ページの先頭へ

最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

小児膵がんの治療(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2019-10-25
    翻訳更新日 : 2019-12-25


医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、小児膵がんの治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。


本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

小児膵がんに関する一般情報

小児および青年における悪性膵腫瘍はまれであり、発生率は30歳未満では100万人当たり0.46例である。 [1] [2] [3] [4]

小児の原発膵腫瘍は以下の4つのカテゴリーに分類できる:



参考文献
  1. Chung EM, Travis MD, Conran RM: Pancreatic tumors in children: radiologic-pathologic correlation. Radiographics 26 (4): 1211-38, 2006 Jul-Aug.[PUBMED Abstract]

  2. Perez EA, Gutierrez JC, Koniaris LG, et al.: Malignant pancreatic tumors: incidence and outcome in 58 pediatric patients. J Pediatr Surg 44 (1): 197-203, 2009.[PUBMED Abstract]

  3. Dall'igna P, Cecchetto G, Bisogno G, et al.: Pancreatic tumors in children and adolescents: the Italian TREP project experience. Pediatr Blood Cancer 54 (5): 675-80, 2010.[PUBMED Abstract]

  4. Brecht IB, Schneider DT, Klöppel G, et al.: Malignant pancreatic tumors in children and young adults: evaluation of 228 patients identified through the Surveillance, Epidemiology, and End Result (SEER) database. Klin Padiatr 223 (6): 341-5, 2011.[PUBMED Abstract]

 | 

膵臓の充実性偽乳頭状腫瘍

発生率

フランツ腫瘍とも呼ばれる膵臓の充実性偽乳頭状腫瘍は小児膵腫瘍として最も多く、ほとんどの施設のシリーズで症例の最大70%を占める。 [1] [2] この腫瘍は悪性度が低く、妊娠可能な年齢層の女性(年齢中央値、21歳)に最も好発し、黒人および東アジア人に多い。 [2] [3] [4] 女性に非常に多い理由を説明する遺伝因子またはホルモン因子は知られていないが、すべての腫瘍でプロゲステロン受容体が発現することが報告されている。 [5]

組織学

組織学的には、腫瘍は充実性、偽乳頭状、および嚢胞性の変化の組み合わせを特徴とする。血管供給の脆弱性のため、出血および壊死による続発性の変性変化および嚢胞性領域を生じる。ヒアリン化した線維血管茎の周囲の細胞が偽乳頭を形成する。 [3] 高度に特異的なCD99の傍核ドット様免疫活性パターンが報告されている。 [6]

臨床像

膵臓の充実性偽乳頭状腫瘍は非常にもろい腫瘍であり、腫瘍の破裂および腹腔内出血の報告がある。 [2] [3] [4] 腫瘍は膵臓のどの部分にも生じることがあり、しばしば外方増殖性である。画像検査では、腫瘤は典型的な嚢胞性および充実性の要素を示し、腫瘍内出血および線維性被膜を伴う。 [3] National Cancer Databaseの1件のレトロスペクティブ・レビューで、膵臓の充実性偽乳頭状腫瘍を有する小児患者(18歳未満)21人および成人患者348人が特定された。 [7] 成人の充実性偽乳頭状腫瘍と比較した場合、小児では発症時の疾患重症度が類似しており、同様の治療を受け、同等の術後転帰を経験した。

転帰

膵臓の充実性偽乳頭状腫瘍の転帰はきわめて良好であり、10年生存率は95%を超える。 [5]

膵臓の充実性偽乳頭状腫瘍の治療

膵臓の充実性偽乳頭状腫瘍に対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 手術。
  2. 化学療法。

膵臓の充実性偽乳頭状腫瘍の治療は外科的に行う;しかしながら、術前および術中の漏出が珍しくない。 [8] Whipple法(膵頭十二指腸切除術)がしばしば必要であるが、膵空腸造瘻手技を利用したWhipple法以外の膵温存切除が可能な場合がある。手術は一般的に根治的であるが、局所再発が症例の5~15%に起こる。 [4] イタリアのPediatric Rare Tumor Registryのレトロスペクティブ・レビューでは、2000年から2018年の間に膵臓の充実性偽乳頭状腫瘍を診断された小児患者43人が確認された。 [9] [証拠レベル:3iiA]診断時年齢中央値は13.2歳(範囲、7~18歳)であった。転移性疾患を来した患者は、1人だけであった。追跡時(中央値、8.4年;範囲、0~17年)に、手術中に腫瘍が破裂した患者で再発が1度発生したが、患者は全員生存していた。

転移性病変が症例の最大15%に起こり、一般に肝臓に生じる。 [2] [3] [4] [5] [6] 切除不能または転移性病変の症例においてゲムシタビン単剤が有効であることが報告されている。 [10]


参考文献
  1. Rojas Y, Warneke CL, Dhamne CA, et al.: Primary malignant pancreatic neoplasms in children and adolescents: a 20 year experience. J Pediatr Surg 47 (12): 2199-204, 2012.[PUBMED Abstract]

  2. Dall'igna P, Cecchetto G, Bisogno G, et al.: Pancreatic tumors in children and adolescents: the Italian TREP project experience. Pediatr Blood Cancer 54 (5): 675-80, 2010.[PUBMED Abstract]

  3. Chung EM, Travis MD, Conran RM: Pancreatic tumors in children: radiologic-pathologic correlation. Radiographics 26 (4): 1211-38, 2006 Jul-Aug.[PUBMED Abstract]

  4. Papavramidis T, Papavramidis S: Solid pseudopapillary tumors of the pancreas: review of 718 patients reported in English literature. J Am Coll Surg 200 (6): 965-72, 2005.[PUBMED Abstract]

  5. Estrella JS, Li L, Rashid A, et al.: Solid pseudopapillary neoplasm of the pancreas: clinicopathologic and survival analyses of 64 cases from a single institution. Am J Surg Pathol 38 (2): 147-57, 2014.[PUBMED Abstract]

  6. Laje P, Bhatti TR, Adzick NS: Solid pseudopapillary neoplasm of the pancreas in children: a 15-year experience and the identification of a unique immunohistochemical marker. J Pediatr Surg 48 (10): 2054-60, 2013.[PUBMED Abstract]

  7. Leraas HJ, Kim J, Sun Z, et al.: Solid Pseudopapillary Neoplasm of the Pancreas in Children and Adults: A National Study of 369 Patients. J Pediatr Hematol Oncol 40 (4): e233-e236, 2018.[PUBMED Abstract]

  8. Sacco Casamassima MG, Gause CD, Goldstein SD, et al.: Pancreatic surgery for tumors in children and adolescents. Pediatr Surg Int 32 (8): 779-88, 2016.[PUBMED Abstract]

  9. Crocoli A, Grimaldi C, Virgone C, et al.: Outcome after surgery for solid pseudopapillary pancreatic tumors in children: Report from the TREP project-Italian Rare Tumors Study Group. Pediatr Blood Cancer 66 (3): e27519, 2019.[PUBMED Abstract]

  10. Maffuz A, Bustamante Fde T, Silva JA, et al.: Preoperative gemcitabine for unresectable, solid pseudopapillary tumour of the pancreas. Lancet Oncol 6 (3): 185-6, 2005.[PUBMED Abstract]

 | 

膵芽腫

発生率と危険因子

膵芽腫は小児におけるすべての膵腫瘍の10~20%を占める。これは幼児の膵腫瘍として最も多く、一般的に10歳までに生じ、診断時の年齢中央値は5歳である。 [1] [2]

ベックウィズ-ヴィーデマン症候群の患児は膵芽腫の発症リスクが高い;この症候群は早期乳児期に生じた膵芽腫症例の最大60%およびそれより後の時期に膵芽腫を生じた患児の5%に認められる。 [3] 膵芽腫は家族性大腸腺腫症症候群とも関連付けられている。 [4]

組織学と分子的特徴

この腫瘍は膵腺房細胞の胎生期細胞の遺残から起始すると考えられている。病理学的には、緻密な間質層に区切られた腺房性、索状、または充実性構造の配列を有する上皮性新生物を示す。 [1] CTNNB1およびIGF2の遺伝子変異が一部の症例で報告されており、膵芽腫が正常な膵臓の分化における変異により生じる可能性が示唆されている。 [5] [6]

臨床像

症例の約半数は膵頭部に起始するが、黄疸はまれである。腫瘍の約80%がα-フェトプロテインを分泌することから、これを治療に対する反応の測定および再発のモニタリングに使用することができる。 [2] 一部の症例では、腫瘍が副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)または抗利尿ホルモンを分泌することがあり、患者がクッシング症候群および不適切な高抗利尿ホルモン分泌による症候群を呈する場合がある。 [3] 患児の30~40%で転移がみられ、一般的に肝臓、肺、リンパ節に生じる。 [2]

転帰

集学的アプローチにより、患児の約80%で治癒が得られる。 [2]

膵芽腫の治療

膵芽腫に対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 手術。
  2. 化学療法。

膵芽腫では手術が治療の中心であり、治癒を得るためには外科的完全切除が必要である。膵頭部が一般的な起始部位であることから、通常はWhipple法が必要となる。 [7] [8]

大きい、切除不能、または転移を来した腫瘍については術前化学療法が適応となる;膵芽腫は化学療法に反応することが多く、通常はシスプラチンをベースとするレジメンが推奨される。シスプラチンドキソルビシンを含むPLADOレジメンが最もよく用いられるレジメンであり、治療は肝芽腫の管理に倣い、2~3サイクルの術前療法とその後の切除および補助化学療法を行う。 [2] [4] [9] [10]

切除不能または再燃症例では放射線療法が用いられているが、術後の顕微鏡的病変の治療におけるその役割は明らかにされていない。 [4]

1件のケースでゲムシタビン [11] および2件のケースでビノレルビンと経口シクロホスファミド [12] で治療された再燃または持続性膵芽腫患者について反応が示されている。

自家造血幹細胞救助を併用する大量化学療法が選択された症例で有効であることが報告されている。 [9] [13]


参考文献
  1. Chung EM, Travis MD, Conran RM: Pancreatic tumors in children: radiologic-pathologic correlation. Radiographics 26 (4): 1211-38, 2006 Jul-Aug.[PUBMED Abstract]

  2. Bien E, Godzinski J, Dall'igna P, et al.: Pancreatoblastoma: a report from the European cooperative study group for paediatric rare tumours (EXPeRT). Eur J Cancer 47 (15): 2347-52, 2011.[PUBMED Abstract]

  3. Chisholm KM, Hsu CH, Kim MJ, et al.: Congenital pancreatoblastoma: report of an atypical case and review of the literature. J Pediatr Hematol Oncol 34 (4): 310-5, 2012.[PUBMED Abstract]

  4. Glick RD, Pashankar FD, Pappo A, et al.: Management of pancreatoblastoma in children and young adults. J Pediatr Hematol Oncol 34 (Suppl 2): S47-50, 2012.[PUBMED Abstract]

  5. Honda S, Okada T, Miyagi H, et al.: Spontaneous rupture of an advanced pancreatoblastoma: aberrant RASSF1A methylation and CTNNB1 mutation as molecular genetic markers. J Pediatr Surg 48 (4): e29-32, 2013.[PUBMED Abstract]

  6. Isobe T, Seki M, Yoshida K, et al.: Integrated Molecular Characterization of the Lethal Pediatric Cancer Pancreatoblastoma. Cancer Res 78 (4): 865-876, 2018.[PUBMED Abstract]

  7. Sacco Casamassima MG, Gause CD, Goldstein SD, et al.: Pancreatic surgery for tumors in children and adolescents. Pediatr Surg Int 32 (8): 779-88, 2016.[PUBMED Abstract]

  8. Lindholm EB, Alkattan AK, Abramson SJ, et al.: Pancreaticoduodenectomy for pediatric and adolescent pancreatic malignancy: A single-center retrospective analysis. J Pediatr Surg 52 (2): 299-303, 2017.[PUBMED Abstract]

  9. Dall'igna P, Cecchetto G, Bisogno G, et al.: Pancreatic tumors in children and adolescents: the Italian TREP project experience. Pediatr Blood Cancer 54 (5): 675-80, 2010.[PUBMED Abstract]

  10. Défachelles AS, Martin De Lassalle E, Boutard P, et al.: Pancreatoblastoma in childhood: clinical course and therapeutic management of seven patients. Med Pediatr Oncol 37 (1): 47-52, 2001.[PUBMED Abstract]

  11. Belletrutti MJ, Bigam D, Bhargava R, et al.: Use of gemcitabine with multi-stage surgical resection as successful second-line treatment of metastatic pancreatoblastoma. J Pediatr Hematol Oncol 35 (1): e7-10, 2013.[PUBMED Abstract]

  12. Dhamne C, Herzog CE: Response of Relapsed Pancreatoblastoma to a Combination of Vinorelbine and Oral Cyclophosphamide. J Pediatr Hematol Oncol 37 (6): e378-80, 2015.[PUBMED Abstract]

  13. Hamidieh AA, Jalili M, Khojasteh O, et al.: Autologous stem cell transplantation as treatment modality in a patient with relapsed pancreatoblastoma. Pediatr Blood Cancer 55 (3): 573-6, 2010.[PUBMED Abstract]

 | 

膵島細胞腫瘍

発生率と危険因子

膵島細胞腫瘍はほとんどのシリーズで小児膵腫瘍の約15%を占める。 [1] [2] [3] このような腫瘍は通常は中年期にみられ、多発性内分泌腫瘍1型(MEN1)症候群と関連している可能性がある;小児に生じる膵島細胞腫瘍は5%未満である。 [4]

臨床像

機能性膵島細胞腫瘍として最も多い種類はインスリノーマであり、ガストリノーマが続く。


  • インスリノーマ。

    インスリノーマ患者は空腹時高インスリン性低血糖症を呈する;幼児では、症状として行動面の問題、痙攣発作、または昏睡などがみられることがある。

  • ガストリノーマ。

    ガストリノーマはゾリンジャー・エリソン症候群を呈し、まれな部位の再発性消化性潰瘍、および胃液分泌過多による下痢を伴う。インスリノーマはほとんどが良性であるのに対し、ガストリノーマはかなりの割合が悪性である。 [3]

  • ACTH産生腫瘍およびVIP産生腫瘍。

    小児でまれにみられる他のあまり多くない腫瘍に、クッシング症候群として生じるACTH産生腫瘍、およびベルナー・モリソン症候群として生じるVIP産生腫瘍がある。

非機能性腫瘍は、MEN1症候群に関連する場合を除き、小児ではきわめてまれである。膵島細胞腫瘍は典型的には孤立性である;複数の腫瘍が認められる場合は、MEN1症候群の診断を検討すべきである。

画像検査では、これらの腫瘍は通常は小さく境界明瞭である。ソマトスタチン受容体シンチグラフィは膵島細胞腫瘍の部位を探るのに有用である;しかしながら、ソマトスタチン受容体を発現するのは60~70%のみである。 [4]

膵島細胞腫瘍の治療

膵島細胞腫瘍に対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 手術。
  2. 化学療法。
  3. 哺乳類ラパマイシン標的蛋白(mTOR)阻害薬療法。

膵島細胞腫瘍の治療には、症候群の制御のための内科的療法および外科的完全切除がある。 [5] 悪性腫瘍および切除不能または転移性病変の患者については、化学療法およびmTOR阻害薬が推奨される。

小児におけるこれらの腫瘍の管理は、成人患者について策定されたコンセンサスガイドラインに従う。 [3] [6] (詳しい情報については、成人の膵神経内分泌腫瘍[膵島細胞腫瘍]の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)


参考文献
  1. Rojas Y, Warneke CL, Dhamne CA, et al.: Primary malignant pancreatic neoplasms in children and adolescents: a 20 year experience. J Pediatr Surg 47 (12): 2199-204, 2012.[PUBMED Abstract]

  2. Dall'igna P, Cecchetto G, Bisogno G, et al.: Pancreatic tumors in children and adolescents: the Italian TREP project experience. Pediatr Blood Cancer 54 (5): 675-80, 2010.[PUBMED Abstract]

  3. Jensen RT, Cadiot G, Brandi ML, et al.: ENETS Consensus Guidelines for the management of patients with digestive neuroendocrine neoplasms: functional pancreatic endocrine tumor syndromes. Neuroendocrinology 95 (2): 98-119, 2012.[PUBMED Abstract]

  4. Chung EM, Travis MD, Conran RM: Pancreatic tumors in children: radiologic-pathologic correlation. Radiographics 26 (4): 1211-38, 2006 Jul-Aug.[PUBMED Abstract]

  5. Sacco Casamassima MG, Gause CD, Goldstein SD, et al.: Pancreatic surgery for tumors in children and adolescents. Pediatr Surg Int 32 (8): 779-88, 2016.[PUBMED Abstract]

  6. Kulke MH, Benson AB, Bergsland E, et al.: Neuroendocrine tumors. J Natl Compr Canc Netw 10 (6): 724-64, 2012.[PUBMED Abstract]

 | 

膵がん

発生率と危険因子

小児の膵がん(膵腺房細胞がんおよび膵管腺がん)はきわめてまれである。このような悪性腫瘍は小児の膵腫瘍の5%未満であり、以下のものを含む: [1] [2]


  • 膵腺房細胞がん。

    小児ではまれであるが、膵腺房細胞がんは、成人で最も多い膵がんである膵管腺がんより多い。膵腺房細胞がんは膵芽腫の成人型と考えられており、両疾患の組織学的鑑別は困難な場合がある。 [3]

  • 膵管腺がん。

    膵管腺がんは40歳以下ではまれで、小児期および青年期ではさらにまれである。 [4] 膵管腺がんは、遺伝性膵炎(PRSS1変異)、家族性異型母斑および多発性黒色腫(CDKN2変異)、ポイツ・ジェガース症候群や他の遺伝性非ポリポーシス大腸がん(STK11および生殖細胞ミスマッチ修復遺伝子)、およびDNA修復遺伝子変異(BRCA2およびATMなど)と関連する症候群などのいくつかのがん素因症候群と関連している。 [5]

臨床像

主症状は非特異的であり、局所的腫瘍増殖と関連している。しかしながら、膵腺房細胞がんの成人患者の4~15%はリパーゼ分泌過多症候群を呈することがあり、末梢性多発性関節障害および疼痛を伴う皮下小結節として現れる。

膵がんの治療

(膵がんの治療に関する詳しい情報については、膵がんの治療[成人]に関するPDQ要約を参照のこと。)


参考文献
  1. Rojas Y, Warneke CL, Dhamne CA, et al.: Primary malignant pancreatic neoplasms in children and adolescents: a 20 year experience. J Pediatr Surg 47 (12): 2199-204, 2012.[PUBMED Abstract]

  2. Dall'igna P, Cecchetto G, Bisogno G, et al.: Pancreatic tumors in children and adolescents: the Italian TREP project experience. Pediatr Blood Cancer 54 (5): 675-80, 2010.[PUBMED Abstract]

  3. Chung EM, Travis MD, Conran RM: Pancreatic tumors in children: radiologic-pathologic correlation. Radiographics 26 (4): 1211-38, 2006 Jul-Aug.[PUBMED Abstract]

  4. Lüttges J, Stigge C, Pacena M, et al.: Rare ductal adenocarcinoma of the pancreas in patients younger than age 40 years. Cancer 100 (1): 173-82, 2004.[PUBMED Abstract]

  5. Rustgi AK: Familial pancreatic cancer: genetic advances. Genes Dev 28 (1): 1-7, 2014.[PUBMED Abstract]

 | 

小児膵がんに対して臨床評価段階にある治療法の選択肢

米国国立がん研究所(NCI)が支援している臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトに掲載されている。他の組織がスポンサーの臨床試験に関する情報については、ClinicalTrials.govウェブサイトを参照のこと。

以下は、現在実施されている全米および/または施設の臨床試験の例である:


  • APEC1621(NCT03155620)

    (Pediatric MATCH試験:再発または難治性進行固形腫瘍、非ホジキンリンパ腫、または組織球性疾患を有する小児患者の治療において遺伝子検査の結果に基づいて行う分子標的療法)

    NCI-COG Pediatric Molecular Analysis for Therapeutic Choice(MATCH、Pediatric MATCH試験と呼ばれる)では、難治性および再発固形腫瘍における160以上の遺伝子の4,000以上の変異を標的として次世代シークエンシングで同定された特異的な分子遺伝学的変化と標的薬物が照合される。1~21歳の小児および青年が試験に適格である。

    分子生物学的な検討のために、進行または再発した病変から腫瘍の組織を得る必要がある。この試験で治療の対象とされている分子遺伝学的なvariant(多様体ないしバリアント)が認められる腫瘍を有する患者には、Pediatric MATCHでの治療が提案される。NCIウェブサイトおよびClinicalTrials.govウェブサイトで追加の情報が入手できる。


 | 

小児がん治療に関する特別な考慮事項

小児および青年におけるがんはまれであるが、小児がんの全発生率は1975年以降徐々に増加している。 [1] 小児および青年のがん患者については、小児期および青年期に発生するがんの治療経験を有するがん専門家から構成される集学的チームのある医療機関への紹介を検討すべきである。この集学的チームのアプローチとは、至適生存期間および至適QOLを得られるような治療、支持療法、およびリハビリテーションを小児が必ず受けられるようにするため、以下に示す医療専門家の技術を集結したものである:


  • プライマリケア医。

  • 小児外科医。

  • 放射線腫瘍医。

  • 小児内科腫瘍医/血液専門医。

  • リハビリテーション専門家。

  • 小児専門看護師。

  • 社会福祉士。

  • チャイルドライフ専門家。

  • 心理士。

(小児および青年のがんの支持療法に関する具体的な情報については、PDQの支持療法および緩和ケアの要約を参照のこと。)

米国小児科学会によって、小児がん施設とそれらが小児がん患者の治療において担う役割に関するガイドラインが概説されている。 [2] このような小児がん施設では、小児および青年に発症するほとんどの種類のがんに関する臨床試験が行われており、大半の患者およびその家族に参加する機会が与えられている。小児および青年のがんに関する臨床試験は一般に、現在標準とされている治療法と、それより効果的であると思われる治療法とを比較するようデザインされる。小児がんの治癒を目指した治療法の進歩の大部分は、このような臨床試験によって達成されたものである。現在実施中の臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトから入手することができる。

小児および青年のがん患者の生存において、劇的な改善が達成されている。1975年から2010年の間に、小児がんの死亡率は50%以上低下した。 [3] 小児および青年のがん生存者では、治療から数ヵ月または数年経過後もがん療法の副作用が持続または発現することがあるため、綿密なモニタリングが必要である。(小児および青年のがん生存者における晩期合併症(晩期障害)の発生率、種類、およびモニタリングに関する具体的な情報については、小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)に関するPDQ要約を参照のこと。)

小児がんはまれな疾患であり、米国において20歳未満で診断される症例は年間約15,000例である。 [4] 米国の2002年希少疾患対策法(Rare Diseases Act of 2002)では、希少疾患を罹患者が20万人未満の疾患と定めている。そのため、小児がんはすべて希少疾患とみなされる。

まれな腫瘍の指定は小児および成人のグループ間で統一されていない。成人のまれながんは、年間発生率が10万人当たり6例未満のがんとして定義され、欧州連合で診断されるすべてのがんの最大24%および米国で診断されるすべてのがんの約20%を占めていると推定される。 [5] [6] また、小児のまれな腫瘍の指定は、以下に示すように国際的グループ間で統一されていない:


  • イタリアの小児にまれな腫瘍に関する共同プロジェクト(Tumori Rari in Eta Pediatrica [TREP])では、小児にまれな腫瘍を年間発生率が100万人当たり2例未満で、他の臨床試験の対象とならない腫瘍と定義している。 [7]

  • 小児腫瘍学グループはまれな小児がんについて、International Classification of Childhood CancerのサブグループXIにリスト化されているものと定義することを選択しており、その中には、甲状腺がん、黒色腫および非黒色腫皮膚がん、および多種類のがん腫(例、副腎皮質がん、上咽頭がん、乳がんおよび大腸がんなどのほとんどの成人型のがん腫)がある。 [8] これらの診断は、0~14歳の小児に診断されるがんの約4%を占めるのに対し、15~19歳の青年に診断されるがんでは約20%を占める。 [9]

    サブグループXI内のがんのほとんどは黒色腫または甲状腺がんのいずれかであり、サブグループXIの残りのがんの種類は、0~14歳の小児がんの1.3%および15~19歳の青年のがんの5.3%を占めるに過ぎない。


このようなまれながんは、個々の診断を受ける患者の発生率が低いこと、青年集団にまれながんが多いこと、およびまれながんの青年についての臨床試験が行われていないことから、研究がきわめて困難である。

これらの腫瘍に関する情報は、膵がんの治療(成人)、および成人 膵神経内分泌腫瘍[膵島細胞腫瘍]の治療に関するPDQ要約など、成人のがんに関連する情報源でも記載されている場合がある。 


参考文献
  1. Smith MA, Seibel NL, Altekruse SF, et al.: Outcomes for children and adolescents with cancer: challenges for the twenty-first century. J Clin Oncol 28 (15): 2625-34, 2010.[PUBMED Abstract]

  2. Corrigan JJ, Feig SA; American Academy of Pediatrics: Guidelines for pediatric cancer centers. Pediatrics 113 (6): 1833-5, 2004.[PUBMED Abstract]

  3. Smith MA, Altekruse SF, Adamson PC, et al.: Declining childhood and adolescent cancer mortality. Cancer 120 (16): 2497-506, 2014.[PUBMED Abstract]

  4. Ward E, DeSantis C, Robbins A, et al.: Childhood and adolescent cancer statistics, 2014. CA Cancer J Clin 64 (2): 83-103, 2014 Mar-Apr.[PUBMED Abstract]

  5. Gatta G, Capocaccia R, Botta L, et al.: Burden and centralised treatment in Europe of rare tumours: results of RARECAREnet-a population-based study. Lancet Oncol 18 (8): 1022-1039, 2017.[PUBMED Abstract]

  6. DeSantis CE, Kramer JL, Jemal A: The burden of rare cancers in the United States. CA Cancer J Clin 67 (4): 261-272, 2017.[PUBMED Abstract]

  7. Ferrari A, Bisogno G, De Salvo GL, et al.: The challenge of very rare tumours in childhood: the Italian TREP project. Eur J Cancer 43 (4): 654-9, 2007.[PUBMED Abstract]

  8. Pappo AS, Krailo M, Chen Z, et al.: Infrequent tumor initiative of the Children's Oncology Group: initial lessons learned and their impact on future plans. J Clin Oncol 28 (33): 5011-6, 2010.[PUBMED Abstract]

  9. Howlader N, Noone AM, Krapcho M, et al., eds.: SEER Cancer Statistics Review, 1975-2012. Bethesda, Md: National Cancer Institute, 2015. Also available online. Last accessed June 04, 2019.[PUBMED Abstract]

 | 

本要約の変更点(10/25/2019)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

本要約が新たに追加された。

本要約はPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

 | 

本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、小児膵がんの治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:


  • 会議での議論、

  • 本文の引用、または

  • 既に引用されている既存の記事との入れ替え、または既存の記事の更新。

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

小児膵がんの治療に対する主要な査読者は以下の通りである:


    本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

    証拠レベル

    本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

    本要約の使用許可

    PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

    本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

    PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board.PDQ Childhood Pancreatic Cancer Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/pancreatic/hp/child-pancreatic-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.

    本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

    免責条項

    入手可能な証拠の強さに基づき、治療選択肢は「標準」または「臨床評価段階にある」のいずれかで記載される場合がある。これらの分類は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。

    お問い合わせ

    Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのEmail UsからもCancer.govに送信可能である。

     |