選された患者グループでは、約10~30%が長期のEFSを達成する。 [118] [119] [120] ; [67] [121] [証拠レベル:3iiA]初回HSCT後の寛解持続期間がより長い患者および2回目のHSCT時にCR期の患者の予後はより良好である。 [119] [120] [122] さらに、2回目のHSCT後に急性GVHDが発生した場合、特に初回の移植では発生しなかった場合には生存が改善することが、ある研究で示された。 [123]

2回目の同種移植アプローチとして強度縮小アプローチを用いた場合、一定の割合の患者に治癒をもたらす可能性もあるが、フローサイトメトリーによってCR達成が確認された患者に限定される。 [124] [証拠レベル:2A]同種HSCT後に再燃するALL患者に対するドナーリンパ球輸注の有益性は限られている。 [125] ; [126] [証拠レベル:3iiiA]

HSCT後の孤立したCNS再燃および精巣再燃の治療で、2回目の同種移植が必要かどうかは不明である。小規模なシリーズでは、化学療法単独または化学療法後の2回目の移植を用いることを選択した患者で生存が示されている。 [127] [証拠レベル:3iA]

難治性ALLに対する免疫療法アプローチ

難治性ALLを治療するための免疫療法アプローチには、モノクローナル抗体療法およびキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法がある。

モノクローナル抗体療法

難治性B細胞ALLを治療するため、以下の2つの免疫療法薬が研究されている:


  • ブリナツモマブ。

    ブリナツモマブは二重特異性モノクローナル抗体で、1つはCD3(T細胞)に、もう1つはCD19(ほとんどのB細胞ALLの細胞に存在する)に結合する。したがって、ブリナツモマブは患者自身の細胞毒性T細胞とBリンパ芽球の結合を促進し、それにより腫瘍が殺傷される。再燃/難治性B細胞ALLの18歳未満の小児を対象にした第I相/II相試験において、第II相試験で推奨された用量で治療された患者70人中27人(39%)が単剤のブリナツモマブでCRを達成した;CRを達成した患者の52%がMRD陰性であった。 [128]

  • イノツズマブ。

    イノツズマブはカリケアミシンに抱合される抗CD22モノクローナル抗体である。再燃/難治性B細胞ALLの成人患者を対象にした試験において、患者の約80%でCRが達成された。 [129] [130] イノツズマブはB細胞ALLの小児患者では広範囲に研究されておらず、小児における使用についてはまだラベルに記載されていない。

CAR T細胞療法

CAR T細胞療法は、2回以上再燃したおよび難治性のALLを治療するために臨床研究段階にある新たな戦略である。この戦略には、T細胞の特異性および機能の方向を変えるCARを用いたT細胞のエンジニアリングが含まれる。 [131] CAR修飾T細胞の広く用いられている標的の1つは、ほぼすべての正常なB細胞とほとんどのB細胞性悪性腫瘍に発現しているCD19抗原である。再燃/難治性ALLにおいてCD19を標的にしたCAR T細胞の数件の臨床試験が実施されており、初期の結果は以下のように勇気付けられるものである:

  1. Children's Hospital of PhiladelphiaおよびHospital of the University of Pennsylvaniaで実施されたパイロット臨床試験では、多数回再燃した、または難治性のCD19陽性ALLの小児および成人30人(このうち25人が22歳以下であった)がCD19標的CARレンチウイルスベクターで形質導入されたT細胞を投与された。 [132] [証拠レベル:3iiiDi]以前に同種幹細胞移植を受けていた患者18人中15人(83%)を含めて90%の患者でCRが得られた。6ヵ月EFS率は67%で、ほとんどの患者が6ヵ月にわたってCAR T細胞の持続およびB細胞低形成を示した。30人の患者全員がある程度のサイトカイン放出症候群を経験した;8人(27%)の患者が重度の総体的症状(血管収縮薬および/または呼吸補助を必要とした)を示したが、抗インターロイキン-6受容体抗体のトシリズマブにより効果的に治療された。
  2. 米国国立がん研究所のPediatric Oncology Branchからの2つ目の報告書では、レトロウイルスベクターを用いて調製された別のCD19標的CAR T細胞産物の使用について記述された。 [133] このCD19-CAR T細胞産物により、再燃/難治性のB細胞ALL患者(1~30歳)の70%(20人中14人)で完全奏効が得られた。この研究におけるCAR T細胞の持続は1~2ヵ月で、CRを達成した患者では正常なB細胞リンパ球産生が回復した。

孤立性髄外再燃の治療

ALL患児の治療成功率が向上するにつれて、孤立性髄外再燃の発生率が低下している。孤立性CNS再燃の発生率は5%未満で、精巣再燃は1%未満から2%である。 [134] [135] [136] 骨髄再燃および併発型再燃と同様に、孤立性髄外再燃では、初回診断から再燃までの時間が重要な予後因子である。 [137] さらに、1件の研究において、孤立性髄外再燃患者に対する予後不良因子として、再燃時に6歳を超えていることが指摘されたが、別の研究ではより良好なカットオフとして10歳が提唱された。 [16] [138] 注意すべき点として、孤立性髄外再燃を認める小児の大多数で、高感度の分子解析技術を用いると超顕微鏡的な骨髄病変が明らかになることがあり [139] 、治療戦略を成功させるには、局所性病変と全身性病変のいずれも効果的にコントロールしなければならない。孤立性CNS再燃を来し、形態学的に骨髄が正常でもMRDが0.01%を超える患者の予後(5年EFS率が30%)は、MRDが認められないか、MRDが0.01%未満の患者(5年EFS率が60%)より不良である。 [139]

孤立性CNS再燃

CNSに再発した小児ALLに対する標準治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 全身性および髄腔内化学療法。
  2. 頭蓋照射または頭蓋脊髄照射。
  3. HSCT。

これまで孤立性のCNS再燃がみられる小児の予後はきわめて不良であったが、積極的な全身療法および髄腔内化学療法後の頭蓋照射または頭蓋脊髄照射により、特に第一寛解期に頭蓋照射を受けなかった患児では、見通しが明るくなっている。 [17] [137] [140] [141]

証拠(化学療法および放射線療法):

  1. この治療戦略を用いたPediatric Oncology Group(POG)の研究によると、過去に放射線療法を受けておらず、第一寛解期が18ヵ月以上続いた小児では、4年EFS率が約80%であったのに対して、診断から18ヵ月以内にCNS再燃が認められた小児では、4年EFS率が約45%であった。 [137]
  2. POGの追跡研究 [17] では、過去に放射線療法を受けておらず、第一寛解期が18ヵ月以上続いた小児が、強化全身性および髄腔内化学療法を1年間受けた後に、18Gyの頭蓋照射単独による治療を受けた。4年EFS率は78%であった。第一寛解期が18ヵ月未満であった小児も、最初のPOG研究と化学療法は同じであるが、異なる頭蓋脊髄照射(頭蓋部24Gy/脊髄部15Gy)を受けて、52%の4年EFS率を達成した。

孤立性CNS再燃に対する治療に関しては、HSCTについて報告した多くケースシリーズが発表されている。 [142] [143] 一部の報告では、非常に早期の再燃およびT細胞病変を伴う孤立性CNS疾患を有する患者に対するHSCTの潜在的役割が示唆されているが、早期の再燃におけるHSCTの必要性に関する証拠は少なく、晩期再燃における証拠は得られていない。診断から18ヵ月未満で認められた孤立性CNS再燃、特にT細胞CNS再燃を治療するための移植の使用については、さらなる研究が必要である。

証拠(HSCT):

  1. 別の研究でHLA適合同胞移植または上記のPOG研究と同様の化学放射線療法のいずれかの治療を受けた患者の転帰が比較された。 [144] [証拠レベル:3iiiDii]この登録に基づくレトロスペクティブ研究には、早期(診断から18ヵ月未満)および遅発再燃の両方に対する移植が含まれていた。
    • 8年無白血病生存率は、年齢(58%)と第一寛解持続期間(66%)で調整してもほぼ同じであった。

    • 診断から18ヵ月以上経過してから孤立性CNS再燃を来し、化学放射線療法単独による治療を受けた患者の転帰は比較的良好であることから(75%を超える)、この集団に対する移植は一般にCOGから推奨されていない。

  2. MRC ALLR3試験では、再燃ALL患者においてミトキサントロン vs イダルビシンによる強力な寛解導入療法が検証され、ミトキサントロンを用いた場合に優れた転帰が明らかにされた。孤立性CNS再燃によりこの試験に登録された患者80人のサブアナリシスには、非常に早期(初回診断から18ヵ月未満と定義)に再燃した患者13人、早期(初回診断から18ヵ月を超えるが、治療中止から6ヵ月以内と定義)に再燃した患者55人、および晩期再燃の患者12人が含まれていた。 [16] [証拠レベル:2A]
    • 晩期再燃の患者は化学療法/頭蓋照射療法で経過が非常に良好で、12人中11人の患者が生存していた。

    • 同種HSCTは非常に早期の再燃および早期の再燃に対して推奨された。計画された3つの寛解導入コース後に66人の患者が生存しており、無再燃状態であった。早期および非常に早期の孤立性CNS再燃を来した患者54人がプロトコルで推奨されたHSCTに適格であり、39人(72%)の患者がHSCTを受けた。これらの患者の21%が再燃したのに対し、HSCTを受けなかった群の再燃率は71%であった。

    • 移植に適格であった患者のうち、再寛解導入療法中にイダルビシンよりもむしろミトキサントロンによる治療が生存優位に関連した(3年無増悪生存率、61% vs 21%;P = 0.027)。より大規模の試験と同様に、ミトキサントロン群の大きな利点はHSCTを受けた患者で得られた。 [16] 非常に早期の再燃群の患者数が少ないため、このコホートの詳細な解析が妨げられており、化学療法/頭蓋照射療法で治療された早期再燃群での失敗率は他の発表されている経験よりも劣っていることから、早期孤立性CNS再燃患者に対するこの化学療法アプローチに疑問が生じている。

孤立性精巣再燃

孤立性精巣再燃例に対する治療結果は再燃時期に左右される。治療中に顕性の精巣再燃が認められた男児の3年イベントフリー生存(EFS)率は約40%である;晩期に精巣の再燃が認められた男児では約85%である。 [145]

北米における精巣に再発した小児ALLに対する標準治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 化学療法。
  2. 放射線療法。

北米における孤立性精巣再燃を治療するための標準的アプローチは、大量メトトレキサートを含む強化化学療法を施行することである。 [146] 寛解導入療法後に反応がみられずCRにならなかった患者には、局所放射線療法も実施する。

欧州の一部の臨床試験グループでは、放射線療法の代わりに罹患精巣の精巣摘除術を実施している。再燃した時点で他方の精巣の生検を実施し、局所コントロール(外科的切除または放射線療法)を実施すべきかどうか判断する。第一選択治療終了時に精巣生検を検討した研究では、潜伏病変の早期発見による患者の生存利益を実証できなかった。 [147] 放射線療法または精巣摘除術を使用しない場合の転帰に関する臨床データは限られているが、精巣において抗白血病の水準に達する可能性がある化学療法(例、大量メトトレキサート)の使用が臨床試験で検証されている。

証拠(精巣再燃に対する治療[症例報告]):

  1. オランダの研究者らは、晩期精巣再燃を認めた男児5人を対象に、大量メトトレキサートを寛解導入期間中(12g/m2)、およびその他の治療期間では一定間隔で(6g/m2)使用して治療し、精巣放射線療法は併用しなかった。5人の男児すべてが長期生存者となった。 [146]
  2. 過去のALLの全身性再燃に対してHSCTを実施後に孤立性精巣再燃が認められた男児を対象とした小規模シリーズでは、男児7人中5人が2回目のHSCTを受けずにEFSの延長を示した。 [127] [証拠レベル:3iA]

再燃小児ALLに対して臨床評価段階にある治療法の選択肢

ALLの初回再燃に対する試験

ALLの初回再燃に対する臨床評価段階にある治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. COG-AALL1331;NCI-2014-00631(NCT02101853)

    (小児B細胞急性リンパ芽球性白血病[B-ALL]の初回再燃に対するブリナツモマブのリスク層別化ランダム化第III相試験)

    この試験では、B細胞ALLの初回再燃患者に対してブリナツモマブを組み込むことでDFSを改善できるかどうかが評価されている。ブリナツモマブは、ほぼすべてのB細胞ALLの細胞に発現したCD19抗原とT細胞に発現したCD3抗原に結合する二重特異性抗体である;このため、ブリナツモマブはBリンパ芽球と患者自身のT細胞を近接させて、白血病細胞の溶解を促進する。患者は、再燃部位(骨髄再燃 vs 孤立性髄外再燃)、再燃までの期間、および治療開始から1ヵ月後におけるMRD状態に基づいてリスクが層別化される。この試験の化学療法の基本骨格は英国のALLR3レジメンに基づいている。 [37] 治療開始から1ヵ月後に高リスクおよび中リスク患者は、地固め化学療法ブロックを2回行うか、2サイクルのブリナツモマブのいずれかを受ける群にランダムに割り付けられた。これらの患者は続いて、HSCTに進む。低リスク患者は移植なしで治療される;これらの患者はALLR3プロトコルに基づく対照群または同じ化学療法の基本骨格に3サイクルのブリナツモマブも含める研究群のいずれかにランダムに割り付けられる。
  2. TACL 2008-002(NCT00981799)

    (再燃T細胞ALLおよびT細胞リンパ芽球性リンパ腫を対象としたネララビンエトポシド、およびシクロホスファミドの試験)

    この試験はTherapeutic Advances in Childhood Leukemia & Lymphomaの臨床試験グループにより実施され、初回再燃のT細胞ALL患者(一次寛解導入療法に失敗した患者も含む)に対する再寛解導入療法としてシクロホスファミドおよびエトポシドと併用してネララビンを投与する治療の実施可能性を検証する。ネララビンおよびシクロホスファミドの用量は順次コホートで漸増し、これらの薬剤を併用投与した場合の最大許容量を決定する。
  3. DFCI-11-237(NCT01523977)

    (ALL小児患者を対象とした多剤併用再寛解導入化学療法と併用するエベロリムス

    多剤併用再寛解導入療法(ビンクリスチンプレドニゾンドキソルビシン、静注pegaspargase、および髄腔内化学療法)と併用して、経口mTOR阻害薬のエベロリムスを投与する治療の実施可能性を検証するDana-Farber Cancer InstituteのALL Consortium試験の登録には、初回再燃患者が適格である。

ALLの2回目以降の再燃または難治性ALLに対する試験

2回目以降の再燃または難治性のALL患児に対しては、新規薬剤および新たな多剤併用療法を研究している多くの臨床試験が利用可能であり、参加を検討すべきである。これらの試験ではALLに特異的な標的療法を検証しており、その中にはモノクローナル抗体に基づく治療、および白血病細胞の増殖と生存に必要なシグナル伝達経路を阻害する薬剤がある。

最新の臨床試験

再発小児急性リンパ芽球性白血病患者を現在受け入れているNCI支援のがん臨床試験のリストを参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。


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  147. Trigg ME, Steinherz PG, Chappell R, et al.: Early testicular biopsy in males with acute lymphoblastic leukemia: lack of impact on subsequent event-free survival. J Pediatr Hematol Oncol 22 (1): 27-33, 2000 Jan-Feb.[PUBMED Abstract]

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本要約の変更点(02/03/2017)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)に関する一般情報

本文に以下の記述が追加された;以前の化学療法による治療はALL発生に対する危険因子である。

本文で以下の記述が改訂された;他にALLのリスク増大に関連している多型を示す遺伝子には、GATA3IKZF1CDKN2ACDKN2BCEBPEPIP4K2A、およびTP63がある(引用、参考文献39、40、41、42、および43として、それぞれMigliorini et al.、Hungate et al.、Sherborne et al.、Xu et al.、およびEllinghaus et al.)。

リスクに基づく治療割り付け

本文に以下の記述が追加された;近一倍体または低度の低二倍体のALL患者20人を対象にした1件の研究により、低二倍体集団における微小残存病変(MRD)は予後的意義を有しうることが示された(引用、参考文献152としてMullighan et al.)。

本文で、DUX4再構成ALLおよび関連する遺伝子欠失に関する記述が改訂された(引用、参考文献188としてZhang et al.)。

本文に以下の記述が追加された;TPMT遺伝子変異がヘテロ接合体である患者は、一般に重篤な毒性なしにメルカプトプリンに耐えられるが、実際には正常アレルがホモ接合体である患者よりも造血毒性に対する用量減量が頻繁に必要となる(引用、参考文献229としてRelling et al.)。

本文に以下の記述が追加された;寛解導入療法終了時のMRDレベルが低い患者における優れた治療成績は、診断から10年以上維持される(引用、参考文献244としてBartram et al.)。

本文に、最初の1ヵ月の治療後および2サイクル目の化学療法後のMRDに基づいて、患者を3つのリスクグループに層別化したDutch AAL10試験の結果に関する記述が追加された(引用、参考文献246としてPieters et al.および証拠レベル:2A)。

小児ALLに対する寛解導入後療法

参考文献39としてPieters et al.が追加された。

小児ALLに対するCNSに向けた治療

高リスクおよび超高リスク患者に対するCNS療法のセクションは、高リスク患者に対するCNS療法から改名された。

再燃小児ALLの治療

本文に、予後不良因子として再寛解導入失敗に関する記述が追加された(引用、参考文献46としてKo et al.)。

本文に以下の記述が追加された;第二寛解期にあるT細胞ALLに対する同種移植後の3年全生存率および無病生存率は、それぞれ48%および46%と報告された(引用、参考文献61としてBurke et al.および証拠レベル:3iiiA)。

新規のセクションとして難治性ALLに対する免疫療法アプローチが追加された。

本要約はPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

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本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、小児急性リンパ芽球性白血病の治療について包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:


  • 会議での議論、

  • 本文の引用、または

  • 既に引用されている既存の記事との入れ替え、または既存の記事の更新。

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

小児急性リンパ芽球性白血病の治療に対する主要な査読者は以下の通りである:


    本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

    証拠レベル

    本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

    本要約の使用許可

    PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

    本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

    PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board.PDQ Childhood Acute Lymphoblastic Leukemia Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: http://www.cancer.gov/types/leukemia/hp/child-all-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389206]

    本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

    免責条項

    入手可能な証拠の強さに基づき、治療選択肢は「標準」または「臨床評価段階にある」のいずれかで記載される場合がある。これらの分類は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。

    お問い合わせ

    Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのEmail UsからもCancer.govに送信可能である。

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