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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

褐色細胞腫と傍神経節腫の治療(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2018-02-08
    翻訳更新日 : 2018-04-20


医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、褐色細胞腫と傍神経節腫の治療について包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。


本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Adult Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

褐色細胞腫と傍神経節腫に関する一般情報

褐色細胞腫および副腎外傍神経節腫は、全身の交感神経系および副交感神経系の傍神経節へ進展する神経堤組織に発生するまれな腫瘍である。

最新の世界保健機関分類では、副腎髄質に生じる腫瘍に限定して褐色細胞腫の用語を使用し、他の部位に生じる類似の腫瘍には副腎外傍神経節腫の用語を使用している。 [1]

発生率および死亡率

褐色細胞腫の発生率は、年間100万人当たり2~8人である。褐色細胞腫は、高血圧患者の0.1%~1%に認められ [4] [5] [6] 、副腎腫瘤が偶然発見された患者の約5%に認められる。 [7] 発生のピークは20代~40代である;診断時の平均年齢は、遺伝性症例で24.9歳、散発症例で43.9歳である。 [8] 発生率は男女間で同等である。 [9]

解剖学

褐色細胞腫および副腎外傍神経節腫は神経堤組織に発生する。神経堤組織は交感神経系および副交感神経系の傍神経節へ進展する。

交感神経系の傍神経節には以下のものが含まれる:


  • 副腎髄質。

  • 大動脈分岐部近傍のZuckerkandl器官。

  • 交感神経系の分布に沿った他の傍神経節。

副交感神経系の傍神経節には以下のものが含まれる:


  • 頸動脈小体。

  • 迷走神経および舌咽神経の頸部および胸部分岐に沿った他の傍神経節。

危険因子

褐色細胞腫の発症に関連した環境、食事、または生活様式の危険因子は知られていない。

遺伝的素因症候群

すべての褐色細胞腫および副腎外傍神経節腫のうち、25%は遺伝的症候群の家系において発生する。 [8] [9] [10] 褐色細胞腫のリスクを高めるものとして同定されている主要な遺伝的症候群を表1に示す。

表1.褐色細胞腫のリスクが高い主要な遺伝的症候群

遺伝的症候群または遺伝的状態 異常遺伝子 解説
多発性内分泌腫瘍2A型および2B型 RET (詳しい情報については、内分泌および神経内分泌腫瘍の遺伝学に関するPDQ要約の褐色細胞腫のセクションを参照のこと。)
フォンヒッペル-リンダウ病 VHL  
神経線維腫症1型 NF1  
遺伝性傍神経節腫症候群 SDHD [11] 以前は家族性褐色細胞腫-傍神経節腫症候群1型と称された
SDHAF2SDH5) [12] 以前は家族性褐色細胞腫-傍神経節腫症候群2型と称された
SDHC [13] 以前は家族性褐色細胞腫-傍神経節腫症候群3型と称された
SDHB [14] 以前は家族性褐色細胞腫-傍神経節腫症候群4型と称された
SDHA [15]  


褐色細胞腫および副腎外傍神経節腫は、以下に示す2つのきわめてまれな別の症候群にも発生することがある:


  • 副腎外傍神経節腫、胃腸間質性腫瘍(GIST) [16] 、および肺軟骨腫のCarney三徴。

  • 傍神経節腫およびGISTのCarney-Stratakis二徴。 [17]

褐色細胞腫と傍神経節腫の他の遺伝的原因が研究されている。例えば、染色体2q11上の膜貫通蛋白コード化遺伝子TMEM127における短縮型生殖細胞変異は、家族性疾患に罹患した患者の約30%、および既知の遺伝的原因が認められず散発性にみえる褐色細胞腫患者の約3%に認められことが示されている。 [18] TMEM127は、mammalian target of rapamycin(mTOR)エフェクター蛋白の負の調節因子である。

遺伝カウンセリングおよび遺伝子検査

褐色細胞腫または傍神経節腫と診断されたすべての患者は、散発性症例にみえる遺伝的症候群の発生率が25%と高いため、必ず遺伝子検査を検討するように提案されている。 [8] [9] [19] 遺伝的症候群の早期発見により、他の関連腫瘍の早期スクリーニングおよびリスクを有する家族の識別が可能になる。さらに、一部の遺伝的症候群患者は、多巣性、悪性、または再発性の病変が発現する可能性が非常に高い。特異的遺伝子変異に関する知見によって、そのような患者に対する術前の局在診断または術後の監視での警戒を高めることが可能となる。

特定の患者サブグループは、遺伝的症候群に罹患するリスクがきわめて低い(例、50歳を超えて散発性にみえる褐色細胞腫と診断された患者では2%未満)。 [8] したがって、褐色細胞腫または傍神経節腫と診断されたすべての患者に対して遺伝子検査を実施することは、集団的観点から実用的または費用効果的ではない可能性がある。現在では、褐色細胞腫または副腎外傍神経節腫と診断されたすべての患者は、資格を有する遺伝子カウンセラーによる遺伝的症候群のリスク評価を最初に必ず受けるように推奨されている。(遺伝学医療専門家の一覧については、NCI Cancer Genetics Services Directoryを参照のこと。)

遺伝子検査はしばしば以下の状況で推奨される:


  • 遺伝性褐色細胞腫-神経節腫症候群を示唆する臨床的特徴の個人歴または家族歴を有する患者。

  • 両側性または多巣性の腫瘍を有する患者。

  • 症候性または悪性の副腎外傍神経節腫を有する患者。

  • 40歳前に診断された患者。

一側性褐色細胞腫で、遺伝性疾患を示唆する個人歴または家族歴がない患者における遺伝子検査は、患者が40歳~50歳であれば検討可能であるが、患者が50歳を超える場合の遺伝子検査は一般的には推奨されない。突然変異が同定された場合は、無症候性でリスクを有する家族に対して予測的な遺伝子検査を提案すべきである。(詳しい情報については、内分泌および神経内分泌腫瘍の遺伝学に関するPDQ要約を参照のこと。)

臨床的特徴

褐色細胞腫および交感神経系の副腎外傍神経節腫の患者は、以下を含むカテコールアミン産生過剰の症状を呈する場合がある:


  • 高血圧。

  • 頭痛。

  • 発汗。

  • 激しい動悸。

  • 振戦。

  • 顔面蒼白。

これらの症状はしばしば発作性であるが、発作性エピソード間の持続性高血圧が褐色細胞腫患者の50%~60%に認められる。 [20] 高血圧症状の発現は、頻度、重症度、および持続期間が異なることがあり、医学的な管理がきわめて困難な場合が多い。高血圧クリーゼは、心不整脈および心筋梗塞につながる可能性があり、死に至ることさえある。

患者はカテコールアミン分泌過剰によって多彩な症状を示すことが多い。カテコールアミン過剰の症状は、自然発生的な場合、または以下を含むさまざまなイベントによって引き起こされる場合がある:


  • 激しい身体運動。

  • 外傷。

  • 分娩および出産。

  • 麻酔導入。

  • 直接腫瘍に触れる器具の使用(例、穿刺吸引)を含む、手術または他の侵襲的手技。

  • チラミンを多く含む食品(例、赤ワイン、チョコレート、およびチーズ)。

  • 排尿(例、まれな膀胱壁腫瘍)。

カテコールアミン過剰にはフェノキシベンザミン(α受容体を遮断する)が有効であり、メチロシン(カテコールアミン合成を遮断する)を必要に応じて付加できる。

副交感神経系の副腎外傍神経節腫はカテコールアミンを分泌せず、通常は圧迫関連症状を伴う頸部腫瘤として現れるが、関係のない理由で画像検査を実施した際に偶然発見されることもある。さらに、褐色細胞腫の新生物は、別の理由(例、副腎の偶発腫)による腹部画像検査、またはリスクを有する家族の遺伝子検査のいずれかにより、症状発現前の状態で発見されることから、褐色細胞腫患者の約半数は無症候性である。 [21] [22] [23] [24]

診断学

褐色細胞腫の診断は通常、副腎腫瘤の存在または精密検査で疑われる。カテコールアミン分泌過剰を明らかにするために、生化学検査が実施される。カテコールアミン分泌性腫瘍の生化学的診断がいったん確定すれば、局在診断を実施すべきである。診断を下すための至適な単独検査に関しては議論がある。

生化学検査

24時間採尿

カテコールアミン(例、エピネフリン、ノルエピネフリンおよびドパミン)および分画メタネフリン(例、メタネフリンおよびノルメタネフリン)の24時間採尿は、相対的に感度が低い(77%~90%)が、特異度が高い(98%)。検査前確率も重要である。血漿遊離分画メタネフリン測定の特異度は、散発性の褐色細胞腫で検査した患者では82%であるのに対し、遺伝性の褐色細胞腫で検査した患者では96%である。 [25] [26]

血漿遊離分画メタネフリン

血漿遊離分画メタネフリン測定は、ベースライン時の褐色細胞腫リスクが高い患者に理想的な患者探索検査であると考えられる。これらの患者として以下の例が挙げられる:


  • 副腎腫瘤が偶然発見された患者。

  • 褐色細胞腫の家族歴を有する患者。

  • 褐色細胞腫に対する既知の遺伝的素因を有する患者。

この検査は、ベースライン時の褐色細胞腫リスクが低い患者では、相対的に偽陽性率が高くなる。血漿遊離分画メタネフリン測定(例、メタネフリンおよびノルメタネフリン)は、感度が高い(97%~99%)が、相対的に特異度が低い(85%)。

一般に、最初の患者探索を目的に血漿遊離分画メタネフリン測定を実施することは理にかなっており、その後、確認のために24時間蓄尿による尿分画メタネフリンおよびカテコールアミンの測定が行われる。検査結果は、偽陽性結果の可能性があるために解釈困難になることがある。偽陽性結果は、以下のいずれによっても生じる可能性がある: [20] [25]


  • 一般医薬品(例、三環系抗うつ薬)。

  • 肉体的または精神的ストレス。

  • 臨床データセットではなく、かえって正常な検査データを基にした不適切に低い基準範囲。 [27]

  • 特異的測定および薬物療法に干渉する一般的な食品(例、カフェインおよびバナナ)。

カテコールアミンまたはメタネフリンの軽度なレベル上昇は、通常、薬物または他の因子によって生じる分析妨害の結果である。症候性の褐色細胞腫患者は、ほぼ必ずカテコールアミンまたはメタネフリンの増加がみられ、基準範囲上限値より2~3倍高い。 [20]

刺激検査(例、グルカゴン使用)は危険なことがあり、他の現行の検査法に対する付加価値はなく勧められない。 [28]

画像検査

腹部および骨盤(少なくとも大動脈分岐部のレベルまで)のコンピュータ断層撮影(CT)画像法または磁気共鳴画像法(MRI)が、最も多く用いられている局在診断法である。 [29] 両画像法とも感度(90%~100%)および特異度(70%~80%)は同等である。 [29] CT画像法では、MRIと比較して優れた解剖学的詳細が得られる。

CT画像法またはMRIで腫瘍の位置が特定できない場合は、さらに機能的画像法が必要となる。機能的画像法は、多巣性、悪性、または再発性の病変リスクがある患者に有用な場合もある。CT画像法と組み合わせたヨウ素I 123(123I)-メタヨードベンジルグアニジン(MIBG)シンチグラフィーは、解剖学的および機能的な情報を提供し、感度(80%~90%)および特異度(95%~100%)は良好である。 [29] 131I-MIBGは、同じ方法で使用可能であるが、123I-MIBGほど画像品質は高くない。 [30] 機能的画像法の他の代替法として、インジウム In 111-オクトレオチド・シンチグラフィーおよびフッ素F 18-フルデオキシグルコースポジトロン放射断層撮影法があり、両者ともCT画像法と組み合わせて解剖学的詳細を改善することができる。

現在利用可能な画像撮影法を使用した場合、カテコールアミン分泌性腫瘍の局在診断ができないことはまれである。

予後および生存率

限局性(良性にみえる)病変または局所性病変を有する患者の生存に関する明確なデータはない。限局性(良性にみえる)病変を有する患者は、年齢をマッチさせた無病患者に近い全生存期間を生きるはずであるが、これらの患者の6.5%~16.5%は、最初の手術から通常5~15年後に再発が認められることになる。 [31] [32] [33]

再発性病変を有する患者の約50%が遠隔転移を経験する。 [33] 転移性病変の場合(最初の診断時に認められたか、または術後に再発性病変として認められたかにかかわらず)、5年生存率は40%~45%である。 [34]

追跡評価

褐色細胞腫または副腎外傍神経節腫のすべての患者に対しては、最初の病理検査で悪性腫瘍を疑う所見が得られなかった場合でも、長期の追跡がきわめて重要である。 [6]


  • 孤立性の散発性褐色細胞腫の切除後、患者はベースラインとして術後の生化学検査を行い、その後生涯にわたって毎年生化学検査を受けるべきである。

  • 非カテコールアミン産生腫瘍の切除を行った患者は、再発または転移を監視するために、最初からコンピュータ断層撮影法または磁気共鳴画像法による画像検査を毎年受けるとともに、放射性同位元素標識メタヨードベンジルグアニジンによる画像検査を定期的に受けるべきである。

  • 遺伝的症候群の場合で褐色細胞腫または傍神経節腫の切除を行った患者は、その特異的な症候群を構成している別の腫瘍についてのルーチンのスクリーニングに加えて、生涯にわって毎年の生化学スクリーニングが必要である。 [6]

関連する要約

褐色細胞腫と傍神経節腫に関する情報を含む他のPDQ要約には以下のものがある:



参考文献
  1. DeLellis RA, Lloyd RV, Heitz PU, et al., eds.: Pathology and Genetics of Tumours of Endocrine Organs. Lyon, France: IARC Press, 2004. World Health Organization classification of tumours, vol. 8.[PUBMED Abstract]

  2. Beard CM, Sheps SG, Kurland LT, et al.: Occurrence of pheochromocytoma in Rochester, Minnesota, 1950 through 1979. Mayo Clin Proc 58 (12): 802-4, 1983.[PUBMED Abstract]

  3. Stenström G, Svärdsudd K: Pheochromocytoma in Sweden 1958-1981. An analysis of the National Cancer Registry Data. Acta Med Scand 220 (3): 225-32, 1986.[PUBMED Abstract]

  4. Sinclair AM, Isles CG, Brown I, et al.: Secondary hypertension in a blood pressure clinic. Arch Intern Med 147 (7): 1289-93, 1987.[PUBMED Abstract]

  5. Anderson GH Jr, Blakeman N, Streeten DH: The effect of age on prevalence of secondary forms of hypertension in 4429 consecutively referred patients. J Hypertens 12 (5): 609-15, 1994.[PUBMED Abstract]

  6. Omura M, Saito J, Yamaguchi K, et al.: Prospective study on the prevalence of secondary hypertension among hypertensive patients visiting a general outpatient clinic in Japan. Hypertens Res 27 (3): 193-202, 2004.[PUBMED Abstract]

  7. Young WF Jr: Management approaches to adrenal incidentalomas. A view from Rochester, Minnesota. Endocrinol Metab Clin North Am 29 (1): 159-85, x, 2000.[PUBMED Abstract]

  8. Neumann HP, Bausch B, McWhinney SR, et al.: Germ-line mutations in nonsyndromic pheochromocytoma. N Engl J Med 346 (19): 1459-66, 2002.[PUBMED Abstract]

  9. Amar L, Bertherat J, Baudin E, et al.: Genetic testing in pheochromocytoma or functional paraganglioma. J Clin Oncol 23 (34): 8812-8, 2005.[PUBMED Abstract]

  10. Jiménez C, Cote G, Arnold A, et al.: Review: Should patients with apparently sporadic pheochromocytomas or paragangliomas be screened for hereditary syndromes? J Clin Endocrinol Metab 91 (8): 2851-8, 2006.[PUBMED Abstract]

  11. Baysal BE, Ferrell RE, Willett-Brozick JE, et al.: Mutations in SDHD, a mitochondrial complex II gene, in hereditary paraganglioma. Science 287 (5454): 848-51, 2000.[PUBMED Abstract]

  12. Hao HX, Khalimonchuk O, Schraders M, et al.: SDH5, a gene required for flavination of succinate dehydrogenase, is mutated in paraganglioma. Science 325 (5944): 1139-42, 2009.[PUBMED Abstract]

  13. Niemann S, Müller U: Mutations in SDHC cause autosomal dominant paraganglioma, type 3. Nat Genet 26 (3): 268-70, 2000.[PUBMED Abstract]

  14. Astuti D, Latif F, Dallol A, et al.: Gene mutations in the succinate dehydrogenase subunit SDHB cause susceptibility to familial pheochromocytoma and to familial paraganglioma. Am J Hum Genet 69 (1): 49-54, 2001.[PUBMED Abstract]

  15. Burnichon N, Brière JJ, Libé R, et al.: SDHA is a tumor suppressor gene causing paraganglioma. Hum Mol Genet 19 (15): 3011-20, 2010.[PUBMED Abstract]

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  17. Carney JA, Stratakis CA: Familial paraganglioma and gastric stromal sarcoma: a new syndrome distinct from the Carney triad. Am J Med Genet 108 (2): 132-9, 2002.[PUBMED Abstract]

  18. Qin Y, Yao L, King EE, et al.: Germline mutations in TMEM127 confer susceptibility to pheochromocytoma. Nat Genet 42 (3): 229-33, 2010.[PUBMED Abstract]

  19. Neumann HP, Pawlu C, Peczkowska M, et al.: Distinct clinical features of paraganglioma syndromes associated with SDHB and SDHD gene mutations. JAMA 292 (8): 943-51, 2004.[PUBMED Abstract]

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  24. Young WF Jr: Clinical practice. The incidentally discovered adrenal mass. N Engl J Med 356 (6): 601-10, 2007.[PUBMED Abstract]

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  26. Sawka AM, Jaeschke R, Singh RJ, et al.: A comparison of biochemical tests for pheochromocytoma: measurement of fractionated plasma metanephrines compared with the combination of 24-hour urinary metanephrines and catecholamines. J Clin Endocrinol Metab 88 (2): 553-8, 2003.[PUBMED Abstract]

  27. Perry CG, Sawka AM, Singh R, et al.: The diagnostic efficacy of urinary fractionated metanephrines measured by tandem mass spectrometry in detection of pheochromocytoma. Clin Endocrinol (Oxf) 66 (5): 703-8, 2007.[PUBMED Abstract]

  28. Young WF Jr: Phaeochromocytoma: how to catch a moonbeam in your hand. Eur J Endocrinol 136 (1): 28-9, 1997.[PUBMED Abstract]

  29. Ilias I, Pacak K: Current approaches and recommended algorithm for the diagnostic localization of pheochromocytoma. J Clin Endocrinol Metab 89 (2): 479-91, 2004.[PUBMED Abstract]

  30. Furuta N, Kiyota H, Yoshigoe F, et al.: Diagnosis of pheochromocytoma using [123I]-compared with [131I]-metaiodobenzylguanidine scintigraphy. Int J Urol 6 (3): 119-24, 1999.[PUBMED Abstract]

  31. Plouin PF, Chatellier G, Fofol I, et al.: Tumor recurrence and hypertension persistence after successful pheochromocytoma operation. Hypertension 29 (5): 1133-9, 1997.[PUBMED Abstract]

  32. van Heerden JA, Roland CF, Carney JA, et al.: Long-term evaluation following resection of apparently benign pheochromocytoma(s)/paraganglioma(s). World J Surg 14 (3): 325-9, 1990 May-Jun.[PUBMED Abstract]

  33. Amar L, Servais A, Gimenez-Roqueplo AP, et al.: Year of diagnosis, features at presentation, and risk of recurrence in patients with pheochromocytoma or secreting paraganglioma. J Clin Endocrinol Metab 90 (4): 2110-6, 2005.[PUBMED Abstract]

  34. Averbuch SD, Steakley CS, Young RC, et al.: Malignant pheochromocytoma: effective treatment with a combination of cyclophosphamide, vincristine, and dacarbazine. Ann Intern Med 109 (4): 267-73, 1988.[PUBMED Abstract]

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褐色細胞腫と傍神経節腫の細胞分類

病理学的分類

褐色細胞腫と傍神経節腫は、特徴的にクロム親和細胞による一様な多角形の小巣構造(“zellballen”)を形成している。通常は、クロム親和細胞を含んでいない組織(例、リンパ節、肝臓、骨、肺、および他の遠隔転移部位)中に腫瘍の集積を同定することによってのみ、悪性腫瘍の診断を下すことが可能である。

最初の病理所見で局所性または遠隔転移性の病変が患者の3%~8%で証明される;したがって、将来の悪性腫瘍の振る舞いに関連した腫瘍の特徴を特定しようとする試みが行われている。悪性腫瘍に関連した病理学的特徴には以下を含む:


  • 腫瘍サイズが大きい。

  • 核分裂像の数が多い。

  • DNA異数性。

  • 広範囲の腫瘍壊死。

明確に証明された転移が認められなければ、臨床的、病理組織学的、または生化学的な特徴を組み合わせても褐色細胞腫の生物学的挙動を確実に予測することはできないことが示されている。決定的な悪性腫瘍が同定されない場合、病理所見では一般に再発または転移の可能性に関して不十分な予後情報しか得られない。これらの腫瘍は、検査も行わず良性とみなすことはできない;患者は生涯にわたって監視を継続する必要がある。 [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7]


参考文献
  1. Plouin PF, Chatellier G, Fofol I, et al.: Tumor recurrence and hypertension persistence after successful pheochromocytoma operation. Hypertension 29 (5): 1133-9, 1997.[PUBMED Abstract]

  2. Thompson LD: Pheochromocytoma of the Adrenal gland Scaled Score (PASS) to separate benign from malignant neoplasms: a clinicopathologic and immunophenotypic study of 100 cases. Am J Surg Pathol 26 (5): 551-66, 2002.[PUBMED Abstract]

  3. Nativ O, Grant CS, Sheps SG, et al.: The clinical significance of nuclear DNA ploidy pattern in 184 patients with pheochromocytoma. Cancer 69 (11): 2683-7, 1992.[PUBMED Abstract]

  4. Wu D, Tischler AS, Lloyd RV, et al.: Observer variation in the application of the Pheochromocytoma of the Adrenal Gland Scaled Score. Am J Surg Pathol 33 (4): 599-608, 2009.[PUBMED Abstract]

  5. Kimura N, Watanabe T, Noshiro T, et al.: Histological grading of adrenal and extra-adrenal pheochromocytomas and relationship to prognosis: a clinicopathological analysis of 116 adrenal pheochromocytomas and 30 extra-adrenal sympathetic paragangliomas including 38 malignant tumors. Endocr Pathol 16 (1): 23-32, 2005.[PUBMED Abstract]

  6. Linnoila RI, Keiser HR, Steinberg SM, et al.: Histopathology of benign versus malignant sympathoadrenal paragangliomas: clinicopathologic study of 120 cases including unusual histologic features. Hum Pathol 21 (11): 1168-80, 1990.[PUBMED Abstract]

  7. Tischler AS: Pheochromocytoma and extra-adrenal paraganglioma: updates. Arch Pathol Lab Med 132 (8): 1272-84, 2008.[PUBMED Abstract]

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褐色細胞腫と傍神経節腫の病期情報

褐色細胞腫と傍神経節腫に対する標準の病期分類システムはない。患者は伝統的に、以下の3つのカテゴリーの1つに分類される:


  • 限局性(良性にみえる)疾患。

  • 局所性疾患。

  • 転移性疾患。褐色細胞腫または副腎外傍神経節腫の転移が最もよくみられる部位には、リンパ節、骨、肺、および肝臓がある。

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治療法選択肢の概要

限局性病変再発を含む、限局性および局所性の褐色細胞腫に対する最も確実な治療は、α-およびβ-アドレナリン遮断薬およびその後の手術から構成される。切除不能または転移性の病変を有する患者に対する治療には、以下の併用療法が含まれる:


  • カテコールアミン遮断薬。

  • 手術。

  • 化学療法。

  • ラジオ波焼灼療法。

  • 凍結融解壊死療法。

  • 放射線療法。

褐色細胞腫または傍神経節腫と診断された患者の管理指針として、第II相臨床試験による限られたデータのみが利用可能である。第III相試験は存在しない。いずれもケースシリーズに基づいており、生存率への影響は不明である。

限局性、局所性、転移性、または再発性褐色細胞腫患者に対する治療が表2にまとめられている。

表2.褐色細胞腫患者に対する治療選択肢

褐色細胞腫 標準治療法の選択肢
限局性褐色細胞腫 手術
局所性褐色細胞腫 手術
転移性褐色細胞腫 手術
緩和療法
再発性褐色細胞腫 手術
緩和療法


術前の医学的前処置

手術はほとんどの患者に対する治療の柱である;しかしながら、術前の医学的前処置がきわめて重要である。α-アドレナリン遮断薬は診断時に開始し、術中のカテコールアミン過剰分泌の結果として発生することがあり生命を脅かす可能性がある心血管系合併症を予防するために、術前に最大用量とすべきである。合併症には以下が含まれる:


  • 高血圧クリーゼ。

  • 不整脈。

  • 心筋梗塞。

  • 肺水腫。

フェノキシベンザミン(非選択的α-遮断薬)が通常選択すべき薬である;プラゾシン、テラゾシン、およびドキサゾシン(選択的α-1-遮断薬)が代替選択薬となる。プラゾシン、テラゾシンおよびドキサゾシンは、フェノキシベンザミンより作用時間が短く、そのため術後低血圧の期間が理論的にフェノキシベンザミンより短い;しかしながら、選択的α-1-遮断薬を用いた全体的な経験はフェノキシベンザミンより少ない。

術前の治療期間は1~3週で通常十分である;発作の解消および年齢別目標下限正常血圧への復帰は、α-アドレナリン遮断薬が適切であることを示している。、水分補給により術前および術後ともに過度の起立性低血圧が抑えられるため、α-アドレナリン遮断薬投与中は塩分および水分の多量摂取を推奨すべきである。頻脈が発生した場合、またはα-アドレナリン遮断薬による血圧コントロールが最適とはいえない場合は、β-アドレナリン遮断薬(例、メトプロロールまたはプロプラノロール)を付加することができるが、α-遮断薬の後に限る。β-アドレナリン遮断薬はα-アドレナリン遮断薬の前には決して処方してはならない;そうすると、β-アドレナリン受容体が媒介する血管拡張が遮断され、結果的にα-アドレナリン受容体が媒介する血管拡張と拮抗しなくなり、生命を脅かす発作に至る可能性がある。


参考文献
  1. Cubeddu LX, Zarate NA, Rosales CB, et al.: Prazosin and propranolol in preoperative management of pheochromocytoma. Clin Pharmacol Ther 32 (2): 156-60, 1982.[PUBMED Abstract]

  2. Prys-Roberts C, Farndon JR: Efficacy and safety of doxazosin for perioperative management of patients with pheochromocytoma. World J Surg 26 (8): 1037-42, 2002.[PUBMED Abstract]

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限局性褐色細胞腫の治療

限局性褐色細胞腫患者に対する

標準治療法の選択肢

は手術である。

外科的切除、すなわち副腎摘出術は、限局性褐色細胞腫患者に対する最も確実な治療法である。以下の条件を満たすことができれば、低浸襲性の副腎摘出術が一般に好ましいアプローチである:


  • 術前の画像検査で副腎褐色細胞腫の直径が約6cm以下であることが確認される。

  • X線画像に隣接臓器への浸潤の証拠または局所性もしくは転移性病変の証拠が認められない(すなわち、良性腫瘍と推定される)。

  • 対側の副腎が正常である。

背面からの後腹膜鏡下副腎摘出術と同様に、前面からの経腹的腹腔鏡下副腎摘出術も、腫瘍サイズが中等度でX線画像上良性の褐色細胞腫患者の大多数に対して安全であることが実証されている。 [1] [2] 術前の画像検査で悪性と疑われる場合、または患者に副腎外傍神経節腫もしくは多巣性病変がある場合は、開腹手術が一般に好ましいアプローチである。

術中の高血圧は、フェントラミン、ニトロプルシドナトリウム、または短時間作用型カルシウムチャネル遮断薬(例、ニカルジピン)の静脈内投与によりコントロール可能である。腫瘍切除の後に急激な血圧低下が起こる可能性があり、迅速な補液および血管収縮薬(例、ノルエピネフリンまたはフェニレフリン)の静脈投与が必要となる場合がある。術後24時間は、患者を監視環境下に置いておくべきである。術後低血圧は、主に循環体液の増量により管理され、術後高血圧は、通常利尿薬が有効である。

遺伝性褐色細胞腫

遺伝性褐色細胞腫患者に対する

標準治療法の選択肢

は手術である。

遺伝的症候群の多発性内分泌腫瘍2型(MEN2)およびフォンヒッペル-リンダウ(VHL)病の患者を対象とした褐色細胞腫の外科的治療は意見が分かれている。これらの両症候群における褐色細胞腫は、患者の50%以上が両側性である;しかしながら、悪性はきわめてまれである。両側性全副腎摘出術は、すべての患者を生涯にわたってステロイド依存性とし、25%以内の患者がアジソン病クリーゼ(急性副腎機能不全)を経験することになる。

MEN2およびVHL症候群の患者を対象とした現行の推奨では、一般に副腎皮質組織を可能であれば保存することを支持している。一側性褐色細胞腫が最初に認められた患者は、片側副腎摘出術を受けるべきであり、両側性褐色細胞腫が認められた患者、または残存している副腎に褐色細胞腫が発現した患者は、技術的に可能であれば皮質を残す副腎摘出術を受けるべきである。 [3]

証拠

褐色細胞腫患者56人を含む単一施設研究では、57%の患者(すなわち、30人中17人)が皮質を残す副腎摘出術を1回以上受け、日常的にステロイドを補充する必要が避けられた;この場合の臨床的再発率は低く(すなわち、30人中3人)、転移性病変が発現した患者はいなかった。 [5] [証拠レベル:3iiDii]

良性病変で特徴づけられる他の家族性褐色細胞腫-傍神経節腫症候群では、同様のアプローチが理にかなっている場合があるが、現状では明解な推奨の基になるデータは不十分である。(遺伝性褐色細胞腫の治療に関する詳しい情報については、内分泌および神経内分泌腫瘍の遺伝学に関するPDQ要約を参照のこと。)

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、 臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、 こちらから)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。


参考文献
  1. Walz MK, Alesina PF, Wenger FA, et al.: Posterior retroperitoneoscopic adrenalectomy--results of 560 procedures in 520 patients. Surgery 140 (6): 943-8; discussion 948-50, 2006.[PUBMED Abstract]

  2. Gagner M, Breton G, Pharand D, et al.: Is laparoscopic adrenalectomy indicated for pheochromocytomas? Surgery 120 (6): 1076-9; discussion 1079-80, 1996.[PUBMED Abstract]

  3. Lee JE, Curley SA, Gagel RF, et al.: Cortical-sparing adrenalectomy for patients with bilateral pheochromocytoma. Surgery 120 (6): 1064-70; discussion 1070-1, 1996.[PUBMED Abstract]

  4. de Graaf JS, Dullaart RP, Zwierstra RP: Complications after bilateral adrenalectomy for phaeochromocytoma in multiple endocrine neoplasia type 2--a plea to conserve adrenal function. Eur J Surg 165 (9): 843-6, 1999.[PUBMED Abstract]

  5. Yip L, Lee JE, Shapiro SE, et al.: Surgical management of hereditary pheochromocytoma. J Am Coll Surg 198 (4): 525-34; discussion 534-5, 2004.[PUBMED Abstract]

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局所性褐色細胞腫の治療

局所性褐色細胞腫に対する

標準治療法の選択肢

は手術である。

局所進行性(例、隣接臓器への直接的な腫瘍進展から、または局所リンパ節病変のため)の褐色細胞腫または副腎外傍神経節腫に対しては、外科的切除が最も確実な治療法である。褐色細胞腫が認められる患者で局所病変が診断されることはきわめてまれなため、管理指針としてのデータは限られている。 [1] しかしながら、存在する病変をすべて取り除く積極的な外科的切除により、患者の症状を無くすことができる。 [2] これらの患者の外科的治療では、拡大リンパ節郭清とともに、節隣接臓器(例、腎臓、肝臓、下大静脈)のすべてまたは一部の一塊切除が必要である。局所性褐色細胞腫の完全切除を行った患者は、疾患再発を生涯にわたって監視する必要がある。

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、 臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、 こちらから)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。


参考文献
  1. Amar L, Servais A, Gimenez-Roqueplo AP, et al.: Year of diagnosis, features at presentation, and risk of recurrence in patients with pheochromocytoma or secreting paraganglioma. J Clin Endocrinol Metab 90 (4): 2110-6, 2005.[PUBMED Abstract]

  2. Zarnegar R, Kebebew E, Duh QY, et al.: Malignant pheochromocytoma. Surg Oncol Clin N Am 15 (3): 555-71, 2006.[PUBMED Abstract]

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転移性褐色細胞腫の治療

転移性褐色細胞腫に対する

標準治療法の選択肢

には以下のものがある:

  1. 手術。
  2. 緩和療法。

褐色細胞腫または副腎外傍神経節腫の転移が最もよくみられる部位には、リンパ節、骨、肺、および肝臓がある。悪性腫瘍が分かっているか、その疑いがある患者は、機能的画像法(例えば、ヨウ素I 123-メタヨードベンジルグアニジン[MIBG])によるだけでなく、コンピュータ断層撮影法または磁気共鳴画像法による病期判定を行うべきである。患者はカテコールアミン分泌過剰によって多彩な症状を示すことが多い。フェノキシベンザミンが有効であり、カテコールアミン合成の遮断薬であるメチロシンを必要に応じて付加することができる。

手術

数が限られた遠隔転移を含むすべての同定可能な病変が切除可能であれば、手術によりときには長期の寛解が得られることがある。病変が切除できない場合は、腫瘍減量術により生存が改善することはない;それでも、場合によっては症候緩和を目的に腫瘍減量術が行われることがある。

緩和療法

化学療法

転移性褐色細胞腫の患者において、化学療法は生存を改善しないことが示されている;それでも、症状の緩和目的に化学療法を試みることは可能である。

最も定評のある化学療法レジメンは、シクロホスファミドビンクリスチンおよびダカルバジンの併用療法(Averbuchプロトコル)である。 [1] このレジメンで18人の患者を対象に22年間追跡した結果は、完全奏効率11%、部分奏効率44%、生化学的奏効率75%、および生存期間中央値3.3年であった。 [2] [証拠レベル:3iiiDiv]

他にいくつかの化学療法レジメンが少数の患者を対象に使用されたが、全体的な治療結果は期待外れであった。 [3] [4]

標的療法

新規の標的療法が、転移性褐色細胞腫に対して有望な治療戦略として出現してきている。mammalian target of rapamycin (mTOR)阻害薬のエベロリムスを用いた初期の結果は期待外れだったことが報告されているが [5] 、チロシンキナーゼ阻害薬のスニチニブを用いてきわめて少数の患者を治療した結果はそれより有望であった。 [6] [7]

放射線療法

131I-MIBGによる放射線療法は、MIBG-集積性転移腫瘍の治療に用いられている。 [32] 49人の患者を含む131I-MIBGの大量投与による放射線療法の第II相研究では、完全奏効8%、部分奏効14%、および5年推定生存率64%であった。 [10] [証拠レベル:3iiiDiv]褐色細胞腫または傍神経節腫の転移部位の約60%がMIBG-集積性である [10] ;放射性同位元素標識ソマトスタチンのような他の実験的放射性同位元素標識薬を用いたプロトコルベースの治療がMIBGを吸収しない転移腫瘍に対して検討可能である。

他の治療法

他の緩和治療法として、外部放射線療法(例、骨転移の緩和目的)とともに、塞栓療法、ラジオ波焼灼術または凍結融解壊死療法(例、巨大肝転移または孤立性骨転移の緩和目的)が挙げられる。

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、 臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、 こちらから)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。


参考文献
  1. Averbuch SD, Steakley CS, Young RC, et al.: Malignant pheochromocytoma: effective treatment with a combination of cyclophosphamide, vincristine, and dacarbazine. Ann Intern Med 109 (4): 267-73, 1988.[PUBMED Abstract]

  2. Huang H, Abraham J, Hung E, et al.: Treatment of malignant pheochromocytoma/paraganglioma with cyclophosphamide, vincristine, and dacarbazine: recommendation from a 22-year follow-up of 18 patients. Cancer 113 (8): 2020-8, 2008.[PUBMED Abstract]

  3. Nakane M, Takahashi S, Sekine I, et al.: Successful treatment of malignant pheochromocytoma with combination chemotherapy containing anthracycline. Ann Oncol 14 (9): 1449-51, 2003.[PUBMED Abstract]

  4. Kulke MH, Stuart K, Enzinger PC, et al.: Phase II study of temozolomide and thalidomide in patients with metastatic neuroendocrine tumors. J Clin Oncol 24 (3): 401-6, 2006.[PUBMED Abstract]

  5. Druce MR, Kaltsas GA, Fraenkel M, et al.: Novel and evolving therapies in the treatment of malignant phaeochromocytoma: experience with the mTOR inhibitor everolimus (RAD001). Horm Metab Res 41 (9): 697-702, 2009.[PUBMED Abstract]

  6. Jimenez C, Cabanillas ME, Santarpia L, et al.: Use of the tyrosine kinase inhibitor sunitinib in a patient with von Hippel-Lindau disease: targeting angiogenic factors in pheochromocytoma and other von Hippel-Lindau disease-related tumors. J Clin Endocrinol Metab 94 (2): 386-91, 2009.[PUBMED Abstract]

  7. Joshua AM, Ezzat S, Asa SL, et al.: Rationale and evidence for sunitinib in the treatment of malignant paraganglioma/pheochromocytoma. J Clin Endocrinol Metab 94 (1): 5-9, 2009.[PUBMED Abstract]

  8. Buscombe JR, Cwikla JB, Caplin ME, et al.: Long-term efficacy of low activity meta-[131I]iodobenzylguanidine therapy in patients with disseminated neuroendocrine tumours depends on initial response. Nucl Med Commun 26 (11): 969-76, 2005.[PUBMED Abstract]

  9. Scholz T, Eisenhofer G, Pacak K, et al.: Clinical review: Current treatment of malignant pheochromocytoma. J Clin Endocrinol Metab 92 (4): 1217-25, 2007.[PUBMED Abstract]

  10. Gonias S, Goldsby R, Matthay KK, et al.: Phase II study of high-dose [131I]metaiodobenzylguanidine therapy for patients with metastatic pheochromocytoma and paraganglioma. J Clin Oncol 27 (25): 4162-8, 2009.[PUBMED Abstract]

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再発性褐色細胞腫の治療

再発性褐色細胞腫に対する

標準治療法の選択肢

には以下のものがある:

  1. 手術。
  2. 緩和療法。

良性腫瘍に相当すると推定され、術後の生化学検査では正常と確認された限局性褐色細胞腫を切除した後の病変再発が患者の6.5%~16.5%に発生し、病変再発が認められた患者の50%に転移性病変が発現している。 [1] [2] [3] 局所性または転移性病変の外科的完全切除後の再発率を判断するには、データが不十分である。

手術

再発病変の治療には適切な医学的管理(すなわち、α-アドレナリン遮断薬)が含まれ、可能であれば、その後外科的完全切除を実施する。

緩和療法

症状の緩和は、カテコールアミン過剰および局所腫瘤効果に関連する症状を含み、切除できない病変に対する治療の第一焦点である。

外科的切除の候補と考えられない限局性-局所性または転移性の病変を有する患者に対する治療には、以下の選択肢がある:


  • 化学療法。

  • 標的療法。

  • 高線量のヨウ素I 131-メタヨードベンジルグアニジンによる放射線療法。

  • アブレーション療法。

  • 放射線療法。

(詳しい情報については、本要約の転移性褐色細胞腫の治療のセクションを参照のこと。)

遺伝性褐色細胞腫または傍神経節腫

家族性の褐色細胞腫または傍神経節腫の患者は、追加の原発腫瘍の形で再発病変が発現するリスクがある。そのような患者では、追跡評価および追加の原発腫瘍の管理がきわめて重要である。(詳しい情報については、本要約の限局性褐色細胞腫の治療のセクションを参照のこと。)

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、 臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、 こちらから)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。


参考文献
  1. Plouin PF, Chatellier G, Fofol I, et al.: Tumor recurrence and hypertension persistence after successful pheochromocytoma operation. Hypertension 29 (5): 1133-9, 1997.[PUBMED Abstract]

  2. van Heerden JA, Roland CF, Carney JA, et al.: Long-term evaluation following resection of apparently benign pheochromocytoma(s)/paraganglioma(s). World J Surg 14 (3): 325-9, 1990 May-Jun.[PUBMED Abstract]

  3. Amar L, Servais A, Gimenez-Roqueplo AP, et al.: Year of diagnosis, features at presentation, and risk of recurrence in patients with pheochromocytoma or secreting paraganglioma. J Clin Endocrinol Metab 90 (4): 2110-6, 2005.[PUBMED Abstract]

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妊娠中の褐色細胞腫

妊娠中に褐色細胞腫と診断されることは、きわめてまれ(全妊娠例の0.007%)である。 [1] [2] しかしながら、褐色細胞腫を発症するリスクを増加させる遺伝性疾患を有する女性は、多くの場合妊娠可能年齢でもあるため、この事態は言及に値するとともに、妊娠中の未診断褐色細胞腫の転帰は悲惨な結果となる可能性がある。

診断

出生前診断は、明らかに母親および新生児の死亡率低下につながる。 [3] 1970年より前に褐色細胞腫の出生前診断が行われていたのは症例の約25%のみであり、母親および新生児を合わせた死亡率は50%前後であった。 [4] [5] 1980年代および1990年代の出生前診断の実施率は、80%を超えるまでに増加し、母親および新生児の死亡率は、それぞれ6%および15%に減少した。 [4] [6]

褐色細胞腫の出生前診断では、妊娠第1期の高血圧、発作性高血圧、または治療が通常よりも困難な高血圧が認められる妊娠女性のすべてを疑うべきである。 [2] [7] 正常妊娠はカテコールアミンのレベルに影響を与えない。 [8] したがって、通常の生化学検査が有効である。磁気共鳴画像法は、胎児を電離放射線に曝露しないため、選択すべき腫瘍部位確認方法である。

治療

妊娠中のフェノキシベンザミンの使用は安全であるが、β-アドレナリン遮断薬は、その使用と子宮内発育遅延との関連性が認められているため、必要な場合のみ投与を開始すべきである。 [9] [10] 妊娠第2期での腫瘍切除は多くの場合安全に実施可能であるが、そうではなく胎児が今にも生まれそうな場合は、腫瘍切除を帝王切開術と同時に実施することができる。症例報告では、経膣分娩後しばらくの間外科的手術を遅らせた場合のまれな状況で良好な治療成績が示されている。 [11] 妊娠中の褐色細胞腫の管理が成功するかどうかは、注意深い監視および経験豊富な専門医チームの利用可能状況によって決まる。


参考文献
  1. Harrington JL, Farley DR, van Heerden JA, et al.: Adrenal tumors and pregnancy. World J Surg 23 (2): 182-6, 1999.[PUBMED Abstract]

  2. Sarathi V, Lila AR, Bandgar TR, et al.: Pheochromocytoma and pregnancy: a rare but dangerous combination. Endocr Pract 16 (2): 300-9, 2010 Mar-Apr.[PUBMED Abstract]

  3. Freier DT, Thompson NW: Pheochromocytoma and pregnancy: the epitome of high risk. Surgery 114 (6): 1148-52, 1993.[PUBMED Abstract]

  4. Mannelli M, Bemporad D: Diagnosis and management of pheochromocytoma during pregnancy. J Endocrinol Invest 25 (6): 567-71, 2002.[PUBMED Abstract]

  5. Schenker JG, Granat M: Phaeochromocytoma and pregnancy--an updated appraisal. Aust N Z J Obstet Gynaecol 22 (1): 1-10, 1982.[PUBMED Abstract]

  6. Ahlawat SK, Jain S, Kumari S, et al.: Pheochromocytoma associated with pregnancy: case report and review of the literature. Obstet Gynecol Surv 54 (11): 728-37, 1999.[PUBMED Abstract]

  7. Keely E: Endocrine causes of hypertension in pregnancy--when to start looking for zebras. Semin Perinatol 22 (6): 471-84, 1998.[PUBMED Abstract]

  8. Jaffe RB, Harrison TS, Cerny JC: Localization of metastatic pheochromocytoma in pregnancy by caval catheterization. Including urinary catecholamine values in uncomplicated pregnancies. Am J Obstet Gynecol 104 (7): 939-44, 1969.[PUBMED Abstract]

  9. Butters L, Kennedy S, Rubin PC: Atenolol in essential hypertension during pregnancy. BMJ 301 (6752): 587-9, 1990.[PUBMED Abstract]

  10. Montan S, Ingemarsson I, Marsál K, et al.: Randomised controlled trial of atenolol and pindolol in human pregnancy: effects on fetal haemodynamics. BMJ 304 (6832): 946-9, 1992.[PUBMED Abstract]

  11. Junglee N, Harries SE, Davies N, et al.: Pheochromocytoma in Pregnancy: When is Operative Intervention Indicated? J Womens Health (Larchmt) 16 (9): 1362-5, 2007.[PUBMED Abstract]

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本要約の変更点(02/08/2018)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

本要約には編集上の変更がなされた。

本要約はPDQ Adult Treatment Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

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本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、褐色細胞腫と傍神経節腫の治療について包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Adult Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:


  • 会議での議論、

  • 本文の引用、または

  • 既に引用されている既存の記事との入れ替え、または既存の記事の更新。

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

褐色細胞腫と傍神経節腫の治療に対する主要な査読者は以下の通りである:


    本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

    証拠レベル

    本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Adult Treatment Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

    本要約の使用許可

    PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

    本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

    PDQ® Adult Treatment Editorial Board.PDQ Pheochromocytoma and Paraganglioma Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/pheochromocytoma/hp/pheochromocytoma-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389312]

    本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

    免責条項

    入手可能な証拠の強さに基づき、治療選択肢は「標準」または「臨床評価段階にある」のいずれかで記載される場合がある。これらの分類は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。

    お問い合わせ

    Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのEmail UsからもCancer.govに送信可能である。

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